心の道を極めるということ(53話目)
私の師である松井先生は、何も言わなくても相手のことを見抜いてしまう眼を身に付けていた方でした。
前回もお伝えしましたが、伝えていないことまでズバッと言い当ててしまうのです。
松井先生とは講座後に飲みに連れて行って頂きましたが、じーっと私の中を見透かすような眼をする時があるのです。
「何か見られている…」と恐ろしい感じもするのですが、どれだけ偽ってもどうせバレているのだから、少しずつ自分の心を清浄にしていくしかないなぁ…と。
それは松井先生が亡くなった今も同じで、「悪いことは出来ないよなぁ」と思うのです。
松井先生と出会ったばかりの頃は、私自身のエゴに気付いていなかったので、心のどこかで「自分は凄い」と思っていたようなところがありました。
それ故に、心理学などの知識を活かしているつもりで、人に気軽にアドバイスをしていたような時期もあったのです。
心の学びに関しても、少し学びが進んで「分かったつもり」になっていた自分にも気付かず、松井先生にこんな発言をしたこともあります。
「もう悩みが無くなりました!」
今思い返すと、本当に恥ずかしい発言なのですが、それを聞いた松井先生は優しくこう返します。
「そう、それは早かったねぇ。」
松井先生は、私がまだまだなのも全てを見通した上で、そう答えて下さっていたのですよね。
心の学びの道に本当に入った人は、学べば学ぶ程、頂きが遠くなっていくものです。
昔、ある剣士が師に弟子入りを申し出て次のように尋ねます。
「剣の道というものは、どのくらい修行をすれば極められるものでしょうか?」
「それは心掛け次第だ。遊びながら掃除をするのと一生懸命するのでは、当然時間が違うだろう?そなたはどのような心掛けでやるつもりなのか。」
「それはもう懸命に修行に取り組みます。さすれば何年くらいで極められるものなのでしょうか?」
「一生懸命やるのであれば、10年くらいはかかるだろう。」
「ならば、寝食を忘れて取り組むとすれば、何年くらいになるでしょうか?」
「なに?寝食を忘れて取り組むと。それならば30年くらいはかかるだろう。」
その答えを聞いた剣士は不満に思います。
どうして取り組む覚悟が違うのに、剣の道を極めるまでの時間がかかるのかと…。
もっと早く剣の道を極めたいと思っていた剣士は、もう一つ質問を重ねます。
「それならば、命をかけて剣の道を求めるのならいかがでしょうか?」
「命をかけると。それならば一生かかるだろう。」
私は若い頃、少しの間だけ空手を学んでいたことがありました。
「一撃必殺」
という言葉はありますが、実際の試合で相手も防ぎ方を学んでいる中、一撃必殺などということは、なかなか出来るものではありません。
その一撃を決める為に、体を鍛え、フェイントを覚え…と更なる高みを目指そうとしていくものなのですよね。
人生というのは、自分一人では決して渡ることの出来ない大きな川のようなものなのかもしれません。
でも私達は少し学ぶと、渡り切ったことも無いのに、渡れるような気になってしまうものなのです。
「人生とはこういうものだ」とか「人間とはこういうものだ」と、いかにも達観したような見方をしてしまう人もおります。
ところが、実際に何か思い通りにいかないことが起きた時、感情に流されたり、何かのせい、誰かのせいにしてしまったりすることもあるのではないでしょうか。
松井先生が般若心経のことを教えられていて、その資料を私も家に持ち帰って読んだことがあるのですが、何が書いてあるのかサッパリ分からなかったのです。
その後、松井先生にこんなことを言われます。
「まーくん、あれ読めた?」
「いえ、全然読めませんでした…。」
「そうでしょう。僕も最初は全然読めなくてねぇ。」
日本語で書いてある本なのに、難解すぎて何を書いてあるのかサッパリ分からないのです。
月日が経ち改めて読んでみた時、読めるようになっていたことに気付きます。
読めなかったものが読めるようになった時、松井先生から教わったことが、また別の角度で入ってきたりして…。
同じことを学んでいても、より深い意味で捉えられるようになっていたのです。
松井先生が何気なく話していたことが、実は物凄く深いことを教えてくれていたというのも、後になってから気付いたことが沢山あるのです。
もし私が「よし分かった。」と、学びを途中で放棄してしまっていたら、浅い意味で分かったつもりになったまま終えてしまっていたのかもしれません。
ある時、松井先生に質問したことがあります。
「松井先生は心の勉強会をどこまでやるつもりなんですか?」
「どこまでやるかと言うより、どこまでみんなが付いて来られるかだけだよねぇ。」
一つの道をどこまで極めるか。
自分の弱さを知り、お粗末な見方しか出来ない自分の視野を、どれだけ広くしていくことが出来るのかは、自分自身の心がけ一つしかありません。
人生という大きな川を渡る為の船も、渡るポイントを書いた地図も、船を漕ぐためのオールも全て揃っているのです。
後は船に乗り込んで渡っていくだけなのですよね。
「分かったつもり」
自分ではなかなか気付かない妄想から離れるのは容易ではありませんが、その先にあるのは「自由な心」なのです。
生きとし生ける全てのものが幸せでありますように…。
捉われず、拘らず、偏らず、道を踏み外さないよう、しっかりと歩んでいきたいものですね♪
毎月第二日曜日は心の勉強会が開催されています。
次回は無常・無我に続いて涅槃のお話しです。
少し難しいところかもしれませんが、もしご興味があれば気軽に参加されてみて下さいね(^_-)-☆
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