■ Malaga

戦略情報局(OSS)の諜報員ジョアンナ・デイン(モーリン)はモロッコのタンジールに来て、当地に蔓延る密輸団の調査を行う。
最初から怪しい男が付きまとう。


製作年:1954、監督:リチャード・セイル、脚本:ロバート・ウェスタービー


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ジョアンナ・デイン(モーリン・オハラ) OSSエージェント
 ヴァン・ローガン(マクドナルド・ケリー)
 ダニー・ボウイ(ジェームス。オハラ) ローガンと一緒に行動している若者
 フリスコ(ビニー・バーンズ) 「フリスコ」経営者
 リチャード・ファレル(Hugh McDermott) OSSエージェント
 ポール・デュポン(Leonard Sachs)
 オーギー(Harry Lane)

フリスコが経営する店も「フリスコ」なので、店を表すときは「フリスコ」と記述する。
 


■ あらすじ

◆ ジョアンナ・デイン登場

OSS(Office of Strategic Services/戦略情報局)のジョアンナ・デインはモロッコ北部、ジブラルタル海峡を望むタンジールに到着した。当地に蔓延る密輸団を調査するためである。

しかし到着早々からヴァン・ローガンという人物に付きまとわれた。いや、ホテルでも他にも怪しい人物が何人もジョアンナを見ている。ジョアンナが美人であるからという理由だけではないようである。

おまけにホテルの隣の部屋にいたエージェントのリチャード・ファレルが殺害された。そばには血がついたライターが落ちていた。

風呂に入っている間にローガンが部屋に侵入しジョアンナのバッグを調べた。

◆ 「フリスコ」

ジョアンナは予定通り「フリスコ」というクラブに出かけた。中に入るとホテルの時と同じように、またジロジロと見られた。

経営者のフリスコはOSSのエージェントであり、彼女とも接触することになっている。

ジョアンナは「フリスコ」の賭場で働くことになった。

中にいたポール・デュポン、オーギーと言った人物に目をつけた。またローガンもウロウロしていることは言うまでもない。

オーギーの武器。オーギーは杖に仕込んだ長い針を持っており、これで相手を刺す。

◆ マラガへ

ジョアンナとローガンは朝の町を散歩する。ローガンは洋服を買ってプレゼントする。二人が立ち去った後、店員の男は奥の部屋に入った。そこには店とは場違いな男たちがいて、いろいろな機械がおいてあった。男は無線でどこかに連絡した。

ローガンはデュポンに接触し、自分の船でデュポンの商品を対岸のスペイン・マラガに運んで、一儲けする計画を持ち掛けた。分け前の話も持ち出された。注、ここでは商品を「穀物」と話している。

デュポンにしてみれば、密輸団を裏切ることになる。デュポンは引き受けた。ローガンは立ち去った。

まだ詳細は分からないものの、一緒にいたジョアンナはデュポンに「一緒に行かせて」と頼んだ。デュポンは「危険すぎる」と拒否し、ジョアンナは「でも素敵でしょ」と再度頼んだ。

◆ 密輸団の攻撃

フリスコはローガンに「アメリカのエージェントが殺された」という記事を見せた。ファレルのこと。ローガンは先ほどのマラガ行の話をフリスコに暗示した。それをオーギーが近くの席から見ている。

ローガンが店から出ていくと、オーギーや他の男たちが目くばせをしている。

朝、港でローガンの船に荷物が次々と積み込まれた。ダニー・ボウイが小銃を持って警戒している。ジョアンナが登場した。予定外のことだったのでローガンは警戒の雰囲気。「お別れを言いに来たのか?」「一緒に行くのよ」。

船は出港した。ローガンとジョアンナが服を買った例の店の中では、この動向を把握してどうするか話している。

密輸団は船を出してローガンの船を追跡した。ローガンの船では、銃を出して戦闘態勢。注、ジョアンナはタバコを吹かしてのんびり。

密輸団は船を襲撃し積み荷を奪い取った。注、オーギーの船から銃撃を受けると簡単に降伏してしまう。

船は空荷でマラガに到着し、ローガンは税関で逮捕された。しかし係官を殴り倒して脱出した。ジョアンナはノーチェック。

◆ メンバーリスト

デュポンとジョアンナはホテルにいる。デュポンは覚悟を決めてタンジールのホテルの貴重品保管所に預けられている密輸団のメンバーリストを当局に渡して懸賞金を貰おうと画策した。

デュポンは保管所のカギをジョアンナに渡した。しかしデュポンはドアの外からオーギーの長い針に刺されて殺された。

それを見てジョアンナはヴェランダから逃げ出し、オーギーは追いかけた。ジョアンナは車に乗って逃げた。後席にはローガンが乗っている。

◆ ローガンを射殺

途中で止まった時に、ローガンはジョアンナに「カギを出せ」と迫った。

ローガンがカギを奪ったので、ジョアンナはバッグから拳銃を出して撃った。ローガンは倒れて車から落ちた。

ジョアンナはしつこく三発発射したが、わりと悲しそうな顔でローガンを見つめる。

◆ ローガンは生きていた

ローガンは防弾チョッキを着ていたおかげで命拾いした。ジョアンナにはまだ内緒だがローガンはOSSのエージェントである。

意識を回復したローガンはタンジールに戻り警察に行って手配を指示した。そこでローガンはジョアンナがOSSのエージェントであることを認識した。

◆ フリスコは密輸団のメンバー

ジョアンナはタンジールに戻ったが、またオーギーに追跡された。タクシーに乗って逃げた。

フリスコに到着した。フリスコの入り口にいた男性にカギを渡した。注、この男性は味方らしい。

中に入った。続いてオーギーも走りこんだ。カギを受け取った男性は出かけた。たぶん警察に。

しかしフリスコはジョアンナに拳銃を向けた。フリスコは密輸団のメンバーであった。オーギーが現れた。二人はジョアンナのバッグを調べたが、もちろんカギはない。

オーギーはフリスコを「ボス」と呼んでいる。ジョアンナは二人に連れ去られた。行き先はローガンとジョアンナが服を買った店。

その店では、逃亡の準備をしている。オーギーとフリスコは意見が対立し、オーギーはフリスコを射殺した。

一味は脱出するためにガラ海岸に向かった。ジョアンナも連れ去られた。

ローガンは警官隊を指揮して、店に突入したが。もぬけの殻。倒れているフリスコを発見した。フリスコは「ガラ海岸」と言って息絶えた。

◆ ガラ海岸

警官隊はガラ海岸に急いだ。

ガラ海岸では、密輸団が物を持ち出して船で脱出しようとしていた。ローガンが指揮する警察部隊が到着して激しい銃撃戦が展開された。

ジョアンナはオーギーの杖を奪って、針でオーギーを刺した。

密輸団のメンバーは射殺されるか逮捕された。ジョアンナはローガンが上司であることを知った。
 


■ 補足

ジョアンナは、ほぼ全場面に登場する。モーリン・オハラが好きな私としてはハッピー。しかし拳銃を撃ちまくるとか、そういった活躍はしない。

ジョアンナは、いくつものワンピースを取り換えて、毎度魅力的な姿で登場する。本作は、そのような視点の映画。だったらもっと綺麗な画面にしてほしかった。

「フリスコ」でダニー・ボウイが「ダンスをしてくれ」と言ってきたとき、ジョアンナはダニー・ボウイを柔道技で投げ飛ばす。一応柔道ができるという設定。

ジョアンナが目覚めるとローガンがそばにいた。「朝食を」と誘うが「私はいつも一人で食べるの」と切り返す。

ローガンはオーギーの船に襲われたときに頭を撃たれるが、絆創膏を張っているだけで、たいしたケガをしていない。普通なら死ぬと思うが。

ローガンがジョアンナをエージェントだと知らないのはおかしい。

ビニーはモーリン出演の「海賊バラクーダ/THE SPANISH MAIN(1945)」にも登場する。海賊のアン・ボニー役。

モーリンとマクドナルドは「コマンチ族の怒り」でも共演。
 


■ 出演作

モーリン・オハラ
(1941)わが谷は緑なりき/How Green Was My Valley
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1950)大城塞/Tripoli(1950)
(1963)マクリントック/McLintock!
(1952)すべての旗に背いて/Against All Flags
(1945)海賊バラクーダ/THE SPANISH MAIN(1945)
(1946)船乗りシンバッドの冒険/Sinbad the Sailor(1946)
(1947)三十四丁目の奇跡(奇蹟)/Miracle on 34th Street
(1939)ノートルダムのせむし男/The Hunchback of Notre Dame
(1949)恋に踊る/Dance, Girl, Dance
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1954)マラガ/Malaga
(1952)剣豪ダルタニアン/Sons of the Musketeers
(1950)コマンチ族の怒り/COMANCHE TERRITORY
(1939)巌窟の野獣/Jamaica Inn
(1946)センチメンタル・ジャーニー/Sentimental Journey

◆ マクドナルド・ケリー
(1947)疑惑の影/SHADOW OF A DOUBT

(1949)テキサス決死隊/Streets of Laredo
(1949)暗黒街の巨頭/THE GREAT GATSBY
(1951)結婚しましょう/LET'S MAKE IT LEGAL
(1954)マラガ/MALAGA
(1958)拳銃が支配する/MAN OR GUN
(1950)コマンチ族の怒り/COMANCHE TERRITORY