■ Sinbad the Sailor
シンバット(ダグラス)が乗った船はバスラに流れ着き、シャイリーン姫(モーリン)に会った。シャイリーンはシンバットをアーメド王子と誤解した。
二人とダイブール首長のエミール(アンソニー)はアレキサンダー大王が遺したと言われる宝物を求めて、協力&争いながらデリアバーに向かった。


製作年:1947、監督:リチャード・ウォーレス、脚本:ジョン・ツウィスト、原作:ジョン・ツウィスト、ジョージ・ワーシング・イエーツ


■ はじめに

シンバットが宝物を探しに行く映画。ふざけた感じの画面が連続しているが、最後は「宝物よりももっと大事なものがある」ということを認識する素晴らしい映画である。

登場人物(キャスト)
 シンバッド(ダグラス・フェアバンクス・Jr.) → アーメド王子と誤解
 アブー(ジョージ・トビアス) シンバットの相棒
 メリク(ウォルター・スレザック) シンバットの部下
 シャイリーン姫(モーリン・オハラ) バスラの支配者
 ピルーズ(ジェーン・グリア) シャイリーンのメイド
 エミール(アンソニー・クイン) ダイブールの首長
 アガ王(アラン・ネイピア) アーメド王子の父親

本作では「シンドバッド」ではなく「シンバッド」となっている。
 


■ あらすじ

◆ 大王の宝の地図を見つける

船乗りのシンバッドと相棒のアブーは海の上で船を見つけたが船員はすべて死亡していた。船の名前はアーメド号。

船の中には地図があり、また飾り窓のデザインが一年前に市場で買ったメダルの模様と一致した。

その地図はアレキサンダー大王から伝わる財宝が隠されているデリアバーの位置を示すものと考えられた。

またメダルはアーメド王子のもののようである。

しかし地図は何者かによって盗まれた。

◆ バスラでシャイリーンに会う

バスラに到着して当地を支配しているシャイリーン姫に会った。シンバットがシャイリーンに惹かれたことは言うまでもない。

シンバットが例の宝物の話をし、メダルを見せるとシャイリーンはシンバットをアーメド王子と誤解した。

シャイリーンがデリアバーの位置を知ってもいるようだったので「一緒に行こう」と誘ったが断られた。

◆ ダイブールに到着した

シンバットは船員を雇って出港した。船員の中には得体がしれないメリクがいた。

シャイリーンはダイブールの首長エミールと良い仲で、シンバットから聞いたことを話した。二人はシンバットがデリアバーの位置を知っていると思い、シンバットの船を追いかけた。

ダイブールの港に入った。エミールの本拠地。先にエミールとシャイリーンの船が到着していた。

◆ シャイリーンをさらう

シンバットは宮殿に侵入してシャイリーンと会った。そこでエミールが来てシンバットと会って、同じくアーメド王子と思ってしまう。

ここはいろいろゴチャゴチャするが、シンバットはシャイリーンを抱えて自分の船に連れ帰った。シャイリーンは騒いで不穏な雰囲気。

ダイブールを出港した。

◆ エミールに捕らえられた

エミールの船が追いかけてきた。戦闘となるが、シンバット、アブー、メリク、シャイリーンは捕らえらてエミールの船へ。またシンバットの船の船員はエミールの船の奴隷としてオール漕ぎをやらされた。

ある島に連れてこられてデリアバーの位置を白状するように追及された。ここで誰もデリアバーの位置を知らないことが判明。

しかしメリクを追求するとデリアバーの位置を知っているという。地図を盗んだのはメリクと判明したが、メリクは「地図は処分した。自分の頭の中にある」と頭を指さした。

◆ デリアバーの宮殿

再度出港し、デリアバーの島に到着した。一行はボートに乗って上陸した。

何もない場所かと思われたが、トンネルを抜けると立派な宮殿が見えた。しかし宮殿には宮殿の主の老人と召使が一人いるだけであった。

その老人がアーメド王子の父親アガ王である。

◆ アガ王は宝に拘泥しない

アガ王を追求すると「宝はある」というが、それには何のこだわりもないようなことをいう。

アガ王はシンバットがアーメド王子でないことは分かっているはずである。が、これまた問題としない。

アガ王はいろいろな話をして、何が大切なのかを説く。エミールとメリクは、アガ王がなかなか宝のことを言わないのでイライラする。アガ王は意に介さない。

一方シャイリーンは「宝よりもアーメド王子が大事」というのでエミールと対立する。エミールの部下たちが武器を持って取り囲んだ。

エミールは部下に命じてシャイリーンを船に戻そうと連れ出した。

◆ 宝が見つかった

エミールが剣を突き付けて追及した。シンバットはアガ王に「教えるな」と叫んだ。

しかしアガ王は宝の場所を指示した。大理石で作られた池の中から宝が現れた。

メリクはそれを見て「人生の目的を達した」と死亡した(→詳細省略)。エミールは歓声を上げて喜びに浸った。「世界を征服できるっ!」と叫んだ。

◆ エミールとの対決

シンバットとアブーはシャイリーンを助けようと追いかけた。シャイリーンはエミールの船に連れてこられた。シンバットも船に乗り込んだ。エミールの部下と戦った。

ここで奴隷にさせられていたシンバットの部下たちは、スキを見て敵を倒して船を占領した。

エミールは宝物を積んでボートで船に戻ってくる。しかし船からはボートに対して火の玉が飛んでくる。注、灼熱した球を投石器で飛ばす。

何度か火の玉を飛ばすとボートに命中しエミールは滅びた。

◆ 「宝はここにある」

シンバットはシャイリーンと故郷に戻った。「宝は見つかったか?」と問われた。少しばかり持ってきた宝をみんなの前にばらまいた。みんなが走り寄る。

シンバットは、自分の頭や胸を指さして「宝はここにある」と言ってポーズを取った。

そしてシャイリーンを抱きしめて「これも宝」と言った。二人はキスをした。

シンバットの八回目の冒険航海は終了した。
 


■ 蛇足

エミールの船は帆もあるが、オールでも漕ぐようになっている。オールは床にしばりつけられた奴隷が漕ぐ。

本作はインド洋の話だが、地中海で古代から近代まで使われた船は、このようなタイプの船である。船の大きさや形でいろいろな名称がある。

エロール・フリン&ブレンダ・マーシャルの「(1940)シー・ホーク/The Sea Hawk」に登場するスペイン船は、このタイプでオールがきちんと描かれている。他では見かけない。
 


■ 出演作

モーリン・オハラ
(1941)わが谷は緑なりき/How Green Was My Valley
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1950)大城塞/Tripoli(1950)
(1963)マクリントック/McLintock!
(1952)すべての旗に背いて/Against All Flags
(1945)海賊バラクーダ/THE SPANISH MAIN(1945)
(1946)船乗りシンバッドの冒険/Sinbad the Sailor(1946)
(1947)三十四丁目の奇跡(奇蹟)/Miracle on 34th Street
(1939)ノートルダムのせむし男/The Hunchback of Notre Dame
(1949)恋に踊る/Dance, Girl, Dance
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1954)マラガ/Malaga
(1952)剣豪ダルタニアン/Sons of the Musketeers
(1950)コマンチ族の怒り/COMANCHE TERRITORY
(1939)巌窟の野獣/Jamaica Inn
(1946)センチメンタル・ジャーニー/Sentimental Journey
(1955)ゴダイヴァ夫人/Lady Godiva of Coventry
(1952)カンガルー/Kangaroo