スサノオです
今日、僕らはリビングで並んでゆっくりテレビを見ていた。
あ「…まだ…やっぱり言葉が出ないね…」
ス「まぁそりゃ人の『死』なんて簡単に消化出来るもんじゃないよ。
特に当事者は、その人に思い出や思い入れがたくさんあればあるほど、尚更…な」
あ「でも、一つだけ疑問なんだけど…」
ス「?」
あ「海老蔵さんのさ、『今も見ていると思うんですけど』っていう言葉さ、」
ス「うん」
あ「あれって、本当なの?
その…亡くなった人が見守ってるっていうか…」
ス「見守ってくれてるよ。
亡くなってすぐの間は、特にな」
あ「亡くなってすぐの間は?」
ス「こういう話は大切な話やから慎重に話すけど、
まず神道のあくまで1つの考え方をそのまま伝えると、
君ら人間の『魂』ってやつは、
大いなる神からの『分霊』ということやねん」
あ「どういうこと?」
ス「まぁイメージで例えたら、
無限に大きな球体上の『神の魂』があったとして、
そこから1つ1つ小さな魂が分けられていって、
君らそれぞれの肉体に入っていく感じ」
あ「なるほど。
ってことは、俺たちは『神』ってこと?」
ス「まぁ実はそういうことやねん。
それぞれがその神の魂を頂いて、現世に降りてくる。
そして、その人生の中で、
『欲望や執着、嫉妬、怒り、妬み、恨み』など様々な穢れを経験し、
それでも現世でそれを乗り越え、成長し、
産まれる前よりも清らかな魂になって、再び神の大いなる魂のもとに還っていく。
再び戻った魂が、『大いなる神の魂』自体をより清らかなものに変えていく。
そうして次に産まれる魂が、最初からより清らかな状態で産まれることが出来る。
結果魂の成長と連動して、この星がより良い世界になっていくという話。
こう考えると、君たち1人1人の魂は神であり、君たち自体も神であるという考え方に間違いはない」
あ「なるほど。
じゃあ『死んだら魂は、大いなる神のもとに戻る』んでしょ?
なのに、さっき言ってた、
亡くなった人が大切な人を、『見守ってくれてるよ。亡くなってすぐの間は、特にな』っていうのは、どういうこと?」
ス「死んで間もない魂っていうのは、
まだ、肉体と魂が離れたという実感がないことが多い。
それによってまだ暫くは、
『その人の魂は現世に留まっていて、大切な人を見守ってくれている』っていうこと」
あ「なるほど。そういうことか」
ス「そうして時を経て、
周囲の反応や自覚、そういった一つ一つを経て、
この世への未練や執着を断ち切り、再び神の魂のもとに還っていく。
まぁ未練や執着、この世に対する怒りや恨みが強すぎて、
それがどうしても断ち切れない魂が、
霊になって、この世に留まりつづけたりもあるんやけどな」
あ「でも寂しいね。
結局神さまの所に還っちゃうと、見守ってくれなくなるんじゃん」
ス「いや、そんなことはないんやで。
前も説明したけど、例えば神式の葬儀で言えば、
亡くなった方の魂を自分の家の神棚に祀って、
家を護ってくれる神さまとして再び迎え入れることになる。
これも前『分け御霊(わけみたま)』の話で言ったけど、
魂は決して一つではなく、蝋燭の火を移していくように依り代を作れば、
そこに魂を留めておくことが出来る。
だから、生前その人が大切に使っていた思い出の品や写真にも、
その人の魂が込められてるというのも、嘘じゃないねん」
あ「なるほど。
でもその神式の葬儀と、一昨日?かな。
海老蔵さんがブログで行ったっていう、『みたまうつしの儀』とは何が違うの?」
ス「あぁ、『御霊移しの儀』な。
何が違うというか、『御霊移しの儀』は神式の葬儀の儀式よ。
仏式の通夜にあたるもので、
別名を『遷霊祭』。
ロウソクと灯篭の明かりだけを灯した真っ暗な部屋で、
故人の魂を神式の位牌や白木、鏡に移すものな。
それこそ最近は、故人が生前に愛用していたもので代用する場合もあるけど」
あ「具体的に何をするの?」
ス「主には『遷霊詞』と呼ばれる口上。
それは個人の生前の経歴や業績を祭主が向上し、
神々に『このようなものがそちらに参ります』と報告するための儀式。
それによって神々に魂は迎え入れられ、
またさっき言っていた、まだ亡くなったばかりの故人の魂も、
自分のためのこの一連の儀式を傍で見ていたら、
心置きなく、神のもとに還っていくことが出来るよな」
あ「そっか…。
何かスサノオさんの言葉って、やっぱり優しいね」
ス「急にやめろ、アホ(笑)照れるわ(笑)
だからな、肉体が無くなっても魂というものは不滅やねん。
だからきっと、自分自身がこの世から離れる時、
その時には再びその大切な人の魂に巡り合うことが出来るやろう。
その大切な人が立派な生き方をされていた方なら、
尚更自分自身もその人に恥じない生き方をしてな、
そして魂として再会する時は、
立派に顔を合わせることの出来る自分になるために、
良い人生を送っていかなあかんねん。
それが遺された者の使命やで」
あ「………」
ス「どうした?」
あ「うぁぁぁぁあ!!(泣)」
ス「分かった!分かった!泣くな!抱き付くな!!
悲しい時はな、たくさん泣いたらええねん。
泣いて、泣いて、涙枯れるまで泣いて、
這いつくばって、苦しんで、もがいて、それでも必死に前を見て生きる。
そんな君たち人間の姿は素晴らしいよ。
俺たち神さまはいつでも、そんな君らを応援してるからな。
当然、亡くなった大切な人たちもな。
今も、これからも、ずっと…、ずっと……、な」
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