思い込みから抜けるということ(86話目)
「思い込み」から抜けるということ。
これがいかに難しいかというのは、まず自分自身が思い込みに捉われているということに気付かないといけないのです。
こころセラピスト講座の中で「論理的考察」ということについてお伝えしていることがあります。
自分自身の感情や思考を整理して、理性的・論理的・合理的に物事を捉える方法や大切さをお伝えさせて頂きました。
人間の心というものは、どうしても感情に流されやすいものです。
目の前で起きた事象に対して、自分の今までの経験からでしか物事を捉えられないので、どうしても自分目線になってしまうのですね。
私達の師である松井先生は、整体のことに関しても「心が大事」と常々仰っておりました。
当時は意味が分からなかったものです。
その松井先生が仰っていた言葉の中に「無頓着」ということがあります。
無頓着というのは一般的にはだらしがない人に使われるような言葉ですが、そもそもは仏教用語です。
「頓着」というのは「執着」という意味があります。
つまり「無頓着」というのは「執着が無い」ということなのですね。
何に執着しないのかといえば、自分の思考にすらも執着しない…ということです。
以前、こんなお話をお伝えさせて頂きました。
【自分が綺麗に生きていればそれで良い(83話目)】
https://ameblo.jp/mikatakakumei/entry-12421305356.html
上記の話の中に出てくるAさんとBさんは、それぞれの主観から物事を捉えています。
自分の思考が真実だと思い込んで、悩んだりイライラしたりしてしまうわけですね。
自分の主観が真実だという思い込みから抜けられないので、どこまでが真実でどこまでが妄想かも気付いていないのです。
上記のようなお話をまた別の角度で見てみましょう。
仮にAさんがBさんと道でぶつかったとします。
Aさんはこう思います。
「お前がそんなところに立っているから悪いんだ!」
Bさんはこう思います。
「お前が前も見ずにぶつかってきたのが悪いんだ!」
ぶつかったという事実をお互いが自分の主観で判断しているならば、どちらも自分自身の「思い込み」という妄想に捉われていることになります。
ぶつかったのは事実だとしても、その原因はお互いの思い込みに過ぎないのです。
もしかしたら事実は、Cさんという人がいてBさんをAさんが通る道に誘導してぶつけるように仕組んだのかもしれません。
こうなると解釈が次のように変わってきます。
「Bさんが立っていたからぶつかったのではなく、Bさんはぶつかるように立たされた。」ということになりますよね。
もしそこにCさんがやってきて、「いや実はね、私が狙ってやったんだよ。」と言ったとしたら認めざるをえません。
でもAさんはそんな例え話を聞いても納得しません。
「第三者のCさんにそんな意志があったなんて分かるわけが無いじゃないか!」
もしかしたら、DさんがAさんに絶妙のタイミングで電話をかけて、Bさんとぶつけさせる為、前に意識がいかないように仕組んだのかもしれません。
だとしたら、AさんはDさんに仕組まれただけで、Bさんが思っているように、Aさんがわざとぶつかってきたわけではないのかもしれません。
でも、そんな話を聞いてもBさんは納得しません。
Aさんと同じように、「Dさんにわざとぶつけようとした意志があるなんてどうやって証明するんだ!そんなことは妄想に過ぎないじゃないか!」と言うのです。
確かにそうなのです。
結局のところAさんもBさんも相手の意志なんて分からないのです。
そして、どちらも同じように「こうに違いない!」と思い込んでいるだけなのですよね。
AさんとBさん、それぞれが自分の主観から物事を捉えていて、自分に都合の良い解釈だけを切り取って一部を見ているだけなのです。
故に「ありのまま」を見ているわけではありません。
お互い「ありのまま」が見えているわけではないのに、自分の正当性を主張し、自分の思考に執着しているのです。
ただ、そうなると、何が正解で何が不正解かも分からなくなります。
今度は「世の中に善悪は無い!」などと思い込んで捉われてしまうと、自分の好き勝手に生きれば良いということになってきて、殺し合いが当たり前の世の中になってしまうかもしれません。
迷いがあって思い込みの強い人間が幸せに生きていく為に、何かしらの指針が必要になってくるのです。
だからといって、その指針が間違っていたら何の意味もありません。
では、誰もが間違いないと言える真理というものが、この世の中にあるのでしょうか?
「そんなものは無い!」と、そこでまた自分の経験に捉われて思い込んでしまうのかもしれません。
その真理というものが、実際にはあるのです!
それを知ると「ありのまま」の本当の意味も良く分かるようになるのですが…。
人間というものは、真理ですらも自分の思考でもって「分かった!」と思い込んでしまうものなのですね。
自分の思考にも捉われない。
そこまでいくと「無頓着」という深い意味も分かるようになっていくのですが…。
一筋縄ではいきません。
松井先生が大切だと言っていた心のこと。
大切さを理解した人は、とにかく心の学びを継続して自分を見つめ直すことを忘れません。
学び続けている人は愚痴や文句が自ずと減っていきます。
そして、捉われが減っていくので、「こうしなければいけない!」というようなこともありません。
その場に応じて臨機応変に対応していきます。
「己が己で己をどうするか。」
この世界は私達の心の持ちようによって、いかにでも創造していくことが出来るのです。
「今生の内にアストラル体くらいは抜けて頂きたい(46話目)」
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