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まだグッスリ寝てますスサノオで~す
今僕らはある神社に行くために、仙台にいる。
そしてホテルでの朝…。
ス「ぐがー!!ぐがー!!!!がー!!!!がー!!ぴー!!!!(イビキ)」
あ「………」
ス「ブッ!!(おなら)」
あ「……………」
ス「あかん!!あかん!!お尻はやめろ!!俺のお尻は触るな!!(寝言)」
あ「(どんな寝言やねん………)」
…。
……。
………。
…………。
あ「あの…」
ス「ムフフフ…アメノウズメのグラビア…最高…(寝言)」
あ「もう起きる時間でっせ…」
ス「やっぱクシナダみたいに大人しいのが一番やけど、たまにはウズメみたいに積極的な姉ちゃんも…ムフフ…(寝言)」
…。
……。
………。
…………。
あ「起きろー!!!!!!」
ス「は、はいぃっ!!!!(ビクゥッ!!)」
あ「…ふぅ…」
ス「す、す、す、すいません!すいません!!浮ついてません!!クシナダ姫が一番です!!
……ってあれ?これは見慣れたハゲ頭…?眠りを邪魔する祟り神?」
あ「誰がハゲで祟り神や。
寝ぼけてんと、ええかげん起きぃや。もうとっくに起きる時間過ぎとるわ」
…。
……。
………。
…………。
ゆっくりとした朝食後、改めて部屋にて…。
部屋で寝転んで、
テレビを見ながらゴロゴロするスサノオが一言。
ス「いやぁー!ほんま最近男の女性関係の問題が多い!!
けしからん!!
俺みたいに清廉潔癖さを保たんか!!なぁ、祟り神!!」
あ「(清廉潔白て、あんたさっき寝言で何言うてた…?)
誰が祟り神や。
……ていうか、一応確認しますけど、あなた神さまですよね?」
ス「ん?神よ?なんなら日本の神の代表格よ」
あ「そうよね。
ていうかさ、今更やけどこれでいいの?」
ス「これでって?」
あ「神さまって、もっとこう崇高で、崇められて、近寄りがたい、全知全能、みたいな。
俺は最近おかげさまであなたとか、道真とか、えびすとか、変な神さまばっかりでだいぶ慣れてきたけど、
まだ世間の人たちはあなたたちにそういう『完璧』なイメージ持ってる人多いのよ」
ス「俺たちが『すべての夢を叶えてくれる』みたいな?」
あ「そう」
ス「そんなん言われてもな。そもそも始まりからちゃうし」
あ「始まり?」
そう言うとスサノオは、
「よっこらしょ」っと言って、
めんどくさそうに座り直す。
ス「全知全能の神と八百万の神の始まりの違い。聞く?」
あ「興味深いね」
ス「全知全能って、まぁイメージ的に西洋やん?その神の始まり分かる?」
あ「何となく」
ス「まぁそもそも神の始まりと同時に、
この天地と君ら人間の始まりも話さなあかんねんけど」
あ「古事記の『天地開闢』みたいな?」
ス「そうそう。
ユダヤ教・キリスト教の聖典である旧約聖書『創世記』には、天地の始まりとしてこう書かれている。
めっちゃざっくり言うけど、
1日目に、神は天地をつくった。暗闇に神は光をつくり、昼と夜ができた。
2日目に、神は空をつくった。
3日目に、神は大地を作り、海が生まれ、植物をはえさせた。
4日目に、神は太陽と月と星をつくった。
5日目に、神は魚と鳥をつくった。
6日目に、神は獣と家畜をつくり、神に似せた人をつくった。
7日目に、神は休んだ。
これが西洋の『天地創造』」
あ「神、めっちゃ全知全能やん」
ス「かたや我々、日本の『天地開闢(てんちかいびゃく)』。
光もなければ、時間もない。空気もなければ、時間もない。
ただ混沌としか言いようのない世界が、ある時『陰と陽』に分離して、
その中心に、最初の神『アメノミナカヌシノカミ』が現れ、次に様々な役割を司る神々が続々と現れて、後に生物が住める世界が作られていった。
これ、どう違う?」
あ「よくわからん」
ス「ちょっとは考えろ(笑)
要はすべてを司る神が天地、人間を始め、すべてを作った西洋。
天地が開かれてから、
そこにそれぞれの役割を司る神が現れて、
徐々に天地や生物が住める世界が形作られていった日本」
あ「ふむ」
ス「要はこの西洋の神のイメージと俺たちのイメージがごっちゃになって、
俺たちも『全知全能』と思われてるけど、そうじゃない。
俺たち日本の神々が持ってるのは役割よ、役割。
太陽や月、風や雲、雨、森羅万象のそのべて。
そのそれぞれの神々の持つ役割がそれぞれに働き合って、調和し合って、これまで世界を形作って来た。
そして今も、神々がそれぞれの役割で人を支え、地球を支え、見守っている」
あ「西洋はすげぇカリスマ社長のワンマン会社と、
日本は、何かみんなでワイワイやってるファミリー企業の違いってイメージ?」
ス「まぁお前らしい頭の悪い例えやけど(笑)それでええわ。
だから、俺たち日本の神々は全知全能でない以上、
みんな人間と同じで完璧じゃない。
失敗もすりゃ、成功もするし、悩む事もあれば、成長もする。
でも、古事記なんか見たらわかる通り、
ダメダメな神さま(パーフェクトな俺以外)がそれぞれに支え、支え合って天上界、地上界を作って、今日まで来たのよ。
だから、俺たちに『全知全能』を求めるのは違う。
俺たちに、すべての夢や思いの実現を望むのも違う。
ただそれぞれの神々の役割で縁を繋いだり、サポートは出来る。
それがいつも俺が言ってる、『主人公は人間やで』っていうことの答えやねん」
あ「何となく、分かって来た(パーフェクトな俺以外ってのはどうかと思うけど)。
でも、じゃあ嫌なこと言うけど、西洋の神の方が日本の神より力があるってこと?」
ス「変なこと言うな(笑)
お前ら人間はすぐにそうして優劣を付けたがる。
『全知全能の神を持つ一神教は、考え方が偏ってるからダメ』とか、
『日本の精神性こそが世界で一番素晴らしい』とか言うけど、
そういった考え方が既に偏ってるの。
みんなそれぞれ素晴らしいねん。
色々考え方はあるけど、
一神教や多神教、その他の宗教、それすらもすべて俺は『役割』やと思ってる。
日本という規模だけでなく、世界という規模で見た時に、
西洋の神、仏、妖精や精霊、天使、八百万の神々、
みんなそれぞれがそれぞれの役割で手を携えて、大きな地球規模の問題に立ち向かっていく時が来る。
そこに優劣はなくて、より大きな形でそれぞれが調和する、そんな世界が来ると思ってる。
例え今は争っていても、な。
いつかそんな世界が」
あ「さっきまで、ゲスいこと言ってた方とは思えない発言(笑)」
ス「アホ(笑)
まぁ色々言うたけど、日本の神々はそういう意味で決して全知全能ではない。
悪いけど、そこは俺たちに望まんといてくれ(笑)
ただ絶対にわかっていてほしいのは、
俺たち神々は世話焼きの近所のおっちゃんやおばちゃんのように、いつでも君らの傍にいてるから」
あ「……(ちょっとウルッと来る)」
すると、
そんな僕の顔を見てスサノオは、突如立ち上がって僕の方にクルッと背を向ける。
ス「ということで、はい!!
ブッ!!(おなら)」
…。
……。
………。
…………。
あ「バシンッ!!(思いきりスサノオの頭をはたく)」
ス「痛っ!!お前こらぁっ!!俺は神やぞ!!神の頭をはたくとは何事やっ!!!!」
あ「うるさいわ!!そう思うんやったら、ちょっとは神らしくせぇや!!!!」
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