■ Vicki/I Wake Up Screaming
モデルのヴィッキーが殺された。姉のジル、スカウトのスティーヴも含めて数人の容疑者。
またアパートの管理者のハリーが姿を消した。一方刑事のエドは異様な執念でスティーヴに付きまとった。
製作年:1953、監督:Harry Horner、原作:Steve Fisher
■ はじめに
殺人事件の真相を知りたければ「補足/真相」を参照。
登場人物(キャスト)
ヴィッキー・リン(ジーン・ピーターズ) ウェイトレス→モデル
ジル・リン(ジーン・クレイン) ヴィッキーの姉
スティーヴ・クリストッファー(エリオット・リード) スカウト
ラリー・エヴァンス(マックス・ショウォルター) コラムニスト
ロビン・レイ(アレクサンダー・ダーシー) 俳優
ハリー・ウィリアムス(アーロン・スペリング) アパートの管理人
エド・コーネル(リチャード・ブーン) 刑事
マクドナルド(カール・ベッツ) 警部
ヴィッキーとジルのアパートは、アパートと言いながら一階のフロントでカギを管理している。住人も管理者(英語ではswitch board boy)からカギを受け取って入る。管理者は電話番などもしている。
「I Wake Up Screaming」は原作名。日本語版はない。
■ あらすじ
◆ ヴィッキー・リンが殺された
場所はニューヨーク。モデルのヴィッキー・リンが自宅アパートで殺された。
発見時の状況。姉のジルが戻ってきた。するとヴィッキーが床に倒れており、そばにスティーヴ・クリストッファーがいた。
ヴィッキーはウェイトレスをしていたが、スカウトのスティーヴに声をかけられてモデルとなった。
人気が出て、メディアにも大きく扱われるようになった。
ヴィッキーはさらに飛躍したいとスティーヴには秘密でハリウッドのスクリーンテストを受けた。めでたく合格した。
ヴィッキーがスティーヴに「明日の夜、ハリウッドに行く」と言う。当然スティーヴはいい顔はしない。しかし本人の意志であれば引き留めることはできない。
またジルもどちらかと言えば反対のようである。
このような状況の時に事件が起こった。
◆ 取り調べ
警察による取り調べ。まずスティーヴが真っ先に疑われた。死体発見時の状況やスティーヴの意向を無視してヴィッキーがハリウッドに行こうとしたことを考えると状況証拠も動機も十分である。
事件の次の日の午後、アパートの管理人のハリー・ウィリアムスが姿を消した。
コラムニストのラリー・エヴァンスは「ヴィッキーを好きだった」と言ったが、それ以上の疑問点は出されなかった。
またジルも取り調べられた。その過程で昔ヴィッキーがウェイトレスをしていた時に「外からずっと見ていた怪しい男がいた」と証言した。
しかしその男は刑事のエド・コーネルであった。「自分の管轄区域だ。見回るのは当然」と答えた。
ハリーはしばらくして戻ってきた。ハリーも尋問された。
◆ エドは異常
警察幹部はハリーを第一容疑者とみているようである。しかし刑事のエドはスティーヴをきつく尋問した。「俺は15年の経験がある。間違ったことはなかった」と居直った。
スティーヴが部屋に戻ってきた。ライトをつけた。ソファにエドが座っていた。刑事であっても異常な行動である。
スティーヴは怒鳴った。エドは上司から注意を受けたが、あまりまともに聞いている様子はない。
◆ 引っ越し
ジルは、アパートを引っ越すことにした。アパートに戻ってくるとハリーがいない。
自分の部屋に行くとハリーが中に勝手に入っており、しかもジルの引っ越しも知っており荷物をまとめていた。
二人は荷物を持って一階に行った。この時にスティーヴから電話がかかった。ジルは「教えないで」とジェスチャーで示したので、ハリーは電話を断った。
新しいアパートに行って、ジルは思い直してスティーヴに電話をした。夜八時に会うことになる。
ここでなぜかエドが入ってきた。なぜ引っ越し先を知っていたのかは不明である。また例によってジルを脅して出て行った。
◆ スティーヴが逮捕された
スティーヴが迎えに来て二人は車で出て行った。それをエドが見張っている。
ダンスをしながらジルは聞いた。「ヴィッキーを愛してたの?」。答えは「ノー、仕事。それだけだ」。
二人で新しいアパートに戻った。持って来たヴィッキーの荷物を見ている。
ドアをそっと開けてエドが入ってきた。拳銃を構えた。そしてスティーヴに手錠をかけたっ!容疑はあるのかっ!?
そしてエドはスティーヴを殴り倒した。
しか~し、ここでジルがエドを後ろから殴り倒したっ!凶器は不明。エドは気を失った。ジルに大拍手。
◆ 手錠を切断した
二人は逃げ出した。外で警察のサイレンが鳴っている。二人とは無関係だが、警官が配備されている。
スティーヴは布切れで手錠を隠した。そして自動車修理工場に入った。しかしジルは警官が来たので入れなかった。
一方気が付いたエドは署に電話してスティーヴの手配を依頼した。
スティーヴは金ノコギリを万力に挟んで手錠の鎖を切断した。
◆ 映画館で落ち合う
さてジルは自分のアパートに戻った。必要なものを持って出かける用意をする。
ヴィッキーのバッグを見ていると手紙を見つけた。ラリー・エヴァンスからのものである。ヴィッキーがハリウッドに行っても、花を贈る・送るとの内容。
その手紙も自分のバッグに入れた。
外を眺めると通りでエドが見張っている。ジルは屋上に上った。隣のビルは同じ高さである。板を渡して隣のビルに渡った。注、ずいぶん都合がいいな。
二人は映画館で落ち合った。ラリーの手紙を見せるとスティーヴは分かったようである。
◆ ラリーに話を聞いた
スティーヴはラリーを訪ねた。手紙を出して追及すると、ラリーは拳銃を取り出そうとしたが、スティーヴに抑えられると、あきらめたように話した。
事件の当日は、ヴィッキーとアパートに行った。しかしハリーはおらず、カギもなかった。
そこでラリーが非常階段を上り窓から入った。ドアを開けてヴィッキーを入れた。
ちょっと考えていたスティーヴは「thanks」と言って立ち去った。
◆ 偽電話をかける
スティーヴは街頭でスティーヴを探している刑事に拳銃を突き付けた。「協力してほしい」と言って拳銃を渡した。
さて、元のアパートでは、ハリーが居眠りをしている。電話が鳴った。受話器を取り上げた。
「ハリー、ヴィッキーよ、私を愛しているんでしょ」との声にハリーは飛び上がった。陰からスティーヴと刑事が見ている。
ハリーは受話器を投げだしたが、もう一度受話器を取った。「ハリー、ヴィッキーよ、私を愛しているんでしょ」。
実は電話をかけているのはジル。姉妹なので声は似ている。
スティーヴと刑事が現れた。ハリーは犯行を自供した。
しか~し、もう一つ重大な自供。「これは刑事(エド)には話した」。そして「黙っておけと言われた」。
ハリーは逮捕された。スティーヴはジルに状況を報告した。
◆ エドの部屋
スティーヴとジルと刑事はエドの部屋に向かった。留守だったが戻ってきた。中に入った。
エドの部屋の中はヴィッキーの写真がいっぱい飾ってあり、花とロウソクもあった。事情を聞いた。
ヴィッキーが勤めていた店の外から見て、ヴィッキーを好きになった。それでずっとヴィッキーを見ていた。
ある時ヴィッキーが男に絡まれた。それを助けて話すようになった。自分都合では結婚したいと思うようになった。
しかしスティーヴがヴィッキーをスカウトして、またヴィッキーは手の届かないところへ行った。
エドは拳銃を取り出して「俺を撃ってくれ」と言った。刑事は拳銃を受け取って、エドは逮捕された。
外に出てジルとスティーヴはキスをした。ちょうどヴィッキーの看板が外されるところだった。
■ 補足/真相
ラリー・エヴァンス、ハリー・ウィリアムス、エド・コーネルはヴィッキーが好きだった。(キスする場面はないが)ラリーとは、わりと親しい関係。
スティーヴは、ヴィッキーに対して恋愛感情はなく、単に仕事として付き合っていただけ。
殺害時の状況は、わり単純なので、お分かりだと思うが、整理しておく。
ハリーが部屋のカギを持って上に上がる。部屋には入らずに姿を隠しておく。
ヴィッキーとラリーが来た。カギがなくハリーもいないので、ラリーが非常階段を登って部屋に入る。ドアを開けてヴィッキーを入れる。
二人が話した後ラリーが帰る。
ハリーがカギを使ってドアを開けて、ヴィッキーを殺害して出ていく。
その後、スティーヴが訪ねて来てヴィッキーの死体を発見した。
さらにジルが入ってきた。
■ 出演作
◆ ジーン・ピーターズ
(1948)海の呼ぶ声/Deep Water/漁師とケースワーカーと孤児
(1948)征服への道/Captain from Casile/恋人ともに新大陸に渡る
(1950)Love That Brute/ギャング・ロマンティック・コメディ
(1951)女海賊アン/Anne of the Indies/捕虜を救って好きになったが裏切られる
(1952)革命児サパタ/Viva Zapata!/メキシコ革命、伝記映画
(1952)人生模様/最後の一葉/O. Henry's Full House/吹雪の中を歩いて肺炎に
(1952)ジャングルの逃亡者/Lure of the Wilderness/冤罪で逃亡し沼地で暮らす
(1953)拾った女/Pickup on South street/スパイ組織との対決
(1953)ナイアガラ/Niagara/殺人犯と一緒に滝に流される
(1953)ヴィッキー/モデル殺人事件/Vicki/ハリウッドに進出しようとしたが殺された
(1954)アパッチ/Apache/ジェロニモ降伏後も白人と戦う
(1954)愛の泉/Three Coins in The Fountain/ローマでのアメリカ人女性三人の恋愛模様
◆ ジーン・クレイン
(1945)哀愁の湖/Leave Her to Heaven
(1949)三人の妻への手紙/A Letter to Three Wives
(1952)人生模様-賢者の贈り物/The Gift of the Magi
(1953)ヴィッキー/モデル殺人事件/Vicki
(1954)ジャングルの決闘/Duel in the Jungle
◆ マックス・ショウォルター
(1964)女房の殺し方教えます/How To Murder Your Wife
(1954)夜の人々/Night People
(1953)ナイアガラ/Niagara