11世紀前半のイングランド。サクソン人とノルマン人の対立。
エドワード王は両者の融和を望んでいるが、ノルマン人がサクソン人を圧迫する状況。
レオフリック伯爵と妻のゴダイヴァ夫人はサクソン人のために活動している。
ノルマン人のゴドウィン伯爵がクーデターを企む。
製作年:1955、監督:Arthur Lubin、脚本:Harry Ruskin、Oscar Brodney
■ はじめに
◆ 登場人物(キャスト)
ゴダイヴァ夫人(モーリン・オハラ) レオフリック伯爵夫人、サクソン人
レオフリック伯爵(ジョージ・ネーダー) サクソン人
エドワード王(エドゥアルド・フランツ) サクソン人とノルマン人の混血
ゴドウィン伯爵(トリン・サッチャー) ノルマン人
◆ ゴダイヴァ夫人
コヴェントリー。ロンドンの西北、イングランドのほぼ中央。
ゴダイヴァ夫人は10世紀末から11世紀半ばの実在の人物。レオフリック伯爵夫人、のちに自身も伯爵となる。
伝説によれば、夫の圧政に抗議して、裸で馬に乗って町を歩いたという。
これは単なる伝説であって史実ではないがコヴェントリーには、彼女が裸で馬に乗って歩く像が建設されている。三メートルくらいの台座に乗っており、大きさは実物大くらい。また絵画にもなっている。
本作では夫の圧政に抗議するのではなく、別のストーリーになっている。
モーリン・オハラの映画はわりと見ているが、全般で言えば強気&爽やかな女性である。しかし本作のゴダイヴァ夫人は、強気というよりも、かなり気性が激しい女性として描かれている。
現在ではチョコレートのブランドになっている。日本語版はない。youbuteで見た。「Lady Godiva of Coventry (1955)」。
上記動画は(日本では?)現在は見れなくなっている。トレーラーも見当たらないようである。いっぱい画像を取っておけばよかった。英語版DVDは発売されている。
■ あらすじ
◆ 背景
本作の背景は、もう少し後のロビンフッドの時代と同じようである。
先住民としてのケルト人、その後に元はゲルマン系のサクソン人が流入してくる。さらにフランス系のノルマン人が流入してくる。
エドワード王はサクソン人とノルマン人の混血。ゴドウィン伯爵はノルマン人。レオフリックはサクソン人。
本作のストーリーは弾圧するノルマン人と弾圧されるサクソン人という形で展開する。
◆ レオフリックとゴダイヴァは結婚した
レオフリックは、エドワード王よりノルマン人との結婚を勧められた。それはエドワード王がサクソン人とノルマン人の融和を望んでいるからである。しかしレオフリックは断った。
そしてゴダイヴァと知り合った。知り合った時に二人にトラブルとわだかまりが発生したが、それを乗り越えて二人は結婚した。
しかしレオフリックはゴダイヴァのことを知らなかった。というか甘く見た。
ゴダイヴァは、言ってみれば「正義の人」であって、自分の目の前の不正義などを許さない。
当時は封建時代であって、虐げられている庶民がいっぱいいる。またサクソン人とノルマン人の対立がある。
そしてレオフリックは領主であって、ゴダイヴァの目から見れば、そのような状況にレオフリックが加担していると見える。
ゴダイヴァは、折あるごとにレオフリックに抗議をして、ついには別々に食事をするようになった。
レオフリックは、ゴダイヴァのこのような態度に怒るが、少しずつゴダイヴァのことを理解していく。
◆ エドワード王の健康と食事
二人でエドワード王の宮殿に出かけた。エドワード王は病気であって、ベッドに寝ており、きわめて状態が悪いようであった。
二人が来た時に、エドワード王に食事が持って来られた。ゴダイヴァは、その食事を見てクレームをつけた。ゴダイヴァによれば、非常に健康によくない食事である。補足。もしかすると毒を入れられていた?
ゴダイヴァは食事を作っている場所に行って、すぐいろいろ指示を出した。そこはゴダイヴァの権限の範囲外のことなので嫌がられるが、ゴダイヴァは強引にことを進めた。
自分でもエドワード王の食事を作った。しばらくすると目に見えてエドワード王の状態は改善した。
◆ 徴発に対する反撃
さて兵士たちの庶民に対する弾圧が続いている。サクソン人から徴発している。対してサクソン人の方も反撃している。争いが発生している。
そしてゴダイヴァはこれらの叛乱を積極的に支援をするようになった。
当然ながらゴダイヴァは追われる身となった。そして女子修道院に隠れた。
兵士がゴダイヴァを探して女子修道院の前まで来るが、修道院は治外法権なので入ることはできない。
◆ レオフリックも行動した
ゴダイヴァに影響されたためか、あるいは正義の心に目覚めたのか、レオフリックは自分の領内で行われているサクソン人への弾圧に、自らの兵力を使って反撃し始めた。
ノルマン人の兵士に反撃する。牢を襲って捕らえられている人々を解放する。
しかしある時、矢で撃たれて倒れてしまった。捕らえられた。
◆ 裁判が開かれた
一方ゴダイヴァはレオフリックが捕らえられたと聞いて駆けつけた。
傷ついて倒れているレオフリックを見舞った。二人はお互いを理解しあった。が、ゴダイヴァも捕らえられた。
裁判が開かれた。エドワード王、ゴドウィンを含めてたくさんの人々。
ここではレオフリックはもう肝が据わっていて「裁判にかけられているのは、私と妻ではない」と正々堂々としている。
エドワード王に向かって「あなたはイングランドを団結させるために王位についたはずだ」。エドワード王はレオフリックの言葉を真面目に聞いている雰囲気。
さらに「ゴダイヴァを処刑すれば、サクソンの殉教者になります」とゴダイヴァの無実を訴えた。エドワード王は「私の王国で戦争を防ぐためには何でもする」。
この展開にゴドウィンは「彼女(ゴダイヴァ)の無実を証明するために、服を脱いで...」ととんでもないことを言い出した。
ゴダイヴァは、それを引き受けた。
◆ ゴダイヴァが裸で馬に乗る
町のすべてのドアや窓が閉められた。通りには誰もいない。
その中をシスターが馬の轡を取って、しずしずと進んでいく。その馬の上には裸のゴダイヴァが乗っている。
町を回った後、馬は女子修道院の門をくぐった。
補足。ここで一人だけ窓の隙間からゴダイヴァの裸を見ようとする人物がいるが、他の人に制止されて殴られた。これがいわゆる「ピーピング・トム/覗き魔トム」の由来。
◆ ゴドウィンがクーデター
(場所は明示されないが、たぶん)ゴドウィンの城。
エドワード王、ゴドウィン、レオフリック、ゴダイヴァ。そしてゴドウィンは兵士を潜ませている。レオフリック(エドワード王かも?)のわずかの部下。
彼らは立って話している。しかしゴドウィンは、自分の兵士に合図をして、自分は剣を抜いてエドワード王に突き付けた。
ゴドウィンの兵士が一斉に現れて彼らを取り囲んだ。クーデターっ!
レオフリックにも剣が突き付けられたが、スキを見て自分の剣を抜いて、ゴドウィンに突き付けた。
レオフリックの部下が周りを囲んで防御した。数の上では少ないが、しっかりと守った。
そのままエドワード王を守り、ゴドウィンを連れて、城を脱出した。
結果、ゴドウィンはフランスに追放された。
■ 出演作
◆ モーリン・オハラ
(1941)わが谷は緑なりき/How Green Was My Valley
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1963)/マクリントック/McLintock
(1952)すべての旗に背いて/Against All Flags
(1945)海賊バラクーダ/THE SPANISH MAIN
(1947)船乗りシンバッドの冒険/Sinbad the Sailor
(1947)三十四丁目の奇跡(奇蹟)/Miracle on 34th Street
(1939)ノートルダムのせむし男/The Hunchback of Notre Dame
(1949)恋に踊る/Dance, Girl, Dance
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1954)マラガ/Malaga
(1939)巌窟の野獣/Jamaica Inn
(1946)センチメンタル・ジャーニー/Sentimental Journey
(1955)ゴダイヴァ夫人/Lady Godiva of Coventry
(1952)カンガルー/Kangaroo
(1949)禁じられた街/Forbidden Street/Britannia Mews
(1961)荒野のガンマン/The Deadly Companions
(1956)陰謀のリスボン/Lisbon
(1998)タクシーでカナダへ/Cab to Canada
(1949)女の秘密/A WOMAN'S SECRET
(1947)ホームストレッチ、美女の迷いと競馬/The Homestretch
(1951)激闘の大砂漠:野生の黒馬/FLAME OF ARABY
(1948)愉快な家族/Sitting Pretty