■ The Last Leaf
ジョアンナは吹雪の中を恋人を訪ねて行ったが振られた。また吹雪の中を帰って来た。途中で倒れて肺炎になった。
ジョアンナのアパートの向かいの家の壁にツタの葉が揺れている。ジョアンナはツタの葉が風で一つずつ落ちていくのを見ている。
姉のスーザンや上に住んでいる画家のバーマンがジョアンナの病状を心配している。ツタの葉が最後の一つになった。


製作:1952年、脚本:アイヴァン・ゴッフ、ベン・ロバーツ、監督:ジーン・ネグレスコ  


■ はじめに

本作はオー・ヘンリーの五本の短編を映画化したオムニバス映画「人生模様/O. Henry's Full House(1952)』。以下の映画を含んでいる。

「警官と讃美歌』『クラリオン・コール新聞』『最後の一葉』『赤い酋長の身代金』『賢者の贈物』。

登場人物(キャスト)
 ジョアンナ・グッドウィン(アン・バクスター)
 スーザン・グッドウィン(ジーン・ピーターズ) ジョアンナの姉
 バーマン(グレゴリー・ラトフ) 画家、グッドウィン姉妹の上の部屋
 医師(リチャード・ギャーリック)
 ボリス・ラドルフ(スティーヴン・ジェレイ) 画商
 ダンディ(ハル・スミス) ジョアンナの恋人
 ダンディの部屋に来た女性(?)
 薬屋(ワーレン・スティーブンス)
 近所の人(ルース・ワーレン)
 近所の人(マーサ・ウェントワース)
 


■ あらすじ

◆ ジョアンナは振られた

グリニッチヴィリッジ、冬。吹雪の中をジョアンナは恋人のダンディを訪ねていった。

しかしジョアンナはダンディに振られて部屋を出た。同時に女性が部屋に入ってきた。

ジョアンナはまた吹雪の中を歩いてアパートに向かった。途中で同じアパートの画家バーマンと会った。

しかしアパートの近くで倒れた。姉のスーザンが来て、バーマンと二人で部屋に運び込んだ。

◆ 肺炎になった

医者が来て診断した。部屋の外でスーザンとバーマンに肺炎だと伝え「明日また来る」と言った。病状はよくない。

スーザンはジョアンナに「数日すれば治る」と嘘を言った。

ジョアンナ:「馬鹿なことをした」スーザン:「新しい人生を行くのよ」。

隣の家に壁にツタが這っている。ツタの葉が風に吹かれて揺れている。

◆ 薬を買いに行く

バーマンは「ついでがある」と言ってジョアンナの薬を買いに行った。スーザンは金がないので「薬局には付けにして」とバーマンにお願いする。しかしバーマンは自分の絵を売って代金を得るつもりである。注、バーマンも金がない。

画商のポリス・ラドルフに絵を持ち込んだ。今までもラドルフの評価は高くない。

バーマンは「今回は違う」とはったりを言ったが、ラドルフは「1950年代なら売れる、時代を先取りしすぎている」とバーマンの自尊心を傷つけないように言って3ドルを提示した。

バーマンは「1950年代まで苦しんでもいい」と断って出た。

それで薬局に行ったが、薬の代金は2ドルとのこと。手持ちではわずかに足りない。

バーマンはラドルフのところに戻って絵と交換に3ドルを貰い、薬を買った。注、薬局と画商は隣同士。

◆ ツタの葉

ジョアンナはまだ苦しそう。医者も悲観的な顔をしている。「多くの患者をみてきた。生きるという希望が重要、しかし彼女にはそれがない」。

ジョアンナは食欲がない。隣の家の壁のツタの葉を数えている。少しずつ散って少なくなっている。

ジョアンナは「昨日は21枚、今は14枚、全部散ったら私も死ぬ」と言う。

それを見てスーザンはカーテンを閉めようとしたが、ジョアンナは「閉めないで」と言った。

◆ バーマン

上の部屋で大きな音がした。ジョアンナのこともあるので、スーザンはバーマンの部屋に行って抗議をした。

バーマンは思い通りの絵が描けないで怒っている。スーザンが抗議をすると、はっと我に帰り「ジョアンナは?」と聞く。

「ツタの葉をみて奇妙なことを言っている。ツタの葉と自分の人生を重ねている」と言うとバーマンは「ばかげている」と答えた。

バーマンが静かにすることを約束したので、スーザンは階段を下りた。

バーマンは、外のツタを見た。何かを考えている。

◆ ツタの葉が一つになった

スーザンが外から戻ってくると、ジョアンナは窓のそばに立っていた。苦しそう。倒れた。

スーザンはジョアンナを抱えてベッドに寝かせた。

医者は「今夜がヤマだ」と言う。

スーザンはツタを見た。ちょうど二枚あったツタの葉の一つが落ちた。残りは一枚。

ジョアンナを見て、スーザンは泣いた。

◆ バーマンがまた大声

そこでバーマンが酔っぱらって大声で帰ってきた。階段を上ってくる。

スーザンはドアを開けてバーマンに抗議。バーマンは「自分が何者かが分かった。自分は三ドルの画家だ」と大声。

スーザンは「残っている葉は一枚。明日までは持たない」と話すと、バーマンは「きっと助かる。きっとよくなる」と呪文のように言って階段を上っていった。

◆ ジョアンナが回復した

スーザンはずっと起きている。一晩中起きていた。夜が明けた。

ジョアンナが目を覚ました。「ツタの葉を見せて」。

ジョアンナが言うのでカーテンを開けると、まだ一つ残っていた。ジョアンナは残っている葉を見て微笑んだ。

スーザンも微笑んだ。「小さな葉は生き抜いた、あなたも生き抜いた」。

ジョアンナは「お腹がすいた」。続いて「鏡とブラシを取ってちょうだい」。

◆ バーマンがなくなった

外でサイレンがなった。救急車がきている。スーザンは外に出た。バーマン。

みんな集まっている。「画家の老人よ」「何時間も雪の中にいた」「芸術家は変人」「夜中にランプを借りにきた」とみんなが口々に噂をしている。

バーマンは死亡した。

スーザンは部屋に帰った。最後のツタの葉は依然として壁に張り付いていた。しかし葉を支える枝がなくなっていた。

スーザンはジョアンナに「バーマンは偉大な画家よ」と言った。
 


■ 補足

原作とはすこし設定が違っているようである。まず原作では二人の姉妹ではなく画家を志す女性同士。それとバーマンは原作では二人の下の階に住んでいる。

本作ではジョアンナは21歳。私が持っているDVDの字幕ではスーザンはジョアンナの姉ということになっている。二人の部屋には絵がいくつも飾ってあるので、セリフでの説明はないが、画家を志しているのだろう。

英語を確認するとsheとかsisterと言っているだけなので、どちらが姉かは分からない。しかし21歳の女性の妹となると、かなり若くなるので、スーザンが姉ということで良いだろう。

しかしアン・バクスターとジーン・ピーターズはアンの方が年上だったりする。本作時アンは29歳。ジーンは3歳年下。

ところでジーンとアンはかなり似ている。それとドロシー・マクガイアとも似ていたりする。
 


■ 出演作

アン・バクスター
(1940)スワンプ・ウォーター/Swamp Water (1953)青いガーディニア/The Blue Gardenia
(1950)彼女は二挺拳銃/A Ticket to Tomahawk
(1950)イヴの総て/All about Eve
(1952)人生模様/最後の一葉/O. Henry's Full House
(1956)十戒/The Ten Commandments
(1953)私は告白する/I Confess
(1946)剃刀の刃/THE RAZOR'S EDGE

ジーン・ピーターズ
(1948)海の呼ぶ声/Deep Water/漁師とケースワーカーと孤児
(1948)征服への道/Captain from Casile/恋人ともに新大陸に渡る
(1950)Love That Brute/ギャング・ロマンティック・コメディ
(1951)女海賊アン/Anne of the Indies/捕虜を救って好きになったが裏切られる
(1952)革命児サパタ/Viva Zapata!/メキシコ革命、伝記映画
(1952)人生模様/最後の一葉/O. Henry's Full House/吹雪の中を歩いて肺炎に
(1952)ジャングルの逃亡者/Lure of the Wilderness/冤罪で逃亡し沼地で暮らす
(1953)拾った女/Pickup on South street/スパイ組織との対決
(1953)ナイアガラ/Niagara/殺人犯と一緒に滝に流される
(1953)ヴィッキー/モデル殺人事件/Vicki/ハリウッドに進出しようとしたが殺された
(1954)アパッチ/Apache/ジェロニモ降伏後も白人と戦う
(1954)愛の泉/Three Coins in The Fountain/ローマでのアメリカ人女性三人の恋愛模様

◆ グレゴリー・ラトフ
「陽はまた昇る/The Sun also rises(1957)」
「イヴの総て/All About Eve(1950)」
「月蒼くして/THE MOON IS BLUE 1953」

◆ スティーヴン・ジェレイ
「ギルダ/Gilda(1946)」

◆ ルース・ワーレン
「恐怖の街/Man in the Dark(1953)」