■ Miracle on 34th Street(1947)
メイシーズデパートの管理職ドリスは、感謝祭の日に行われるサンタのパレードで白い長い顎鬚の老人クリスにサンタ役を依頼した。
クリスは引き続きデパートの中でサンタをやることになった。クリスは子供や親には非常に好評であった。
しかしメイシーズの精神科医ソーヤーとトラブルになり、ソーヤーのたくらみで精神病院に入れられそうになった。
裁判所で聴聞会が開かれた。そこでクリスは「私はサンタ」と主張した。ドリスの隣に住む弁護士のフレッドがクリスの弁護を引き受けた。
フレッドも「クリスはサンタ」と主張し、「証拠を提出する」と大見得を切った。さてどうなるか?。


製作:1947年、脚本:ジョージ・シートン、監督:ジョージ・シートン  


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ドリス・ウォーカー(モーリン・オハラ) メイシーズの管理職、シングルマザー
 スーザン・ウォーカー(ナタリー・ウッド) ドリスの娘
 クリス・クリングル(エドマンド・グウェン) サンタクロース
 フレッド・ゲイリー(ジョン・ペイン) 弁護士、ドリスの隣に居住
 R・H・メイシー(ハリー・アントリム) メイシーズの社長
 ジュリアン・シェルハマー(フィリップ・タング) ドリスの同僚
 グランヴィル・ソーヤー(ポーター・ホール) メイシーズの精神科医
 アルフレッド(アルヴィン・グリーンマン) メイシーズの従業員、17歳
 ピアース(ジェームズ・シーイ) クリスがいた老人ホームの精神科医
 ヘンリー・ハーパー(ジーン・ロックハート) 判事
 トーマス・マーラ(ジェローム・コーワン) 検事

本作は四回もリメイクされている。本作と合わせて五回。ナタリー・ウッドが子役というのもすごいな。
 


■ あらすじ

◆ サンタのパレード

感謝祭の日(11月第4木曜日)マンハッタン7番街34丁目では、デパートのメイシーズが主催するサンタのパレードが行われる。

パレードの責任者のドリスは準備に追われて忙しかった。そこに白い長い顎鬚の老人が来た。クリス。クリスは「サンタ役が酔っぱらっている。けしからん」と訴えた。

ドリスはクリスの風貌を見て、急遽サンタ役をクリスに依頼した。クリスは断ったものの、ドリスが強引に依頼すると引き受けた。

パレードが始まった。沿道では多くの家族連れが見ている。

◆ フレッド・ゲイリー

ドリスはパレードが始まったので、とりあえず自分のアパートに戻った。ちょうどパレードを見下ろす位置にある。

一人娘のスーザンが隣のフレッドの部屋に行っている。隣同士で弁護士であることは知っているが親しくはない。しかしスーザンはませた口ぶりでフレッドと楽しそうに話している。昨日はスーザンとフレッドは動物園に行ったらしい。

フレッドはドリスに「君と会いたかった、子供と親しくすれば成功すると思った」。「ひどい企みね」「でも成功した」と展開した。

フレッド:「スーザンはサンタを信じてない」ドリス:「きちんと現実を話すべきよ」。ドリスは仕事としてサンタのパレードをしているが、スーザンには「サンタなんていないのよ」と言っている。

三人で食事をすることになった。

◆ クリスはメイシーズの売り場に

パレードが終わって、クリスはサンタ姿でメイシーズのおもちゃ売り場に立つことになった。

売り場の責任者からは売れ残っていた在庫を売りさばくように指示されるが、クリスはあまり気にしていない。

子供が詰めかけるが、クリスはそれぞれに優しく話しかけた。もちろん商品の説明はする。

しかし子供が欲しがる商品が売り場にない時に、「××(他のデパート)にある」と言ったりするので、売り場の責任者は憤慨した。

しかしこの態度はお客から感動されて、むしろメイシーズの売り上げは上がった。

スーザンとドリスとフレッドも売り場に来ている。スーザンはまた「サンタなんていない。買ってくれるのはママ」と言う。ドリスもフレッドに「おとぎ話を信じて育った子供は現実に適応できない」。

しかしスーザンはクリスが大好きなようである。嬉しそうに話している。

ドリスはクリスに「スーザンに本当のサンタじゃないと話して」と要求した。しかしクリスは「私はサンタだ」と答えた。ドリスはクリスを首にした。

◆ クリスはフレッドと同居する

さてドリスはメーシー社長に呼び出された。クリスの「(場合によっては)他のデパートの商品も勧める」といういわば逆転の発想が効果を現わしたことで、クリスを正社員にするという。「この方針を徹底すれば、さらに売り上げが上がる」と興奮気味である。

慌ててドリスはクリスを呼び戻した。クリスも嬉しそうである。

クリスはメイシーズの精神科医ソーヤーの診断を受けることになった。社員ならば受けなければならない。

ドリスはクリスが住んでいた老人ホームの医師ピアースに連絡を取った。

クリスは、ソーヤーの質問に難なく答えた。しかしクリスがいろいろと余計なことを言ったので、ソーヤーはイライラした。

ソーヤーはドリスに電話をして、ドリス、ソーヤー、ピアースが会うことになった。しかしここでソーヤーは「彼をすぐに解雇すべき」と意外なことを口走った。「集中力がない。話題を変えて私に質問した」。さらに「精神病院に入れるべきだ」と追い打ちをした。

ピアースはクリスを弁護した。「クリスに暴力性はない。妄想はあるが平和主義」。

ピアースとソーヤーは長々と言い合った。ソーヤーはドリスに「決めるのはあなただ。何かあったらあなたの責任」と言って部屋を出ていった。ピアースは出ていったソーヤーを指さして「あれこそ妄想だ」。

ドリスの同僚のジュリアン・シェルハマーは「クリスの通勤時間の問題もあるので社員の誰かと同居を」と提案した。

クリスは結局フレッドと住むことになった。スーザンはクリスが隣に住むことになって嬉しそう。クリスはフレッドに「もう少し頑張ればドリスと一緒に...」と言う。

スーザンはクリスと話して家の絵を見せて「これが欲しい」と言う。おもちゃではなく本物の家らしい。「サンタさんだったら叶えて」。クリスは「願いがかなわないことと、サンタがいないことは別」と答える。

◆ クリスが入院させられる

メイシーズでは、先般の「逆転の発想」に味をしめて、他店の商品も含めたカタログを作成した。そして他店もこれを真似た。

クリスは社員食堂で17歳の少年のアルフレッドと話をした。ソーヤーがアルフレッドが顧客に親切すぎることを注意したとのこと。「過去の罪の意識があるから、そのようなことをする」。

クリスはソーヤーの部屋に行ってアルフレッドのことで抗議をした。「君こそ患者だ」と言ってソーヤーを殴った。

クリスは売り場で仕事をしていると「広告用の写真をとる」と呼び出された。

車に乗った。しかし行き先は精神病院だった。

◆ フレッドとドリスは戦いを決意する

フレッドは病院に呼びだされて「クリスの私物を病院に」と言われた。フレッドが病院に行くとクリスは隔離されていた。

クリスは(騙されて)ドリスに疑いを持っていたが、フレッドが釈明。「ソーヤーが仕組んだ」。

フレッドは「難しいが、ここから出してやる」と言って病院を出た。一方ソーヤーは社長から責められた。

フレッドは、判事を訪ねて行って聴聞会を要求した。同じく判事を訪ねたソーヤーは、(社長から叱られたので)事件を取り下げるように依頼したが、もうすでに手続きが踏まれていた。

ソーヤーはフレッドに対して「表に出さずに処理してほしい」と言ったがフレッドは拒否した。なぜかフレッドは強気。

聴聞会の件が新聞で報道された。「善意のサンタ、医師(ソーヤー)が異常を疑う」。判事のヘンリー・ハーパーは孫から嫌われた。

◆ 「クリスはサンタ」

聴聞会は「クリスが異常であり、病院に入れる必要があるのか?」という趣旨である。

検事のトーマス・マーラはクリスに「あなたは自分がサンタだと信じているか?」と聞く。クリスは「もちろん私はサンタ」と答える。対して判事はフレッドに質問をするかと聞くが、フレッドは「質問はありません」と答える。

フレッドは「クリスは誤解されている。クリスは本当にサンタ。彼がサンタだと証明する」と驚くべきことを言う。

ドリスはフレッドの主張に驚く。「助けようとする気持ちは素晴らしいけど、現実を見つめなきゃ」。みんなも驚く。もちろん我々も驚く。

しかしフレッドは真剣である。「信じれば常識を超える」。ドリスは「失敗するわ」。二人は喧嘩した。

トーマスは子供から責められている。いや妻からも「あの人はいい人よ」と責められている。

フレッドは子供を証人に連れてきて「サンタはいる?誰?」と聞いた。子供はクリスを指さした。トーマスの子供も連れてきた。「パパはサンタがいると言っていた」。これを見てメーシー社長も子供たちの顔を思い浮かべながら「彼はサンタ」と証言。傍聴席はざわついた。そしてフレッドはトーマスに「クリスがサンタでない証拠を」と要求した。

フレッドの意外な反撃にトーマスは「権威ある機関の証拠はあるか?」と言うと、フレッドは堂々と「明日提出する」ときっぱりと言った。傍聴席でアルフレッドはドリスに「もうおしまいだ」と言った。

さて郵便局には、サンタ(クリス)宛ての手紙がいっぱい来ている。五万通くらいある。郵便局はこの手紙を裁判所に届けた。

フレッドは、この手紙の山を前にして「国の正式機関である郵政省がクリスはサンタであると認めている」と主張。

結果は棄却となり、クリスは入院を免れた。

◆ スーザンにもプレゼント

クリスがいた老人ホームでバーティが開かれ、ドリス、スーザン、フレッドが招待された。社長のメーシーも来た。

さてスーザンは、もともとはサンタの存在を信じていなかったのだが、「サンタに頼んだプレゼントがない」と言い始めた。ドリスは「最初は思い通りに行かなくても、信じ続けるのが大事なの」とごまかした。

バーティが終わって、三人が車に乗っていく。スーザンが突然「止まって!」。

スーザンは走って、近くの家に入っていく。スーザンが欲しかったのは(アパートではなく)一軒家。ちょうど売りに出されている。

「こんな家が欲しかったの」。

フレッドは「スーザンをがっかりさせられない」と言ってドリスにキスした。でもまだ結婚してないけど。
 


出演作

ナタリー・ウッド
「ウエストサイド物語/West Side Story(1961)」
「地上(ここ)より永遠に/From Here to Eternity(1979)」

エドマンド・グウェン
「三十四丁目の奇蹟/MIRACLE ON 34TH STREET(1947)」(エドマンド・グウェン、モーリン・オハラ、ジョン・ペイン、ナタリー・ウッド)
「ハリーの災難/The Trouble with Harry(1955)」(エドマンド・グウェン、ジョン・フォーサイス、シャーリー・マクレーン、ミルドレッド・ナトウィック)
「二重結婚者/The Bigamist(1953)」(ジョーン・フォンテイン、エドモンド・オブライエン、アイダ・ルピノ、エドマンド・グウェン、ケネス・トビー、ジェーン・ダーウェル)

ジョン・ペイン
「大城塞/Tripoli(1950)」(ジョン・ペイン、モーリン・オハラ、ハワード・ダ・シルヴァ、コニー・ギルクリスト)
「アリバイなき男- Kansas City Confidential (1952)」(ジョン・ペイン、コリーン・グレイ、プレストン・フォスター、ジャック・イーラム、リー・ヴァン・クリーフ、ネヴィル・ブランド)
「三十四丁目の奇蹟/MIRACLE ON 34TH STREET(1947)」(エドマンド・グウェン、モーリン・オハラ、ジョン・ペイン、ナタリー・ウッド)

ポーター・ホール
「サリヴァンの旅/Sullivan's Travels(1941)」(ジョエル・マクリー、ヴェロニカ・レイク、ロバート・ワーウィック)
「ミズーリ大平原/Pony Express(1953)」(チャールトン・ヘストン、ロンダ・フレミング、ジャン・スターリング、フォレスト・タッカー)
「平原児/The Plainsman(1936)」(ゲイリー・クーパー、ジーン・アーサー、ジョン・ミルジャン)

ジーン・ロックハート
「群衆/Meet John Doe(1941)」(ゲイリー・クーパー、バーバラ・スタンウィック、ウォルター・ブレナン)
「壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On(1941)」(エロール・フリン、オリヴィア・デ・ハヴィランド、アーサー・ケネディ、チャーリー・グレープウィン、ジーン・ロックハート、アンソニー・クイン、スタンリー・リッジス、シドニー・グリーンストリート)

ジェローム・コーワン
「暗黒街の弾痕/You Only Live Once(1937)」(ヘンリー・フォンダ、シルヴィア・シドニー、ウィリアム・ガーガン、バートン・マクレーン、ジーン・ディクソン、ジェローム・コーワン、マーガレット・ハミルトン、ウォード・ボンド)
「ハイ・シエラ/High Sierra(1941)」(ハンフリー・ボガート、アイダ・ルピノ、アーサー・ケネディ、アラン・カーティス、ジョーン・レスリー、ヘンリー・ハル)
「マルタの鷹/The Maltese Falcon(1941)」(ハンフリー・ボガート、メアリー・アスター、ピーター・ローレ、シドニー・グリーン、ストリート、ウォード・ボンド)
 

モーリン・オハラ
(1941)わが谷は緑なりき/How Green Was My Valley
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1950)大城塞/Tripoli(1950)
(1963)マクリントック/McLintock!
(1952)すべての旗に背いて/Against All Flags
(1945)海賊バラクーダ/THE SPANISH MAIN(1945)
(1946)船乗りシンバッドの冒険/Sinbad the Sailor(1946)
(1947)三十四丁目の奇跡(奇蹟)/Miracle on 34th Street
(1939)ノートルダムのせむし男/The Hunchback of Notre Dame
(1949)恋に踊る/Dance, Girl, Dance
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1954)マラガ/Malaga
(1952)剣豪ダルタニアン/Sons of the Musketeers
(1950)コマンチ族の怒り/COMANCHE TERRITORY
(1939)巌窟の野獣/Jamaica Inn
(1946)センチメンタル・ジャーニー/Sentimental Journey