イングランドには、もともと土着のケルト人がいた。ドイツ系のサクソン人が流入し、さらフランスからノルマン人が入ってきて、ノルマン人がサクソン人を圧迫する情勢となる。

上記のうち「ゴダイヴァ夫人」は他の作品より時代設定が古い。ゴダイヴァ夫人は実在の人物である。

「ロビンフッドの冒険」と「黒騎士:アイヴァンホー」に登場するリチャード一世=リチャード獅子心王も実在の人物で、十字軍の帰路、オーストリアで捕らわれて、その間弟のジョン王子がイングランドの権力を握る話になっているが、実話である。

「黒騎士」にもロビンフッドが登場する。

「黒いバラ」はノルマン人とサクソン人の対立が背景にあるが、ストーリー自体は中国に旅をするもので、イングランドの場面は少ない。

これらの作品では当時の一流俳優が出演している。私としてもこれらを推薦する。
 


(1938)ロビンフッドの冒険/The Adventures of Robin Hood


出演はエロール・フリンオリヴィア・デ・ハヴィランドなど。

リチャード一世=リチャード獅子心王の留守の間に弟のジョン王子(クロード・レインズ)が権力を握ってサクソン人を弾圧した。ロビンたちは、それに対抗する。

ジョンの手下ガイ・オブ・ギスボーン(ベイジル・ラスボーン)がマリアン姫(オリヴィア・デ・ハヴィランド)と一緒に森を通った時に、ロビンたちはガイの財を奪い民衆に分配する。

マリアンはロビンたちを単なる盗賊だと思っていたのだが、この事件でロビンたちを少し理解する。

ジョンとロビンたちの対立は先鋭化する。ジョンとガイはロビンを捕らえるために偽装の弓術大会を開く。ロビンは出場して捕らえられた。

ロビンは仲間たちに救出される。この時にはマリアンも協力する。

一方、密かにリチャード一世が帰国した。しかしこの情報を掴んだジョンは、刺客を送り、また即位式を急ぐ。

マリアンはこの情報をロビンに知らせようとするが捕らえられ、代わりにマリアンの侍女がロビンたちに知らせる。

リチャードとロビンたちは、即位式に潜入して、ジョンと対決する。
 


(1950)黒いバラ/The Black Rose

出演はタイロン・パワー、オーソン・ウェルズなど。

サクソン人のウォルター・オブ・ガーニー(タイロン・パワー)とトリストラム・グリフェンはノルマン人とサクソン人の対立が続くイングランドから中国に向かう隊商に加わった。

隊商の中にはイングランドの女性マリヤムがいた。

ウォルターは隊長のバヤン(オーソン・ウェルズ)の命令で一人中国に向かった。苦労の末に中国に到着したが、そこでトリストラムとマリヤムに再会した。

ウォルターは中国の技術や文化を学んだ。三人は中国を脱出してイングランドに行こうとした。

トリストラムは死亡し、マリヤムとは離れ離れになってしまった。

またまた苦労してイングランドに戻ったが、バヤンの使いとして戻ってきたマリヤムと再会した。
 


(1952)黒騎士:アイヴァンホー:サクソンとノルマンの対立/Ivanhoe

出演はロバート・テイラージョーン・フォンテイン、エリザベス・テイラーなど。

ノルマン人とサクソン人が対立するイングランド。ノルマン人のリチャード獅子心王は十字軍の帰途、オーストリアで捕えられた。

その間ジョン王子がイングランドを支配し悪政を行った。アイヴァンホー(ロバート・テイラー)はサクソン人ではあるがリチャード王を助けようとする。

アイヴァンホーは父親のセドリックのところに戻り、恋人のロウィーナ姫(ジョーン・フォンテイン)と再開したが、セドリックがリチャード王の件に積極的でないために立ち去った。

アイヴァンホーは馬上槍試合に出場して四人まではノルマン人の騎士に勝利したが、五番目の勝負の時に負傷した。

負傷したアイヴァンホーをロウィーナやユダヤ人の父娘アイザックとレベッカ(エリザベス・テイラー)が助けた。

この後、アイヴァンホー、ロウィーナ、アイザック、レベッカなどが捕らえられる。

これを見てロビンフッドと仲間が立ち上がり城を攻めた。城の中でもアイヴァンホーが戦った。

レベッカが人質として捕らえられたが、アイヴァンホーとノルマン人の騎士ド・ボワ=ギルバートが試合を行い、アイヴァンホーが勝利した。

このタイミングでリチャード王が帰還し、ジョンの悪政を正した。
 


(1955)ゴダイヴァ夫人/Lady Godiva of Coventry

出演はモーリン・オハラなど。本作は彼女の出演作の中で一番に推薦するものである。

ゴダイヴァ夫人はイングランドの伯爵夫人で、後に自身も伯爵となった。チョコレートのブランドになっているのもご存じだろう。

彼女には「夫の悪政を批判して、裸で馬に乗り町を回った」という伝説があるが、これは事実ではないことが判明している。

本作では違う伝説ともストーリーになっている。

エドワード王(エドゥアルド・フランツ)はノルマン人とサクソン人の混血で、両者の融和を望んでいる。

だがノルマン人がサクソン人を迫害する状況が続いている。その原因の一つはノルマン人のゴドウィン伯爵である。

サクソン人のレオフリック伯爵は同じくサクソン人のゴダイヴァと結婚した。

ゴダイヴァは、目の前にある不正を許さない人物で、この点においてレオフリック伯爵には見通しの甘さがあった。

二人はいろいろなことで対立したが、レオフリック伯爵は次第にゴダイヴァのことを理解した。

ゴダイヴァはサクソン人の抵抗運動を支援し始めた。だがゴドウィン伯爵に追われ、女子修道院に逃げ込む事態となった。修道院は治外法権なので安全である。

それに目覚めたのかレオフリック伯爵も配下の部隊を使ってサクソン人を支援したのだが負傷した。

この事態になってゴダイヴァは修道院から出て来て、二人は捕らえられ裁判となる。

二人とも自分の正義を正々堂々と主張した。エドワード王も彼らに理解を示すが、ゴドウィン伯爵の陰謀で、ゴダイヴァは裸で馬に乗って町を歩くことになる。

その後、ゴドウィン伯爵はクーデターを起こしたが、レオフリック伯爵の活躍で捕らえられて、エドワード王によってフランスに追放された。
 


■ 出演作

◆ エリザベス・テイラー
(1943)名犬ラッシー 家路/Lassie Come Home
(1949)陽の当たる場所/A Place in the Sun
(1954)雨の朝パリに死す/The Last Time I saw Paris
(1949)夫はスパイだった/Conspirator
(1952)黒騎士:アイヴァンホー:サクソンとノルマンの対立/Ivanhoe

ロバート・テイラー
(1940)哀愁/Waterloo Bridge
(1951)クォ・ヴァディス/Quo Vadis
(1954)王家の谷/Valley of the Kings
(1946)底流/Undercurrent
(1947)高い壁/High Wall
(1949)夫はスパイだった/Conspirator
(1958)暗黒街の女:マフィアと弁護士とダンサー/Party Girl
(1944)ロシアの歌:指揮者とピアニスト/Song of Russia
(1952)黒騎士:アイヴァンホー:サクソンとノルマンの対立/Ivanhoe

タイロン・パワー
(1939)地獄への道/Jesse James
(1941)血と砂、闘牛士の最後/Blood and Sand
(1947)悪魔の往く町/Nightmare alley
(1953)ミシシッピーの賭博師/The Mississippi Gambler
(1947)征服への道/Captain from Casile
(1951)狙われた駅馬車/Rawhide
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1946)剃刀の刃/THE RAZOR'S EDGE
(1940)約束の地を目指せ/Brigham Young
(1942)ベンジャミンの復讐
(1951)私はあなたを忘れない/二つの世界に住む男/The House in the Square/I'll Never Forget You/Man of Two Worlds
(1948)幸福の森、アイルランドの妖精/The Luck of the Irish
(1942)純愛の誓い/ This Above All
(1940)怪傑ゾロ
(1949)チェーザレ・ボルジアの陰謀/Prince of Foxes
(1950)黒いバラ/The Black Rose

ジョーン・フォンテイン
(1940)レベッカ/Rebecca
(1941)断崖/Suspicion
(1944)ジェーン・エア/Jane Eyre
(1950)旅愁/September Affair
(1951)生まれながらの悪女/Born to Be Bad
(1961)地球の危機/Voyage to the Bottom of the Sea
(1953)二重結婚者/The Bigamist
(1948)忘れじの面影/Letter from an Unknown Woman
(1944)情炎の海/Frenchman's Creek
(1957)日の当たる島/Island in the Sun
(1953)デカメロン夜話(海賊パガニノ、道徳の賭け、医師の娘)/Decameron Nights
(1948)不時着結婚/u Gotta Stay Happy
<1974)アイヴィー、三股浮気女の殺人計画/Ivy
(1953)熱砂の大脱走/Flight to Tangier
(1942)純愛の誓い/ This Above All
(1957)出征するまで/Until They Sail
(1952)黒騎士:アイヴァンホー:サクソンとノルマンの対立/Ivanhoe
(1938)金持ち息子との押し付け結婚を嫌ったシーラは牛乳配達とラヴラヴに

エロール・フリン
(1950)海賊ブラッドの逆襲/FORTUNES OF CAPTAIN BLOOD
(1936)進め龍騎兵/The Charge of the Light Brigade
(1938)ロビンフッドの冒険/The Adventures of Robin Hood
(1938)結婚スクラム/Four's a Crowd
(1939)無法者の群/Dodge City
(1939)女王エリザベス/The Private Lives of Elizabeth and Essex
(1940)カンザス騎兵隊/Santa Fe Trail
(1941)壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On
(1940)シー・ホーク/The Sea Hawk
(1946)愛をもう一度/Never say good bye
(1952)すべての旗に背いて/Against All Flags
(1947)恐怖の叫び/Cry Wolf
(1947)逃げちゃ嫌よ:二人の作曲家と二人の女性/Escape Me Never

モーリン・オハラ
(1941)わが谷は緑なりき/How Green Was My Valley
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1963)/マクリントック/McLintock
(1952)すべての旗に背いて/Against All Flags
(1945)海賊バラクーダ/THE SPANISH MAIN
(1947)船乗りシンバッドの冒険/Sinbad the Sailor
(1947)三十四丁目の奇跡(奇蹟)/Miracle on 34th Street
(1939)ノートルダムのせむし男/The Hunchback of Notre Dame
(1949)恋に踊る/Dance, Girl, Dance
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1954)マラガ/Malaga
(1939)巌窟の野獣/Jamaica Inn
(1946)センチメンタル・ジャーニー/Sentimental Journey
(1955)ゴダイヴァ夫人/Lady Godiva of Coventry
(1952)カンガルー/Kangaroo
(1949)禁じられた街/Forbidden Street/Britannia Mews
(1961)荒野のガンマン/The Deadly Companions
(1956)陰謀のリスボン/Lisbon
(1998)タクシーでカナダへ/Cab to Canada
(1949)女の秘密/A WOMAN'S SECRET
(1947)ホームストレッチ、美女の迷いと競馬/The Homestretch
(1951)激闘の大砂漠:野生の黒馬/FLAME OF ARABY
(1948)愉快な家族/Sitting Pretty

オリヴィア・デ・ハヴィランド
(1935)海賊ブラッド/Captain Blood
(1936)進め龍騎兵/The Charge of the Light Brigade
(1937)恋愛合戦/It's Love I'm After
(1938)ロビンフッドの冒険/The Adventures of Robin Hood
(1938)結婚スクラム/Four's a Crowd
(1938)黄金の罠/Gold Is Where You Find It
(1939)無法者の群/Dodge City
(1939)太平洋の翼/海の荒鷲/Wings of the Navy
(1939)女王エリザベス/The Private Lives of Elizabeth and Essex
(1939)風と共に去りぬ/Gone with the Wind
(1940)カンザス騎兵隊/Santa Fe Trail
(1941)いちごブロンド/The Strawberry Blonde
(1941)壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On
(1943)カナリア姫/PRINCESS O'ROURKE
(1946)遥かなる我が子/To Each His Own
(1946)暗い鏡/The Dark Mirror
(1948)蛇の穴/The Snake Pit
(1952)謎の佳人レイチェル/My Cousin Rachel
(1958)誇り高き反逆者/The Proud Rebel
(1964)不意打ち/Lady in a Cage
ふるえて眠れ/Hush… Hush, Sweet Charlotte(1964)
(1977)エアポート'77/バミューダからの脱出/Airport '77
(1943)陽気な女秘書/Goverment Girl
(1949)女相続人/The Heiress
(1955)見知らぬ人でなく/Not as a Stranger
(1936)風雲児アドヴァース/Anthony Adverse
 


(1955)ゴダイヴァ夫人/Lady Godiva of Coventry

(1952)黒騎士:アイヴァンホー:サクソンとノルマンの対立/Ivanhoe

(1950)黒いバラ/The Black Rose

(1938)ロビンフッドの冒険/The Adventures of Robin Hood