■ Letter from an Unknown Woman
ウィーンに住むリザはアパートに引っ越してきたピアニストのステファンに夢中になった。
リザはリンツに引っ越したが、18歳になってウィーンに戻りステファンに会った。その時に妊娠した。
ステファンはミラノに行ったが戻らず、その後リザは結婚した。
後年リザは落ちぶれたステファンに会った。しかしステファンはリザのことをまったく憶えておらず、リザはステファンと別れた。


製作:1948年、脚本:ハワード・コッホ監督:マックス・オフュルス   フル動画   予告編


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 リザ・ベルンドル(ジョーン・フォンテイン)
 ベルンドル夫人(マディ・クリスチャンズ) リザの母親
 ヨハン・シュタウファー(マルセル・ジュルネ) リザの夫
 ステファン・ブランド(ルイ・ジュールダン) ピアニスト

本作当時ジョーンは31歳だが、主人公のリザを15歳くらい(正確には不明)から30歳くらいまでを演じている。最初の頃はまだ子供っぽい不規則動作で遊びまわっている。

リザが一人の男性ステファンをずっと思い続ける物語である。二人は何度か顔を合わせる。リザは毎回のことを深く心に保持しているが、ステファンは、その時はリザに対する思いはあっても、次回にはまったく忘れている。いわば短期記憶はよいが、長期記憶が失われている状態である。

ステファンに病院から手紙が送られてきる。チフスで死ぬ間際にリザが書いたものである。それを読んでステファンはやっと一連のリザとの記憶がよみがえる。リザの手紙で過去が語られるという形式になっている。

手紙を受け取る部分は省略して紹介する。
 


■ あらすじ

◆ ステファンが引っ越してきた。

リザは母親とウィーンのアパートで暮らしていた。そのアパートにピアニストのステファンが引っ越してきた。

リザは一目でステファンが好きになり、それが一生持続する。ステファンとは、特に話はしないが、まだ子供っぽい動作でステファンの部屋をのぞき込んだりする。またステファンが弾くビアノを陰から耳をすましして聞いている。

そのアパートには「絨毯叩きの日」があって、その時にステファンの部屋に忍び込んだりする。

ステファンとの交流はほとんどない。

◆ リンツに引っ越しする

そのうちに母親が再婚することになる。リンツの軍服製造業者。

リンツに行くために、母親、新しい父親と荷物を持って駅に行くが、リザは「用事がある」と言ってアパートに戻る。しかしどうすることもできずに駅に戻ってリンツに引っ越した。

リンツでは父親の仕事の関係の若い軍人からプロポーズを受けた。しかし両親には相談せずに「婚約している」と勝手に断った。

◆ ウィーンに戻る

18歳になったリザはウィーンに戻って就職した。

勤め先の他の女性とは違って、リザは仕事が終わると、元のアパートの前でステファンを待ち、そして(今の)自分のアパートに帰るという生活を続けた。

ある時ステファンと会った。ステファンはリザに「見たことがある」と言ったが、最近ステファンを待っていたリザのことであり、昔のリザのことではなかった。

それをきっかけに二人は会ってデートをするようになった。

しかしステファンは二週間の予定でミラノに行くことになった。しかし約束と違ってステファンはそれっきり帰ってこなかった。

しかしリザは妊娠していた。

◆ リザは結婚した。

リザは男児を生んだ。ステファンとなずけた。

その後貴族のヨハン・シュタウファーと結婚した。ヨハンはリザには優しく、子供も大きくなった。10歳くらい。

ある時、リザは夫と音楽会に出かけた。近くの観客席でステファンを見かけた。

ステファンは、すでにビアノを止めており、すさんだ生活を送っていた。

リザはステファンの近くにいるという緊張感に耐えられずに「先に帰る」と言って席を立った。

そこでステファンに会った。ステファンはリザのことを記憶しておらず、リザは何も言わないで立ち去った。

ヨハンはリザの様子に気がついてリザを責めたが、リザはステファンへの思いは捨てられなかった。それを正直に告白しヨハンと別れた。

息子は一人で旅行に行くことになったがチフスに感染し死亡した。リザもチフスに感染し死亡した。

ステファンへの手紙はリザが死亡する前に病院で書いて、病院から送られてきたものだった。
 


■ 補足

◆ 疑似旅行

18歳になってウィーン戻りステファンとデートするが、疑似旅行を体験する店に行く。

列車のボックス席のようになっており、窓にいろいろな場所の景色が表示される。それが列車に進行に伴って移動していく。

例えばスイスとかヴェニスと、いろいろな場所が用意してある。

今日ならばディスプレイに写すところだが、後ろで景色を描いた巻物をペダルで漕いで移動させている。
 


■ 出演作

ジョーン・フォンテイン
(1940)レベッカ/Rebecca
(1941)断崖/Suspicion
(1950)旅愁/September Affair
(1951)生まれながらの悪女/Born to Be Bad
(1961)地球の危機/Voyage to the Bottom of the Sea
(1953)二重結婚者/The Bigamist
(1948)忘れじの面影/Letter from an Unknown Woman
(1944)情炎の海/Frenchman's Creek

◆ ルイ・ジュールダン
(1947)パラダイン夫人の恋/The Paradine Case
(1948)忘れじの面影/Letter from an Unknown Woman
(1954)愛の泉/Three Coins in The Fountain
(1951)女海賊アン/Anne of the Indies