Rebecca

マリアンはマンダレーに広大な土地を持つマキシムと出会い結婚した。マキシムは一年前に妻のレベッカを亡くしていた。
マンダレーではレベッカの付き人だったダンヴァース夫人が取り仕切っており、マリアンにはレベッカと比較する形で何かと注文を付けた。マリアンは、次第に追い詰められていく。
マキシムは優しいが、突然に怒り出すことがあった。マリアンは、海岸で放置された小屋を見つけた。後ほど、その小屋はレベッカの死亡原因と関係があると判明した。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作:1940年、脚本:ジョーン・ハリソン他、監督:アルフレッド・ヒッチコック、原作:ダフネ・デュ・モーリエ


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 マリアン(ジョーン・フォンテイン)
 イーディス・ヴァン・ホッパー(フローレンス・ベイツ)
 マキシム・ド・ウィンター(ローレンス・オリヴィエ)
 レベッカ(-) - マキシムの元妻、本作には登場しない
 ダンヴァース(ジュディス・アンダーソン)

本作は、(同じくジョーン出演の)「情炎の海」と同じく、ダフネ・デュ・モーリエの原作がある。
 


■ あらすじ

マリアン(ジョーン・フォンテイン)は親を亡くし、金持ちのアメリカ夫人イーディス・ヴァン・ホッパー(フローレンス・ベイツ)の付き人となった。ホッパーとともにモンテカルロのホテルに泊まった。

イギリスのマンダレーに広大な土地を所有しているマキシム・ド・ウィンター(ローレンス・オリヴィエ)も同じホテルに滞在していた。マキシムは一年前に妻のレベッカを亡くしたばかりであったがマリアンに惹かれた。マリアンもマキシムに好意を持った。ホッパーには帰国の用が発生したが、マキシムはマリアンにプロポーズし、マリアンはマキシム夫人となることになった。二人はマンダレーに向かった。

マンダレーは海に面しており、いくつもの大きな屋敷があった。大勢の使用人がいた。それらの使用人を取り仕切っていたのはダンヴァース(ジュディス・アンダーソン)。元はレベッカの使用人だったが、レベッカの結婚に伴ってマンダレーに来て、レベッカの死後も住んでいる。

ダンヴァースは表面的には慇懃だが、何かにつけてマリアンとレベッカを比較しマリアンを貶める。今でもレベッカを崇拝しているようである。レベッカが使用していた部屋も元のままに保たれている。いつも無表情なのもマリアンにとっては不気味である。

マキシムは、もちろん優しいのだが留守がちでありマリアンは寂しい思いをした。またマキシムは突然怒りだすことがあり、マリアンには理由が分からず不安になる。

一方、マキシムの不動産管理をしているフランク・クローリー(レジナルド・デニー)やマキシムの姉ベアトリス・レイシー(グラディス・クーパー)などは、心を許すことができる相手だった。

マキシムと海岸を散歩中に犬が逃げて走っていったので追いかけた。小屋があった。放置された小屋だったが、中にはレベッカの所有物が散らかっており、様子がおかしいベン(レオナルド・キャリー)という男がいた。この件でマキシムは怒る。後日フランクに確認すると、その小屋はレベッカが転覆事故を起こしたボートの置き場だった。

大幅に省略するが、このような状況がマリアンを次第に精神的に追い詰めていった。大きかったのは、舞踏会でマリアンが(そうとは知らずに)レベッカの衣装を着たことだった。これはレベッカが死ぬ前の舞踏会で着たもの。これにマキシムは大きく怒った。衣装の選択はダンヴァースが「薦めた」ものであつた。

マリアンは、このことで泣き崩れるが、ここでダンヴァースは、なんとマリアンに窓から飛び降りるように脅迫する。マリアンが飛び降りようとした時、外で花火が上がった。

その花火は難破船が見つかったことを知らせるものであった。船の中から「レベッカの死体」が見つかった。しかし「レベッカの死体」は、すでに見つかって処分されていたはずである。

マキシムはマリアンに白状した。レベッカは従兄弟(→これは嘘)のジャック・ファヴェル(ジョージ・サンダース)と浮気をしており、ジャックの子供を妊娠した。マキシムの知るところとなったが家柄を重んじるマキシムは離婚もできない。

しかしレベッカがマキシムの子供として育てるつもりであることを知り、マキシムはレベッカを殴った。レベッカは転倒して死亡した。マキシムは死体を船に乗せて沈めた。

一方、偶然に見つかった別の女性の死体をレベッカであると証言した。こちらの死体がレベッカとして処理された。

レベッカの死体発見に伴って再捜査が行われた。発見された船の海水コックが開けられており、また外板に穴があけられていた。

さらにレベッカがダンヴァースの名前を使って行っていた医者の証言が得られた。結果、レベッカは妊娠していなかった、そして癌にかかっており余命はごくわずかであった。その医者の証言では、レベッカは、その前に死ぬつもりであったらしい。再捜査の結果は自殺と判断された。

マキシムが言っていることは本当なのか?船に細工をしたのは誰か?レベッカは、どのようにして死亡したのか?
 


■ 補足/本作の問題点

本作は確かによい映画ではあるが、じゃっかんポイントがずれているように感じる。

1.ダンヴァース夫人によって、マリアンがレベッカの亡霊に押しつぶされていく様子
2.レベッカの死の真相

上記のどちらを主に描きたかったのかが不明である。両方を入れるのは構わない。しかし両方がほぼ同じような重さで扱われている。重点を決めるべき。

私としては後者をポイントにした方が良かったかと思う。本作には原作があるが、原作は未確認。

本作を見直してみると、レベッカの死の真相を故意にあいまいにしているようにみえる。そしてその方がベター。
 


■ 出演作

◆ ローレンス・オリヴィエ
<1939)嵐が丘/Wuthering Heights
(1940)レベッカ/Rebecca
(1940)美女ありき/Lady Hamilton/That Hamilton Woman


ジョーン・フォンテイン
(1940)レベッカ/Rebecca
(1941)断崖/Suspicion
(1944)ジェーン・エア/Jane Eyre
(1950)旅愁/September Affair
(1951)生まれながらの悪女/Born to Be Bad
(1961)地球の危機/Voyage to the Bottom of the Sea
(1953)二重結婚者/The Bigamist
(1948)忘れじの面影/Letter from an Unknown Woman
(1944)情炎の海/Frenchman's Creek
(1957)日の当たる島/Island in the Sun
(1953)デカメロン夜話(海賊パガニノ、道徳の賭け、医師の娘)/Decameron Nights
(1948)不時着結婚/u Gotta Stay Happy
<1974)アイヴィー、三股浮気女の殺人計画/Ivy
(1953)熱砂の大脱走/Flight to Tangier
(1942)純愛の誓い/ This Above All
(1957)出征するまで/Until They Sail
(1952)黒騎士:アイヴァンホー:サクソンとノルマンの対立/Ivanhoe
(1938)金持ち息子との押し付け結婚を嫌ったシーラは牛乳配達とラヴラヴに