■ Quo Vadis
軍人のマーカスはガリアから帰還した。リジアに恋をした。しかしリジアは禁制のキリスト教徒であった。
ネロは新首都を作ろうとローマ市内に放火した。それをキリスト教徒がやったことにした。
キリスト教に対する大弾圧が行われた。その過程でマーカスは改宗した。
マーカスやリジアは闘技場で殺されそうになったが助けられた。
マーカスは「大火はネロの仕業」と訴えて、ローマ市民が立ち上がった。


製作年:1951、監督:マーヴィン・ルロイ、脚本:ジョン・リー・メイヒン、S・N・バーマン、ソニア・レヴィン、原作:ヘンリク・シェンキェヴィチ


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)
 マーカス・ヴィニシウス(ロバート・テイラー)
 ネロ(ピーター・ユスティノフ) 皇帝
 ポッペア・サビナ(パトリシア・ラファン) ネロの(二番目の)妻
 リジア(デボラ・カー) 王女、実はキリスト教徒
 ペトロニウス(レオ・ゲン) マーカスのオジ、裁判官
 Pomponia(Nora Swinburne) ペトロニウスの妻
 ペトロ(フィンレイ・カリー) イエスの弟子
 ウルスス(バディ・ベア) リジアの護衛
 アクテ(Rosalie Crutchley) ネロの愛人

◆ 補足

本作はローマ皇帝のネロの時代のキリスト教弾圧を描いたもの。一世紀半ば。

「Quo Vadis」はラテン語で「あなたはどこへ行くのか?」と言う意味。ペテロが弾圧に耐えかねて、ローマから離れて行こうとしている。するとイエスの霊が現れて、この言葉をかける。ペテロは反省してローマに戻る。その後、イエスと同じように、ただし逆さまに十字架に磔にされた。

ラテン語は元はローマ地方の方言だが、ローマ帝国の勢力拡大に伴って各地に広がり、ヨーロッパの共通語となった。

 

ネロのキャラクタは、精神的に不安定、世間知らずで、他人の意見に惑わされやすいキャラクタとして描かれている。ネロをコントロールしているのは、妻のポッペア。

ポッペアは実はマーカスを好きで、マーカスにちょっかいを出してくる。
 


■ あらすじ

◆ マーカスは帰還した

ローマ帝国、一世紀、皇帝ネロの世。マーカス・ヴィニシウス将は、三年に渡るガリアへの遠征を追えてローマに帰還した。

戻って来た宮廷では、ネロは詩作と放蕩に耽っており、政治には無関心であった。

宮廷を支配しているのは、ネロの妻のポッペアであった。

◆ マーカスはリジアを好きになった

マーカスは王女のリジアを好きになった。ネロに願い出て許可を得たが、リジアは拒否して姿を消した。

マーカスは占い師を頼ってリジアの行方を捜した。

その結果、リジアは禁制のキリスト教を信じていることが判明した。

◆ マーカスはキリスト教の集会に潜入した

マーカスはキリスト教の集会に潜入した。そこではイエスの弟子のペテロが集会を主催していた。

そこにいたリジアを連れ戻そうとしたが、リジアの護衛のウルススに深い傷を負わされた。

リジアはマーカスを看病した。その過程でリジアにもマーカスへの愛情が生まれた。

しかしマーカスはキリスト教を受け入れること手ができず、二人は離別した。

◆ ネロはローマに放火した

ネロは「ネロポリス」という新しい首都を建設することを目的にして、ローマ市内への放火を指示した。

予想に反してローマは大火に見舞われ灰燼に帰した。もちろん民衆はネロの仕業とは知らないのだが、大きな不満がたまった。

これを見てホッペアは「キリスト教徒が放火したことにすればよい」と囁いた。

キリスト教徒に対する厳しい弾圧が始まった。

◆ マーカスは捕らえられた

この事態にいたってマーカスはリジアを救い出そうとする。

しかしポッペアの奸計にかかって、ネロの親衛隊に捕らえられた。

一方、ペトロニウスは、放火と弾圧に抗議して自殺した。

◆ ペトロはローマに戻った

使徒のペテロは弾圧を避けて、ローマから逃れていた。

しかし途中で、「クォ・ヴァディス/Quo Vadis/どこへ行くのか?」と言うイエスの声を聞いた。イエスは「あなたがローマから逃れるならば、私がもう一度十字架にかかる」という。

この言葉に目覚めたペテロはローマへと引き返した。

ペテロはローマに戻って奮闘したが、ネロの親衛隊に捕らえられた。

◆ マーカスとリジアは結婚した

獄中にいたたマーカスは改宗を決意し、同じく捕らえられているリジアとペテロの祝福を受けて結婚した。

◆ ペテロは磔にされた

捕らえられたキリスト教徒たちは闘技場に集められて、ライオンの餌食にされた。

ペテロは十字架に磔にされた。ただしペテロはイエスと同じように磔されるのは恐れ多いと、逆さ磔を希望した。

キリスト教徒が、死を目前にしても敢然と恐れを見せないことに、見物していたローマ市民は驚嘆した。

このようなことにより、ローマ市民はネロへの疑いを疑いを深めた。

◆ リジアが処刑されそうになる

マーカスとリジアとリジアの護衛のウルススは親衛隊に捕らえられていた。

リジアとウルススは、闘技場の中に連れ出されて、猛牛をけしかけられた。

猛牛が二人に襲い掛かる。しかしウルススは敢然と猛牛と戦い、苦闘の末に猛牛を打ち倒した。

キリスト教徒への残虐な処刑を楽しみに来ていたはずの観客は、それを見て感動の声を上げネロを批判する。その流れが闘技場全体を覆った。

兵士たちは二つに分裂し戦った。

◆ ネロは自殺した

マーカスはネロを告発した。またガルバ将軍がローマに進軍して、皇帝として即位することになった。

ローマ市民は一斉に蜂起した。

この事態となってネロは妻のホッペアを絞殺したが、今はキリスト教徒となっている愛人のアクテより「最後は皇帝らしく」と言われて、渡された短剣で自殺した。

◆ シチリアへ旅立つ

マーカス、リジア、ウルススなどは、シチリアへ旅立った。