■ Phantom Lady(1944)


製作:1944年、脚本:バーナード・C・ショーンフェルド、監督:ロバート・シオドマク   予告編   予告編  


■ あらすじのあらすじ

スコットは妻と喧嘩し、酒場で知り合った奇妙な帽子をかぶったアンと劇場に行った。その劇場ではアンと同じ帽子をかぶった女性が舞台にいた。

自宅に戻ると妻が殺されており逮捕された。無実を証明するには、アンを探してアリバイを証明してもらうことが必要となった。

スコットに死刑判決が下され執行の日が近づいてくる。無実・無罪を信じる部下のキャロルが奮闘する。

しかし酒場、劇場に行ったタクシー会社、劇場の関係者は、すべてアンの存在を否定する。

だがキャロルは奇妙な帽子を製作した業者を見つけ、アンの存在を確信する。
 


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 スコット・ヘンダーソン(アラン・カーティス) - ブラント設計技術者
 マーセラ・ヘンダーソン(-) - スコットの妻、本作には登場しない
 キャロル・リッチマン(エラ・レインズ) - スコットの部下、スコットは「カンザス」と呼んでいる
 ジャック・マーロウ(フランチョット・トーン) - スコットの親友
 バージェス警部(トーマス・ゴメス)
 バーテンダー(アンドリュー・トムベス)
 エステラ・モンテイロ(アウロラ)
 アン・テリー(フェイ・ヘルム)
 クリフ・ミルバーン(エリシャ・クック・Jr) - ドラマー
 


■ あらすじ

スコットはマーセラとショーを見に行く予定だったが、マーセラと喧嘩して酒場に行った。

奇妙な帽子をかぶった女性アン(この時点では名前不明)と隣同士となり、ショーの切符をやろうとしたが、二人でタクシーに乗ってショーを見に行く。

ショーを見ているとアンと同じ帽子をかぶった女性エステラ(この時点では名前不明)が登場しダンスを踊った。

しかしアパートに帰るとバージェス警部などが待ち構えており、マーセルが殺されていた。絞殺。

当然ながらスコットが第一の容疑者となった。酒場のバーテンはアンの存在は否定した。タクシーの運転手も劇場のドラマーのクリフもエステラもスコットのことは認めたが、アンの存在は否定した。

スコットはアリバイが証明できない事態となった。

注、アンの存在にかかわらず、スコットが酒場や劇場にいたことが証明されればアリバイになる。本作は、この点において論理がおかしいが、これを否定すると、本作が成立しないので、このままにしておく。なお、アンがスコットのアリバイを証明してくれる人物なので、アンを探すという展開にすれば、この問題は解決する。しかし、説明は省略するが、このようにすれば別の問題が発生する。

裁判の結果スコットは有罪となり死刑が宣告される。

スコットの無罪を信じるキャロルが行動を開始する。酒場に行ってバーテンを見張った。バーテンについていってアパートまで行った。しつこく追及すると「金をくれた男に聞け」と漏らした。

自分のアパートに帰るとバージェスがきていた。「なぜ君は?」と言うので「私しか彼のために戦えないのよ」。バージェスは「証拠はきちんとそろっている」が「奇妙な帽子の女というような話は、マヌケか無実の人間しかしない」と疑問を持っているようである。

マジメ風(←実際にマジメだけど)のキャロルは、髪をアップにして大胆な服を着て劇場に行ってドラマーのクリフに近づいた。特に目立つ帽子を被って行った。

クリフのアパートに行って怪しげな雰囲気でいろいろ話す。そして「あの女を見ていないと言えば500ドルやる」と言われたことを聞きだした。

しかしここでクリフのアパートの住所を書いたメモを見つけられた。急いで逃げ出して近くの店に駆け込んだ。しかしバッグを置いてきてしまった。電話を借りてバージェスに連絡した。注、住所のメモはバージェスから貰うが、この展開では不要のはず。しかしこのメモを見てクリフがキャロルの正体を知る。

バージェスが駆け付けて一緒にアパートに行くが、クリフは何者かによって殺害されていた。

スコットに面会して話した。控訴が棄却されて死刑の執行が近づいてくる。スコットは落ち込んでいる。スコットが「恋をしているのか」と聞いたので頷く。「誰だ?」「上司よ」「もう新しい仕事が決まったのか?」。キャロルはスコットのことを言ったのだが、スコットは誤解したようである。しかしキャロルは黙っていた。

ここでジャックも面会に来た。ジャックもキャロルに協力してくれるようである。

二人でジャックのアパートに言って話す。キャロルは「スコットが助かるなら死んでもいい」と言う。ジャックは「犯人は大胆で頭のいいやつだ」と言い、キャロルが「正気じゃないわ」と言う。この時にジャックの表情が歪むがキャロルは気がつかない。この映画をしっかりと見ている我々は気がつく。

バーチェスとジャックが話す場面がある。バージェスが過去の異常犯罪者の例を次々と挙げていく。ジャックは「犯人は我々より抜け目がない」と言い、バージェスは「精神の問題が人を殺人犯にする」と言う。バーチェスはジャックに背を向けていたが、ジャックが頭を抱えているのに気がつく。ジャックは「最近はめまいがひどい」と言う。

バージェスは他の事件で出張となる。キャロルに「明日の午後に私が帰ってくるまでは動くな」と言い渡す。

しかし一刻も早くスコットの無罪を証明したいキャロルはエステラに接触しようとする。エステラ一行は次の興行地に向けて出発し間に合わないが、別便で運び出されるエステラの荷物の中に帽子のケースがあるのを発見する。それには「ケティーシャ」の商標。

キャロルはジャックを誘ってケティーシャに行く。そこでエステラの帽子のデザイン画を発見する。マダム・ケティーシャは複製を否定するが、助手が複製したことを認めた。そして注文者の住所と氏名を聞く。ロングアイランドのアン・テリー。

二人でアンを訪ねていくが、女性の医者がでてきて「体調が悪いので会えない」と拒否される。しかしなんとか粘ってキャロルだけが面会できる。

キャロルが訪ねていくと、アンの婚約者が死亡したとのこと。人生に希望を失っている。話すのに苦労するが、アンは例の帽子を取り出して「私には不要なので」とキャロルにプレゼントする。

ジャックとキャロルは帽子を貰って車で戻っていく。キャロルは「これでスコットは無実・無罪」と喜んでいる。一方ジャックは頭痛がしているようである。

途中でキャロルは「バージェスに電話を」と言うが、ジャックが「自分が電話してくる」と言って車から降りる。ジャックはオンフック状態で電話したふりをする。「(ジャックの)家で待っていると伝言した」。

ジャックの家に到着した。ジャックは相変わらず頭痛がしているようである。

しかしキャロルは別室でクリフの住所のメモを発見した。そしてクリフの部屋に忘れてきた自分のバッグも発見した。その部屋にあった電話でバージェスに連絡しようとしたが話し中。

犯人(ジャック)と同じ場所にいるという緊張がキャロルを襲う。キャロルは外に逃げようとしたが鍵がかかっていてドアが開かない。ジャックがネクタイを外して首を絞めようと迫ってくる。キャロルは追い詰められる。しかしそこでバージェスが飛び込んできた。

スコットは釈放されて復帰した。そしてキャロルにプロポーズした。
 


■ 蛇足

ジャックがマーセラを殺した理由は、マーセラを誘惑したが馬鹿にされて拒否されたため。

ジャックのバーテンとクリフの買収は可能だろう。しかしタクシー運転手の買収は容易ではないと思うが。

アラン・カーティス。「ハイ・シェラ High Sierra (1941)」「地中海の虎 I pirati di Capri (1949)」。

トーマス・ゴメス。「征服への道 Captain from Castile (1947)」「キー・ラーゴ Key Largo (1948)」「悪の力/苦い報酬 Force of Evil (1948) 」「女海賊アン Anne of the Indies (1951)」「桃色の馬に乗れ Ride the Pink Horse (1947) 」。

アンドリュー・トムベス。「群衆/MEET JOHN DOE(1941)」。

エリシャ・クック・Jr。「シェーン/Shane(1953)」「三つ数えろ/The Big Sleep(1946)」「マルタの鷹/The Maltese Falcon(1941)」。
 

エラ・レインズ
(1944)容疑者/The Suspect
(1944)拳銃の町/Tall in the Saddle
(1944)幻の女/Phantom Lady
(1945)ハリーおじさんの悪夢/The Strange Affair of Uncle Harry
(1949)ウォーキング・ヒルズの黄金伝説/The Walking Hills
(1949)殺しのミッション/危険な職業/A Dangerous Profession
(1949)狂った殺人計画/Impact
(1950)峡谷の銃声/Singing Guns
(1952)ハチェット牧場の対決/Ride the Man Down
(1956)道路の男/The Man in the Road