■ Big Jack
アレキサンダー・ミードは医学研究のため墓から死骸を掘り出し、縛り首にされるところを盗賊団に助けられた。
その後町長の娘パトリシア・マホーニーと知り合いになった。パトリシアの姉サラが病気になり、ミードは経験がない開腹手術に挑む。


製作年:1949、監督:Richard Thorpe、原作:Robert Thoeren


■ はじめに

本作は類似映画が存在せず、また内容もユニークである。大推薦。

登場人物(キャスト)
 アレキサンダー・ミード(リチャード・コンテ) 医師
 ビッグジャック・ホーナー(ウォーレス・ビアリー) 盗賊のリーダー
 フラップジャック・ケイト(マージョリー・メイン) ビッグジャックの妻
 バッド・ヴァレンタイン(ジャック・ランバート) 部下、割と反抗的
 トディー(ウィリアム・フィリップス) 部下
 ポーキー(シド・セイラー) 部下
 マホーニー町長(エドワード・アーノルド) モンダヴィル町長
 パトリシア・マホーニー(ヴァネッサ・ブラウン) 町長の娘
 サラ(?) 町長の娘、パトリシアの姉
 サラの夫(?)
 


■ あらすじ

◆ 絞首刑から助け出される

1802年。医師のアレキサンダー・ミードは森の中で絞首刑にされようとしていた。理由はミードが医学研究のために墓から死体を掘り出したからである。

ミードは後ろ手に縛られて馬に乗せられている。首にロープがかかり、そのロープが頭上の枝に通されている。馬が走り出せば首が締まる。役人と見学者が含めて数名である。

まさに絞首刑が行われようとした時に、馬に乗った一団が襲ってきた。みんなは慌てて逃げ出した。ミードを乗せていた馬も走り出し、ミードが枝からぶら下がった。一団の一人がナイフを投げてミードを吊るしているロープを切った。地面に落下した。

◆ ビッグジャック・ホーナー

一団はビッグジャック・ホーナーが指揮する盗賊団であった。

ビッグジャックは脚に銃弾を受けてケガをしていた。もともとビッグジャックの面倒を見ていた医者は役立たずで、ミードに見てもらいたかったからである。

ミードは森の中のアジトに連れてこられた。ビッグジャックは治療をお願いするにしては態度が大きかった。

ミードはビッグジャックの脚から銃弾を取り出して「しばらく休めば良くなる」と言った。

ビッグジャックは「お礼をしたい」と言って、貴重品が入っている袋を取り出した。

ミードはそのようなものには興味がなく「マーボロ郡保安官に取られたバッグが欲しい。医療器具と医学書が入っている」と希望した。

まだビッコを引きながらではあるが、動けるようになったビッグジャックは部下を従えて保安官事務所を襲い、バッグを持ち帰ってきた。

◆ 「先生には妻が必要だ」

ミードは立ち去るつもりだったが、ミードを気に入ったビッグジャックは「専属医になってくれ」と言う。ミードは仕方なく留まることにした。

さらにビッグジャックはおせっかいをして「先生には妻が必要だ」と言い出した。

ビッグジャックたちはベントンフォークスの村を襲撃した。そこにいた女性を一列に並ばせて一人一人チェックしていく。ビッグジャックは(ミードではなく)自分の好みでみんな否定した。

しかし馬車が通りかかった。モンダヴィル町のマホーニー町長の一行。町長の娘パトリシア・マホーニーを勝手に妻と決めてミードとパトリシアを小屋に入れた。

中に入った途端、パトリシアはミードを殴った。覗いていたビッグジャックは妻のケイトに「俺たちも最初はこうだった」と話して満足した。

◆ ミードとパトリシアが逃げた

ヴァレンタインが「ミードは墓場荒らし」とばらす。するとビッグジャックは「先生、これからは死体を盗んで生計を立てる必要はない」と誤解する。

この後ビッグジャックとケイトは「先生を解放すべきかも?」と話す。

ここで「市民軍が襲ってきた」との情報。ビッグジャックは部下に召集をかけて、ミードがいる小屋に行った。しかしモヌケの殻。

モンダヴィルの町。ミードはパトリシアを送り届けた。もう二人はけっこう親しくなっているようである。父親のマホーニー町長は、大喜び。

「お礼にミードの送別会を行う」と言い出した。

ここで少々ごたごたするのだが、ミードは「送別会は必要ありません」と言い出した。二人は、当地に小屋を借りて住むことになった。パトリシアはニコニコ。

補足。二人は一緒に住むのだが、結婚するわけではない。もう一つ補足すると、ミードが当地にとどまることにしたのは、パトリシアに惹かれたのはもちろん。しかしもう一つの理由がある。それは墓場が近くにあるから。

◆ ビッグジャックはモンダヴィルに向かう

部下のポーキーが「モンダヴィルの銀行に金(かね)が大量に持ち込まれた」と情報を持ってきた。

それとは別に「モンダヴィルで墓から死体を掘り起こしている奴がいる」との情報も寄せられた。ビッグジャックは「ミードに違いない」と読む。

モンダヴィルに向かう夫婦が乗っている馬車。その馬車がビッグジャックに止められた。ビッグジャックとケイトは、夫婦を下ろして、その馬車に乗ってモンダヴィルに向かった。

◆ 銀行の金が盗まれた

バーティがあった。ビッグジャックとケイトが現れた。ビッグジャックは「ジョン・ホーナー」と挨拶し、ケイトを「娘のプリシラ」と紹介した。

その場にはミードもいた。ミードは「ここの人からは金を奪わないように」と警告。パトリシアは姉のサラの出産が間近なので、サラの家に行っている。

「プリシラ」は銀行のオーナーとダンスをした。

ここで「ビッグジャックの手下が来た」との叫び声。外から襲撃される。中にも手下がいる。ビッグジャックがライトを撃ち落として真っ暗になる。大混乱。

銀行のオーナーが「カギがなくなったっ!」と叫び声。

銀行から女性が駆けつけてきた。「金が盗まれたっ!」

◆ ビッグジャックは金を戻した

森の中。ビッグジャックとその仲間がいる。ミードも。

ミードは「今すぐモンダヴィルに帰りたい。盗んだ金も戻せ」と言う。当然ビッグジャックは受け付けない。ミードは小屋に置いている今までの研究成果が失われることを心配している。

ビッグジャックはケイトにミードを縛るように命じた。ケイトはミードを連れて行って縛る。しかし本当は縛らない。縛ったように見せかけてロープをかける。ミードに拳銃を渡す。

ミードが逃げ出した。「誰が逃がしたっ?」「私だよ」。ビッグジャックはミードを追いかけた。部下とケイトは元の場所に残る。そして奪った金はビッグジャックが持っている。

森の中の追跡劇が続くが、ミードは追い詰められた。

ここで町長をはじめとする追跡隊が現れた。二人とも捕らえられた。しかしビッグジャックは「金を取り戻した私を捕まえるのか?」と言って、金が入っているバッグを渡す。注、追跡隊はビッグジャックのことをジョン・ホーナーと思い込んでいる。

「ビッグジャックは射殺されて、死体は高い山から落とされた」。そして付け加えた。「ビッグジャックを仕留めたのはミードだ」。

◆ サラの命が危ない

ミードとパトリシアの小屋にミードとビッグジャック。ビッグジャックは「(金を戻したので)もう部下のところには戻れない」と言う。

ビックジャックは今までの自分の人生を反省しているようである。

パトリシアが入ってきた。「サラが危ない」。三人でサラの家に行った。サラの夫が心配そうな顔。

ミードは診察した。赤ん坊は死産。そしてサラは嚢胞腺腫。みんなそんな病名は知らないので「昔から多くの女性が、この病気で命を落とした」と解説。

ミードは覚悟したような口調で話す。「初めての試みだが、開腹して病巣をとりのぞくしかない」。

ミードはサラに状況を話して、サラの了解を得た。そして夫とパトリシアの了解を貰う。二人も了解した。

ミードはビックジャックに「散髪屋から剃刀を持ってきてくれ」と指示、パトリシアには「布をできるだけ多く」と指示した。それと「手術のことは誰にも知られてはいけない」。

二人はさっそく出かけた。

ビックジャックは苦労したが目的を達成。ここでケイトと出会って、ケイトに刃物を預けてサラの家に行かせた。ビックジャックは姿を消した。注、実はビックジャックは、(元の)部下に会って「金はサラの家の地下」と偽情報を言う。

◆ 手術

ミードは、パトリシア、ケイト、サラの夫を助手にして二階で手術を始めた。

麻酔はないので大きな痛みが伴う。サラに「歌を歌って痛みを忘れるように」と指示する。

大手術なので、時間がかかる。

ビックジャックが戻ってきた。それと町長をはじめとした一隊が武装して集まってきた。ビッグジャックは事情を説明するが、興奮しているので理解してもらえない。

ミードは外の騒ぎに惑わされず、手術に集中する。

銃撃が始まった。ビッグジャックとケイトが中から応戦する。そしてビッグジャックの(元)部下たちが来た。町長たちと部下たちも銃撃戦になる。補足。ビッグジャックが偽情報を流したのは、市長隊と相打ちをさせるため。

ついに部下隊が敗北し町長隊が中になだれ込んできた。二階に駆け上がる。そのタイミングで手術が終了した。

サラは苦しそうではあるが意識ははっきりしている。父親の町長に事情を説明し、町長は納得した。パトリシアは「先生のおかげよ」。

だがしかしビッグジャックが銃弾にやられた。ビッグジャックは微笑みながら死んでいった。
 


■ 補足

ビッグジャックとケイトの話が漫才。非常に面白い。
 


■ 出演作

◆ リチャード・コンテ
「記憶の代償 Somewhere in the Night (1946)」
「深夜復讐便 Thieves' Highway (1949)」
「コルドラへの道 They Came to Cordura (1959)」
「セメントの女 Lady in Cement (1968)」
「出獄/CALL NORTHSIDE 777(1948)」
「いのち短かし/THE OTHER LOVE(1947)」
「ならず者と墓荒らし/Big Jack(1949)」

◆ ウィリアム・フィリップス
「真昼の決闘/High Noon(1952)」

◆ ヴァネッサ・ブラウン
「女相続人/The Heiress(1949)」