■ THE WOMAN IN WHITE
画家のウォルターはフェアリー家で絵画を教えることになった。対象は当主の娘ローラと従姉妹のマリアン・ハルコム。
当家にはローラの婚約者パーシヴァル・グライドとフォスコ伯爵が寄宿していた。実は二人はフェアリー家の財産を奪うつもりである。
ウォルターはフェアリー家を離れ、ローラとパーシヴァルは結婚した。
ローラが死亡したとの報道が流れウォルターはフェアリー家を訪問したが、遺体の顔を見てローラではなく似た女性のアンの死体であると分かった。
ウォルターとマリアンが動き出す。


製作年:1948、監督:Peter Godfrey、脚本:Stephen Morehouse Avery、原作:Wilkie Collins


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ウォルター・ハートライト(ギグ・ヤング) 画家
 マリアン・ハルコム(アレクシス・スミス) ローラの従姉妹
 ローラ・フェアリー(エリノア・パーカー)
 フレデリック・フェアリー(ジョン・アボット) ローラの父親
 アン・キャサリック(エリノア・パーカー) ローラと似た女性
 アレサンドロ・フォスコ伯爵(シドニー・グリーンストリート)
 フォスコ伯爵夫人(アグネス・ムーアヘッド)
 パーシヴァル・グライド卿(ジョン・エメリー) ローラの婚約者

エリノア・パーカーが二役をしている。good。
 


■ あらすじ

◆ 白いドレスの女性を見かける

画家のウォルター・ハートライトはリマリッジ(Limmeridge)にあるフェアリー家に絵画の教師として雇われた。

列車が遅くなったので夜になった。迎えの馬車は帰ってしまったらしい。夜道を歩いて行った。

森の中で白いドレスの女性が現れたので少し話した。どこかからに逃げてきたらしいが、言うことがわりと支離滅裂である。その女性はすぐに姿を消した。

さらに馬車に乗った男性が通りかかった。「女性を見なかったか?昨夜保護施設を逃げ出した」と聞く。先ほどの女性だと分かるが、ウォルターは否定した。

◆ フェアリー家

フェアリー家に到着した。ウォルターは知らないが、先ほどの女性が外でうろうろしている。

マリアン・ハルコムに会った。ローラの従姉妹。「ローラは美しく、遺産の相続人。私は違う。それでもお互いのいない生活は考えられない」という。

それから当主のフレデリック・フェアリーに会ったが、体の調子が悪いようである。わずかの刺激にも神経質に反応する。使用人は「体が悪いのとは少し違うのです」と言っている。

さらに先ほど馬車に乗っていた男性もいた。アレサンドロ・フォスコ伯爵。ローラの婚約者のパーシヴァル・グライドの紹介で当家に滞在しているとのこと。しかし客人にしては、取り仕切っている雰囲気。

◆ マリアンと話す

翌朝、ローラ・フェアリーに会った。ウォルターはローラが途中で会った女性と酷似しているのに驚いた。道で会った女性のことを話した。

似た女性のことをローラが朝食の席で話す。フォスコが怪しげな目つきで聞いている。マリアンは「ハートライトさんは内緒話のつもりだったのよ」とローラに囁く。

フォスコは席を外してフレデリックのところに行って「彼女は、この近くにいる。注意しなくては」と話す。

マリアンは例の女性に思い当たることがあったようで、母親からの手紙を探して遠い親戚にあたるアン・キャサリックのことではないか言った。手紙には「フレデリックに頼まれてマリアンの母親が面倒を見ていた」とのこと。アンとの血縁関係はよく分からない。

その場にフォスコなどが来て、いろいろと話した。

しばらくするとテーブルにあったはずの手紙がなくなっていた。我々はフォスコが盗んだのを知っている。

ウォルターはマリアンに「伯爵には注意した方がいい」と忠告した。

フォスコはウォルターとローラが仲良く話している様子を望遠鏡で見せて、マリアンに疑念を植え付けた。

◆ パーシヴァルが訪ねてきた

パーシヴァルが訪ねてきた。フォスコが出迎えて「まだ来るな、アンのことがまだ未解決」と言う。もちろん他の者は、そんな会話が行われているとは知らない。

マリアンはウォルターに「ローラとパーシヴァルは婚約している」と言って、ウォルターのローラに対する感情を牽制するとともに自分の感情を間接的に表現した。

フォスコとクライドは二人の結婚を許可するようにとフレデリックに迫っていた。フレデリックは体調が悪いせいか、あまり頭が働かないが、二人を結婚させたくないようである。

またマリアンも、二人の結婚については、疑問を持っているようである。

◆ ウォルターはリマリッジから立ち去った

ウォルターは当地を去ることにした。フェアリー家の墓に行った。そこにはアンがいた。アンは「保護施設」にいたが抜け出しているらしい。「ローラに会って警告しないといけない。で本当のことを言うとフォスコが、それは嘘だと言う」。

アンは「クライドがフェアリー家の財産を狙ってローラと結婚しようとしている」と言った。ローラに警告するために二人でフェアリー家のそばまで言ったが、フォスコの姿を見るとアンは逃げ出した。

そしてローラはパーシヴァルに「私は変わってしまった」と話している。ウォルターのことが気になっている。「その男と連絡は取っているのか?」「二度と会うことはないわ」。パーシヴァルはもちろんローラと結婚して財産を奪うことが目的なので「今まで信頼してくれた女性を捨てたりはしない」と綺麗ごとを言う。

ウォルターは当地を立ち去った。マリアンも立ち去った。そしてローラはクライドと結婚した。

◆ パーシヴァルとフォスコの陰謀

数か月後、マリアンが戻ってきたが、(ルイを除いて)使用人はすべて入れ替わっており、フォスコの妻がいた。伯爵夫人は、我々が見ても分かるほどの何かの中毒である。

ローラは親友であるはずのマリアンの前でよそよそしい態度を取り続けた。しかしローラはマリアンの部屋に来て、その態度は偽装であると明かした後「パーシヴァルは金のことしか頭にない」と打ち明けた。

ローラは遺言書に署名するようにせっつかれて、弁護士は反対したが、署名しようとしている。またローラがマリアンに出した相談の手紙が一通も届いていないことが分かった。

マリアンは部屋を抜け出して、パーシヴァルとフォスコが話している内容を盗み聞きした。しかし部屋に戻るとフォスコが入ってきて「ローラは明日署名する」と言った。おまけにマリアンに対する個人的な欲望も打ち明けた。

ローラはベッドに寝て妄想に捕らえられている。食事もしてないようである。

◆ ローラが死亡した

伯爵夫人がローラの部屋に入ってきた。中毒特有の表情はしていない。

ローラの部屋のクローゼットの奥に秘密の扉がある。伯爵夫人はその扉から、下に下りて行った。石造りの薄暗い地下の部屋にアンがいた。

アンはローラの部屋に入った。ローラに話していると、フォスコたちが入ってきた。補足、画面表示はされないが、ここでアンが殺される。

ローラ死亡の記事を見て、ウォルターは葬儀に駆けつけた。

ローラが死んだとなれば、フェアリー家の財産は、いずれグライドのものとなる。

しかしウォルターは「死んだのはアン」と分かった。ウォルターは画家であり、鋭い観察力を持っている。遺体を見た。ローラとアンの微妙な違いを認識できる。それをマリアンに話した。

ローラはアンがいた保護施設に閉じ込められているものと考えた。

マリアンとウォルターは隠れ家を見つけて、そこに潜んだ。

◆ ローラは保護施設を脱出した

ローラがいる保護施設は、収容者が厳重に管理されている。夜は、それぞれの部屋に外からカギがかけられて、収容者は外に出ることができない。

フォスコはローラを催眠術と薬剤と暴力で「自分はアンである」と思い込ませようとしている。

しかし今のところローラには自意識がわずかに残っている。

ローラはフォスコが面会にきたちょっとのスキを見て、管理室にある自分の部屋のカギを他の部屋のカギと取り換える。注、アンと同様の手法。

その夜、管理人がローラの部屋にカギをかけようとするが、カギが違うので、六階から一階にカギを取りに戻る。

その間にローラは部屋を脱出した。

ローラはグライドに発見されて殺されそうになったが、ウォルターが来てローラを救った。クライドは死亡した。

◆ フォスコが殺された

ウォルターはローラを連れて隠れ家に行った。しかしマリアンがいない。「やるべきことがあります」の伝言。

マリアンはフォスコに大胆な提案をする。「あなたがこれ以上ローラに介入せずに、ここを去るならば、私はあなたと結婚する」。ローラのことを思っての決断である。もう一つ伯爵夫人を自由にするためである。

フォスコは提案を受け入れ、マリアンは隠していた拳銃をテーブルに置いた。

ここでフォスコは「妻(伯爵夫人)は、実はフレデリックの妹であり、アンの母親である」とばらした。それを隠すためにフォスコは夫人と結婚した。

部屋にそっと入ってきた伯爵夫人は、引き出しからナイフを取り出して、フォスコに近づき、後ろから刺した。

ちょうど、ウォルターとマリアンが入ってきた。フォスコは死亡した。

◆ その後

ウォルターはマリアンと結婚し、ローラとともに、リマリッジに住んでいる。

保護施設は住み心地が良い体制に変えられて(元の)伯爵夫人がすんでいる。フレデリックはその近くの新しい屋敷に住んでいる。二人とも居心地がよさそうである。
 


■ 出演作

エリノア・パーカー
(1941)壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On
(1948)白衣の女/The Woman in White
(1946)愛をもう一度/Never say good bye
(1950)女囚の掟/Caged
(1950)三人の秘密/THREE SECRETS


◆ アグネス・ムーアヘッド
(1941)市民ケーン/Citizen Kane
(1944)ジェーン・エア/Jane Eyre
(1945)夢のひととき/Her Highness and the Bellboy
(1948)白衣の女/The Woman in White
(1948)拳銃往来/Station West
(1950)女囚の掟/Caged
(1951)ショウ・ボート/Show Boat
(1964)ふるえて眠れ/Hush...Hush, Sweet Charlotte