ピンポ~~~ン。
突如として鳴るインターフォン。
あ「は~い?」
ガチャリ。
ス「どうも。八百万銀行預金担当のスサノオノミコトです」
あ「って、あれ?」
ス「本日はお問い合わせ誠にありがとうございます。
預金口座のご開設ということでよろしいでしょうか?」
…。
……。
………。
…………。
あ「何してるん?」
ス「何してる…とは…?」
あ「…『人生を変える奥義』は?」
ス「えっと、今から…ご説明する所ではございます。
黙って聞いとけ、このせっかちハゲ頭」
あ「あ、えっと、そうなんですね。
とりあえずお上がりください。
って、誰がせっかちハゲ頭や。よぅその言葉遣いで銀行員やってるな」
ス「それでは早速ではございますが、
ハゲ頭でナルシストでホモでマザコン、人生絶賛迷宮入りの荒川祐二様に、
本日、『人生を変える』ためにピッタリの預金プランを御用意致しました!
こちらです!ドドン!!」
あ「…は、はぁ…?
『神さま貯金』…?
何すか、この島根県の銀行にありそうな預金は?」
ス「ふぅ、そろそろ普通に話そか。
スーツは肩凝るわ。
『神さま貯金』。
これがお前の人生を劇的に変える奥義や」
あ「ほう。まだどういうことか、サッパリ理解出来ていませんが。
というのも?」
ス「ちょっと昨日の話振り返ってみよか。
そもそも『徳を積む』って話から始まったやん?
で、その『徳』というものをスサノオ流に言うならば、
『どれだけの人を笑顔に出来るかどうか』ってこと。
これを貯金する」
あ「は、はぁ…ど、どないして…?」
ス「簡単なことや。
お前がこれからやるであろう、
人に良いこと、
社会に良いこと、
すべてに良いことを、自分で『お金』に換算して貯めていくねん。
例えば、
1つの『ありがとう』の言葉を言う度に、1回10円。
道に落ちてるゴミを拾ったら、1回50円。
電車でおばあさんに席を譲ったら、1回100円。
1日不平不満、愚痴、泣き言を言わなかったら、1日500円。
その物事に応じて、金額は自己申告制で判断していけ」
あ「そ…、そんなんで、ええんか?奥義って。現実的じゃないやん」
ス「そんなんって言うけど、
お前、今まで一回でもこういう風にやったことあるんか?」
あ「…な、ない…っす…」
ス「お前も今日、朝の『神さま言葉』で書いてたけど、
結局人生っていうのは、『今』の連続と積み重ねやねん。
その『今』をどう変えていくかが、結局人生の結果となっていくねん。
そこを見定めずに、みんな大きなこと一発で人生を変えようと思ってしまう。
そこの価値観をまず変えなあかん」
あ「はぁ…」
ス「えぇか。
人生を変える上で大切なことは、『成長』と『継続』やねん。
『宝くじ当たれへんかな』とか、『何か1日で大きく変わらんかな』とかいう、ラッキーパンチじゃない。
これだけは絶対に言える。
君らの人生は長い。
それは未来を見てもそうやし、これまでの過去もそう。
長い長い積み重ねの中で、結果が作られてきた。
今、現在に於ける目の前で起きている現象や問題というのは、
偶然、今起きていることじゃないねん。
これまでの君らが生きてきた何十年という、長い人生の行動の積み重ねが、『今』や。
ということは、もし今に不満や不安があるのなら、
今を変えて『成長』をしていくと同時に、
『継続』をして、これまでの『積み重ね』を変えていかないと、
未来は絶対変わらない」
あ「それが、『徳を積む』っていうことで変わるのかい?」
ス「変わるよ。
それは絶対に変わる。
断言出来る。
だってどれだけ小さくても、今までやったことがないことを、君らはこれからやるんやで?
道に落ちてるゴミ何て見向きもしなかった人が、勇気を出してゴミを拾うねん。
今まで『ありがとう』を上手に言えなかった人が、勇気を振り絞って大切な人に感謝の気持ちを伝えてみるねん。
墓参り行ったことがない人が墓参りに行く。
親孝行したことがない人が親孝行をする。
そして、それを継続する。
これを想像しただけで、何も変わらんと思うか?」
あ「少なくとも…、何かは変わるね…」
ス「そういうこと。何かは変わるねん。
さっき言ったラッキーパンチがもし起きたとして、
人生に出してくれた良い結果を『+1000』やとする。
そりゃそっちの方が楽でええやろう。
でも、積み重ねの『1つ1つ』は例え小さくても、
積み重ねたら確実に『+10、+100、+1000』になっていくねん。
これは当たり前のことを言ってるように見えるけど、ここに大切なことがある」
あ「何でしょう?」
ス「ラッキーパンチの『+1000』は二度と起こる保証はないけど、
積み重ねの『+1000』は、
これから何回でも、何回でも、
君らの手で作り出していけるということやねん。
だって、その時の君らは『成長』をしてるんやから。
最初の頃は徳を積んでも、『+1』にしかならんかもせーへんけど、
成長すれば一回の徳を積む行動で、『+10、20、50』って、
人生に大きな影響を与えられる可能性があるんやから。
成長をすることが出来たなら、成功なんていくらでも後で産みだすことが出来る。
そのための、毎日の『継続』やねん。
それが出来た時に、
同時に知らず知らずのうちに、
これまでの様々な問題を引き起こしてきた、『過去の積み重ね』も解消されている」
あ「大きなことで人生変わっても、意味はないっていつも言ってるもんね」
ス「そう。
『今、出来ること』を積み重ねていくこと。
大切なことは無理をせーへんことやねん。
そりゃ全速力で1000㎞走り切れたら、人生一瞬で変わるよ?
でも、そんなん出来ひんやん。
『人を笑顔にしろ、徳を積め』って言っても、
24時間365日、その人に張り付いてられへんやろ?
『贈り物しろ』って言っても、
何万も何十万もするモノを毎日贈られへんやん。
そんなん無理やん。
そういう大きなことじゃなくて、
『小さな親切』をどれだけ積み重ねていくか。
それが、長い人生を生きる上で大切なことやねん。
そのための『神さま貯金』や」
あ「それはよく分かったけど、
良いことをして、その金額が自己申告制とかそんなんでもええの?
『やってないのにやった』とか、言えちゃうじゃん(笑)」
ス「それもお前の『徳』の1つや(笑)徳は徳でも、『悪徳』や(笑)
いいか?
確かに『徳を積む』ということは、人を笑顔にすることやし、社会を良くすることや。
けどそれより以前に、
自分自身の人としての成長が、第一にあるってことをわからなあかん。
この『徳を積む』という行為を通して、
今まで出来なかったことが出来るようになったり、
今まで出会えなかった人に出会えるようになったり、
そんな1つ1つの変化を楽しむためにやるもんや。
さっきも言ったけど、それが『過去の積み重ね』の解消にもなるんやから。
何かインドでは、それを『カルマの解消』って言うんやったっけ?何かそんな感じよ」
あ「『自分のため』と『人のため』の両立。
それは塩ジイも言ってたね」
ス「そういうこと。
要は、『自分自身の成長が、人を笑顔にして、社会を喜ばせていく行動を積み重ねていく』
それをやっていきましょうよってことよ」
あ「具体的には何を?」
ス「まだ分からんのか(笑)
親孝行せぃ。
道にゴミが落ちてたら拾え。
仕事中の電話応対や人への対応は、笑顔で爽やかに。
使ったものは元の場所に、後の人のことを考えて使いやすいように。
人の苦労や気遣いを慮り。
自分がされて嫌なことは、人にしない。
自分がされて嬉しいことを、人にする。
やらなあかんかったけど、今まで『めんどくさい』って言って、避けてきたことをやれ。
そういったことが積み重なっていくと、
それこそ何をすべきかが分かってくる『成長』とともに、
気付けば塩ジイが言ってた、『息を吐くように徳を積む』ってことが出来るようになるわ。
今の自分に出来ることだけで、未来を見たらあかん。
君らは成長するんやから。
そういった自分なりの良いことを探して積み重ねて、成長していくことも『徳』の1つやと思って、
『徳』の宝探しの旅に出ておいで」
あ「『神さま貯金』…。
わかった。とりあえずやってみる」
ス「そうそう。
素直にやるってことも、『徳』の1つやで。
『奥義』って大げさに言ったけど、
結局その中身は、『誰にでも出来ることの積み重ね』で構成されている。
お前も出来る。みんなが出来る。誰でも出来る。
あとは君たちが積み重ねたその『徳』に合わせて、俺たち神々が『縁』を繋げる。
そのための単位が『円=縁』やねんから。
かつての日本の通貨の単位が両から『円』になった時、
『日本資本主義の父』渋沢栄一を始めとした偉人たちは、『縁』と『円』を掛けたっていう一説もあるぐらいやからな。
なんやったら『神さま貯金』の単位も、『縁』にしてもええぐらいや」
あ「いつも言ってる、『主人公は自分』ってことね」
ス「そういうこと。
『奥義』と言っても、
これで『すべて解決!さぁ一生幸せな人生スタート!!』ってわけじゃない。
これからよ、これから。
これをどう扱い、形にしていくかは君たち次第よ」
あ「ちなみに念の為確認するけど、
今の俺の『神さま貯金残高』、いくらぐらい?
過去の積み重ねも合わせて」
ス「借金5億」
あ「…もう…自己破産するしかないじゃん…」
ス「ウソやって(笑)
0やゼロ。
み~~んな気付いた時からが始まり(笑)
今から、ここから、始めていき(笑)」
あ「明日からまたブログで、
『こんなことしました~~。残高〇〇円』とか書いてみようかな」
ス「ええやん。何でもやってみることやで」
あ「わかった。
『神さま貯金』、始めます」
ス「冷やし中華始めます、みたいに言うな(笑)
って!あー!!今良いこと思いついた!!
やっぱり『神さま貯金』ってネーミングやめや!やめ!!」
あ「何をいきなり」
ス「『スサノオ貯金』でどや?」
あ「嫌や」
ス「何でや!?」
あ「何かあんた限定で、あんたのために頑張らなあかん感じがしてイヤ。
しかも、貯まった残高も気付いたら使い込まれてそうや。
俺は神全般に助けてもらう」
ス「(チッ…バレたか…)
まぁそれは冗談としてや(笑)
人によっては『アマテラス貯金』とか、
『月読貯金』とか、
『瀬織津姫貯金』とか、
『ニギハヤヒ貯金』とか色んなネーミングはありやと思うで。
当然徳を積んだら、その神が力になってくれるやろうし」
あ「じゃあ、『シオツチ貯金』にしたら?」
ス「当然あれが来るよ(笑)」
あ「やっぱ俺は『神さま貯金』にしとくわ(笑)」