孤児のジェーンはオバの家と寄宿学校で育った。いずれも過酷な生活であった。
ジェーンは家庭教師の仕事を見つけた。対象の子供は問題なかったが、主人のエドワードは人に言えない悩みを隠しているようだった。
また屋敷の中で、奇怪な女性の声が聞こえた。エドワードはブランシェという女性と結婚するはずであったが、ブランシェは立ち去った。
エドワードとジェーンは結婚することになったが、ここでエドワードに妻がいることが判明した。
製作年:1944、監督:Robert Stevenson、脚本:John Houseman、Aldous Huxley、Robert Stevenson、原作:Jane Eyre(Charlotte Bronte)
■ はじめに
◆ 登場人物
ジェーン・エア(ペギー・アン・ガーナー→ジョーン・フォンテイン) 主人公
リード夫人(アグネス・ムーアヘッド) 伯母
ベッシー(サラ・オールグッド) メイド
ブルックルハースト校長(ヘンリー・ダニエル)
ヘレン・バーンズ(エリザベス・テイラー)
リヴァース医師(ジョン・サットン)
エドワード・ロチェスター(オーソン・ウェルズ)
アデール・ヴァーランス(マーガレット・オブライエン)
フェアファックス夫人(Edith Barrett)
グレイス・プール(Ethel Griffies)
ブランシェ・イングラム(Hillary Brooke)
リチャード・メイソン(John Abbott)
バーサ・アントニエッタ・メイソン(-)
◆ 補足
シャーロット・ブロンテの名作小説の映画化。木原武一は「社会経験のほとんどないブロンテ姉妹がなぜあのような小説をかけたのだろうか?」(孤独の研究)と評している。
ローウッド学園を出て行く前と後でわりとジェーンのキャラクタが違う。むしろグッド。
主人公役はジョーン・フォンテインだが、エリザベス・テイラーまで出演して豪華キャスト。
本作は27回も映画化されているらしい。本当にそうなのかは分からないが、非常に多いことは確かである。でもジョーン・フォンテイン出演の1944年版が一番有名ではなかろうか?
私がざっと思い出して、映画化回数が多いのは「郵便配達は二度ベルを鳴らす」「ジキル博士とハイド氏」などだが、これらはそんな回数は映画化されていない。
■ あらすじ
◆ ジェーン・エアは孤児
10歳のジェーン・エアは孤児で、オバのリード夫人に預けられた。
リード夫人はジェーンに愛情をかけるような人物ではなく、常に厳しくジェーンに接した。
そのためかジェーンはわりと反抗的な子供だった。
メイドのベッシーはジェーンに優しく接したが、所詮リード夫人に雇われている身分なので、できることは限られていた。
◆ ローウッド学園へ
ある日、ジェーンは屋敷を出て、ローウッド学園という全寮制の学校に行くように言われた。
ジェーンは、この屋敷から出られると思うと有頂天となった。
屋敷の門のところで、大声でリード夫人に対する文句を並べて出て行った。
◆ 入学した学園も厳しかった
しかしローウッド学園も過酷なところであった。ブルックルハースト校長が無意味・過酷なルールを強制し、少女たちは、それに従わされていた。
ジェーンは最初の日にストゥールの上に立たされた。みんなが去った後ヘレンという少女が来た。
ヘレンはジェーンを慰めてジェーンとヘレンは仲良しになった。
ヘレンは生まれつき髪がカールしていたが、それが校則違反とのことで強制的にカットされた。
ジェーンが抗議したところ、二人は大雨が降る中、学園の庭を歩かされた。
結果ヘレンは肺炎になり死亡した。ジェーンは埋葬されたヘレンの墓にしがみついて離れなかった。
◆ ジェーンは我慢して努力した
学園に通いで来ているリヴァース医師は、少女たちに理解ある態度であった。
相変わらず反抗的なジェーンに対して、リヴァース医師は「反抗的な態度は何も生まず、今は一生懸命に勉強すべき」と諭した。
以降ジェーンは反抗的な態度を改めて、一生懸命に勉強し、模範生徒となった。
◆ ジェーンは学園を出て行った
10年が経った。ジェーンは20歳になり、ブルックルハースト校長校長から学園の教師になるように指示された。
校長からすれば、安い給料で教師を雇えるというメリットもあった。
しかしジェーンはきっぱりと断った。先にこっそりと新聞広告を出して家庭教師の職を探していた。
ジェーンは学園を去った。
◆ ソーンフィールドに来た
仕事はアデールという少女の家庭教師である。馬車で町にでて、さらに馬車に乗って目的地に向かった。ソーンフィールド。
原野の中に孤立している複数の建物が連結した巨大な屋敷である。
フェアファックス夫人が出迎えた。屋敷には夫人の他にも数人の使用人がいたが、夫人も使用人で主人は旅にでているとのこと。
アデールはよく喋る少女で、問題はなさそうだった。
フェアファックス夫人によると、主人のエドワード・ロチェスターは、いつもどこかに出かけており、突然前触れなく帰宅するとのことであった。
◆ エドワードが戻って来た
ある日ジェーンが荒野にいると、馬に乗り猟犬をつれた男性が通りかかった。
進路が交錯し男性が落馬した。「道を塞ぐな」と言われた。
屋敷に戻ると先ほどの男性がいた。主人のエドワードであった。
エドワードは傍若無人な態度を取ったが、その奥には表現不可能な悩みが隠されているようであった。
◆ 火事が発生した
夜、ジェーンが寝ていると女性の不気味な笑い声が響いた。
次にエドワードの部屋から火が出ているのを発見した。ジェーンは慌てて駆けつけて、まだ寝ていたエドワードを起こした。
二人で消火して事なきを得た。
その後エドワードは「何も質問するな」と警告して、ジェーンを別棟に案内した。
そこにはグレイス・プールという女性がいた。何かの作業をしているようであったが、グレイスについての質問は封じられた。
翌朝、エドワードは屋敷を立ち去った。フェアファックス夫人は「またいつ戻ってくるのかは分からない」と言った。
◆ ブランシェ・イングラムが来た。
冬が過ぎ春が来た。エドワードから連絡があり、エドワードと多数の来客が到着した。
臨時に何人もの使用人が雇われて準備がなされた。
来客の中にブランシェ・イングラムがいた。なんとエドワードとブランシェは結婚するとのことである。
エドワードはジェーンに対して、それを肯定した。しかしブランシェは、露骨に嫌味な人物でみんなの前でジェーンを嘲笑った。
またエドワードもブランシェが金を目当てに自分に近づいていることを知っていた。
すでにエドワードに惹かれていたジェーンは悲しんだ。
◆ 激しい叫び声
リチャード・メイソンという人物が到着した。
その夜、激しい女性の叫び声が聞こえた。ジェーンは部屋を飛び出した。
エドワードはジェーンを連れてその場所に向かった。
メイソンが倒れていた。ジェーンはベッドの上でメイソンを落ち着かせるようにした。
その部屋のあるドアはこちら側から閂が掛けられており、向こう側からドアが激しくたたかれた。
エドワードは「このことは誰にも言うな」と指示した。
その後、メイソンは医者に連れていかれた。
◆ エドワードは結婚していた
その後、エドワードとブランシェと喧嘩し、ブランシェは立ち去った。
必然的な展開としてエドワードはジェーンにプロポーズした。
そして結婚式が行われようとした。しかしその場にメイソンが現れて「エドワードにはバーサ・アントニエッタ・メイソンと言う妻がいる」と主張した。
エドワードはジェーンを前にメイソンが倒れた部屋に連れて行った。例のドアの閂が外された。
中からは気が狂った女性が現れた。ジェーンは、奇怪な叫び声の主を確認した。
ジェーンはエドワードとは結婚できず、エドワードはジェーンに職を紹介しようとするが、ジェーンはそれを蹴って立ち去った。
◆ バーサは死亡した
ジェーンが去った後バーサは逃げ出した。屋敷に火を放った。
フェアファックス夫人はアデールを救った。一方、エドワードはバーサを助けようとしたが、バーサは焼死し、エドワードも火傷を負った。
◆ ジェーンはゲーツヘッドに戻った
ジェーンは、エドワードの紹介を断ったものの、行くところはなく金を使い果たして、ゲーツヘッドのリード夫人の屋敷に戻った。
リード夫人は脳卒中で寝たきりとなっていた。しばらくしてリード夫人は死亡した。
リヴァース医師が訪ねてきた。エドワードがジェーンの行方を捜しており、ローウッド学園に使いがきたとのこと。
ジェーンはソーンフィールドへ向かった。
◆ エドワードと結婚した
ジェーンが訪れると、フェアファックス夫人やアデールが迎えた。
エドワードは杖をついており、目がほとんど見えなかった。
しかし二人の間の障害はなくなっていた。
二人は結婚した。そしてエドワードの目も徐々に回復した。
■ 出演作
◆ アグネス・ムーアヘッド
(1944)ジェーン・エア/Jane Eyre
(1945)夢のひととき/Her Highness and the Bellboy
(1948)/白衣の女/THE WOMAN IN WHITE
(1948)拳銃往来/Station West
(1950)女囚の掟/Caged
(1951)ショウ・ボート/Show Boat
(1964)ふるえて眠れ/Hush...Hush, Sweet Charlotte
(1951)14時間の恐怖/Fourteen Hours
(1959)バット:飛んでいくと誰かが死ぬ/The Bat
(1945)陸軍の美人トリオ/Keep Your Powder Dry
(1953)シアトルから来た四人姉妹/Those Redheads from Seattle/
◆ オーソン・ウェルズ
(1943)恐怖への旅/Journey into Fear
(1947)上海から来た女/THE LADY FROM SHANGHAI
(1944)ジェーン・エア/Jane Eyre
(1953)黒魔術/Black Magic
(1946)離愁:永遠の明日/Tomorrow Is Forever
(1949)チェーザレ・ボルジアの陰謀/Prince of Foxes
(1950)黒いバラ/The Black Rose
(1958)黒い罠:凄腕の警部/Touch of Evil
(1946)不審者:ナチス逃亡犯の追跡/The Stranger
◆ ジョーン・フォンテイン
(1940)レベッカ/Rebecca
(1941)断崖/Suspicion
(1944)ジェーン・エア/Jane Eyre
(1950)旅愁/September Affair
(1951)生まれながらの悪女/Born to Be Bad
(1961)地球の危機/Voyage to the Bottom of the Sea
(1953)二重結婚者/The Bigamist
(1948)忘れじの面影/Letter from an Unknown Woman
(1944)情炎の海/Frenchman's Creek
(1957)日の当たる島/Island in the Sun
(1953)デカメロン夜話(海賊パガニノ、道徳の賭け、医師の娘)/Decameron Nights
(1948)不時着結婚/u Gotta Stay Happy
<1974)アイヴィー、三股浮気女の殺人計画/Ivy
(1953)熱砂の大脱走/Flight to Tangier
(1942)純愛の誓い/ This Above All
(1957)出征するまで/Until They Sail
(1952)黒騎士:アイヴァンホー:サクソンとノルマンの対立/Ivanhoe
(1938)金持ち息子との押し付け結婚を嫌ったシーラは牛乳配達とラヴラヴに
(1945)スーザンの選択/The Affairs of Susan
(1958)ある微笑/A Certain Smile