魂の器（７話目）
６話目の続きです。
私とあっちゃんが逗子で松井先生がご縁のあった方だけに開催していた仏教や気功を学ぶ勉強会に何度か参加させて頂いておりました。
私は心理学を始めとして、様々なことを勉強していて、少しだけ世の中のことを知ったつもりになっていましたが…。
松井先生の勉強会に参加するようになってから、自分が何も分かっていなかったことに気付き、同時に「松井先生は物事の本質を分かっている方だなぁ」と実感するようになりました。
どうして、人知れずこんな勉強会を開催しているのだろうと思ったのですが、その理由を知るのは後になってからのことです。
勉強会に参加していた人達も、松井先生とは不思議なご縁がある方が多く…。
ある男性は私と同じように、精神的に病んでいた時期があったそうです。
松井先生は、その男性の面倒を見ていたそうなのですが、ある時、その男性が心のコントロールがつかなくなった時、「僕はこのままだと松井先生を殺してしまうかもしれません。」と言ったそうです。
普通なら、そんな話を聞いたら怖く感じてしまうかもしれませんが、松井先生はこんな風に答えたそうです。
「○○さんに殺されるなら構いませんよ。」
その言葉を聞いて、心が落ち着いてスーッと気持ちが治まったことがあったそうです。
また別の女性は、ある男性と結婚を考えていて、松井先生の元へ相談に行ったそうです。
松井先生なら応援してくれると思って相談に行ったのに、松井先生の出した答えは「反対」でした。
「どうしてダメなんですか！？こんなに好きなのに！」
と、松井先生のことを悪く言いながら、飛び出していったとのことでした。
それでも、松井先生のことを信頼していた女性は、感情が落ち着いてから冷静になって考えてみたそうです。
詳細は省きますが、松井先生の言うことも最もだと思い、結婚は断念したらしいのです。
それから少し経った時、また別の人を好きになり結婚を考えていたそうです。
ところが、今度は両親に反対されたらしいのです。
何故なら、相手が売れない芸術家だったから。
親の気持ちとしては安定した収入のある人と結婚してもらいたい。
今度はご両親が松井先生の元へ見えたそうなのですね。
「松井先生、何とか娘の結婚を諦めさせてやってもらえませんか？」
そう言われた松井先生は、「それならお相手の男性を連れてきて下さい。」と答えたそうです。
後日、その女性がお付き合いしている男性と二人で、松井先生の元を訪れたとのこと。
その男性を見て、松井先生は結婚を勧めたそうなのです。
それを聞いた両親が、今度は怒ってしまったそうです。
「どうして反対してくれなかったのですか？」
「なんで安定した仕事をしていた前の男性はダメで、収入も不安定な今度の男性がOKなのですか？」
そう問われた松井先生は、次のように答えたそうです。
「魂の器が違います。」
二人が結婚をした後も、最初はご両親も不満を持っていたそうです。
ところが、結婚してみたら、その男性がとても心持ちの良い人間だということが分かったらしいのですね。
実の両親のように接してくれて、とても優しく温かい心を持った男性だったことが分かり、後に松井先生にこう伝えたそうです。
「松井先生、良いお相手との結婚を勧めて下さってありがとうございました。」
私も、そのご夫婦と一緒に勉強会に参加していたので、とても温かい雰囲気を持ったお二人だということは感じておりました。
そんなお話を色々と聞いていると、どうやら松井先生は神様と通ずることが出来て、人のことを見抜けたり、先々のことが分かったりするらしいのです。
松井先生は、それを生業としているわけでもなく、ご縁のあった方だけが知っていて、実際に言われた通りになるので、多くの方から信頼を得ていたようです。
本当に不思議なおじいちゃんだなぁ…と思いながら、参加されている方々の実話を聞いておりました。
それから少し経ち…。
2011年3月11日、東日本大震災が発生します。
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