■ ALLEGHENY UPRISING
アメリカ独立前、アレゲニーでは住民が先住民に襲撃される事件が相次いでいた。
悪徳商人カレンダーが先住民に武器を売っている。ジムたちはそれを訴えた。先住民との取引を禁止する布告が出された。
するとカレンダーは軍の物資に紛れ込ませて運んだ。スワンソン大尉が協力している。
ジムたちはカレンダーの部隊を襲撃して、先住民への物資が運ばれていることを将軍に知らせた。
しかしジムがカレンダーの策略に引っかかって殺人の疑いで逮捕された。


製作年:1939、監督:ウィリアム・A・サイター、脚本:P・J・ウルフソン、原作:ニール・H・スワンソン


■ はじめに

登場人物
 ジェニー・マクドゥーガル(クレア・トレヴァー)
 マクドゥーガル(ウィルフリッド・ローソン) 通称マック、ジェニーの父
 ジェームス・スミス(ジョン・ウェイン)
 教授(ジョン・F.・ハミルトン) 本名不明
 トム・カルフーン(モローニ・オルセン)
 ウィル・アンダーソン(エディー・キラン)
 ジョン・マカモン(チル・ウィルス)
 ダンカン行政官(ロバート・バラット)
 モリス行政官(モンテ・モンタギュー)
 ラルフ・カレンダー(Brian Donlevy) 商人
 プール(Ian Wolfe) カレンダーの部下
 ゲイジ将軍(Olaf Hytten)
 ジョン・ペン総督(Clay Clement)
 スワンソン大尉(George Sanders)
 ブレディ大佐(?) 戦死
 ウルフ将軍(-) 戦死
 フーシェ中尉(?)フランス軍
 


■ あらすじ

◆ 捕虜交換

1759年、アメリカ独立前、イギリス領の時代。イギリス軍とフランス軍の間で捕虜交換が行われた。双方15人ずつ。

その中にジム、マック、教授がいた。彼らは民間人で、三年前に先住民に捕らえられて、さらに先住民とフランス軍の戦いでフランス軍に捕らえられていたもの。

その場でケベック陥落の知らせと、アメリカ軍のウルフ将軍戦死の知らせが入った。

◆ アレゲニー

三か月後、三人はペンシルヴァニアのアレゲニーに帰った。

マックが経営していた酒場は娘のジェニーが守っていた。ジェニーはマックが帰ってきたのを見て抱き着いた。さらにジムを見つけてまた抱き着いた。

しかしジェニーは懐かしいはずなのに二人に憎たらしい口を利く。ジェニーの性格である。

ジェニーはジムに「結婚の約束をしていた」と言うが「子供との約束」と言われる。「みんなには結婚すると思われてるのよ」「他の誰かと結婚しろ」「捨てられた女と結婚してくれると思うの?」と小競り合いする。

カレンダーは多くの部下に指示を出して作業をしていた。先住民との交易をしている。三人は、それに対して疑問を持つ。

補足。マックの店は酒場とはいっても、他のいろいろなものも売っている。

◆ デラウェア族の襲撃

マックの酒場でみんながたむろしていると「先住民に襲撃された」との連絡が来た。

「もう入植地を離れよう」と言う意見と「いや戦おう」と意見が対立するが、後者に決まった。

家が焼かれていた。その家の妻は放心状態。何も話すことができない。周囲に20人ほどのデラウェア族を見つけた。

◆ 反撃する

先住民に見せかけるために、みんなは顔を黒く塗って、体も同様に黒く塗った。

ジェニーも顔を塗ったが「体も塗れ」と言われて行くことを諦めた。

数十人で出発した。山、川、原野を捜索した。

川を渡っているデラウェア族を襲撃した。

戦いに勝った後に調べると、アメリカ軍の銃と白人が作った斧があった。デラウェア族に横流しがされているらしい。

◆ 交易禁止の布告

ジムたちはフィラデルフィアに出かけた。総督や将軍に会うためである。

舞踏会が開かれており拒否されるが、強引に踏み込んだ。

ゲイジ将軍は面倒くさそうに応対した。ジムが「多くの人が殺されている。フレディ大佐も殺された」と訴えた。

さらに「先住民に物資が流れている」ことも訴えた。

結果、ゲイジ将軍より「先住民との交易を禁止する」との通達がだされた。また「イギリス軍をアレゲニー峡谷に駐留させる」との決定もなされた。

この布告を見てカレンダーが不満を述べている。

しかしカレンダーは悪人らしい解決法を思いついた。軍の資材を運ぶ馬車に交易品を忍び込ませる。

◆ カレンダーの隊列を襲う

スワンソンが部隊を率いてマックの酒場に来た。ジムたちと睨み合いになった。

ジムたちはカレンダーが軍の資材に紛れ込ませて交易品を運んでいることに抗議する。スワンソンは「布告があるので、そんなことはない」と否定する。「差し押さえろ」というがスワンソンは拒否する。

結局スワンソンは出て行った。ジムたちは「交易品が運び込まれたら、我々は殺される」との危機感。

ダンカン行政官は「暴力は止めろ、絞首刑になるぞ」と必死で止めるが、こうなったら止めることはできない。

みんなはまた顔と体を黒く塗り体に布を巻き付けて出撃した。

カレンダーの部隊が近づいてきた。みんなは布を取って襲撃の構え。一人だけ布を取らないヤツがいた。よく見るとジェニー。ジェニーは戻された。

部隊を襲撃した。荷物を調べて、交易品を燃やした。軍用品については対象外なので、そのままにする。ジムたちは意気揚々と引き上げた。

カレンダーは、またもや悪知恵を働かせる。残った軍用品に火をかけた。「先住民を装って軍用品が襲われた」と報告した。

◆ 峡谷は封鎖された

スワンソンの部隊が来て、ジェニーを含めて数人が捕らえられた。そして進んでいく。

ジムたちが前を塞いだ。「逮捕状がないのに一般市民を捕らえることはできない」。

スワンソンは攻撃を指示した。しかし周りから多数の住民部隊が出て来て取り囲んだ。数では勝ち目がないので、スワンソンは部隊を撤収させた。

ジムは「峡谷には一歩も入れるな」と指示した。これはダンカン行政官の支持を得ている。

◆ ジムに逮捕状が出された

カレンダーは、ジムが作ったと思わせる偽の張り紙を用意した。軍や国に反対する内容である。それを持って総督に訴えた。

ダンカンは総督に呼ばれた。張り紙の内容を問われた。

総督の前でダンカンとカレンダーが議論する。「彼らは法を犯していない」「私の商品は燃やされた」「違法な交易品だった」「これは軍用品だ」「それはデマです」。

総督は公平な判断をしようとするが、結局ジムに対する逮捕状が出された。

ダンカンは馬を乗り継いで全速力でアルゲニー峡谷に帰った。

◆ 砦を包囲する

ダンカンはジムに「逮捕状が出された。逃げろ」と言う。

ジムは考えて、それを拒否した。「交易品を砦に搬入させて、それを取り押さえて証拠を掴む」と作戦を披露した。

軍の部隊が、品物を護衛して砦に入った。

峡谷の住民に動員をかけた。300名くらいが集まった。ダンカンも捜索令状を用意した。

みんなは出撃するが、ジェニーは小屋に閉じ込められた。ジェニーは大声で喚いた。

◆ ジムが撃たれた

砦の前に到着した。ジムやダンカンが白旗を掲げて近づいた。ダンカンが「砦を捜索する」と令状を見せるが拒否された。

仕方なく砦から遠ざかろうと後ろを向いた時、砦から発砲。ジムの肩に当たった。白旗を上げていたので、これはルール違反である。

ジムは木陰に運ばれて寝かされた。ここで指令を出す。「砦に応援部隊が来るまでに決着をつける」。

◆ 砦を占領する

軍はマスケット銃が基本装備である。一方住民部隊はライフル銃である。ライフルの方が射程が長い。

マスケット銃の射程外からライフルで射撃する。24時間射撃して、相手を眠らせない。住民部隊は交代しながら休憩や食事をする。相手は休ませない。

これをずっと続けた。

弾が少なくなってきたので、村から銃弾を補給する。売っているのはマックの店。

ジェニーはジムが撃たれたのを知った。銃弾と一緒にジェニーも駆けつけた。

さらに何日も銃撃が続いた。ついに根負けしてスワンソンは降伏した。眠らなかったわりにはシャキッとして行進して砦から出てきた。

砦に入ったジムは、モリス行政官に「交易品をゲイジ将軍のところへ運んでくれ」と依頼する。カレンダーが不正をしていたことの証拠である。ただしスワンソンの部隊を避けて行く必要がある。

ジムは続いてみんなと一緒に行動しようとしている。しかしジェニーはライフルを突き付けて「結婚前に夫を亡くしたくない(笑)」と言って、荷馬車に乗せて行く。医者に見せるつもり。

◆ みんなが捕らえられたが助け出す

スワンソンの部隊が村に現れた。次々に村人を逮捕して手枷・足枷をつけていく。そしてスワンソンが「ジムはどこだ?」と追求するが、誰も答えない。ジムはジェニーが医者のところに連れて行っている。

ジムのところに伝令が走った。話を聞いたジムは出かけようとする。しかしまだ傷は治っていない。

ジェニーは必死に止めようとするがジムが聞かないので「縛り首になれ!」と暴言。さらにジェニーが喋ろうとしたのだ、ジムはキスをして黙らせた。

ジムは逮捕されていないメンバーを連れて砦に近づいた。全員で九人しかいない。斥候をだして状況を把握する。

かなり都合がいい状況である。門は開いている。守衛は眠っている。兵士たちは一か所に集まっている。武器は彼らの近くではあるが、一か所に置いてある。

ひそかに近づいた。見張りが回るタイミングを見計らって九人は突入して、銃が置いてあるところを確保した。全員が降伏した。囚われていた仲間を解放した。

敵からは武器を取り上げた。ジムは仲間に「家に帰れ」と指示した。

◆ ジムが捕らえられたっ!

上記の後、ジムは少数の仲間と共に湖のそばに来た。カレンダー一味が来た。

カレンダーは数メートル離れたところからジムの隣のカルフーンを撃った。カルフーンは倒れて死亡した。

カレンダーはジムを指さして「お前が殺した」。

罠にかかった。ジムは捕らえられた。ここでジムがあまりに簡単に捕えられるが、そのようなストーリーになっている。

◆ 留置場を包囲した

それを目撃したジェニーは村に走った。「ジムが捕まった」。聞いた人は、また別の人に伝える。情報がたちまち村に広がった。

村人たちは松明とライフルを持って留置場に向かった。留置場の前にぞろりと集結した。

看守は浮足立っている。今にも留置場に突撃するような勢い。ジムは鉄格子の中から「みんな帰れ」と叫んだ。

ジムの訴えを聞いて教授もみんなを抑えた。ジムは「俺は裁きを受ける」。

◆ ジムは無罪になった

ジムに対する裁判が開かれた。スワンソン、ダンカン、カレンダー、その他多数の傍聴人。

カレンダーが「カルフーンの隣にいた彼(ジム)が殺した」と証言した。

ここでダンカンが実験をする。上着を壁にかける。それを実際にライフルで撃ってみる。ここまで来て傍聴人たちはダンカンの意図が分かって頷いている。

ダンカンは無関係の人にライフルと弾を用意させた。数メートル離れたところからジェニーに上着を撃ってもらう。

それから一メートルくらいに近づいてまた上着を撃ってもらう。

ダンカンは、その上着を取って解説した。離れて撃った跡は単に穴が開いているだけ。近くから撃った跡は火薬の燃えカスが付着している。

さらにダンカンはカルフーンが来ていた上着を見せる。単に穴が開いているだけ。すぐ隣にいたジムが撃ったわけでないことが証明された。これを見てスワンソンやカレンダーが浮足立った。

ここでゲイジ将軍が登場した。これはカレンダーが扱っていた荷物が将軍に届けられたからである。

ゲイジ将軍は「カレンダーとプール(カレンダーの部下)を逮捕しろ。国王の公告を破って違法品を扱った」。

ジムはみんなと一緒に退場した。

ゲイジ将軍はスワンソンに対して「任務を解く。イギリスに帰れ」と指示した。

◆ ジムとジェニーはテネシーへ

ジムはテネシーに行く。注、なぜテネシーなのかは不明。

ジェニーは「私を置いていくの?」と迫る。

それを無視してジムは出発した。しかしジェニーも馬に乗って追いかけた。みんなが見送った。
 


■ 補足

多くの西部劇が南北戦争の前後なのに対して独立戦争前である。

本作は二人が共演した「駅馬車/Stagecoach(1939)」と同じ年。駅馬車も本作もジョン・ウェインよりもクレア・トレヴァーが先にキャスティングされている。二人は3歳違いで相手役としては年齢的にはよい。

クレアは本作当時29歳。ジェニーの年齢設定は不明だが、わりと子供のようになっている。父親のマックやジムから子ども扱いされている。

ジムに「結婚すると約束した」と言うとジムは「子供との約束だ」とからかう。ジェニーはわりと子供のように走り回っていたりする。
 


■ 出演作

◆ ジョン・ウェイン
(1939)駅馬車/Stagecoach
(1949)黄色いリボン/She Wore a Yellow Ribbon
(1963)マクリントック McLintock!
(1948)赤い河/Red River
(1950)リオ・グランデの砦/Rio Grande
(1942)絶海の嵐/Reap the Wild Wind
(1939)アレゲニーの反乱/ALLEGHENY UPRISING
(1944)拳銃の町/Tall in the Saddle
(1939)アレゲニーの反乱/ALLEGHENY UPRISING

◆ クレア・トレヴァー
クレア・トレヴァー
(1939)駅馬車/Stagecoach
掠奪の町/Texas(1941)
(1943)ブロンドの殺人者/MURDER, MY SWEET
(1941)無法街/Honky Tonk
(1948)脱獄の掟/RAW DEAL
アレゲニーの反乱/ALLEGHENY UPRISING(1939)