Voyage to The Bottom of The Sea

ヴァンアレン帯の異変により地球全体が異常な高温となる。
原子力潜水艦シーヴュー号はグァム沖からヴァンアレン帯に向けて核ミサイルを発射して解決しようとグァム沖に向かう。
しかしいろいろな障害や攻撃が発生する。艦内からもハリマン・ネルソン提督の責任能力について疑問が湧き上がる。


製作:1961年,脚本:アーウィン・アレン、チャールズ・ベネット,監督:アーウィン・アレン


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)
 ハリマン・ネルソン提督(ウォルター・ピジョン)
 ルシャス・エメリー准将(ピーター・ローレ)
 リー・クレイン艦長(ロバート・スターリング)
 キャシー・コナーズ中尉(バーバラ・イーデン) 提督の秘書、艦長の恋人
 スーザン・ヒラー博士(ジョーン・フォンテイン) 精神科医
 ミゲル・アルヴァレス(マイケル・アンサラ) 救助された観測隊員
 ダニー・ロマノ(フランキー・アヴァロン)
 ベッシー(?) 水槽で飼われているサメ

◆ 補足

ルシャス・エメリー准将はほとんど存在感がない。

ネルソンは対策を導き出すのに計算尺を使用している。(本作は1961年なので)コンピュータを使えよ。

本作はかなり荒唐無稽だが、ジョーン・フォンテイン出演なので許す。

本作当時、マイケル・アンサラとバーバラ・イーデンは夫婦。
 


■ あらすじ

◆ ヴァン・アレン帯異変

ハリマン・ネルソン提督が指揮する原子力潜水艦シーヴュー号は北極海を潜行航行中。

この航海には高名な精神科医スーザン・ヒラー博士が招待されて乗っている。

ヒラーは艦内をいろいろ案内してもらった。停電の際にも手動で発射できるミサイル。小型潜水艇。水槽で飼われているサメのベッシー。艦内に電力を供給する電動機室。

しかし艦内が突然大揺れ状態となった。上から大きな岩がいくつも落ちてきていた。

急速潜行をして深度を下げて危険を回避する。

しばらくして収まったので、状況を把握するために浮上した。

気温が異常に高く氷山が崩れている。空は不気味な赤い色。ワシントンを呼び出そうとしたが通じない。

◆ アルヴァレズ救助

氷山の上に人がいたので救助した。氷原を観測していた科学者とのこと。ミゲル・アルヴァレス。

アルヴァレズによるとヴァンアレン帯が燃えているとのこと。国連が対策会議をニューヨークで開くらしい。

ネルソンも出席することに決めた。アルヴァレズ以外の遭難者もいるとのことだが、対策会議の方が重要ということで、リー・クレイン艦長の意見を無視して、潜行状態のままニューヨークに向かった。

◆ 国連会議

ニューヨーク到着するまでの時間を利用してネルソンとルシャス・エメリー准将は、得られたデータを元に分析し、次のような対策を立てた。

8/29、午後四時ちょうど、グァム沖北北西330キロの地点、すなわち北緯15度、東経145度で、シーヴュー号からヴァンアレン帯に向けて核ミサイルを発射する。

我々並みの人間にはとうてい理解できない対策であるが、二人は傑出した科学者である。

ニューヨークに到着し、ネルソン、エメリー、キャシー・コナーズ中尉は会議に出席した。

ネルソンは「このままでは地球は焼き尽くされる」と警告し、自らの案を提出したが、物理学者のズッコは「何もしなくても、そのうちに気温は下がる」と言ってネルソン案を否定した。

ズッコも一流の科学者ではあるが、ネルソンとズッコは対立した。会議参加者の多くはズッコを指示した。

しかしネルソンは「もう間に合わない」と会議場を出て行った。シーヴュー号の上にいた警備員を無視してシーヴュー号を潜航させた。クレインは、この危険行為を批判した。

ヒラーとアルヴァレズは「下ろしてくれ」と要求したが無視された。ネルソンは「とにかく全速で進め」と命令した。

◆ ワシントンとは連絡が取れない

アルヴァレズは科学者ではあるが「人類の滅亡が神の考えならば、我々も従おう」と隊員に話して、クレインから「湿っぽい哲学で洗脳するな」と注意された。

一方ヒラーは「精神科医の私にはネルソンの行動は疑問がある」と呟いている。

ワシントンの大統領と連絡を取ろうと浮上したが連絡が取れない。

そこで海底に設置してある電話ケーブルに接続して連絡を取ることにする。

電話ケーブルを探し隊員を潜らせて接続を試みる。ここでサメや巨大タコに襲われるが、なんとか接続する。

しかし接続されたのはロンドン。ワシントンには繋がらないそうである。

「ワシントンとの連絡は取れない。我々の手に人類の未来はかかっている」との艦内放送。

◆ 機雷事件

発電機が故障して予備電源に切り替わった。ネルソンは「艦を止めるな。全速で進め」と号令する。

ここでまたアルヴァレズは「人類は滅ぶ、今は心が安らか」。

艦の前に機雷がいっぱい仕掛けられた。ネルソンの行動に反対する国連が仕掛けたらしい。やむなく艦を後退させる。

小型潜水艦を出して機雷を除去する。機雷に繋がっているロープを切断するが、小型潜水艦は機雷に接触して破壊された。

ともかく機雷は除去され、また電源が回復した。

◆ 脅迫状

ホッジス隊員が自殺した。遺書。「自分が発電機を止めた。結果(小型潜水艦の)二人が死亡した」。ネルソン「二人は破壊工作の犠牲になった」クレイン「極限状態に追い込んだのはアンタ」。注、補足しておけば、機雷の問題と発電機停止の問題は別なのでホッジス隊員の責任ではない。

その後ネルソンは自室で脅迫状を見つけた。「計画を中止しなければ命はない」。

クレインに対してキャシーが「ホッジスの遺書とネルソン提督への脅迫状は別のタイプで作成されている。脅迫状は私(=ネルソン)が使っているタイプと同じ字」と報告する。

その話をヒラーが聞いて「ネルソンは頑固、短気、典型的な患者」と言うと、クレインは「その意見を参考にします」と答えた。

◆ 火事で浮上

ネルソンの部屋で火事が発生した。キャシーが発見。中にネルソンが寝ている。

みんなで消火してネルソンは無事だったが原因は不明である。

この影響で艦は浮上した。相変わらず空は赤くなっている。

近くに船がいた。呼びかけるが応答がない。ボートを出して調べたら、みんな死んでいる。四日前にホノルルを出たらしい。

ここで「艦を下りたい」と言う者が現れた。クレインは「命令違反だ」と声を荒げる。アルヴァレズが彼らへの理解を求め、彼らは下船して、その船に乗り込んだ。

ネルソンは「殺人犯を特定しろ」と言うが、調査の結果はネルソン自身のタバコの火の不始末であった。ヒラー「被害妄想の典型」。

◆ ネルソン責任能力問題

クレインはキャシーに話す。「ネルソンは発病している。自分で脅迫状を書いた。タバコの火のことも」。

そして上官の指揮権剥奪の手順を確認する。キャシーは反対する。

ヒラーの診断の結果で休んでいた隊員をネルソンが殴った。ヒラーは「ネルソンにはもう責任能力がない」と言うと、クレインは指揮権剥奪を決意した。

ヒラーはミサイル発射にも疑問を呈した。

◆ 魚雷攻撃

艦はミサイル発射の位置に到着した。

クレインがネルソンの前に現れて指揮権剥奪を通知した。

しかしここで艦は魚雷攻撃を受けた。艦が大きく揺れる。クレインは反撃準備を指示する。指揮権剥奪は中断。

攻撃は国連部隊からである。次々と魚雷が襲い掛かる。魚雷が命中する。艦が大きく揺れる。火災が発生する。非常発電機が動き始める。

原子炉が停止した。ヒラーが「DANGER」の扉から出てきた。ヒラーの仕業である。胸の放射能バッジが赤くなってヒラーは多量の放射能を浴びていた。「ミサイル発射はさせない」。

ここでまた魚雷が命中し大きく揺れた。ヒラーは倒れてベッシーがいる水槽に落ちた。ベッシーが口を大きく開けてヒラーに咬みついた。ヒラーのそばにいたクレインは倒れて気を失った。

◆ アルヴァレズ事件

まだ指揮権を剥奪されていなかったネルソンが、補助動力の始動とミサイル発射準備を指示した。

ここでアルヴァレズが爆弾を持ってネルソンの前に現れた。制御盤の前にいる隊員に「発射ボタンから離れろ、作戦を中止しろ」と叫ぶ。

これを見たキャシーがクレインを探しに行く。クレインはベッシーの水槽のそばに倒れていた。キャシーは状況を説明した。

◆ ミサイル発射

クレインはアルヴァレズに拘束されていない隊員を動員した。

クレインが潜水服を着て艦の外に出た。艦の上部に移動する。

ミサイルのハッチを開けて、マニュアル操作でミサイルを発射した。

ミサイルは上空に飛んで行って消えた。そして爆発した。

しばらくすると真っ赤だった空の色が元の色に戻った。

 


■ 出演作

◆ ウォルター・ピジョン
(1941)わが谷は緑なりき/How Green Was My Valley
(1943)キューリー夫人、伝記映画/Madame Curie

ジョーン・フォンテイン
(1940)レベッカ/Rebecca
(1941)断崖/Suspicion
(1944)ジェーン・エア/Jane Eyre
(1950)旅愁/September Affair
(1951)生まれながらの悪女/Born to Be Bad
(1961)地球の危機/Voyage to the Bottom of the Sea
(1953)二重結婚者/The Bigamist
(1948)忘れじの面影/Letter from an Unknown Woman
(1944)情炎の海/Frenchman's Creek
(1957)日の当たる島/Island in the Sun
(1953)デカメロン夜話(海賊パガニノ、道徳の賭け、医師の娘)/Decameron Nights
(1948)不時着結婚/u Gotta Stay Happy
<1974)アイヴィー、三股浮気女の殺人計画/Ivy
(1953)熱砂の大脱走/Flight to Tangier
(1942)純愛の誓い/ This Above All
(1957)出征するまで/Until They Sail
(1952)黒騎士:アイヴァンホー:サクソンとノルマンの対立/Ivanhoe
(1938)金持ち息子との押し付け結婚を嫌ったシーラは牛乳配達とラヴラヴに
(1945)スーザンの選択/The Affairs of Susan