スサノオで~す
小春「電車♪電車♪」
影狼「……」
『スサノオと日本の神を巡る旅』。
スサノオのヤマタノオロチ退治の地を経て、
僕らが次に向かったのは、
愛知県は、熱田神宮。
(行けたのは、今日じゃないんだけどね)
旅っていう感じはしないですね。
アクセスも良いし、
名古屋駅から30分も掛からないし」
そんなこんなを話しながら、
一礼して鳥居を潜り、
本殿に向かう参道を歩く。
本殿までの参道の長さは、
そこの祭神の神威の高さの表れでもある」
あ「そうなんですね。
そう言われれば、
確かに格式高い神社は、
どこも参道が長い気がする」
ス「それに加えて、
本殿に向かうまでの歩く時間の中で、
風に触れ、
光に触れ、
音に触れ、
神聖な空気に触れる。
それによって、
『穢れを祓う』という意味合いもあるから。
鳥居を潜ると、
五感をすべて活用することを意識してな」
あ「わかりました」
スサノオさんに言われた通りに、
目を瞑って心を静める。
顔を上げて、
吹く風や聴こえる鳥のさえずりや、
木々のざわめきに耳を傾ける。
自然と
心が落ち着いてきて、
月並みかもしれないけど、
日々の喧騒の中に埋もれている、
穏やかな時間が、
そこには流れていた。
あ「ふぅ…」
ス「落ち着いたか?
よし、行こか。
ちなみに、
心を落ち着かせた時に、
風が吹いたり、
光が射して来たら、
それは神々が歓迎している印やからな」
あ「そうなんですね。
ありがとうございます」
そうして手水を済ませ、
(二礼二拍手一礼)
あ「熱田神宮のご祭神…、
『熱田大神』とは?
何か調べても、今いちピンと来ないんですよね」
ス「まぁお前も知ってるやろうけど、
『三種の神器』の一つ、草薙剣」
あ「あなたがヤマタノオロチを退治した時に、
その尾から現れたという、
光り輝く剣ね。
まるでゲームみたいな話」
※そこら辺の古事記の話を詳しく知りたい方はこちらをどうぞ☆
ス「そう。
そしてこの…
高天原のアマテラスに献上して、
伝説となった剣。
その剣をご神体として、
降りて来ている神の名が、
このかつての尾張地方の繁栄と豊穣を司る、
『熱田大神』」
あ「ん?
ってことは、
やっぱり剣がここの神さまってこと?」
ス「まぁそうやねんけど、そうじゃない。
そこら辺は詳しく話すと長くなるから、
また今度の機会にするけど。
それより今日はこっちや。
見てみ」
あ「?」
スサノオさんがそう言って、
指差した先は、
熱田神宮の本殿内。
あ「…まぁ前から思ってたけど、
神社の作りって、
めっちゃ…シンプルよね…」
ス「せやろ?
言うたら、
『ほんまにこんな簡素な所に神おんのか?』って思えへん?」
あ「ぶっちゃけ思うよね」
ス「そうやねん。
しかもさ、
海外の『神殿』や『教会』、
まぁ俗に言う『神がいる』と言われている場所は、
どこも豪華絢爛で、
ド派手な場所が多いわけやん」
あ「こんな感じ?」
それ見た後に、
改めてこっち見てみ」
…。
……。
………。
…………。
あ「…めっちゃシンプルやん…」
ス「そやねん。
でもな、
日本の神という概念では、
これが正しいねん」
あ「どういうことすか?」
ス「決して否定するとか、
比較するとかじゃないねんで。
ただ海外の多くの『神』という概念は、
やはり代表的なのが『全知全能』。
崇め奉るものというイメージ」
あ「だから、神殿や教会もあんな感じになるわけね」
ス「逆に、
日本の神の始まりというものは、
日々の生活の中での、
自然の神秘や生命の循環に感謝し、
そこに『神』を見た。
要は生活の中に寄り添ったものこそが、
『神』やった」
あ「なるほど」
ス「だからこそ、
極力豪華絢爛さを避け、
人の手を入れない形で、
自然と調和をさせる形を、
建築様式としても維持させる。
これこそが日本の神社のあり方であり、
神のあり方でもある」
あ「そういうことか。
だから神社では、
こんな感じに簡素で、
『何もない』ことこそが美徳なのか」
ス「そういうこと。
まぁ神社が作られた当初は、
壮大で色彩豊かな仏教建築の影響を受けて、
派手に作られたりもしてたみたいやけど、
それもやっぱり合わんかったんやろうな。
時代の流れの中で、
ドンドン簡素になっていった」
あ「そういう名残が残っている神社も、
確かにあるもんね。
なるほど~~、
よぉくわかった。
で、それがどうしたの?」
ス「ドアホ(笑)
ちょっとはその無い頭で、想像力を働かせろ(笑)
だから最初の参道を通る時に言ったように、
神社では、
外側の豪華絢爛さや壮大さに目を奪われるのではなく、
『何もない』空間の中で、
自分自身の内面と向き合うことこそが大切って話。
その時心に思い浮かぶ言葉や、
ふと思いつくメッセージ。
そこに俺たち、『神との対話』がある」
『パワースポット~!』、『御神木~!』、
とか騒いでたらいかんわけですね…」
ス「決してそれも悪いことじゃないんやで(笑)
ただせっかく神社に来るのなら、
本来のその場所のあり方や、
本来の時間の過ごし方を知った方が、
有意義やんって話」
あ「よぉくわかりましたm(_ _)m」
ス「まぁ神社に入っても、
いつまでも邪念だらけのお前やから、
とりあえず言っといた。
さて、帰るか」
あ「あ、あれ!?
今日は、『熱田大神』さんとは話さないの!?」
ス「『熱田大神』の成り立ちもまだロクに理解も出来てない、
お前なんかのために現れてくれるか(笑)
まずはしっかり神と神社の基本を知り、
今の自分の内面と向き合って、勉強せぃ」
あ「あぃm(_ _)m」
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※『笑って、泣いて、神話を学ぶ』、日本の国の始まりと神々のルーツを知る史上最古の連載ファンタジー『アウトロー古事記』、第1話目はこちら☆
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