■ CAGED
マリーは刑務所に入った。所長は理解があり、受刑者とは仲良くなった。
しかしそこは横暴な看守長が支配していた。
製作:1950年 脚本:ヴァージニア・ケロッグ 監督:ジョン・クロムウェル
■ はじめに
たまたま見たのだが、かなり良い映画。最後の場面をほんの少し修正すれば、さらに良い映画になる(→補足参照)。
◆ 登場人物(キャスト)
マリー・アレン(エリノア・パーカー) 主人公
ルース・ベントン(アグネス・ムーアヘッド) 所長
エヴリン・ハーパー(ホープ・エマーソン) 看守長
キティ・スターク(ベティー・ガルデ) 受刑者
エルヴァイラ・パウエル(リー・パトリック)後ほど入所する受刑者
◆ マリー
19歳。夫が強盗をして共犯で逮捕。入所時に妊娠が判明し所内で出産する。継父と母親がいる。
◆ 刑務所の全体状況
状況を主に規定しているのは、1.ルース・ベントン所長、2.エヴリン・ハーパー看守長、3.キティ・スターク受刑者。しかし力が強いのはハーパー。独裁、横暴の看守長。
受刑者同士は、いろいろトラブルはあっても、概ね助け合っている。
◆ ルース・ベントン所長
立派な人格と愛情を持った人物。受刑者の更生を第一に考えている。しかしハーパー看守長に押され気味。
刑務所の全体経営や仮釈放については、理事会の承認を得る必要がある。しかし理事会は、あまりまともな人物はおらず、苦労が続いている。
◆ エヴリン・ハーパー看守長
独裁、横暴の看守長。実質的に当刑務所の状況を規定している。ベントン所長に注意されても、なんら反省しない。受刑者からも反感を持たれている。
理事に知り合いがいるため、ベントン所長に対しても強気。
◆ キティ・スターク受刑者
古参の受刑者。大雑把に言えば受刑者たちから慕われている。ハーパー看守長から受刑者たちを守ろうとするが押され気味。
外の犯罪組織と繋がっており受刑者を誘い込んでいる。一面は組織のためであり、またもう一面は受刑者の出所後の生活保障である。
■ あらすじ
◆ マリーは刑務所に入れられた
マリーは夫が強盗をして共犯で逮捕されて刑務所に送られた。夫は射殺された。他の受刑者と一緒に車で到着した。
中には前に入所していた常連もいるようだが、マリーは初めてのことなので、不安でオロオロしている。
最初の面談と身体検査で妊娠していることが判明した。ベントン所長は親切そうで、泣き出したマリーを慰めてくれた。ベントン所長は妊娠を考慮して洗濯物のチェックという楽な仕事を割り当てた。
しかし看守長のハーパーは厳しそうである。「家には金があるだろ、そうすればここでいい生活ができる」と言う。しかしマリーには金はない。ハーパーはベントンの決定を無視して、マリーに床の掃除を命じた。
受刑者たちはおおむねマリーに親切であった。ハーパーには反感を持っているようである。
ハーパーは「マリーに割り当てられた仕事を変えたことがベントンに告げ口された」ということで、マリーを叱ったが、マリーには覚えがなかった。そばにいた高齢受刑者(名前不明)が「自分が知らせた」と言った。ハーパーは怒ったが、彼女は肝が座っており、パーパーには負けていなかった。
ベッドでは、受刑者たちは、自分の犯した犯罪の自慢話などをした。
◆ ジューン首吊り事件
キティ・スタークは古株の受刑者。ハーパーの横暴から、みんなを守っている。他の受刑者からもわりと信頼されている。
キティがマリーに「出所後はどうするのか?」と話してきた。出所しても刑務所にいたとなると、なかなかまともな仕事はさせてもらえない。そのことである。
キティには、バックの組織があって、そのような出所者に仕事を提供している。もちろん怪しい仕事であるが、それで出所者は当面の食い扶持を稼ぐことができる。
「出所後の仕事は任せて」というが、マリーには出所してさらに罪を重ねるとはとんでもないことであった。キティはとりあえず話を打ち切った。
仮出所の面接があった。みんなは「頑張ってね」みたいに対象者を励ます。ジューンも面接を受けた。
しかしジューンは仮釈放にならずにがっかりして落ち込んだ。誰かがハーバーに「ジューンの様子が変」と報告した。
ハーバーはきれいな服を来ている。映画に行くらしい。ジューンのことは無視する。キティや他の受刑者はハーパーを睨みつけている。
その後マリーはジューンが首吊り自殺しているのを発見した。大声を張り上げて知らせた。
ベントン所長はバーバーの行動を責めた。「ジューンはあなたが殺したも同然」。ハーパーは「私の仕事は脱走しないようにすること」と平然としている。しかしベントン所長はハーパーに対して何もできない。
◆ マリーが出産
マリーが出産した。他の受刑者も喜んでくれた。生まれた子供を抱いた。しかし自分で育てることはできない。
母親が面会に来た。子供は母親に見せることができないというルールで母親に会わせることはできなかった。
母親に子供が生まれたことを報告し「引き取って」とお願いしたが、夫が反対しているので引き取れないとのこと。
母親は出ていった。マリーは泣いた。キティが慰めに来た。そしてまた組織の話をした。
◆ マリーの仮釈放面接
マリーが仮釈放面接となった、みんなはマリーを励ましている。
マリーは緊張して所長室に入った。理事と所長が面接。しかしマリーはしどろもどろになってしまった。
「なんの仕事ができる?」「店員か給仕ができます。あとクリーニング店の受付も」。そのようなことを答えた。
「継父が身元引受人を断った。住むところはどうするか?」「保護司が用意したところに一人では?」「それは問題外」と言われてマリーは思わず興奮して叫んだ。仮釈放は却下となった。
マリーは泣き出して部屋を飛び出した。建物からも飛び出した。刑務所の塀に飛びついた。取り押さえられた。
◆ エルヴァイラ・パウエルが入所
新聞を見てハーパーが笑っている。エルヴァイラ・パウエルが入所してくるとのこと。「キティが知ったら驚く」。実はパウエルはキティの天敵である。
ハーパーはキティのところに行って「友達が来るよ、エルヴァイラ・パウエル」。キティは愕然とした顔をした。
実はパウエルの組織はハーパーに週100ドルの金を払っている。それでそれで二人の間は持ちつ持たれつという関係になっている。
パウエルが入所してきた。キティを睨みつけた。パウエルは隣にいたマリーも見た。パウエルもキティと同じように出所者を犯罪にリクルートしている。
マリーは「キティもあなたもお断り」と拒否した。もうこのころでは、マリーはおどおどした感じはなくなっており、しっかりとした態度である。
◆ クリスマスのプレゼント
相変わらずキティはマリーに組織の話をしているがマリーは無視している。それをパウエルが見ている。
さて看守たちから受刑者に対して、クリスマスのプレゼントが配られた。このプレゼントは実はパウエルの組織から贈られたものである。キティは不愉快な顔。パウエルはニタニタ。
みんなは楽しそうだが「所長に見つかったら叱られる」という話もしている。マリーはプレゼントがパウエルのものからと知って突き返した。
ベントン所長が来た。入り口で「楽しい一日をすごして」と言って、中を見回り始めた。みんなはプレゼントを隠した。
ベントン所長はプレゼントを見つけて「誰かがプレゼントを用意したようね、口紅の使用は許可します」と言った。みんなは拍手して、パウエルとハーパーは不機嫌な顔をした。
注、ここはベントン所長が一枚上だったのだが、セリフを聞く限り、状況ははっきりしない。
ここでキティが独房に入れられる。パウエルはハーパーの部屋で話している。ハーパーはー「キティがおとなしくなってきた」と言う。注、キティが独房に入れられる理由ははっきりとは提示されない。
◆ ネコ事件
マリーは建物の外に出た時に迷い込んだネコを見つけた。抱えて中に入った。みんなで可愛がった。
しかし点呼の時にネコが鳴いた。ハーパーは「猫をださないなら朝食抜きだよ」と言ったので、マリーがネコを胸に抱えた。
「渡しなさい」「渡さない」とハーパーが迫ってきた。しかし他の受刑者がハーパーを取り囲んだ。睨みつけている。
マリーが逃げた。ハーパーが追いかけた。二人が格闘となった。他の受刑者が暴れだした。ハーパーは逃げ出した。手がつけられない状態となった。注、パウエルも逃げて隠れた。
所長が来て注意して、やっと騒ぎが収まった。
その後、ハーパーはマリーを看守室に連れて行って、バリカンでマリーを丸坊主にした。そして三日間の独房。
先に独房に入っていたキティは独房から出された。戻ってきたキティを見て、みんなは愕然とした。まるで人格が崩壊している。
◆ ベントンとハーパーの対決
ベントン所長は「ハーパーを解雇する」と息巻いている。秘書に書類を作成させている。
ハーパーは「書類を送る前によく考えな」と言って出ていき電話をかけた。理事の一人。
新聞記事。「悪質な刑務所長を看守が告発した」と言う内容、まったく逆の内容。ハーパーのことがベントン所長のせいになっている。
記事を見て所長室に理事が来た。ベントン所長にクレーム。「前の所長は看守とうまくいっていた」「それは人権無視で意見が合っていたから。ハーパーのような看守は不要」「騒ぎを収めるのが先決」と理事が有利の展開。
しかしここでベントン所長は反撃。「もはや君(所長)の辞職を求めるほかはない」と言われると「では公聴会を求めます。ハーパーを首にすれば、すべて治まります」と反撃する。
「公聴会を要求する」という言葉に理事は黙った。今回はベントン所長が勝利。
◆ キティがハーパーを襲った
独房から出てきたマリーの髪にみんなはびっくりした。これに対してみんなは抗議した。
みんなは音を立てて抗議した。金属を叩いて音を出した。みんなリズムを取って叩く。だんだん大きくなる、部屋中に響く。
ハーパーが睨みつけるが、それでも止めない。ハーパーは後ずさりして出ていった。ベントン所長が入ってきて止めさせた。
建物の外で集まっている。キティが来た。キティの変わり果てた姿にパウエルは勝ち誇った顔をした。
食事。ハーパーが見回っている。マリーの隣はキティ。ハーパーがそばに来た。例によってキティに嫌味を言う。
ハーパーが後ろを向いた。耐えかねたキティがハーパーを後ろから左手で抱え、右手に持ったフォークを左胸に突き刺した。ハーパーは床に倒れた。キティは無表情に立ったまま。
マリーは「殺すのよ。殺してしまえばいい」と今までのマリーとは信じられない言葉。マリーはハーパーの顔をのぞき込んで「花は不必要ね」と言って、キティの手を取って、その場を離れた。みんなはシーンとしている。
みんなはキティが死刑になると話している。ベントン所長は「心神喪失」を理由に免責を訴えているらしい。みんなはキティのことを心配している。
◆ マリーが出所する
マリーの出所が決まった。他の受刑者は、(キティがいなくなったので)マリーが出所後どうするかと心配している。「キティがいれば万引きで稼げたのに」。
みんなと離れてパウエルがいる。他の受刑者はマリーに「何をグズグズしてるの?。パウエルに頼みなさい」と言っている。みんなもともとハウエルのことは好きではないが、キティがいなくなったので、頼めるのはパウエルとなる。
一方、71歳の終身刑の受刑者はマリーに忠告している。「もう悪いことはしてはいけない」。彼女の体験からでた貴重なアドヴァイスである。
マリーはその忠告を、真剣そうに聞いていたが、しかしパウエルのところに行った。
いよいよマリーの出所。働いた分の賃金を貰った。入所の時に預けた結婚指輪を返してもらったが、それはゴミ箱に捨てた。
所長室に行って挨拶をした。ベントン所長は「レジ係の仕事は偽装でしょ?」と言う。「保護司は問題ないと言っている」「まともな仕事に」「なんの意味があるの?」。
入所した時と違ってマリーは、横柄な態度である。
部屋を出て建物をでて門に向かう。外にはパウエルの組織の車が来ている。それをベントン所長は窓から見ている。
マリーは門を出た。車から男が下りてドアを開けた。マリーは車に乗り込んだ。
ベントンの秘書が「書類はどうします?」。ベントンは「残しておきなさい」と答えた。
■ 補足
最後の場面は、マリーが出所後パウエルの組織の車に乗って立ち去る場面。これをほんの少し修正したい。このようにすれば、もっとよい映画になる(と思う)。
マリーが門から出て、組織の車のそばに立つ。ドアが開けられる。しかしマリーは車には乗らずに歩いていく。
■ 出演作
◆ エリノア・パーカー
「壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On(1941)」
「白いドレスの女/The Woman in White(1948)」
「愛をもう一度/Never say good bye(1946)」
◆ アグネス・ムーアヘッド
「市民ケーン/Citizen Kane(1941)」
「ジェーン・エア/Jane Eyre(1944)」
「白いドレスの女/The Woman in White(1948)」
「ショウ・ボート/Show Boat(1951)」
「ふるえて眠れ/Hush...Hush, Sweet Charlotte(1964)」
「潜行者/Dark Passage(1947)」
◆ リー・パトリック
「蛇の穴/The Snake Pit(1948)」
「めまい/Vertigo(1958)」
「マルタの鷹/The Maltese Falcon(1941)」
「追憶の女/In This Our Life(1942)」
「情熱の航路/Now, Voyager(1942)」
◆
「シェフ 三ツ星フードトラック始めました/Chef(2014)」
「ショウタイム(映画,2002)」
「ナイルの宝石/THE JEWEL OF THE NILE(1985)」
「ナディーン 消えたセクシー・ショット」
「ラスト・チャンスをあなたに」