■ Deep Waters
ソーシャルワーカーのアンは孤児のドニーを担当している。
アンの恋人で漁師のホッドはドニーと知り合って、ドニーの希望もあり漁に連れ出した。
アンは、それを危険だと判断して止めさせた。悲観したドニーは当地を出て行こうとする。


製作:1948年、原作:ルース・ムーア、脚本:リチャード・マーフィー、監督:ヘンリー・キング


■ はじめに

◆ 登場人物
 アン・フリーマン(ジーン・ピーターズ) ソーシャルワーカー
 フリーマン婦人(レオナ・パワーズ) アンの母親
 ホッド・スティルウェル(ダナ・アンドリュース) 漁師、アンの恋人
 ジョー・サンガー(シーザー・ロメロ) 漁師、ホッドと同じ船
 サンガー夫人(?) ジョーの妻
 ドニー・ミッチェル(ディーン・ストックウェル) 12歳、孤児
 ジョニー・ミッチェル(-) ドニーの父親、すでに死亡
 メアリー・マッケイ(アン・リヴィア) 孤児を預かっている女性
 ホセ・ホーヴェイ(エド・ベグリー) 造船所経営
 モリー・サッチャー(メエ・マーシュ) 夫が船乗りだが死亡
 マーティン(ブルーノ・ウィック) MARTIN'S DRUG STOREの店主
 ホプキンス(ハリー・タイラー) 買いとり屋(HOPKINS SWAP SHOP)の店主
 ウォーター判事(?)

ホッドとジョーの船の名前はHazler。明示はされないが舞台は島であると推測される。でないと解釈できない場面がある。

邦題がついているので「日本語化されたのでは?」と思うが見当たらない。英語版で見た。
 


■ あらすじ

◆ アンはホッドに指輪を返した

アン・フリーマンはメイン州のソーシャルワーカーをしている。恋人のホッド・スティルウェルは建築家を目指していたが、今はジョー・サンガーと船に乗って漁師をしている。

アンは船着き場に行って、以前にホッドから貰った指輪を返した。驚くホッドをおいてアンは立ち去った。

理由はホッドの仕事が危険なためである。漁師が死亡する事故がしばしば発生している。常にホッドの安否を心配しなければならない状態に耐えられない。

アンは、ホッドにまた建築家を目指しいほしいと思っている。

しかし、その後も、二人は険悪な様子ではなく、普通に付き合っている。単に婚約をしていないという状態。ダンスに行ったりもしている。

◆ ドニーをメアリー・マッケイに預けた

アンは孤児のドニー・ミッチェルを孤児の世話をするメアリー・マッケイの家に連れて行った。ドニーの父親も船の事故でなくなった。

メアリーの家は普通の住宅ではあるが、10人程度の孤児を預かっている。

メアリーはアンから書類を受け取って、若干厳しい感じでドニーに話した。

ドニーは、今までも時々、船に乗って島から逃げ出していた。アンはドニーがメアリーのもとできちんとしてほしいと思っている。

アンは「とってもいい子なんです」と言ってドニーを置いてきた。

◆ ホッドとドニーが知り合いになる

ホッドが海が見える森を歩いている。猟銃を持っている。ドニーも猟銃を持って歩いている。撃った。ドニーがしりもちをついたので、ホッドは笑った。注、子供のドニーが猟銃を持っていてもいいのか?

ホッドとドニーは初対面。ホッドが銃の撃ち方をアドヴァイスし、さらに自分の獲物をプレゼントした。

◆ ドニーがイタズラをする

ホッドとジョーはロブスターを取っている。沖に出て、カマボコ型の枠・トラップを沈めて、しばらくしてトラップを引き上げる。中に入っているロブスターを回収する。

ホッドとジョーが漁から帰ってきた。取ってきたロブスターを船着き場の箱に入れようとすると、中にドニーが隠れていた。イタズラをしていたようである。

ホッドはドニーを叱った。メアリーの家に連れて行った。ちょうどアンもいた。

ドニーを二階に上げて、三人は話した。ドニーにホッドとジョーの手伝いをさせることにした。

しかしアンは教会での葬式を目撃。そばにいた警官に聞いた。モリー・サッチャーの夫が死亡した。心配そうな顔。

◆ ドニーが手伝いをする

ドニーが嬉しそうに走ってきて、船のところまできた。ドニーは二人に注意されながらも、楽しそうに手伝った。船は出発した。

ドニーは手伝っている。トラップを引き上げた。獲物を回収して、また沈める。

港に戻ってきて、ロブスターを仲買人に売る。貰った代金の一部からドニーの給料を渡す。

ここでアンがきた。ドニーは嬉しそうにアンに報告する。

アンは、ドニーを帰らせて「危険なのでドニーには止めさせるように」とホッドに話した。

アンは先日はドニーに手伝いをさせることに賛成していたが、また漁師が死亡したというニュースで意見を変えている。

◆ ドニーはカメラを盗んだ

船着き場。ジョーとドニーがいる。ホッドが来てドニーに「漁に連れていけない」言い渡して、ドニーを置いて出港した。

ドニーはがっかり。ドニーは他の船に乗り込んで海を眺めた。

ドニーはボストンに行こうと決心した。ボストンまでのバス代を調べた。7.5ドル。注、なぜボストンなのかは不明。

足りない分を賄うために、雑貨屋(MARTIN'S DRUG STORE)でカメラを盗んだ。さらに買取屋(HOPKINS SWAP SHOP)に持ち込んで換金した。

ドニーはメアリーの家に戻ってきて自分の部屋で有り金を確認する。

メアリーは二階の部屋に行く。ノックをしても反応がないので、ドアを開ける。ドニーはいない。

◆ ドニーが海へ→遭難

ホッドとジョーが船着き場に来た。しかし天候が悪くなってきている。

モーターボートが出て行った。乗っているのはドニーのようである。二人は追いかけた。

嵐になった。ドニーのモーターボートは、岩がいっぱいあるところに流れて行った。二人も追いかけた。大嵐、大波、大揺れ。

波間にかすかにボートが見える。大声を上げるが届かない。ボートが転覆しドニーはボートにしがみついている。

ボートに近づいてロープを投げた。ドニーが捕まったので、引き寄せて助け上げた。

岩を必死で避けて港に向かった。

補足。ドニーは、なぜボートに乗ったのか?この映画の舞台は島で、本土に渡ってから、ボストンに行こうとしたものと思われる。

◆ アンは考えを変えた

メアリーの家。子供たちが十人くらい集まっている。誕生日パーティ。

アンも手伝いにきていてメアリーと話しているとホッドとドニーが入ってきた。嵐から帰ったばかりなので、二人ともずぶぬれ状態。

ドニーを二階に上げて着替えさせた。

ホッドがアンに事情を話した。アンの「ドニーに漁をさせない」という判断に対して、ホッドが意見をいう。

アンは「私には責任がある」と言う。ホッドは「ドニーは漁師の子供、ここでは漁師もいっぱいる、ドニーは海にあこがれている」なとなどと説得する。

アンはしばらく黙っていたが、納得して頷いた。

◆ ドニーはホッドの養子に

裁判所で「ドニーがカメラを盗んで売りはらったことに対してどうするか」ということが話し合われる。

ホッドとアンと造船所を経営しているホセ・ホーヴェイが待っている。ウォーター判事が入ってきた。

ウォーター、ホッド、アンが話す。「ドニーを少年院(reform school)に入れる」という話題。

「状況からみて少年院行は避けられない」という方向で判事が話す。アンは静かに聞いていたが、ホッドがドニーを養子にして引き取るという案を出す。自分はきちんと家と仕事をもっているとアピール。

メアリーとジョーが入ってきて、判事に対してクレームをつける。メアリーも入って話を続けた。

判事は、職務上中立を保っていたアンに意見を求める。アンは「ホッドは信頼できる人物」と証言。

それを聞いて判事は考えていたが、別室からドニーを招き入れた。

判事がドニーに「ホッドと一緒に暮らしたいか?」と聞く。ドニーは「ノー」と返事。ホッド、ジョーが話しかけるが、やはり「ノー」。

ドニーは「悪いことをしたので少年院に行くのは仕方がない」という。再度ホッドが話しかけると、ドニー「気にしないの?」ホッド「もちろん」と展開してドニーはホッドに抱き着いた。

判事は、この結論を承認した。

◆ ラスト

ホッドとアンの関係も修復した。船着き場に行くとドニーとジョーが待っていた。

四人は船に乗った。ドニーが勢いよく掛け声を上げる。船は出港した。
 


■ 蛇足

アメリカの新聞配達は新聞を投げ入れるらしい。本作にも、このような場面がある。アンは投げられた新聞をジャンプしてキャッチ。ガッツポーズ。

この町では郵便はみんな郵便局留めになるらしい。郵便局にカギがかかるロッカーが設置されている。かなり数は多いが足りてるのか?

ジョーは、何かと商品のパンフレットを見ている。例えば、トマトのプランター、ミンクのコート、ウサギの檻など。意味不明。
 


■ 出演作

ジーン・ピーターズ
(1948)海の呼ぶ声/Deep Water/漁師とケースワーカーと孤児
(1948)征服への道/Captain from Casile/恋人ともに新大陸に渡る
(1950)Love That Brute/ギャング・ロマンティック・コメディ
(1951)女海賊アン/Anne of the Indies/捕虜を救って好きになったが裏切られる
(1952)革命児サパタ/Viva Zapata!/メキシコ革命、伝記映画
(1952)人生模様/最後の一葉/O. Henry's Full House/吹雪の中を歩いて肺炎に
(1952)ジャングルの逃亡者/Lure of the Wilderness/冤罪で逃亡し沼地で暮らす
(1953)拾った女/Pickup on South street/スパイ組織との対決
(1953)ナイアガラ/Niagara/殺人犯と一緒に滝に流される
(1953)ヴィッキー/モデル殺人事件/Vicki/ハリウッドに進出しようとしたが殺された
(1954)アパッチ/Apache/ジェロニモ降伏後も白人と戦う
(1954)愛の泉/Three Coins in The Fountain/ローマでのアメリカ人女性三人の恋愛模様

ダナ・アンドリュース
(1940)スワンプ・ウォーター/Swamp Water
(1944)ローラ殺人事件/Laura
(1945)堕ちた天使/Fallen Angel
(1946)我等の生涯の最良の年/The Best Years of Our Lives
(1947)影なき殺人/Boomerang
(1948)海の呼ぶ声/Deep Water
(1950)恐怖の一夜/Edge of Doom
(1956)口紅殺人事件/While the City Sleeps

◆ アン・リヴィア
「堕ちた天使 Fallen Angel (1945)」
「永遠のアンバー Forever Amber (1947)」
「紳士協定 Gentleman's Agreement (1947)」
「陽のあたる場所 A Place in the Sun (1951)」

◆ エド・ベグリー
「影なき殺人/Boomerang(1947)」
「私は殺される/Sorry, Wrong Number(1948)」
「春の珍事/It Happens Every Spring(1949)」
「危険な場所で/On Dangerous Ground(1952)」

◆ メエ・マーシュ
「わが谷は緑なりき How Green Was My Valley (1941)」
「ジェーン・エア Jane Eyre (1943)」
「ブルックリン横丁 A Tree Grows in Brooklyn (1945)」
「荒野の決闘 My Darling Clementine (1946)」
「蛇の穴 The Snake Pit (1948)」
「口紅殺人事件/WHILE THE CITY SLEEPS(1956)」
「狂った殺人計画/IMPACT(1949)」