■ SWAMP WATER
ベン・ラガンは消えた犬を探して沼地に入った。そこで殺人犯として手配されているトム・キーファーに出会った。
村に残っているトムの娘ジュリーに報告した。トムと何度も話しているうちにトムは無実との印象を得た。


製作年:1940、原作:Vereen Bell、監督:ジャン・ルノワール


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 トム・キーファー(ウォルター・ブレナン)
 ジュリー・キーファー(アン・バクスター) トムの娘、マッコードの店員
 ベン・ラガン(ダナ・アンドリュース)
 サースデー・ラガン(ウォルター・ヒューストン) ベンの父親
 ハンナ・ラガン(メアリー・ハワード) サースデーの妻、ベンの継母
 トラブル(?) ベンが飼っている犬
 マーベル・マッケンジー(ヴァージニア・ギルモア) ベンの恋人
 タトル・マッケンジー(ポール・バーンズ) マーベルの父親
 ジェシー・ウィック(ジョン・カラジン)ハンナの元夫
 ジェブ・マッケイン保安官(Eugene Pallette)
 マーティ・マッコード(ラッセル・シンプソン) 店主、元はキーファーの店
 マッコード夫人(メエ・マーシュ) マーティの妻
 ティム・ドーソン(ウォード・ボンド)
 バド・ドーソン(グイン・ウイリアムズ)
 


■ あらすじ

◆ ベンは犬を探しに沼地に行く

1910年ころ、ジョージア州、広大なオケフェノキー沼に接する村。

ベン・ラガンは、父親のサースデーと継母のハンナと暮らしている。マーベル・マッケンジーという恋人がいる。

ベンは村の人たちと沼地に入っていった。犬のトラブルと一緒。いくつかのボートに分乗して、複雑な形状の水路を進んでいく。

ワニ、沼マムシ(cotton mouth snake)あるいは野獣など危険な動物。光が差し込まない森。

そして彼らを誰かが見ている。

突然トラブルが水に飛び込み泳いで陸に上がって消えた。追いかけようとしてもできない。

村に戻ってきた。

ベンは、トラブルを探しに行くつもりである。食料、ライフルなどを用意した。父母から止められたので喧嘩別れして家を出た。

マーベルに会った。マーベルも反対している。

とにかくベンは準備をしてボートで出発した。

◆ ベンは殴られた

誰もいない。鳥の声がする。ワニが泳いでいる。今回は一人なので、ナタで木に印をつけて迷わないようにしながら進んでいく。

だんだん深く入っていく。狭いところをすり抜けていく。ホラ貝でトラブルを呼ぶ。

ボートが進めなくなったので降りた。ヌカルミの中を歩いていく。木の枝を刈りながら進む。ホラ貝を吹くが反応がない。

陸に上がった。適当な場所を見つけて座り込んで火を焚いた。知らずに眠くなってウトウトしてくる。

誰かが近くにいて、様子をうかがっている。近づいてきた。

殴られて気を失った。

◆ トム・キーファーと会う

ベンは気が付いた。トラブルが目に入った。そのそばに男が見えた。木のそばで手を後ろに縛られていた。

容貌は変わっていたが、その男はトム・キーファーであった。五年前、殺人事件で手配されて姿を消した。

トムは店を経営していたが、その店はマーティ・マッコードが経営している。

トムは、ベンの手のロープを切った。トラブルを抱きしめた。

トムが油断しているすきにナイフを盗んで突き付けた。しかしトムは落ち着いていた。簡単に反撃された。

夜、焚火のそばで話した。トムには娘のジュリーがいる。ベンは認識していなかったが、マッコードの店で働いている女性だと分かった。

トムが水を飲もうとしたら蛇に襲われて倒れた。介抱するが反応がない。

ベンは穴を掘った。埋めようと死体のそばにいったら、トムが起き上がった。

ベンは村に戻った。

◆ ベンは何度もトムに会いに行く

ベンはまずジュリーにトムのことを報告した。店で見かけたことはあったが、話したことはなかった。

ベンはトラブルを連れて何度もトムに会いに行った。トムに生活に必要なものを届けて、また沼で得たものを持って帰ってきた。

家族やマーベルは沼に行くことは知っているが、トムのことは黙っていた。ジュリーには話している。

マーベルとの間に隙間が空いて、ジュリーとの距離が少しずつ詰まっていった。マーベルはベンがしばしば沼に行くのを好まなかった。

マッコードの店(=ジュリーが働いている店)で服を買ってジュリーにプレゼントした。

他の人はベンが沼で何をしているかは知らなかったが、しかしなぜかドーソン兄弟の動きがおかしいようである。

◆ ダンスパーティ

マーベルが誰かと踊っている。ベンはジュリーを連れて入ってきた。みんなジュリーがきれいなドレスを着ているので注目する。ベンがプレゼントしたもの。

マーベルが近づいてきた。(一応マーベルが恋人ということになっているので)ジュリーは立ち去ろうとする。しかしベンが引き留めた。

ジュリーと踊った。しかしジュリーはダンスが下手であった。モタモタしている。ベンは気にしなかったが、マーベルが大きな声で笑った。

ベンとジュリーはイスに座った。マーベルと踊っていた男性がジュリーを誘った。マーベルが来てベンを誘ったがベンは断った。

マーベルはベンに殴りかかった。それを見てジュリーと踊っていた男性(=その前にマーベルと踊っていた男性)が来てベンを殴り倒した。ジュリーが駆け寄ってベンのケガの手当をした。

◆ ベンはリンチされる

店の前でドーソン兄弟を含めた何人かがたむろしている。ベンが来た。ちょっとしたことで、ベンと兄弟が険悪な雰囲気になる。

店の中から女性が出てきた。それでいったん雰囲気が和らぐ。しかしその女性がベンにトム・キーファーのことを口にする。ベンは知らないふりをするが、その女性が追求し、結局トムが沼にいることが分かる。

するととたんに兄弟の顔が変わった。ベンを捕らえて水のところに連れて行った。

ベンを水に沈めてリンチする。息が切れる直前で上げて、また沈める。

ベンの父親が先ほどの女性から話を聞いて駆けつけて、リンチを止めさせた。

その夜、マッコードの店にベンが来た。外に出るとドーソン兄弟が外にいて、立ち去る。様子をうかがっていたようである。

ジュリーが出てきた。ジュリーはトムのことを喋ってしまったことを責めた。

◆ 保安官のところへ行く

ベンはギターを弾いていたが、ジェシー・ウィックのところへ出かけた。継母ハンナの元の夫である。

ジェシーの部屋にはトムの懸賞金のポスターが貼ってあった。2000ドル。

ジェシーと話す。トムのことやドーソン兄弟の話がでてくる。

補足。ここの展開はあまりはっきりしないが、ジェシーは事件の真犯人を知っていて、それがベンに分かる。ドーソン兄弟。

もう一つ補足。トムは沼地の中でもギターを弾いている。ベンが弾いていたギターはハンナが夫であったジェシー・ウィックのところから持ってきたもの。そしてそのギターはもともとトムのものであったのか?という関係。

ジェシーは覚悟を決めたようで、ベンに連れられて保安官の元へ向かった。

◆ ベンはトムを迎えに行く

ベンはジュリーに会いに行った。ジュリーはまだ怒っている。

ベンは「ジェシーがほんとうのことを保安官に喋った」ということと「トムを迎えに行く」ことを話した。

ベンはトラブルを連れてトムのところに向かった。

しかしドーソン兄弟も後をつけた。

トムと会って「犯人はドーソン兄弟と判明した」と話し、村に戻るように言った。

トムはなかなか信用しないが、やがて同意した。

二人は村に向けて出発した。

◆ ドーソン兄弟が襲ってくる

二人(とトラブル)が乗ったボートをドーソン兄弟が陰から見ている。

銃撃する。ボートがひっくり返った。二人は泳ぎ着いて隠れた。トムがナイフを出したがベンが抑えた。

トムに考えがあるようである。トムとベンは隠れながら移動し、ドーソン兄弟を誘導した。

トムは、ある場所に来て、ベンに上着を投げて捨てるように指示した。ベンは上着を脱いで数メートル離れた指定された場所に投げた。

トムとベンは、少し離れ隠れて様子を見た。

トーソン兄弟が来て上着を見つけた。上着を取ろうと近寄ったところ、体が腰まで沈んだ。どんどん沈んでいく。這い上がろうとしても沈んでいく。ついに顔が見えなくなった。

残った一人は呆然と立ち尽くした。トムとベンが前に現れた。トムは「お前は人間じゃない。歩いて行け」と指示した。彼は歩いて行ったが、どこに行くか、戻れるかは分からないところである。

トムとベンは村に向かった。

◆ ダンスパーティ

ダンスパーティが開かれた。ベンとジュリーがダンスをしている。イスに座ってトムが見ている。
 


■ 補足

ジェシーはまだハンナに未練がある。

「アン・バクスターは本作が映画初出演」としているコメントがあるが、調べたら四作目。

犬の名前が「トラブル」→安直すぎる。

本作のリメイクとして「ジャングルの逃亡者/Lure of the Wilderness(1952)」がある。主な違いはジュリーに相当するローリー(ジーン・ピーターズ)が村に残っているのではなく、父親と一緒に沼地で暮らしているところ。ウォルター・ブレナンが同じ役で出演。
 


■ 出演作

◆ ウォルター・ブレナン
(1936)激怒/Fury
(1940)西部の男/The Westerner
(1940)スワンプ・ウォーター/Swamp Water
(1941)群衆/Meet John Doe
(1944)姫君と海賊/The princess and the pirate
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1948)赤い河/Red River
(1950)彼女は二挺拳銃/A Ticket to Tomahawk
(1950)峡谷の銃声/Singing Guns
(1952)ジャングルの逃亡者/Lure of the Wilderness

アン・バクスター
(1940)スワンプ・ウォーター/Swamp Water (1953)青いガーディニア/The Blue Gardenia
(1950)彼女は二挺拳銃/A Ticket to Tomahawk
(1950)イヴの総て/All about Eve
(1952)人生模様/最後の一葉/O. Henry's Full House
(1956)十戒/The Ten Commandments
(1953)私は告白する/I Confess
(1946)剃刀の刃/THE RAZOR'S EDGE

ダナ・アンドリュース
(1940)スワンプ・ウォーター/Swamp Water
(1944)ローラ殺人事件/Laura
(1945)堕ちた天使/Fallen Angel
(1946)我等の生涯の最良の年/The Best Years of Our Lives
(1947)影なき殺人/Boomerang
(1948)海の呼ぶ声/Deep Water
(1950)恐怖の一夜/Edge of Doom
(1956)口紅殺人事件/While the City Sleeps

◆ ウォルター・ヒューストン
「街の野獣/The Beast of the City(1932)」
「雨/Rain(1932)」
「マルタの鷹/The Maltese Falcon(1941)」
「上海ジェスチャー/The Shanghai Gesture(1941)」

◆ ラッセル・シンプソン
「折れた槍/Broken Lance(1954)」
「無法者の群/Dodge City(1939)」
「桑港/San Francisco(1936)」

◆ メエ・マーシュ
「わが谷は緑なりき How Green Was My Valley (1941)」
「ジェーン・エア Jane Eyre (1943)」
「ブルックリン横丁 A Tree Grows in Brooklyn (1945)」
「荒野の決闘 My Darling Clementine (1946)」
「蛇の穴 The Snake Pit (1948)」

◆ ウォード・ボンド
(1937)暗黒街の弾痕/You Only Live Once
(1939)風と共に去りぬ/Gone with the Wind
(1941)マルタの鷹/The Maltese Falcon
(1944)拳銃の町/Tall in the Saddle
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1948)アパッチ砦/Fort Apache
(1952)危険な場所で/On Dangerous Ground
(1955)大砂塵/Johnny Guitar
(1939)無法者の群/Dodge City
(1950)峡谷の銃声/Singing Guns
(1940)スワンプ・ウォーター/SWAMP WATER

◆ グイン・ウィリアムズ
「カンサス騎兵隊/Santa Fe Trail(1940)」
「暗黒街の弾痕/You Only Live Once(1937)」
「ガラスの鍵/The Glass Key(1935)」
「賭博の女王/SILVER QUEEN(1942)」