■ Singing Guns 1950
強盗リアノンの隠された金を保安官ジムと酒場の女性経営者ナンが狙う。


製作:1950年、監督:R・G・スプリングスティーン   フル動画   予告編


■ あらすじのあらすじ

強盗のリアノンは保安官のジムを銃撃した。意識不明になったジムを医者に運び込んだが、医者から薬を飲まされて眠らされた。

目を覚ました後リアノンを強盗であると知らない判事から保安官代理に任命されて引き受けた。ジムはケガのため、しばらく休業。

リアノンはジムと親しいバーの女性経営者ナンと親しくなった。

大金を運ぶ護衛の仕事があった。リアノンは馬車に乗って出発した。ジムは追跡隊を組織し、馬車を追いかけた。

リアノンは馬車の金は奪わなかったが、ジムに捕らえられて牢に入れられた。

しかしナンがリアノンを助け出した。二人はもともとリアノンが金を隠していた場所に向かった。

ナンは隠されていた金を確認すると、リアノンを殴り倒して金を持ち去った。ジムはナンと金を山分けするつもりであるが....。


■ はじめに

本作は「渓谷の銃声/ROUGHSHOD(1949)」とは別作品なので注意。

登場人物(キャスト)
 リアノン(ヴォーン・モンロー) 別名ジョン・グイン、強盗→保安官代理
 ジム・キャラダック(ウォード・ボンド) 保安官
 ナン・モーガン(エラ・レインズ) 酒場シルヴァークイーンの経営者
 ジョナサン・マーク(ウォルター・ブレナン) 医師
 ウォーラー(ハリー・シャノン) 判事
 リチャーズ(ジェフ・コーリー) グレートウェスタン社の主任
 マイク・マーフィー(バリー・ケリー)
 スミティ(ジョージ・チャンドラー) シルヴァークイーンのピアニスト
 アルバート(Billy Gray) ジョンに説教された子供
 アルバートの母親(メアリー・ベア)
 駅馬車のオフィスの責任者(トム・ファデン)
 駅馬車の御者(レックス・リーズ)
 駅馬車の護衛(ジミー・ドッド)
 駅馬車の乗客(ラルフ・ダン)

町の名前はゴールドビル。
 


■ あらすじ

◆ 馬車がリアノンに襲われた

いろいろなところに強盗のリアノンの手配書が張られている。懸賞金5000ドル。しかしリアノンの隠れ家の情報には10倍の50000ドルとなっている。理由はリアノンの隠れ家には100万ドルが隠されているからである。隠れ家の場所は首吊り山のどこかと言われている。

ジム・キャラダック、ナン・モーガンなどは駅馬車に乗って山の中を走っていた。突然木が倒れてきて、馬車は停止した。

そしてリアノンが現れて拳銃を突き付けた。金庫を調べたが、この金庫は偽装で何も入っていなかった。

怒ったリアノンは、拳銃を突き付けたまま、馬車をゴールドビルの町に走らせて、町の通りの端まで来た。

ジムはリアノンに拳銃を突き付けられて馬車から下りた。なんと女装。ナンが持っていた服である。ジムは、そのまま道路を歩かされる。後ろからライフルで狙っている。気づいた町の人々は大笑い。ジムは保安官事務所の前まできて、事務所に駆け込んだ。

リアノンは引き上げた。

◆ ジムが撃たれた

ジムはリアノンを追って山の中まで来た。リアノンは馬を下りて、岩の陰からジムを見ている。

リアノンはジムを撃った。ジムは倒れた。リアノンはそばまで来たが、ジムが突然寝返りをうって拳銃を向けた。注、ジムが倒れたのは偽装。ジムによれば、これが「テキサスの技」。

立場が逆転したが、隙を見てリアノンが反撃し、ジムはまた撃たれた。

◆ リアノン→ジョン・グインが保安官代理に

リアノンは、ケガをしたジムを馬に乗せて連れてきて、ジョナサン・マーク医師のところに運び込んだ。リアノンはジョン・グインと名乗った。

ジムはほとんど意識がない。

マークは「輸血が必要なので」と言ってジョンに何か薬を飲ませた。するとジョンは急に眠くなり、ベッドに倒れこんだ。

ジョンは目を覚ました。上着は脱がされていた。部屋の中を見回す。鏡を見たところ、驚いたことに髭が剃られていた。

マークが入ってきた。上着は燃やしたとのこと。別の上着を与えられた。「人間、その気になれば悔い改められる」となんかもっともらしいことを言う。

別の部屋に行くと、ジムがまだ寝ている。

ウォーラー判事が訪ねてきた。ウォーラーは「悪党のリアノンを知っているか?」と聞いた。ジョンは躊躇しながら「名前は知っている」と答えた。

続いてウォーラーは「(ジムがケガで動けないので)保安官代理になってくれ」と言った。意外な提案にジョンは驚いたが、引き受けることにした。保安官事務所のカギを貰って出ていった。

◆ 駅馬車の事務所に行く

ジョンは駅馬車のオフィスに出かけた。責任者と話したが、リアノンのことを極悪な強盗と表現した。

次の輸送予定を聞くと24日とのこと。本日は4日である。ジョンは保安官事務所に戻ってカレンダーを確認した。

ナンが訪ねてきた。ジョンを見て「どこかで会ったことがある、目に見おぼえがある」。ここでナンはジョン=リアノンと分かったものと思われる。

「シルバークイーンに来て」と誘った。それはナンが経営している酒場である。そして「ジムだけが特別」と付け加えた。「なので代理のあなたも特別」と言外に言っているとジョンは受け取った。

さっそくジョンはナンにキスしようとしたが、ナンは首の後ろにタバコの火を押し付けてキスを拒否した。「受け継いでないものもあるのよ」。

ナンが高い椅子に座って足を組んでいる。足が大写しにされて、その奥でジョンがピアノを弾いて歌っている。この構図がなかなかグッド。

◆ リチャーズ

ジョンはシルヴァークイーンにきた。ジョンが入ると喧嘩を仕掛けられた。ジョンのことをまだ知らないらしい。

ジョンは拳銃をナンに預けて、その男を殴って倒した。ジョンの強さにナンが感心している。

その男を保安官事務所の牢に入れた。事務所に男が訪ねてきた。リチャーズという。

グレートウェスタンの主任と自己紹介する。「あの評判が悪い会社」「この町は我が社が支えている」。

捕らえた男の釈放を要求した。ここでマークが訪ねてきた。マークはリチャーズに「教会の改修にいくら出してくれる?」と言うと、リチャーズは出ていった。

マークは「リチャーズはいつも喧嘩腰」と言った。

◆ ジムが復帰した

13日になった。ジムはまだ腕を吊っているが、保安官事務所に来た。ジョンはジムに「悪人かと思っていた」と話す。注、ジムがジョンに言ったのではない。

ジムがジョンを首吊り山に誘う。

ある場所にきてジョンは「(ジムが)この場所に倒れていた」と話す。ジムは撃たれた時刻とマークのところに運ばれた時刻が矛盾していると言う。

ここで町で鐘が打ち鳴らされた。何か異常事態が発生したらしい。ジムはまだケガが治っていないので、ジョンが先に町に戻った。

◆ 鉱山の火事

ジョンが町に戻ると鉱山に火事が発生していた。注、地下に潜る坑道がある鉱山で、町の中に入り口がある。

入り口では火が噴出している。中には二人が閉じ込められているという。人々が駆けつけて心配している。家族は泣き崩れている。

ジョンは坑道に入るトロッコに寝転び、上に幌布をかぶせて、水をかけるように指示した。ロープを引っ張ったら、トロッコを引き上げるように指示して、坑道に入っていった。

みんなが見守っている。ロープが引っ張られた。トロッコを引き上げる。

火の中からトロッコが出てきた。みんなは歓声を上げた。二人は救助された。

◆ ジムは機嫌が悪い

ジムはジョンが給料を運ぶ駅馬車の護衛をしていると聞いてびっくりした。マークに確認すると、マークも知っている。ジムはマークに「ヤツは100万ドルの金を盗んだ。24日までに改心させろ」。

ジョンが保安官事務所に戻ってくるとナンがなまめかしいドレスを着て現れた。「ジャンクションシティまで付き合って」。ジョンが「ここでも用が足りるだろ」と言って断った。「女心が分からないのね」と二人は怪しい雰囲気である。

ジムは、ナンがジョンと仲良くしているで機嫌が悪い。

ジョンが客が帰ったシルヴァークイーンでピアノを弾いて歌っている。ナンは、近くのイスに座ってやたらと怪しいポーズ。

歌い終わって、ナンがジョンにキス。「ジムが復帰したら?」「前の仕事に戻る」「何?」。ジョンは答えをごまかす。

ジョンが立ち去ったらジムが来た。外から窺っていたらしい。ジムが話しかけてもナンは無視するようなしぐさ。

◆ 馬車が出発した

24日になった。マークはジョンにいろいろ説教するが、ジョンは「俺は法律を信じない」と言う。マークはさらに「保安官を続けろ」と言う。

ジョンは馬車に乗りこんだ。ジムも見ている。ナンも見ている。馬車が出発した。

ジムは数人の追跡隊を出発させた。近道を通って、馬車の通り道を岩山の上から監視する。

馬車が来た。川のそばまで来て給水のため停車する。馬車に乗っている人はみんな下りた。ジョンはみんなの後ろから見ている。拳銃を取り出した。もう引き金を引こうとする態勢である。

ジムたちは、上から見ていて何かあれば攻撃しようと待ち構えている。

ジョンの馬車を追って馬が来た。マーク。マークは馬から下りて「この薬を渡し忘れた」とジョンの手に渡す。注、何の薬かは明示されない。

ジョンは、それを受け取って「さあ、みんな行くぞ」と言った。

それを見てジムは「計画が台無しになった」。

◆ ジョンが逮捕された

ナンとマークが話している。「ジョンは戻る?」「当然だろ」。マークは「ジョンが気になるのか?懸賞金が気になるのか?」と言うと「賭博師は手の内をさらさないの」とはぐらかした。

しかしジムと追跡隊が戻ってきた。「リアノンが駅馬車を襲撃した」。ジョン=リアノンが手錠をかけられている。「ジョン・グインとリアノンは同一人物」。注、どのような経緯でジョンが逮捕されたのかは明かされない。逮捕される場面も表示されない。

ジョンが鉱山の火事で活躍したことなどを知っている町の人々からは「ジョンは悪い奴じゃない」という言葉も上がった。

ジムは「この件は私が処理する」とジョンを引っ張っていった。ナンも不思議そうな顔。

牢に入れられたジョンの前にマークが来た。ジョンは「理不尽だ、襲撃はしてない」。

マークが立ち去った後、ジムはジョンに「隠してある金を探すのも私の仕事、隠し場所を教えれば、出してやる」と脅した。

◆ ナンがジョンを連れ出した

リチャーズが手下を連れて保安官事務所にきた。中からジムが現れた。「来るとは知っていた、処分が決まるまでは渡さない」。

リチャーズが強引に入ろうとしたので拳銃で制止する。

一方、別の入り口からナンが入ってきた。スボン姿、かっこいい。ナンは牢のカギを持っていてジョンを出した。

裏口に馬が二頭。ジョンは「なぜ二頭?」。ナンは「私も行く」。ナンは拳銃を空に向けて発射して、二人は馬で走り去った。ジムは二人を追いかけた。

◆ ナンが金を奪った

ジョンとナンは二人はどんどん逃げた。二人は金の隠し場所まできた。

ジョンは「様子を見てくる」とその場を離れた。ナンは金の袋を確認した。

ジョンは追跡隊が町に帰ったのを確認してナンのところに戻った。

ナンはジョンを殴り倒した。拍手パチパチパチ。

◆ ジムとマークが話す

マークのオフィスでジムとマークが話している。「ナンにカギを渡した、金のありかを伝えに来るのを待つ」。注、カギとは保安官事務所の牢のカギ。

しかしナンは何日たっても戻ってこない。ジムは「狙いが外れた」。マークは「彼女は曲者」。

ジムは「100万ドルは彼女のもの」と怒った。

◆ ジョンが戻ってきた

相変わらずシルヴァークイーンでジムがやけになって飲んでいる。マークもいる。

突然ジョンが拳銃を構えて入ってきた。「ナンはどこにいる?裏で組んでたな」。ジムは「そのはずだった」。「お互い騙されたのかっ!」。

ジム:「金は?」ジョン:「ナンに全部盗まれた」。

(まだジムとナンが組んでいると思っている)ジョンが拳銃を取ってジムに「拳銃を置け」とテーブルに拳銃を置いた。勝負するつもり。ジムもテーブルに拳銃をおいて、二人ともテーブルから等距離に離れた。

外から誰か入ってきたタイミングで拳銃を取り合うことにする。

誰かがドアを開けた。二人は拳銃に飛びついたが、一瞬速くマークが二丁の拳銃を取って二人に向けた。

マークは二人向かって説教をする。

◆ リチャーズ一味が襲ってきた。

ここでリチャーズ一味が、拳銃を構えて乱入。三人は銃を突き付けられた。

「金はどこだ?」「ナンが持っている」「どこにいる?」「こっちが知りたい」「グルになって芝居をするのか?」。

興奮したリチャーズは、さらに追及する。

隙を見て、マークが酒ビンを投げて窓ガラスを破った。そのタイミングでジムとジョンが反撃して敵をやっつけた。

◆ ナンが戻ってきた

さてここで、ナンが登場した。ジョンに「ここで会うとは驚きね」。

ここで最後だが、最後は秘密。
 


■ 補足

上を読めばわかると思うが、ジムは保安官だが、かなりの悪人。リチャーズは「この町に巣くっている悪人」と言うことになっているが、どのような悪事を働いているのかは示されない。

最初にジョン=リアノンがなぜケガをしたジムをマークのところに運び込んだのが疑問。こうしないとストーリーが成立しないけど。

ナンとジム、ジョンの会話が、なかなか面白い。けっこうわざとらしい。ジムとナンは結構いい関係だったが、ジョンが割り込んできて、ジムは機嫌が悪い。

24日には、ジムはもう腕を吊ってはいない。それでもジョンに護衛をさせたのは、ジョン=リアノンが隠している金の場所を知って奪うため。

ジムがナンに牢のカギを渡したのは、ナンに隠されている金を奪わせて、ナンと山分けするため。上に示したようにナンは裏切る。

ヴォーン・モンローは歌手で、本作の中で何度か歌っている。

私はエラ・レインズを目当てに本作を見ているのだが、他の出演作にはないキャラクタだったので満足。
 


■ 出演作

◆ ヴォーン・モンロー
「アリゾナの勇者/Toughest Man in Arizona(1952)」(ヴォーン・モンロー、ジョーン・レスリー)

◆ ウォード・ボンド
(1937)暗黒街の弾痕/You Only Live Once
(1939)風と共に去りぬ/Gone with the Wind
(1941)マルタの鷹/The Maltese Falcon
(1944)拳銃の町/Tall in the Saddle
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1948)アパッチ砦/Fort Apache
(1952)危険な場所で/On Dangerous Ground
(1955)大砂塵/Johnny Guitar
(1939)無法者の群/Dodge City
(1950)峡谷の銃声/Singing Guns
(1940)スワンプ・ウォーター/SWAMP WATER
(1941)硝煙のダコタ/WILD BILL HICKOK RIDES

エラ・レインズ
(1944)容疑者/The Suspect
(1944)拳銃の町/Tall in the Saddle
(1944)幻の女/Phantom Lady
(1945)ハリーおじさんの悪夢/The Strange Affair of Uncle Harry
(1949)ウォーキング・ヒルズの黄金伝説/The Walking Hills
(1949)殺しのミッション/危険な職業/A Dangerous Profession
(1949)狂った殺人計画/Impact
(1950)峡谷の銃声/Singing Guns
(1952)ハチェット牧場の対決/Ride the Man Down
(1956)道路の男/The Man in the Road

◆ ウォルター・ブレナン
(1936)激怒/Fury
(1940)西部の男/The Westerner
(1940)スワンプ・ウォーター/Swamp Water
(1941)群衆/Meet John Doe
(1944)姫君と海賊/The princess and the pirate
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1948)赤い河/Red River
(1950)彼女は二挺拳銃/A Ticket to Tomahawk
(1950)峡谷の銃声/Singing Guns
(1952)ジャングルの逃亡者/Lure of the Wilderness

◆ ハリー・シャノン
「カンサス大平原/Kansas Pacific(1953)」(スターリング・ヘイドン、イヴ・ミラー、バートン・マクレーン、リード・ハドレー)
「風と共に散る/Written on the Wind(1956)」(ロック・ハドソン、ロバート・スタック、ドロシー・マローン、ローレン・バコール)
「真昼の決闘/High Noon(1952)」(ゲイリー・クーパーグレイス・ケリートーマス・ミッチェルロイド・ブリッジス)

◆ ジェフ・コーリー
「不意打ち Lady in a Cage (1964)」(オリヴィア・デ・ハヴィランド、アン・サザーン、ジェフ・コーリイ、ジェームズ・カーン)
「明日に向って撃て! Butch Cassidy and the Sundance Kid (1969)」(ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード)

◆ ジョージ・チャンドラー
「誰が私を殺したのか?/Dead Ringer(1964)」(ベティ・デイヴィス、カール・マルデン、ピーター・ローフォード、ジョージ・マクレディ)
「激怒/Fury(1936)」(スペンサー・トレイシー、シルヴィア・シドニー、ウォルター・エイブル、ブルース・キャボット、エドワード・エリス、ウォルター・ブレナン、ウォード・ボンド)

◆ トム・ファデン
「砂塵/Destry Rides Again(1939)」(マレーネ・ディートリッヒ、ジェームズ・スチュワート、ブライアン・ドンレヴィ)