■ Buffalo Bill
バッファロー・ビルは先住民に対して理解がある人物であった。
鉄道建設の件で騎兵隊と先住民が衝突したときに、騎兵隊の勝利に大いに貢献し英雄となった。
しかし勲章を貰った時に先住民に理解を促す演説をしたために、今度は逆に猛烈に攻撃された。


製作年:1944、脚本:イーニアス・マッケンジー、クレメンツ・リプリー、セシル・クレーマー、監督:ウィリアム・A・ウェルマン


■ はじめに

本作は実在の人物、バッファロー・ビル(ウィリアム・フレデリチ・コディ)についての伝記。映画なので、それなりの脚色はあるだろうが、それはオーケー。

登場人物(キャスト)
 バッファロー・ビル(ジョエル・マクリー) ウィリアム・フレデリチ・コディ
 ルイーザ・フレデリチ・コディ(モーリン・オハラ) ビルの妻
 フレデリチ上院議員(モロニー・オルセン) ルイーザの父親
 ブレイジャー将軍(マット・ブリッグス)
 ネッド・バントライン(トーマス・ミッチェル)
 チップス・マッグロー軍曹(エドガー・ブキャナン)
 イエローハンド(アンソニー・クイン) シャイアン族の酋長の息子
 ドーン・スターライト(リンダ・ダーネル) 教師、イエローハンドの妹
 ヴァンダーヴィア(ジョージ・レッシー)
 


■ あらすじ

◆ シャイアン族に襲撃された

1877年。クラーク砦に向かう馬車。フレデリシ上院議員と娘のルイーザとヴァンダーヴィアが乗っている。

馬車がシャイアン族に襲撃された。逃げていくが馬車が転倒。馬車を盾にして反撃するが不利の情勢である。

ここでバッファロー・ビルが登場。シャイアン族は撤退した。フレデリチは「あいつらを根絶やしにしてやる」と言うが、ビルは使われた矢を見て「これは狩猟用、白人の酒で酔っぱらった連中」と言う。

ルイーザはビルを見つめている。馬車が使えなくなったので一行は馬に乗って砦に向かった。

◆ ドーン・スターライト

砦で食事会が開かれた。ビルがシャイアンの襲撃を抑えたことを褒められた。しかしビルは「彼らは本来は善良な民」と言う。ルイーザは「こちらからは手を出すなということね」とビルの肩を持つ。

ドーンは、この砦で子供の教師をしている。小学校低学年くらいの子供が相手。

ドーンは窓からルイーザの部屋に入ってきた。ルイーザの服をいくつも取り出して来た。嬉しそうな顔。

ルイーザが入ってきた。ドーンは「白人のドレスを着れば、綺麗になるかもと思ったの」と言い訳する。ルイーザはドーンを責める様子もなく「とても綺麗よ」と褒める。ドーンはさらに嬉しそう。

しかしルイーザが来ていた服をプレゼントすると言うと、ドーンは突然「先住民が着たから要らないのね」とひがんで出て行った。

◆ 鉄道建設

フレデリチ上院議員、ブレイジャー将軍、ヴァンダーヴィアやビルが鉄道建設計画について話している。

現在の計画はシャイアンの土地を横切るもの。ビルは「シャイアンの土地を通さないで鉄道をひけないか?」というが「工期が一年延びて、費用が二倍になる」と反論された。

イエローハンドが来た。鉄道建設の件で立ち退きを要求する。イエローハンドは拒否する。イエローハンドは立ったままなのでビルは「頼みごとをするのに、なぜもてなさないのか?」と疑問を呈する。イエローハンドは出て行った。

ビルは「彼らは恩を忘れないし、恨みも忘れない」。

◆ ビルが人質になった

鉄道建設に反対してシャイアン族が蜂起した。シャイアン族の立場から言えば譲れないものである。

戦いは運動戦となって自由自在に動き回って攻撃をする。シャイアン族有利の展開となった。

クラーク砦にシャイアン族が近づいてきた。騎兵隊は出撃の準備をしているが、ビルは外で戦うのは不利という話をするが、しかしブレイジャー将軍は耳を貸さない。ビルは騎兵隊と一緒に出撃した。注、ビルは民間人だが、この付近の地理に詳しい。

ドーンが「この砦には重要人物がいるから捕虜にすれば交渉しやすい」と先住民の使いをイエローハンドにやる。

砦から騎兵隊が出撃した。そのすきにシャイアン族が砦を襲撃した。フレデリチ上院議員が人質になり連れ去られた。ルイーザは縛られた。先にシャイアン族が砦に近づいたのも、騎兵隊を誘い出すための偽装である。

騎兵隊が戻ってきた。夜明けを待ってビルは調査に出かけた。シャイアン族の部隊に出会ったが、ビルも人質になった。

イエローハンドが来てビルに「川の間の土地を我々に渡すなら和平に応じる。でなければ戦いになる」。ビルはかってイエローハンドの命を助けたことがある。イエローハンドはビルの腕のロープを切断して「借りは返した。友情は終わりだ」と言った。

フレデリチ上院議員とビルはクラーク砦に戻った。このことでルイーザはビルに礼を言った。それをドーンが見ている。

その後、政府とシャイアン族の間で講和が成立した。

■ ビルとルイーザは結婚した

ビルはルイーザと結婚すると言っている。しかしまだプロポーズはしてないらしい。

ビルの部屋にルイーザが入ってきた。ルイーザは期待している目つき。でもビルが何も言わない。ルイーザが話を持たせるために何かと喋る。見ている方もじれったい。

しかしやっとのことで、ビルがルイーザを抱きしめてプロポーズした。ドーンはがっかりした。

砦のすぐに近くに家を建てた。

◆ 観光会社

ヴァンダーヴィアが観光会社を始めた。フレデリチ上院議員も幹部に名前を連ねた。どんな会社かと言えば、バッファロー狩りを楽しむ観光を主催する。

これは大きな人気を呼び東部からの観光客が殺到した。

ことの当然として多くのバッファローが殺害された。その数はあまりにも多く、バッファローが少なくなってきた。

先住民にとっては、これは死活問題である。先住民は生活に必要な分しかバッファローを取らないので、このような問題は発生しなかった。

ビルもこの会社の支社長を引き受けていた。そしてルイーザは妊娠した。

シャイアン族は狼煙を上げて各地に連絡を取った。対してスー族が呼応した。

砦のドーンに手紙が届いた。ドーンは子供たちに「もうお別れ。私は村に帰ります」という。事情が分からない子供たちは悲しんだ。

◆ 子供が生まれた

ルイーザの出産が近づいた。ビルとルイーザは馬車に乗って医者のところに向かった。

途中でシャイアンの老女が住んでいた。一人である。他の人は移動したとのこと。ルイーザはこのことに疑問を持つが、仕方がないことらしい。

老女に別れを告げて川まできた。ここでもう子供が生まれそうになった。先ほどの老女の家に戻った。

赤ん坊が生まれた。親切に世話をしてくれた。男の子。名前はキット・カースン・コーディとなった。ビルによれば西部の勇者に由来する。

ルイーザは「東部で暮らさない?」と提案する。

◆ 先住民と決戦

ついにシャイアン族とスー族が旗を上げた。彼らは次々と出撃していく。家族が見送った。原野を疾走する。

砦に戻ってきたビルは「カスター将軍がスー族にやられた。部隊も全滅した。力を貸してくれ」と頼まれた。

そして「今すぐに出発する」と言われたので、ビルはその場で決断した。ルイーザは「行かないで」と言ったが、ビルは騎兵隊と一緒に出発した。注、ビルは民間人なので行く必然性はない。

ブレイジャー将軍「まだシャイアンは蜂起してない」ビル「いずれ蜂起する」。「ウォーボネット峡谷を制すれば勝てる」と話して部隊を動員する。

先住民の部隊もウォーボネット峡谷に向かって続々と集結している。イエローハンドとドーンもいる。しかし騎兵隊の集結が遅れている。

ビルは一人で進んでいった。イエローハンドが見えるところまで進んだ。

「シャイアンの戦いではない」「いや、我々の戦いだ」「話し合おう」「白人の言葉は信じない」とやり取りする。これは実は騎兵隊集結のための時間稼ぎである。

イエローが立ち去ろうとするので、ビルはひどい言葉を言って挑発する。二人は殴りあって戦った。イエローハンドが死んだ。

結果をみて、先住民の部隊が突撃してきた。騎兵隊も突撃した。大乱戦。

さらに騎兵隊の増援部隊が到着した。先住民の部隊は撤退した。後にはドーンの死体もあった。

◆ ビルは勲章を貰った

クラーク砦に郵便がきた。ビルに大統領からの手紙。今回の勝利に対して勲章を授与するとのこと。ブレイジャー将軍も喜んだ。

ビルとルイーザは列車で東部に向かった。途中の駅ではビルの活躍を紹介した新聞や書籍が売られている。

ここでキット・カースンが病気となった。ジフテリア。あっけなく死亡した。ルイーザは「西部に残っていれば死なずに済んだ」。

ビルは息子の死もあってか、酔っぱらって「先住民を殺した男に勲章」と自虐的な言葉を吐く。

勲章の授章式。ここでビルは少しばかり捨て鉢な態度で先住民の状況に理解を求めるような内容の演説を行った。

ビルの演説は客観的にみれば、それほど極端な内容ではなかったのだが、新聞にメチャクチャに書かれて批判された。今までは賞賛ばかりであったのが、逆方向に極端に振れた。

ビルはホテルを追い出された。一般の人の人気も一気に逆転した。

◆ 見世物小屋

ビルは放浪した。金がなくなって見世物小屋で拳銃の腕前を披露している。

あまりにも拳銃の腕前がすごいので警官が怪しむ。「バッファロー・ビルだ」と言うが信用されない。

ルイーザは「離婚しなさい」と言われているが、離婚はしたくない。

ビルの噂を聞いて出かけた。ちょうど現れたルイーザに親指と人差し指で硬貨を摘ませる。ビルはその硬貨を見事に打ち抜いた。

二人は抱き合う。ルイーザは「西部に戻れば、このような仕事はしなくてよい」と言うがビルは渋る。

◆ 西部ショー

ビルとルイーザは、見世物小屋の路線を少々変更した。

西部や先住民の生活や文化、騎兵隊と先住民との闘いなどを紹介する「西部ショー」を始めた。もちろんビルの拳銃の腕前も披露する。

これは生活を維持するのみならず、ビルの先住民に対する思いを表現することになった。
 


■ 出演作

◆ ジョエル・マクリー
「サリヴァンの旅 Sullivan's Travels (1941)」
「復讐の二連銃 Ramrod (1947)」
「大平原/Union Pacific (1939)」

モーリン・オハラ
(1941)わが谷は緑なりき/How Green Was My Valley
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1950)大城塞/Tripoli(1950)
(1963)マクリントック/McLintock!
(1952)すべての旗に背いて/Against All Flags
(1945)海賊バラクーダ/THE SPANISH MAIN(1945)
(1946)船乗りシンバッドの冒険/Sinbad the Sailor(1946)
(1947)三十四丁目の奇跡(奇蹟)/Miracle on 34th Street
(1939)ノートルダムのせむし男/The Hunchback of Notre Dame
(1949)恋に踊る/Dance, Girl, Dance
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1954)マラガ/Malaga
(1952)剣豪ダルタニアン/Sons of the Musketeers
(1950)コマンチ族の怒り/COMANCHE TERRITORY
(1939)巌窟の野獣/Jamaica Inn
(1946)センチメンタル・ジャーニー/Sentimental Journey

◆ トーマス・ミッチェル
「駅馬車/Stagecoach(1939)」
「風と共に去りぬ/Gone with the Wind(1939)」
「ノートルダムの傴僂男/The Hunchback of Notre Dame(1939)」
「海の征服者/The Black Swan(1942)」
「暗い鏡/The Dark Mirror(1946)」
「真昼の決闘/High Noon(1952)」
「コンドル/Only Angels Have Wings(1939)」

◆ アンソニー・クイン
「壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On(1941)」
「革命児サパタ - Viva Zapata! (1952)」
「船乗りシンバッドの冒険/Sinbad the Sailor(1946)」
「すべての旗に背いて/Against All Flags(1952)」
「海の征服者/THE BLACK SWAN(1942)」

◆ リンダ・ダーネル
「血と砂/Blood and Sand(1941)」
「荒野の決闘/My Darling Clementine(1946)」
「海賊黒ひげ/Blackbeard the Pirate(1952)」
「永遠のアンバー/Forever Amber(1947)」
「戦慄の調べ/Hangover Square(1945)」
「殺人幻想曲/Unfaithfully Yours(1948)」
「堕ちた天使/Fallen Angel(1945)」