■ Forbidden Street/Britannia Mews
アデレイドは親の反対を押し切って画家のヘンリーと結婚した。ヘンリーは仕事をまじめにやらず、趣味でマリオネットを作った。
アデレイドが持って来た金は底を尽き、ヘンリーは酔って転落死した。
その後、ギルバートという男性と知り合い、ヘンリーが遺したマリオネットで人形劇をして評判を得た。 ギルバートには妻がいたが、妻は去り、二人は結婚した。


製作年:1949、監督:Jean Negulesco、脚本:Ring Lardner,Jr.、原作:Margery Sharp


■ はじめに

原題が二つ提示されているが「Britannia Mews」は原作本のタイトル。邦題は私が勝手につけた。日本語版はない。

◆ 登場人物(キャスト)
 アデレイド・カルヴァー(モーリン・オハラ) 主人公
 ヘンリー・ランバート(ダナ・アンドリュース) 夫、画家
 Mr.カルヴァー(Wilfrid Hyde-White) 父親
 Mrs.カルヴァー(Fay Compton) 母親
 トレフ・カルヴァー(Anthony Tancred) 弟
 アリス・ハンブロ(Anne Butchart) 従姉妹
 Mrs.ムンジー(Sybil Thorndike) 隣人
 ギルバート・ラウダーデイル(ダナ・アンドリュース) 弁護士、
 ミリー・ラウダーデイル(Mary Martlew) ギルバートの妻
 Miss.ブライアント(?) 一緒に絵を習っている女性

ごらんのようにダナ・アンドリュースが二役。ストーリーから言えば、ヘンリーとギルバートが似ている必然性はない。たぶんダナの出演場面を多くしたかったからだろう。

◆ Forbidden Street

タイトルは「行ってはいけない町」である。アデレイドが住んでいるところは裕福な町であるが、その外にある町のこと。

冒頭でアデレイドの子供の頃が示される。アデレイドは、興味に惹かれて「行ってはいけない」と言われている町に行ってしまう。アデレイドにとっては楽しい冒険であったが、帰ってから注意された。

大人になって、アデレイドは自分の家を出て、貧乏な人が住んでいるブリタニアミューズの住人ヘンリーと結婚する。
 


■ あらすじ

◆ アデレイド・カルヴァー

1800年ころ、ロンドン。アデレイドは裕福な家庭に育った。

大人になって絵を習い始めた。教師はヘンリー・ランバート。ブリタニアミューズにあるヘンリーの家で教えてもらう。

ブリタニアミューズは、アデレイドの家がある場所と違って、貧しい人々が住む場所である。

◆ ヘンリーと結婚

アデレイドは次第にヘンリーが好きになった。ヘンリーもアデレイドが好きなようである。

アデレイドは結婚したいと思うようになった。しかしヘンリーは、出自の違いを気にして結婚に消極的。

両親も二人の結婚には反対である。

しかしアデレイドが押し切る形で二人は結婚した。ヘンリーの家に転がり込んだ。

アデレイドは600ポンドを持って来たが、実家との連絡は途絶えた。注、1800年の600ポンドは、それなりの金と思われる。

ヘンリーの家は、石造りのアパートで、外から入ってくるとロビーになっており、そこから螺旋状に階段が上がっており、階段に沿ってそれぞれの部屋がある。ロビーの上は一番上まで素通しである。

住んでいる人々は言ってみれば、みんな貧しい人で、アデレードの育った環境から言えば、下品な人々であった。

しかしアデレードは、ヘンリーと結婚できた嬉しさもあって気にならなかった。

◆ ヘンリーとの生活

ヘンリーは画家ではあるが描いた絵は売れなかった。アデレイドはいつの日にかヘンリーが立派な画家になることを期待した。

自分が持参してきた金があるので、当面は生活に困らなかった。

ヘンリーは、仕事であるはずの絵画に集中せず、趣味のマリオネット人形を作り始めた。それは立派なものではあったが、金にはならなかった。ヘンリーはアデレードの心配をよそに、いくつもいくつもマリオネット人形を作っていった。

またヘンリーの酒量が増えて行った。そしてアデレードが持って来た金はだんだん少なくなってきた。

◆ ヘンリーが死亡

もう先の見通しがなくなり、アデレードはヘンリーと対峙した。

実に驚いたことにヘンリーは「アデレードの要求を受け入れて結婚しただけで、アデレードを愛してはいない」との暴言を吐いた。

アデレードに責められて、思ってもいない言葉が出てきたとも思えなくもないが、許し難い暴言である。

二人は部屋で激しく口論し、興奮したヘンリーは部屋から出た。そして一階のロビーまで転落し、石の床に叩きつけられた。

ヘンリーは死亡した。

◆ ムンジーに脅迫される

警察の捜査が行われた。同じアパートのムンジーが「ヘンリーが酔って転落した」と証言したので、アデレードは起訴されなかった。

しかしその後、ムンジーは、アデレードに金を要求し始めた。「金を払わないと、証言を撤回する」と脅す。

このような脅しは違法であるが、知識がないアデレードは金を払った。少しの金であるが、執拗に何度も要求してくる。

ムンジーは金蔓(かねづる)を失わないようにとアデレードが当地から離れることを阻止した。

またアデレードがいない時に母親が訪ねてきたが、応対したムンジーは「アデレードは引っ越した」と嘘を言って母親を帰した。

◆ ギルバートと知り合う

アデレードは、弁護士のギルバート・ラウダーデイルと知り合った。驚いたことにギルバートはヘンリーと瓜二つであった。

まずギルバートはアデレードを脅しているムンジーを「恐喝で訴える」と言って黙らせた。

アデレードはギルバートを好きになった。ギルバートも同様であったが、しかしギルバートは別居状態の妻がアメリカにいて、結婚することはできない。

ギルバートはアデレードのところに引っ越してきたが、実直な二人は別々の部屋で寝た。

◆ マリオネット人形劇

ギルバートはヘンリーが遺していったマリオネットを見つけた。ギルバートはマリオネットを使って人形劇をやってみようと提案する。

人形劇を近所の人に見せると非常に評判が良かった。

アデレードは、ヘンリーの道楽でやったもので、金になるとは思ってはいなかった。

二人はブリタニアミューズの一角に劇場を造り、人形劇を上演した。劇場は発展し、荒んだ町はファッショナブルな町に変わった。

そしてアデレードの弟のトレフが訪ねてきた。家族との交流も復活した。

◆ ギルバートと結婚した

ギルバートの妻ミリーが訪ねてきた。ミリーはギルバートに金を要求した。一方アデレードはギルバートにミリーの元に戻ることを提案した。実際二人の間には、性的な関係はなかった。

しかし実はミリーは別の男性と一緒におり、今更ギルバートと一緒になることはできなかった。それで金を要求したわけである。ミリーは立ち去った。

ここにいたって、アデレードとギルバートはめでたく結婚した。
 


■ 出演作

モーリン・オハラ
(1941)わが谷は緑なりき/How Green Was My Valley
(1942)海の征服者/THE BLACK SWAN
(1950)大城塞/Tripoli(1950)
(1963)マクリントック/McLintock!
(1952)すべての旗に背いて/Against All Flags
(1945)海賊バラクーダ/THE SPANISH MAIN(1945)
(1947)船乗りシンバッドの冒険/Sinbad the Sailor
(1947)三十四丁目の奇跡(奇蹟)/Miracle on 34th Street
(1939)ノートルダムのせむし男/The Hunchback of Notre Dame
(1949)恋に踊る/Dance, Girl, Dance
(1944)西部の王者/Buffalo Bill
(1954)マラガ/Malaga
(1952)剣豪ダルタニアン/Sons of the Musketeers
(1950)コマンチ族の怒り/COMANCHE TERRITORY
(1939)巌窟の野獣/Jamaica Inn
(1946)センチメンタル・ジャーニー/Sentimental Journey
(1955)ゴダイヴァ夫人/Lady Godiva of Coventry
(1952)カンガルー/Kangaroo

ダナ・アンドリュース
(1940)スワンプ・ウォーター/Swamp Water
(1944)ローラ殺人事件/Laura
(1945)堕ちた天使/Fallen Angel
(1946)我等の生涯の最良の年/The Best Years of Our Lives
(1947)影なき殺人/Boomerang
(1948)海の呼ぶ声/Deep Water
(1950)恐怖の一夜/Edge of Doom
(1956)口紅殺人事件/While the City Sleeps