■ Ivy
アイヴィーと夫のジャーヴィスの家計はひっ迫していた。それは主にアイヴィーの浪費癖が原因。
しかしアイヴィーは反省する気はさらさらない。おまけに浮気をしている。
アイヴィーはジャーヴィスを殺害して、それを浮気相手のロジャーの仕業に見せかけようとした。
製作年:1947、監督:Sam Wood、脚本:Marie Belloc Lowndes、Charles Bennett、原作:The Story of Ivy(Marie Belloc Lowndes)
■ はじめに
登場人物
アイヴィー・レクストン(ジョーン・フォンテイン)
ジャーヴィス・レクストン(リチャード・ネイ)
エミリー(ロザリンド・アイヴァン) レクストン家のメイド
フローラ(リリアン・フォンテイン) アイヴィの母親、別居
ロジャー・グレトレックス(パトリック・ノウルズ) アイヴィーの愛人、医師
マーサ・ハントレイ(Sara Allgood) ロジャーのメイド
グレトレックス夫人(ルシル・ワトソン) ロジャーの母親、別居
マイルズ・ラッシュワース(ハーバート・マーシャル)
ベラ・クレイル(モリー・ラモント) マイルズの恋人
ランチェスター医師(ラムスデン・ヘイア) ジャーヴィスの主治医
バーウィック医師(ポール・キャヴァナー) レクストンのアパートの医師
オーピントン警部(セドリック・ハードウィック)
判事(ヘンリー・スティーヴンソン)
マチルダ・スローン(？) 占い師
リリアン・フォンテインはジョーン(とオリヴィア・デ・ハヴィランド)の母親。
ジョーン・フォンテインが悪女となって大活躍。アイヴィーは浮気していて夫の他に愛人が二人。邪魔になった夫を殺害するが、一人の愛人の仕業に見せかけた。そしてもう一人の愛人と結婚しようとする。
アイヴィーは主観的には悪女ではなく、単に自分の望みを達成したいだけの無邪気な女性。
■ あらすじ
◆ 占い師を訪ねる
アイヴィーは占い師のマチルダ・スローンを訪ねた。
マチルダは名前を聞かないでアイヴィーの素性を知っていた。
アイヴィーは自分の今後のことを相談に来た。マチルダは「一人と縁を切りなさい」とアドヴァイスした。「夫のことなの？」「いや、もう一人の方」。
その後マチルダはアイヴィーの運が上向くようなことを言って励ます。
アイヴィーが立ち去った後、マチルダは助手とアイヴィーについて「いったんは成功するが、その後が....」という話をする。
◆ 英仏横断飛行
イギリスとフランスの両岸で英仏横断飛行の競技が行われている。アイヴィーとジャービスも見学に来ている。
競技にマイルズ・ラッシュワースという男性が参加している。彼の恋人のベラ・クレイルがそばにいる。
フランス側から飛行機が飛んできて勝負が決した。その後はバーティとなる。
アイヴィーはマイルズと話して知り合いとなった。
◆ パーティ
アイヴィーとジャーヴィスはあるバーティに出かけた。偶然のことだがマイルズを見かけた。アイヴィーはジャーヴィスに「彼を連れて来て」と命令した。
ジャーヴィスが離れるとアイヴィーの背後にロジャー・グレトレックスが現れた。アイヴィーの愛人である。ロジャーは「俺のことはどうなんだ？」みたいな話をする。
アイヴィーはマイルズと話して失業中のジャーヴィスの仕事をお願いした。
◆ レクストン家の状況
実はレクストン家の家計が苦しい。今はジャーヴィスが失業中であることでもあるが、それ以前からの問題である。アイヴィーの浪費癖が原因。
アイヴィーは派手好きで金を使いすぎる。アイヴィーもそれを認識しているのだが、歯止めが聞かない。金がなくても借金して何かを買ってしまう。
アイヴィーは、この件でジャーヴィスに謝る。しかし実はアイヴィーの謝罪は口先だけである。まったく反省していない。
マイルズから手紙が届いた。先日お願いしていたジャーヴィスの仕事の件だが、マイルズがジャーヴィスを雇うとのこと。
◆ ジャーヴィスに毒物
さてアイヴィーはいよいよ計画を実行することにした。夫ジャーヴィスの殺害。
ロジャーは医師である。仕事の都合で毒薬も扱っている。ロジャーの敷地には自宅の他に別棟の診療室がある。
アイヴィーはロジャーの家を訪ねた後、帰るふりをして診療室に入った。そこから毒薬のビンを取り出して、自分のポーチの中に用意して来た容器に入れた。
その時にロジャーのメイドのマーサ・ハントレイに会った。
アイヴィーは、毒薬を飲み物に混ぜてジャーヴィスに与えた。何度か繰り返した。
ジャーヴィスは寝たきりとなった。
◆ ジャーヴィスが死亡した
アイヴィーはジャーヴィスの状態を話さずに(→これが重要)、ロジャーにレクストン家に行くように仕向けた。ロジャーへはジャーヴィスを診た。
一方、メイドのエミリーはジャーヴィスの状態を見てジャーヴィスの主治医のランチェスター医師に連絡した。
到着したランチェスターはロジャーに会って「自分が主治医だ。勝手なことをしてもらっては困る」と話した。これでロジャーがレクストン家に来たことが目撃された。
その後にジャーヴィスの状態が悪化したので、エミリーは同じアパートのバーウィック医師を呼んだ。
ジャーヴィスは死亡した。バーウィックは死亡を確認して検視を依頼した。
◆ オーピントン警部への証言
警察の捜査が行われた。オーピントン警部はすでにアイヴィーとロジャーのことを疑っている。
アイヴィーはロジャーとのことを尋問されて次のように答えた。
「(ロジャー・)グレトレックスには特別な感情を抱いているか？」→最初は否定、しかし再度の質問で「特別な感情を持っている」と応答。
「グレトレックスと二人きりであったことがあるか？」→「会ったことがある」。
「グレトレックスの家に行ったことがあるか？」→「行ったことがある」。
◆ ロジャーへ工作
アイヴィーはロジャーに会ってオーピントン警部に聞かれたことを報告した。
「グレトレックスには特別な感情を抱いているか？」→「特別な感情はまったく持っていない」。
「グレトレックスと二人きりであったことがあるか？」→「会ったことはない」。
「グレトレックスの家に行ったことがあるか？」→「行ったことはない」。
上記のように、まったく逆のことを報告し、警察に聞かれたら口裏を合わせるように言った。
オーピントン警部に同様のことを聞かれたロジャーは、アイヴィーに示唆されたように答えた。アイヴィーと言うことが違うので、ロジャーは疑われた。
またマーサはオーピントン警部から「アイヴィーを見たことがあるか？」と聞かれて、ロジャーの指示通りに「見たことがない」と嘘をついた。
◆ 裁判
ロジャーは逮捕され起訴された。アイヴィーも証言台に立たされた。上記の件はつぎのように証言した。オーピントン警部への答えと同じである。
「ロジャーには特別な感情を抱いていた」「ロジャーと二人で会ったことがある」「ロジャーの家には行ったことがある」。
アイヴィーは上記を「本当は浮気した私が悪いんです」みたいな口調で証言した。この口調がロジャー有罪の印象を強化した。
これを聞いてロジャーの弁護士は弁護を諦めた。ロジャーには死刑判決が下された。
◆ オーピントン警部の再捜査
判決に疑問を抱いた人物が二人いる。母親のグレトレックス夫人とオーピントン警部。
オーピントン警部は再度マーサに詰問してアイヴィーがロジャーの家に来たことを掴んだ。マーサは「アイヴィーがその時にポーチを持って慌てていた」ことも話した。
オーピントン警部はレクストン家に行ってアイヴィーのポーチを探した。注、この時アイヴィーは母親のフローラのところに行っている。
オーピントン警部は柱時計に隠されていたアイヴィーのポーチを発見した。中に白い粉が隠してあった。しかしポーチはとりあえずそのままにしておいた。
この時点で、オーピントン警部はロジャーの刑の執行の延期を依頼した。
◆ アイヴィーが戻って来た
エミリーはアイヴィーを安心させるために刑執行が延期されたことを電話した。もちろん逆にアイヴィーは慌てて自宅に戻った。
アイヴィーはバッグをまとめて逃亡しようとエレヴェーターの前まできた。エレヴェーターが上ってきた。フロア側のドアを開けた。
しかし例のポーチのことを思い出して部屋に戻った。
ちょうどその時、下にオーピントン警部が来た。エレヴェーターは一階に下りた。
戻って来たアイヴィーはエレヴェーターに飛び乗った。と思ったのだがエレヴェーターの箱をなく、エレヴェーター空間を転落した。
◆ ハーバート・マーシャル
「月光の女/The Letter(1940)」
(1951)女海賊アン/Anne of the Indies
(1952)天使の顔/Angel Face
(1947)高い壁/High Wall
(1935)善意の妖精/Good Fairy
◆ ジョーン・フォンテイン
(1940)レベッカ/Rebecca
(1941)断崖/Suspicion
(1950)旅愁/September Affair
(1951)生まれながらの悪女/Born to Be Bad
(1961)地球の危機/Voyage to the Bottom of the Sea
(1953)二重結婚者/The Bigamist
(1948)忘れじの面影/Letter from an Unknown Woman
(1944)情炎の海/Frenchman's Creek
(1957)日の当たる島/Island in the Sun
(1953)デカメロン夜話(海賊パガニノ、道徳の賭け、医師の娘)/Decameron Nights
(1948)不時着結婚/u Gotta Stay Happy
