■ Man Without a Star
流れ者の牧童デンプシーはリード・ボーマンの牧場で働くことになった。ボーマンは押しが強い女性であった。
ボーマンの牧場は周囲の小牧場の牧草地を圧迫している。さらに他から一万頭の牛を連れてくるとのこと。
製作年:1955、監督:King Vidor、原作:Dee Linford、脚本:Borden Chase、D.D. Beauchamp
■ はじめに
◆ 登場人物(キャスト)
デンプシー・レイ(カーク・ダグラス)
アイドニー(クレア・トレヴァー) 酒場経営、デンプシーの知人
シェフ・ジムソン(ウィリアム・キャンベル)
リード・ボーマン(ジーン・クレイン) 牧場主
ストラップ・デイヴィス(ジェイ・C・フリッペン) 牧童頭
スティーヴ・マイルズ(リチャード・ブーン)
トム・キャシディ(エディ・ウォーラー) 牧場主
テス・キャシディ(マーナ・ハンセン) 娘
オルソン保安官(ロイ・バークロフト)
◆ 補足・感想
ジーン・クレインは可愛い役が多いが、今回は貫禄のある役である。ほとんどの映画で主演であるが、今回は違う。またジーンの西部劇出演は珍しい。
せっかくクレア・トレヴァーが出ているのに、登場場面が少なくもったいない。
当時の牧畜業は現在と違って放牧である。その様子がよく描かれている。
■ あらすじ
◆ デンプシー・レイ
デンプシー・レイは「星のない男」である。この場合の「星」とは「人生の目標」とか言ったたぐいのことである。
1880年代、デンプシーは流れ者の牧童である。空の貨車に乗ってワイオミングに到着した。
途中で知り合った17歳のジェフ・ジムソンが一緒。
トラブルがあったが、ともかく町に到着した。
この地で旧知のアイドニーと再会した。
◆ ストラップ・デイヴィスと会う
この地ではリード・ボーマンという牧場主が勢力を伸ばしており、周囲の放牧地を取得しつつあった。
デンプシーは酒場でリード・ボーマンの牧童頭ストラップ・デイヴィスと知り合った。
副保安官が来てジェフとトラブルになった時、オルソン保安官が現れた。
デイヴィスはオルソン保安官に「二人は自分のために働いている」と説明してトラブルを解消した。
◆ ビル・キャシディと会う
二人はデイヴィスの元で働き始めた。デンプシーはジェフに拳銃や牧場の仕事を教えた。
仕事の最中に地元の牧場主ビル・キャシディを見かけて彼の家に招かれた。
ビルの娘テスは一目でジェフを好きになったようであった。
ビルと話してこの地ではボーマンと他の牧場の争いがあることを知った。
ビルが「小牧場主たちがボーマンに対抗するために有刺鉄線を張ろうとしている」と喋った時にデンプシーは異常な反応を示した。
昔デンプシーの兄弟が有刺鉄線に引っかかったことが原因で死亡したからである。
デンプシーが怒るのでジェフも一緒に立ち去った。テスはジェフに名残り惜しそうな顔をした。
◆ リード・ボーマンと会う
二人が作業をしていると女性が馬車に乗って来た。リード・ボーマンと名乗る。ここで牧場主が女性であることを知った。
その後、リードは牧童一同を集めて訓示をした。リードが立ち去ってデンプシーは牧童に喧嘩を吹っ掛けられた。不穏な雰囲気である。
デンプシーとデイヴィスはリードの家で食事をした。リードはさらに多くの牛を導入する計画を話す。
デイヴィスはその計画に「土地を荒らす」と懸念を表明して立ち去った。
リードはデンプシーをデイヴィスの代わりに牧童頭にしようと提案した。
デンプシーが返事を躊躇していると、牧童の給料を記したノートを「いくらほしいの?」と言って渡した。デンプシーの言い値でよいとの意味である。
デンプシーは数字を記入する代わりに「YOU」と書き、リードにキスをした。
◆ ジェフが襲撃された
やがてリードの計画通り、テキサスからスティーブ・マイルズが多数の牛を引き連れてやって来た。
ジェフはデイヴィスの指示で、牛の一部を連れて行った。
しかしそこには有刺鉄線が張ってあり、キャシディの牧童たちに襲われた。
キャシディはジェフを縛ってリードの家に連れてきた。
この事件でリードはデンプシーを牧童頭にしたがデンプシーはでていくことにした。リードは金を渡そうとしたが受け取らなかった。
ジェフも一緒に行こうとしたが、デンプシーはリードと交渉してジェフは残ることになった。
◆ デンプシーが銃を抜いた
デンプシーは町の酒場で飲んでいた。そこにはマイルズたちもいた。
そしてジェフとリードが入って来た。二人は他から離れてテーブルで飲んでいた。その酒場はリードのような立派な女性が来るところではない。
ある男がリードに絡んできた。ジェフは怒って争いになり、その男を射殺した。
それに怒ったデンプシーとジェフが睨み合った。そして興奮してしまったデンプシーが銃を抜いて構えた。
冷静なデンプシーにはありえないことだった。デンプシー自身が驚いた。
◆ デンプシーは小牧場主に味方した
マイルズはキャシディを含む小牧場主に圧力をかけていた。
それを知ったアイドニーはデンプシーになんとかするように言うがデンプシーは動かない。
デンプシーは町を出ていこうとするが、マイルズの手下たちに襲われてリンチされた。
デンプシーは小牧場主の側につくことにした。
◆ マイルズの手下に襲われた
デンプシーは小牧場主たちの元で有刺鉄線をセットする作業をしていた。
マイルズの手下三人が銃で襲ってきた。デンプシーは回り込んで二人を射殺した。
もう一人を有刺鉄線で縛ってリードの牧場に連れて行った。
リードとマイルズとジェフがいた。
ここでマイルズはジェフを撃って負傷させた。注、明示はされていないが、マイルズはジェフにデンプシーを始末するように指示していたが、デンプシーが生きていたので。
デンプシーは負傷したジェフをキャシディ牧場に連れて帰った。テスはジェフを治療した。
◆ 牛の暴走
マイルズたちは小牧場主たちの牛を襲い、銃で脅して暴走させた。
デンプシーたちとの闘いとなる。
激しい戦いが続いたが、デンプシーはマイルズと格闘して仕留めた。
◆ ラスト
小牧場主たちはデンプシーを引き留めたが、デンプシーは出ていくことにした。
ジェフは一緒に行こうとした。しかしデンプシーはジェフにはテスがいることを指摘した。
ジェフとテスは去っていくデンプシーを見送った。
■ 出演作
◆ カーク・ダグラス
(1946/呪いの血/マーサの奇妙な愛情/The strange love of Marth Ivers
(1947)過去を逃れて/Out of the Past
(1947)暗黒街の復讐/I Walk Alone
(1957)OK牧場の決斗/Gunfight at the O.K. Corral
(1955)星のない男/Man Without a Star
スパルタカス/Spartacus(1960)
◆ クレア・トレヴァー
(1939)駅馬車/Stagecoach
掠奪の町/Texas(1941)
(1943)ブロンドの殺人者/MURDER, MY SWEET
(1941)無法街/Honky Tonk
(1948)脱獄の掟/RAW DEAL
(1939)アレゲニーの反乱/アリゲニー高原の暴動/ALLEGHENY UPRISING
(1943)無頼漢/Desperadoes
(1942)タイムスリップ殺人事件/Street of Chance
スパルタカス/Spartacus(1960)
(1955)星のない男/Man Without a Star
◆ ジーン・クレイン
(1945)ステート・フェア/State Fair
(1945)哀愁の湖/Leave Her to Heaven
(1949)三人の妻への手紙/A Letter to Three Wives
(1952)人生模様-賢者の贈り物/The Gift of the Magi
(1953)ヴィッキー/モデル殺人事件/Vicki
(1954)ジャングルの決闘/Duel in the Jungle
(1953)危険な航海/Dangerous Crossing
(1949)ピンキー/Pinky
(1955)星のない男/Man Without a Star