■ Leave Her to Heaven
リチャードはエレンと結婚した。エレンはリチャードと二人きりの生活を望み、リチャードの弟ダニーばかりか、自分の妹のルースまでも邪魔にした。
ダニーは湖で溺れて死亡した。エレンは妊娠したが、故意に階段から転落し流産した。
さらに、、、
製作年:1945、監督:John M. Stahl、脚本:Jo Swerling、原作:Leave Her to Heaven(Ben Ames Williams)
■ はじめに
◆ 登場人物(キャスト)
リチャード・ハーランド(コーネル・ワイルド) 小説家
ダニー・ワイルド(ダリル・ヒックマン) リチャードの弟
レイク・ソーム(チル・ウィルス)
エレン・バーレント・ハーランド(ジーン・ティアニー) リチャードの妻
ルース・バーレント(ジーン・クレイン) エレンの妹
バーレント氏(-) エレンとルースの父、本作開始前に死亡
バーレント夫人(メアリー・フィリップス) エレンとルースの母親
ラッセル・クィントン(ヴィンセント・プライス) エレンの元婚約者、地方検事
■ あらすじ
◆ エレン・バーレントと出会う
作家のリチャード・ハーランドは列車でニューメキシコに向かっていた。
列車の中でエレン・バーレントという女性と知り合いになった。死亡した父親の遺骨を散骨しにいくとのこと。
母親と妹のルースと一緒である。エレンは父に似ているとのことでリチャードに興味を持ったようである。
一行とリチャードは、たまたま同じ宿に宿泊することも分かった。
◆ エレンには婚約者がいた
エレンとリチャードは、宿の中や外で親しく話した。リチャードはエレンが婚約指輪をしているのに気がついた。
しかし夜になってエレンは指輪を外していた。
宿にラッセル・クィントンという男性が訪ねてきた。エレンの婚約者である。ラッセルはエレンを呼んで二人だけで部屋に入った。
ラッセルはエレンが指輪をしていないのに気がついて追及した。エレンは婚約を解消しリチャードと結婚すると宣言した。
リチャードとはそんな話はしておらずエレンの独断である。
意外にもラッセルが反論せず「結婚するのは選挙の後に」と要求した。ラッセルは地方検事の選挙に立候補しているからで「恋人に振られた」ことが選挙に影響することを心配したのである。
エレンは結婚式を延期するという要求を拒否した。
その後ラッセルはリチャードを睨みつけて出て行った。
◆ 二人は結婚した
二人は結婚して、ウォーム・スプリングスにある湖のそばのリチャードのロッジに移り住んだ。
そのロッジにはリチャードの弟のダニーと使用人のレイクが住んでいた。ダニーは足が悪く、歩く時には松葉杖を使っていた。
エレンはリチャードが大好きで二人だけで過ごしたがった。しかしリチャードにとっては、ダニーは心が通じ合った弟であり、レイクは使用人とはいえ長年一緒に暮らしてきた間柄であった。
そのうちにバーレント夫人とルースが訪ねてきた。
◆ ダニーが溺死した
リチャードは執筆に集中しているので、エレンは他の人と時間をつぶした。
ある日、ダニーとエレンはボートで沖に出た。実はエレンは泳ぎがかなり上手である。ダニーもそれなりに泳げる。
ダニーは「岸まで泳いでみる」と水に入った。エレンはダニーの後をゆっくりとボートを漕いでいく。
ダニーとボートの距離は徐々に離れた。
突然ダニーが叫び声をあげてエレンに助けを求めた。しかしエレンは動かなかった。
ダニーの声を聞いたリチャードが岸から飛び込んだ。それを見てエレンもボートから飛び込んだ。
ダニーは岸に上げられたが、その後死亡した。
◆ エレンは妊娠したが、
ダニーの死後、彼らはバーレント家の別荘に引っ越した。リチャードがダニーの死に耐えられないからである。
ルースは落ち込んでいるリチャードのためにいろいろと気を使った。しかしエレンは二人の関係を疑い、ルースを敵視するようになった。
またリチャードが新作の献辞を、いろいろと頑張っているルースに捧げたことも、エレンは反発した。
エレンは妊娠した。しかしエレンは「子供は欲しくない。リチャードさえいればよい」と言う。
ある日、エレンは故意に階段から転落した。その結果、エレンは流産した。
◆ リチャードはエレンの元を去った
リチャードは内心疑問に思っていたダニーの死亡時のエレンの行為について、エレンを追求した。
対してエレンは「ダニーを故意に助けなかった」ことを認めた。リチャードにとっては、ダニーの件は許せるものではなく、エレンの元を立ち去った。
◆ エレンは自殺した
エレンは、自分が使う砂糖の容器に、手袋をした上で砒素を混ぜた。それをルースの仕業であるかのように装った。
エレンは飲み物を飲むときに砂糖を入れた。結果エレンは死亡した。
エレンの書類には「もし自分が死亡したら、父親と同じように火葬・散骨してくれ」との指示があった。
◆ ルースは起訴された
エレン死亡事件が捜査された。結果、ルースが起訴された。
検事はラッセルである。ラッセルは、エレンに振られたことを恨みに思っているのか、ルースに対して、個人的なことも含めて、厳しい尋問を繰り返した。
エレンが早々に火葬・散骨されたことも疑われた。
また証人のリチャードに対しても厳しい質問を投げかけた。
ルースにはエレンの陰謀で、不利なことがあったが、しかし判決はなんとか無罪となった。
◆ リチャードは二年の刑となった
エレン死亡の件とは別にリチャードはダニーの死亡を隠したとのことで、起訴されて、二年の禁固刑となった。
二年が経過した。リチャードのロッジにルースとレイクがいる。
リチャードが戻って来た。
■ 補足
地方検事。各州には連邦政府から任命される連邦地方検事と選挙で選ばれる州地方検事がある。前者は複数州にまたがる事件を担当し、後者は州内の事件を担当する。ラッセル・クイントンは後者。
本作は転換点となる場面が表示されない。例えば、リチャードとエレンが結婚する時、ダニーが死亡宣告される時、ルースの判決の場面、リチャードの裁判。なんらかの印象効果を狙っているものと思われる。
■ 出演作
◆ コーネル・ワイルド
(1941)ハイ・シェラ/High Sierra
(1945)哀愁の湖/Leave Her to Heaven
(1947)永遠のアンバー/Forever Amber
(1948)深夜の歌声/Road House
(1952)剣豪ダルタニアン/At Sword's Point
(1945)魔法のランプ/Magic Lamp
◆ ジーン・ティアニー
(1941)上海ジェスチャー/The Shanghai Gesture
(1942)激闘/ベンジャミンの復讐
(1944)ローラ殺人事件/Laura
(1945)哀愁の湖/Leave Her to Heaven
(1946)呪われた城/Dragonwyck
(1946)剃刀の刃/The Razor's Edge
(1950)街の野獣/Night and the City
(1954)エジプト人/The Egyptian
◆ ジーン・クレイン
(1945)ステート・フェア/State Fair
(1945)哀愁の湖/Leave Her to Heaven
(1949)三人の妻への手紙/A Letter to Three Wives
(1952)人生模様-賢者の贈り物/The Gift of the Magi
(1953)ヴィッキー/モデル殺人事件/Vicki
(1954)ジャングルの決闘/Duel in the Jungle
◆ ヴィンセント・プライス
(1944)ローラ殺人事件/Laura
(1951)替え玉殺人事件/HIS KIND OF WOMAN
(1956)口紅殺人事件/While the City Sleeps
(1940)約束の地を目指せ/Brigham Young
(1946)操られた目撃者/Shock