Ivanhoe

ノルマン人とサクソン人が対立するイングランド。ノルマン人のリチャード獅子心王は十字軍の帰途、オーストリアで捕えられた。

その間ジョン王子がイングランドを支配し悪政を行った。アイヴァンホーはサクソン人ではあるがリチャード王を助けようとする。
だがジョン王子が妨害する。アイヴァンホーを恋人のロウィーナ姫とユダヤ人のアイザック父娘が助け、さらにロビンフッドたちも立ち上がる。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作年:1952、監督:Richard Thorpe、脚本:Aeneas MacKenzie、Noel Langley、Marguerite Roberts、原作:Ivanhoe(Walter Scott)


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)

アイヴァンホー(ロバート・テイラー) 騎士、サクソン人
セドリック(Finlay Currie) サクソン人、アイヴァンホーの父親
ロウィーナ姫(ジョーン・フォンテイン) サクソン人、アイヴァンホーの恋人
ロックスレイ(Harold Warrender) サクソン人、いわゆるロビンフッド

リチャード獅子心王(Norman Wooland) ノルマン人
ジョン王子(Guy Rolfe) ノルマン人、リチャードの弟
ブライアン・ド・ボワ=ギルバート卿(ジョージ・サンダース) ノルマン人
ヒュー・ド・ブレイシー卿(ロバート・ダグラス) ノルマン人
フロント・ド・ブーフ(Francis De Wolff) ノルマン人
フィリップ・ド・マルボワザン(Patrick Holt) ノルマン人
ラルフ・ド・ヴィポン(Roderick Lovell) ノルマン人

アイザック(Felix Aylmer) ユダヤ人
レベッカ(エリザベス・テイラー) ユダヤ人、アイザックの娘

◆ 補足

本作は登場人物が多いがストーリーは分かりやすい。「エリザベス・テイラーが綺麗だ」との感想が多いが、それでは本作を理解したことにはならない。いやいやいやジョーン・フォンテインも綺麗。

リチャード一世=リチャード獅子心王(Richard the Lionheart)は実在の人物で、十字軍の帰途、オーストリアで捕らえられ、その間ジョン王子がイングランドを支配したというのも史実である。この話は「ロビンフッドの冒険」にも出てくる。「獅子心王」とは「獅子(ライオン)のように勇猛な心を持つ王」の意味。

アイヴァンホーが活躍するだけではなく、ロビンフッドが活躍するのもよろしい。ロウィーナ姫も少しだが敵と戦う。

「黒騎士」というのは特定の領主に属さないフリーの騎士という意味らしい。

イングランドには、もともと土着のケルト人がいた。ドイツ系のサクソン人が流入し、さらフランスからノルマン人が入ってきて、ノルマン人がサクソン人を圧迫する情勢となる。

サクソン人とノルマン人の対立を描いた映画には本作の他に「(1938)ロビンフッドの冒険/The Adventures of Robin Hood」「(1955)ゴダイヴァ夫人/Lady Godiva of Coventry」「(1950)黒いバラ/The Black Rose」などがある。

ただし「ゴダイヴァ夫人」は本作よりもう少し前の時代。「黒いバラ」は、両者の対立が背景にあるものの中国に旅行する物語で、イングランドの場面は少ない。
 


■ あらすじ

◆ リチャード獅子心王は捕らえられた

イングランド王のリチャード獅子心王は十字軍からの帰途、オーストリアで捕らえられて、身代金を要求された。

王の弟のジョン王子は、それを知っていながら何もせず、イングランドを支配している。

サクソン人の騎士アイヴァンホーは、その事実を掴んだ。

◆ ロウィーナ姫との再会

アイヴァンホーはイングランドに戻り、父親のセドリックの元に戻った。

そこにはセドリックが後見人となっているロウィーナ姫がいる。アイヴァンホーの恋人である。

アイヴァンホーはリチャード獅子心王の身代金を集めるための協力をセドリックに依頼するが、ノルマン人てあるリチャード獅子心王を助けたくないらしい。

アイヴァンホーはセドリックの屋敷を立ち去った

◆ アイザックとレベッカを助ける

その後アイヴァンホーは、セドリックの客人であったユダヤ人の父娘のアイザックとレベッカがノルマン人に捕らえられたところを助け出した。

アイヴァンホーは二人をシェフィールドまで送る。

レベッカはアイヴァンホーが馬上槍試合に出場するというので、馬と鎧を買うための資金として自分の宝石を贈った。

◆ 馬上槍試合

馬上槍試合とは、鎧をつけて馬に乗った二人の騎士が、盾と槍で対決する試合である。

五組のノルマン人とサクソン人が対決するが、すべてノルマン人の勝利となった。

そこに黒ずくめの鎧を着たサクソン人が入って来た。我々はアイヴァンホーであることを知っている。

五人のノルマン人騎士と対決する。アイヴァンホーは三人の騎士を簡単に打ち破った。

四人目の騎士を破ったが左肩を負傷した。最後の騎士との試合で負傷して落馬した。

ロウィーナやレベッカが駆け寄った。

◆ アイヴァンホーは捕らえられた

アイヴァンホーはシャーウッドの森のロビンフッドの元に連れていかれて傷ついた体を休ませる。

ロビンフッドの仲間のサクソン人たちはヨークを目指すが捕らえられて、フロント・ド・ブーフ城に連れていかれた。注、ロビンフッドの仲間は多数いて、捕らえられたのは一部。

父親のセドリックやアイザック父娘も捕えられた。

アイヴァンホーは父親やアイザック父娘を自由にする代わりということで自首するが、裏切られて父親やアイザック父娘も解放されなかった。

◆ ロビンフッドの活躍

これを知ったロビンフッドと仲間たちは城を襲撃する。城は堅固な城壁で囲まれている。激しい戦いとなる。

矢を放ち、城壁に梯子を立てかけて上り、城壁の門に丸太を抱えて突撃する。ここの部分の描写が長い。

多くの犠牲者が出るが、ついに城壁を打ち破って中に突入。次第に有利な状況となる。

ド・ブーフはレベッカを人質にして逃げ出した。

◆ リチャード獅子心王は解放された

アイザックは身代金を集めた。それでリチャード獅子心王かレベッカのどちらかを解放する。注、二人とも解放するだけの金はないという設定。

レベッカの父親であるはずのアイザックはリチャード獅子心王の解放に使うことを決定する。

身代金はオーストリアに届けられる。

◆ アイヴァンホーとド・ボワ=ギルバートの戦い

レベッカの裁判が開かれた。結果レベッカは魔女として火刑に処せられる。

だがアイヴァンホーが現れて異議を唱え、ド・ボワ=ギルバートと対決することになる。

二人は馬に乗って盾を持ち剣を振りかざして戦う。

アイヴァンホーは落馬し不利な状況となる。だが反撃しド・ボワ=ギルバートも落馬する。

激しい戦いが繰り広げられてアイヴァンホーが勝利する。

◆ リチャード獅子心王の帰還

解放されたリチャード獅子心王が帰還した。留守中のジョン王子の不正・不公正を批判する。

リチャード獅子心王はノルマン人とサクソン人の融和を呼びかけた。

アイザックとレベッカは旅立った。
 


■ 出演作

ロバート・テイラー
(1940)哀愁/Waterloo Bridge
(1951)クォ・ヴァディス/Quo Vadis
(1954)王家の谷/Valley of the Kings
(1946)底流/Undercurrent
(1947)高い壁/High Wall
(1949)夫はスパイだった/Conspirator
(1958)暗黒街の女:マフィアと弁護士とダンサー/Party Girl
(1944)ロシアの歌:指揮者とピアニスト/Song of Russia

◆ エリザベス・テイラー
(1943)名犬ラッシー 家路/Lassie Come Home
(1949)陽の当たる場所/A Place in the Sun
(1954)雨の朝パリに死す/The Last Time I saw Paris
(1949)夫はスパイだった/Conspirator

◆ ジョージ・サンダース
(1940)レベッカ/Rebecca
(1947)永遠のアンバー/Forever Amber
(1949)サムソンとデリラ/Samson and Delilah
(1945)ハリーおじさんの悪夢/The Strange Affair of Uncle Harry
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1950)イヴの総て/All about Eve
(1945)戦慄の調べ/Hangover Square
(1942)ベンジャミンの復讐
(1946)奇妙な女/The Strange Woman
(1956)口紅殺人事件/While the City Sleeps
(1945)ドリアン・グレイの肖像/The Picture of Dorian Gray
(1952)パリの記者とハンガリーのスパイ/Assignment - Paris
(1958)宇宙冒険旅行:地球から月へ/From the Earth to the Moon
(1944)夏の嵐/Summer Storm
(1951)シャーボイコ・ドレス/I Can Get It For You Wholesale
(1940)海外特派員/Foreign Correspondent

ジョーン・フォンテイン
(1940)レベッカ/Rebecca
(1941)断崖/Suspicion
(1944)ジェーン・エア/Jane Eyre
(1950)旅愁/September Affair
(1951)生まれながらの悪女/Born to Be Bad
(1961)地球の危機/Voyage to the Bottom of the Sea
(1953)二重結婚者/The Bigamist
(1948)忘れじの面影/Letter from an Unknown Woman
(1944)情炎の海/Frenchman's Creek
(1957)日の当たる島/Island in the Sun
(1953)デカメロン夜話(海賊パガニノ、道徳の賭け、医師の娘)/Decameron Nights
(1948)不時着結婚/u Gotta Stay Happy
<1974)アイヴィー、三股浮気女の殺人計画/Ivy
(1953)熱砂の大脱走/Flight to Tangier
(1942)純愛の誓い/ This Above All
(1957)出征するまで/Until They Sail