■ A WOMAN'S SECRET
声がでなくなり歌えなくなった歌手のマリアンは、スーザンという女性と知り合った。
スーザンの歌はすばらしく、マリアンはスーザンを自分の分身とみなした。
しかしスーザンは、あまりやる気がない。ある日スーザンが撃たれる事件が発生した。


製作年:1949、監督:Nicholas Ray、脚本:Herman J. Mankiewicz、原作:Mortgage on Life(Vicki Baum)


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 マリアン・ウォッシュバーン(モーリン・オハラ) 元歌手
 ルーク・ジョルダン(メルヴィン・ダグラス) ピアニスト
 スーザン・コールドウェル/エストレリータ(グロリア・グレアム) 歌手

 リー・クレンショー(ビル・ウィリアムズ) 兵士、スーザンの恋人
 ブルック・マシューズ(ビクター・ジョリー) 弁護士、スーザンの後援者
 マシューズ夫人(アン・シューメイカー) ブルックの母親
 ジム・ファウラー(ジェイ・C・フリッペン) 警部
 メアリー・ファウラー(メアリー・フィリップス) ジムの妻
 ロバーツ(ロバート・ワーウィック) 地方検事補
 医師(カート・コンウェイ)
 モリー(バージニア・ファーマー) マリアンのメイド
 看護師(エレン・コービー) スーザンが入院した病院

ずいぶんと思わせぶりな題名。モーリン・オハラとグロリア・グレアムとはわりと豪華キャスト。モーリンは音楽CDもあり、またyoutubeでもかなり歌っているが、映画の中で歌うのは少ない。

本作とは別にグレタ・ガルボ主演で「(1928)女の秘密/The Mysterious Lady」がある。
 


■ あらすじ

◆ スーザンが撃たれた

スーザンは歌手。ラジオに出演して歌っている。マリアンはそれを聞いている。

スーザンは歌い終わって帰ってきた。マリアンはねぎらいの言葉をかけるが、スーザンは機嫌が悪い。

スーザンは二階に上がった。マリアンはスーザンを追いかけた。

メイドのモリーは一階で用事をしていた。しかし突然の銃声。あわてて二階に駆け上がった。

スーザンが倒れており、そばではマリアンが呆然としていた。

フェリス医師が呼ばれた。「まだ息がある。急いで救急車をよんでくれ」。

救急車が来て病院に運ばれた。

マリアンは警察に「私が撃ちました」と告げた。

◆ マリアンは聴取された

警察でマリアンが聴取された。

マリアンの主張の要点は、スーザンが「歌手を辞めたい」と言ったので反対した。しかしスーザンは強硬だった。

口論が激しくなって、スーザンが拳銃を取り出した。争ううちに拳銃を取り上げて撃った。

警視正のジム・ファウラーは、マリアンの証言に対して「話ができすぎだ」と感想を述べた。

ピアニストのルークはマリアンの無実を信じているようである。

またリー・クレンショーという若者が病院に来て騒ぎ立てた。

◆ マリアンは歌手だったが、

ここから過去の回想。

かってマリアンは歌手だった。ルークがピアノを弾いていたレストランで歌っていた。

このままマリアンの経歴は順調に進むはずだった。

だがしかしある日、マリアンの声に異変が起こった。話すには何の問題もないが歌えない。いや歌うことはできるが、以前のような声がでない。

マリアンは希望を断たれた。

◆ スーザンと出会った

マリアンの状態は改善しなかった。

一年後、ある店で、仕事ではなく試しに歌ってみたが状況は同じだった。

ルークは「歌わない役をやればよい」と言ってみたが、それはマリアンが受け入れられる提案ではなかった。

その時に階段でうずくまっている女性を見た。香水売りをしているそうだが、しばらく食べてないとのこと。名前はスーザン。

マリアンの家に連れて来て食べさせた。歌ってみると素晴らしい歌声である。

スーザンは「一生香水売りをするのはイヤ」と言う。

マリアンとルークはスーザンを売り出すことにした。マリアンは自分の分身としてスーザンに期待した。

◆ スーザンとマリアンはパリに行った

スーザンは才能はあったのだが、仕事に対する態度が投げやりで、あまりやる気がなかった。当然、マリアンやルークはそれを注意した。

そんなことがあって、マリアンとスーザンは仕事を離れてしばらくパリに行くことにした。

しかしマリアンからルークに届く手紙にはスーザンのことが書いてなかった。心配になってルーくもパリに行った。

スーザンはおらず、マリアンは「彼女の人生を変えてしまった」と泣いた。

◆ アルジェリア

スーザンは一人でアルジェリアに行ったとのこと。

ルークはアルジェリアに渡った。ある店に入ると歌っているスーザンを見つけた。

スーザンはルークを見ると抱き着いた。「マリアンからは勉強を強制させられる」と訴えた。

◆ ブルック・マシューズと会う

アメリカに向かう船。ルーク、マリアン、スーザンが乗っている。

その船にはブルック・マシューズという弁護士とその母親のマシューズ夫人が乗っていた。

ブルックは音楽家を支援する金持ちでもある。ルークはブルック母子の乗船を知って、船を合わせたらしい。

スーザンとブルックはダンスをした。

その後は、スーザンの仕事はうまく行っていた。

しかし、本作冒頭のように事件が発生する。

◆ まとめ

このあたりで過去の回想は終了する。

本作は「結論をはっきりとは述べないタイプの映画」である。それがいいかどうかはともかくとして、このような映画はたまに存在する。

本作は「A WOMAN'S SECRET」でWOMANと単数形になっている。このWOMANはスーザンのことである。

まずストーリーには出てくるが、上で私が説明しなかったことがある。

1.スーザンは看護師に事件の記事を見せられた。それには「マリアンがスーザンを撃った」と書いてある。

2.スーザンは、リーから貰った手紙を燃やした。それにはリーのスーザンに対する愛情/執着が表現されている。

最後には我々に、次のことが暗示/明示される。

スーザンはパリでリー・クレンショーと結婚した。

スーザンはアメリカに戻る船の中でブルックを好きになった。

スーザンは看護師に見せられた新聞を見て、マリアンの供述を知って、そのまま頬かむりしようとした。

マリアンについて言えば、スーザンとルークの関係を誤解した。最後は二人は誤解を解消して元の関係に戻った。

最後にスーザンを撃ったのは誰か?スーザンが拳銃を持って自殺しようとし、マリアンが止めさせようとして、二人が争っている。その中で弾が発射される。映像としては「どちらが撃った」とははっきり分からないようになっている。
 


■ 出演作

◆ グロリア・グレアム
(1949)女の秘密/A Woman's Secret
(1949)渓谷の銃声/Roughshod
(1950)孤独な場所で/In a Lonely Place
(1952)突然の恐怖/SUDDEN FEAR
(1953)復讐は俺に任せろ/The Big Heat
(1959)拳銃の報酬/ODDS AGAINST TOMORROW

モーリン・オハラ
(1941)わが谷は緑なりき/How Green Was My Valley
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1963)マクリントック/McLintock!
(1952)すべての旗に背いて/Against All Flags
(1945)海賊バラクーダ/THE SPANISH MAIN
(1947)船乗りシンバッドの冒険/Sinbad the Sailor
(1947)三十四丁目の奇跡(奇蹟)/Miracle on 34th Street
(1939)ノートルダムのせむし男/The Hunchback of Notre Dame
(1949)恋に踊る/Dance, Girl, Dance
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1954)マラガ/Malaga
(1939)巌窟の野獣/Jamaica Inn
(1946)センチメンタル・ジャーニー/Sentimental Journey
(1955)ゴダイヴァ夫人/Lady Godiva of Coventry
(1952)カンガルー/Kangaroo
(1949)禁じられた街/Forbidden Street/Britannia Mews
(1961)荒野のガンマン/The Deadly Companions
(1956)陰謀のリスボン/Lisbon
(1998)タクシーでカナダへ/Cab to Canada
(1949)女の秘密/A WOMAN'S SECRET