師の後を引き継ぐということ(54話目)
ゴッドハンドと呼ばれた松井先生のお手伝いをするようになってから受講生さん達も増え、指導なども少し慣れてきた頃のことです。
お酒が好きだった松井先生と共に、食事会や飲み会などを開催することが何度かありました。
そのお酒の席で、ある一人の受講生さんが「本当に松井式に出会えて良かったです!松井先生ありがとうございます!」と仰られたのです。
それを聞いた松井先生が、「それはもう全部この二人のおかげ。」と私とあっちゃんのことを言って下さって。
「まーくんとあっちゃんが頑張ってきてくれたから今があるんだよねぇ。」
滅多に人を褒めない松井先生にそんなことを言われて嬉しくてウルウルしていたら…。
「僕の後を継ぐのは、この二人しかいないよねぇ。」
と思いがけない言葉を言われました。
その時は、松井先生も酔っていたしリップサービスもあるのだろうと思っていたのですが…。
また別で受講生さん達と集まって飲み会をしていた時に、受講生さん達に向けて同じことを言うのです。
「僕の後を継ぐのは、まーくんとあっちゃんだから。他に誰がいます?この二人しかいないよねぇ。」
と、そんなことを二度受講生さん達の前で仰ったことがあるのですが、その時は別に後を継ぐということも考えていなかったので、特に何も思っていませんでした。
それから少し経った時、協会の規約作成などに色々と携わって下さった弁護士さんと打ち合わせをする機会があり…。
話がまとまってきた頃、「じゃあ、これからは誰に連絡したら良いですか?」と弁護士さんが尋ねられました。
その時、一緒にお手伝いをしていたKさんが「はい!私にお願いします!」と手を上げて、Kさんが請け負うことになったのですが…。
特にその時も何も思っていませんでした。
後日、松井先生とあっちゃんと私の三人で、講座後恒例の飲みの席で、その時の話になったのです。
「あの時、本当はまーくんにやってもらいたかったんだよねぇ。Kさんじゃなくて。まーくんには経営とかビジネスの勉強もしてもらいたいんだよねぇ。」
「僕の後を継ぐのは二人しかいないんだから。」
そう言われても、私には特に野心もありませんし、その時はまさか協会を引き継ぐことになるなど考えてもいませんでした。
経営やビジネスの勉強と言われても、正直何を学んで良いのかも分からず特に何かをするわけでもなく…。
「僕の後を継ぐのは二人だから」と言われても、松井先生の背中が大きすぎて、目標としては遠すぎてピンとこなかったのです。
その飲みの席の帰りのこと。
新逗子の駅であっちゃんが松井先生のタクシーを呼ぶ電話をかけていた時、松井先生が私に向かってこう言いました。
「なぁ、まーくん。僕らは他の人とは違うことをしようなぁ。」
他の人と違うことって何だろう?
と、その時は意味もよく分からなかったものの、その言葉がずっと心に残っていくことになります。
松井先生が言っていたことの意味が分かったのは、それから先、松井先生が亡くなった後でした。
基本的に私はいつも逃げ腰で、人の上に立つ器では無いと思っていて(今でも思いますが)、どちらかといえば信頼している人に付いていきたいタイプなのです。
私は三国志が好きなのですが、三国志の中に出てくる趙雲(ちょううん)という武将に憧れておりました。
ここで少し趙雲の有名なエピソードをお話させて下さい。
趙雲は武勇に優れた武将で劉備(りゅうび)の配下にいました。
その劉備が曹操(そうそう)軍から逃れている時のこと。
義に厚い劉備は民衆を見捨てることが出来ず、民衆と共に逃げていたのですが、曹操軍に追いつかれ、逃げ惑う民衆の中で劉備は妻子とはぐれてしまいます。
敵味方入り混じって混乱している中で、趙雲は一騎で敵の方向へ向かいます。
敵軍に向かう趙雲を見た劉備の部下は、「趙雲は殿を裏切って敵軍に下っていきました。」と報告します。
しかし劉備は「趙雲に限ってそのようなことは有り得ない。」と言うのです。
事実、趙雲が何をしに行ったかと言うと、はぐれた妻子を探しに戻っていたのです。
そして劉備の妻子を発見するのですが…。
足を怪我してしまった劉備の妻は、我が子を趙雲に預けた後、「私は足手まといになる」と言って井戸へ身投げします。
せめて託された赤子だけでも…と、曹操軍百万の中を単騎で駆け回り、見事に赤子を連れ帰り劉備に渡すと、劉備は赤子を部下に放り投げます。
命をかけて救ってきた赤子をどうして投げたのか…と趙雲が驚いていると、劉備は次のようなことを言ったそうです。
「許してくれ趙雲。おぬしが救ってくれた命を無下に扱ったわけではない。誰でも我が子は可愛いものだ。だが、それが時に目を曇らせる。お前のような臣は二度と得られるものではない。それを危うく戦死させるところだった。」
その言葉を聞いた趙雲は、「生涯、今のお言葉を忘れませぬ。」と涙しながら答えたとか。
と、そんな趙雲の姿に憧れていた私は、昔から「この人なら!」と命をかけられるくらいの人に出会えたなら、そんな素晴らしいことはないと思っていたのです。
私にとっての松井先生は、趙雲にとっての劉備のような存在でした。
趙雲が生涯、劉備が亡き後も国に忠義を尽くしたように、私には趙雲ほどの器はありませんが、松井先生の志を引き継いでいきたいという気持ちがあります。
でも、この時は、私達が後を継いで…ということは一切考えていなかったのです。
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