■ Whirlpool
高名な精神分析医ビル・サットンの妻アンはデパートで万引きをして捕まった。
その場でアンを助けた催眠術師のコルヴォは、アンに催眠術をかけて操った。
コルヴォは、ビルの患者のテレサから6万ドルを盗もうとしていたが、ビルの治療記録に、そのことが記録されていた。
コルヴォはアンに催眠術をかけて、テレサの治療記録を盗ませ、テレサの屋敷まで来させた。そこにはテレサの死体があった。


製作年:1949、監督:Otto Preminger、脚本:Ben Hecht、Andrew Solt、原作:Methinks the Lady...(Guy Endore)


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)

アン・サットン(ジーン・ティアニー)
ビル・サットン(リチャード・コンテ) アンの夫、精神分析医

デイヴィッド・コルヴォ(ホセ・フェラー) 催眠術師
テレサ・ランドルフ(バーバラ・オニール)
マーティン・エヴェリー(エドワード・フランツ) 弁護士
ジェームス・コットン警部(チャールズ・ビックフォード)

コルヴォは実直な会社員風。もっと悪人らしい風貌にして欲しかった。
 


■ あらすじ

◆ 万引き

アン・サットンはデパートで万引きをして捕まった。奥の部屋に連れていかれて、いろいろなことを問われた。

そこでアンは気を失った。ベッドの上で目を覚ました。「都合が悪いと気を失う」みたいな冷たい目が注いでいる。

実はアンの夫ビルは高名な精神分析医である。

そこにある人物が入ってきた。デイヴィッド・コルヴォ。コルヴォはアンの素性を明かし、夫妻が当デパートの優良顧客であることも明かした。

そして盗んだ物を夫妻のツケ払いにするように依頼した。デパートの方も、それ以上に追求する気はなく、アンは釈放された。

この時にコルヴォはデパートからアンのこれまでの記録を入手した。

◆ 催眠術

それ以降、アンはコルヴォと会うようになった。弱みを握られているからである。

二人はあるパーティに出かけた。そこでテレサ・ランドルフに出会った。アンは知らないが、テレサはビルの患者の一人である。

テレサはコルヴォと親しそうに振る舞いアンに見せびらかせた。

別室でアンはコルヴォに催眠術をかけられた。それは巧妙なもので、アンが目を覚ましても、催眠中に命令されたことを実行する。しかもアンは命令された記憶がない。

またコルヴォは催眠でテレサに対する嫉妬心を植え付けた。

◆ 指紋

二人はホテルで会った、コルヴォは部屋に行くことを提案するが、アンが拒否してラウンジで飲んだ。

アンが用で席を立った時に、アンのグラスをスカーフで掴んで中身を飲み干して、グラスを隠した。ウェイターにもう一つグラスを持って来させた。

隠したグラスにはアンの指紋がついている。

◆ テレサの治療記録

その夜、アンは夜中に目覚めて事前にコルヴォに命令されたれことを実行する。

ビルは治療時の記録をレコード板に記録して保管している。アンは起き上がって保管室に入り、テレサのレコードを持ち出した。

アンは車を運転していった。行き先はテレサの屋敷である。

◆ テレサは殺されていた

アンは屋敷に入り、まずクローゼットの棚にレコード盤をしまった。

そしてリヴィングに入った。ソファにはテレサが座っていた。テレサの肩に触るとテレサは崩れ落ちた。テレサは死亡していた。

テーブルの上にはグラスがあった。注、このグラスにはアンの指紋が付着している。

ここでアンは我に返った。しかし自分が何をしたのかは分からない。警察に電話した。

◆ 逮捕

テレサの死体があり、そばにアンがした。素直に考えれば、アンがテレサを殺したものと考えられた。

ビルも呼ばれた。ビルはアンを弁護する。しかし「妻はそのようなことをする人物ではない」というような一般論しか展開することができない。

アンは逮捕された。

◆ コルヴォにはアリバイ

ビルとマーティン・エヴェリー弁護士は、コルヴォが「何らかの方法でアンを嵌めた」と考えた。

ビルはテレサが治療中に「コルヴォがテレサを脅して60000ドルを奪おうとした」と言ったことを思い出した。

アンが持ち出したテレサの治療記録には、このことが録音されている。

しかしコルヴォには鉄壁ともいえるアリバイがあった。事件の夜、彼は胆嚢の手術で入院していた。

コルトン警部は当然コルヴォを容疑者から除外した。

◆ ビルの推測

アンの盗癖は子供の頃からである。アンは一時は、その癖から逃れた。

しかしビルと結婚して彼女の富を無視せざるを得なくなった時に、盗癖は再発した。

ビルは精神分析医である。アンの状況を理解した時に、コスグローヴがアンを利用したと考えた。

ビルは保管庫からテレサの記録がなくなっていることを発見した。

ビルはさらにコスグローヴが自分自身に対して催眠の能力を利用したと推論を進めた。

コスグローヴの体温の記録は、テレサが殺された日に急上昇している。これも傍証である。

◆ コスグローヴは病院を抜け出した

ビルは、この推論を元にコットン警部にアンをテレサの家に連れてくるように話した。警部はいったんは、この案を拒否するが、考え直した。

病院の看護師が、コスグローヴに新聞に載っていたテレサの治療記録のことについてコメントした。

コスグローヴは自分自身を強力な催眠状態に導いた。体の痛みが引いた。コスグローヴは病院を抜け出した。テレサの家に向かう。

◆ コスグローヴは死亡した

コスグローヴはテレサの屋敷に来て、テレサの治療記録を確認していた。60000ドルの件が記録されていた。

ビルとコットン警部はアンを連れて、テレサの屋敷に来た。コスグローヴは隠れた。

ビルはアンに自分に対して隠し事をしなければ、コスグローヴの催眠術が解けるとアンを励ました。

ここでコスグローヴが現れた。拳銃を構えた。

しかしコスグローヴの強力な催眠もそれまでで、コスグローヴは痛みに耐えかねて倒れた。そして死亡した。

コットン警部は、アンへの疑いを解いて、ビルとアンは抱き合った。

 


■ 出演作

◆ ジーン・ティアニー
(1941)上海ジェスチャー/The Shanghai Gesture
(1942)激闘/ベンジャミンの復讐
(1944)ローラ殺人事件/Laura
(1945)哀愁の湖/Leave Her to Heaven
(1946)呪われた城/Dragonwyck
(1946)剃刀の刃/The Razor's Edge
(1950)街の野獣/Night and the City
(1954)エジプト人/The Egyptian
(1949)疑惑の渦巻/Whirlpool

◆ バーバラ・オニール
(1956)炎の島/復讐に賭けた女/Flame of the Islands
(1952)天使の顔/Angel Face
(1949)疑惑の渦巻/Whirlpool
(1937)ステラ・ダラス/Stella Dallas

◆ チャールズ・ビックフォード
(1937)平原児/The Plainsman
(1946)白昼の決闘/Duel in the Sun
(1960)許されざる者/The Unforgiven
(1947)浜辺の女/The Woman on the Beach
(1947)真昼の暴動/Brute Force
(1945)堕ちた天使/Fallen Angel
(1942)絶海の嵐/Reap the Wild Wind
(1949)疑惑の渦巻/Whirlpool

◆ リチャード・コンテ
(1946)記憶の代償/SOMEWHERE IN THE NIGHT
(1949)深夜復讐便/THIEVES' HIGHWAY
(1959)コルドラへの道/They Came to Cordura
(1968)セメントの女/Lady in Cement
(1948)出獄/CALL NORTHSIDE 777
(1947)いのち短し/The Other Love
(1949)ならず者と墓荒らし/Big Jack
(1950)大病院殺人事件/The Sleeping City
(1953)バビロン伝説/Slaves of Babylon
(1954)ハイウェイ捜査網/Highway Dragnet
(1949)他人の家/House of Strangers
(1949)疑惑の渦巻/Whirlpool