■ Desperadoes
銀行を経営しているスタンリーは、金庫を空にしたうえで、手下を使って銀行強盗させた。
預金者には「自分の財産で弁償する。ただし半分だけ」と言って、銀行の金の半分を自分のものにした。
シャイアンとニトロの二人組が当地に来た。当地の保安官スティーヴとは知り合いである。
シャイアンはスタンリーの陰謀で銀行強盗にさせられて、死刑宣告、牢に入れられた。
しかスティーヴがシャイアンを牢からだした。代わりにスティーヴが捕らえられた。二人はスティーヴを助けに行き、スタンリー一味と対決する。
製作年:1943、監督:チャールズ・ビダー、脚本:ロバート・カーソン、原作:マックス・ブランド
■ はじめに
◆ 登場人物(キャスト)
スティーヴ・アプトン(ランドルフ・スコット) 保安官
マレッタ(クレア・トレヴァー) ホテル・酒場の経営者
シャイアン・ロジャース(グレン・フォード) 悪人、ビル・スミスと偽名
ニトロ・ランキン(グイン・ウィリアムス) シャイアンの仲間、ニトロを武器にする
ウィリー・マクラウド(エドガー・ブキャナン) 馬の貸し預かり所、郵便局、郵便配達
アリソン・マクラウド(イヴリン・キース) ウィリーの娘
キャメロン判事(レイモンド・ウォルボーン)
スタンリー・クラントン(ポーター・ホール) 銀行家、実は悪人
ジャック・レスター(バーナード・レンデル) 牧場主、スタンリーの手下
◆ 人間関係
本作はわりと人間関係が入り組んでいる。それは徐々に我々に分かってくるのだが、そのとおりに紹介すると、私の解説を二度読むことになるので、先にまとめておく。
スティーヴとシャイアンはもともと知り合い。シャイアンが悪人であることも知っている。
マレッタとシャイアン/ニトロも知り合い。二人が悪人であることも知っている。自分がシャイアンを悪に引き込んだという反省もある。マレッタはシャイアンの元の恋人。
スタンリーは自分の銀行襲撃のために、伝手を介してシャイアンとニトロに依頼するが、間に合わなかったので、ジャックを使う。スタンリーとシャイアン、ニトロは面識がなかった。スタンリーはマレッタに言い寄っている。
ウイリーは実は悪人でスタンリーと組んでいる。しかし後ろめたい気持ち。
この町は軍馬を育成する産業があって、潤っている。
■ あらすじ
◆ 銀行が襲われた
スタンリーが経営する銀行が襲われた。しかし金庫の中には金がなかった。一味は、そのまま逃亡。しかしそこで三人を射殺した。
補足。保安官のスティーヴは、他に出かけていた。
実は襲撃したのはジャック一味。その黒幕は経営者のスタンリー。スタンリーがあらかじめ金を別のところに移動していた。
◆ スタンリー・クラントンが謝罪する
スタンリーは銀行強盗の件を町民の前で謝罪する。そして「自分の財産を使って弁償する」と殊勝なことを言う。
しかし「半分までしか弁償できない」と言う。つまりは半分は密かに自分のものにするということ。
スタンリーが喋っているそばで、ウィリーがスタンリーを庇っている。もちろんウィリーもグルである。すると町民からスタンリーを称賛する声が上がってくる。
◆ レスターに一万ドル
荒野の中の小屋にジャック一味がいる。
郵便配達をしながらウィリーが来る。ジャックは銀行に金がなかったので、怒っている。
ジャックは「お前とスタンリーにやられた」。ウィリーは謝りながら、スタンリーからの一万ドルを渡す。
それでもジャックの怒りは収まらないので、ウィリーは早々に逃げ出す。
◆ ウィリーとスティーヴが会う
ウィリーが郵便配達を続けながら走っていると、スティーヴに会う。
スティーヴは先般の強盗が落としていった拍車を見せて「何か知らないか?」と聞く。ウィリーが馬の貸しや預かりをしているから、何か情報を持ってないかと思ったからである。
補足。拍車とは、馬に乗るときに靴の先に装着して、必要な時に馬に刺激を与えて、スピードを速めるもの。「拍車をかける」はここから来ている。
◆ スティーヴは馬を奪われた
スティーヴは荒野の見回りを続けて、井戸のそばにきた。
水を飲もうとしていると、後ろから拳銃を突き付けられて馬を奪われた。
奪ったのは実はシャイアン。二人は実は知り合いだが、ここではスティーヴが後ろを向いているので顔は合わさない。
スティーヴは歩いて帰る。
◆ シャイアンが町にきた
シャイアンは町に着いてウィリーの店に馬を預ける。奪った馬を預けるのは危険だと思うが、そのようなストーリーになっている。
応対したのはアリソン。アリソンは馬に「ベイソン・シティ近くの赤土がついている」と気が付く。不審に思う。
この後アリソンは自分で馬を走らせていく。歩いているスティーヴと会う。
シャイアンはホテルに行ったが宿泊を断られる。しかしそこにマレッタが現れた。二人で奥の部屋に入って「あなたはお尋ね者なのよ。なんでここに来たの?」という。
シャイアンは「ニトロはきてるか?」と聞く。マレッタは「来てるわら」と答えるが、ここで鋭いマレッタは二人が強盗事件と関係があると分かる。「もう事件は済んだのよ。ここからでていってちょうだい」。
ここで爆発が発生してニトロが登場する。
◆ シャイアンとスティーヴが格闘
シャイアンが預けた馬を見に来た。いや本当はアリソンに会いたかったから。しかしアリソンは疑っている雰囲気。
ここで後ろからスティーヴが現れて拳銃を突き付けた。スキを見てシャイアンが反撃。格闘となる。
シャイアンが逃げ出そうとすると、アリソンが足を引っかけてシャイアンを倒す。これが二回。
ついにシャイアンが捕らえられたが、ここでスティーヴとシャイアンが友人であること気が付く。
シャイアンは「ビル・スミス」とアリソンに自己紹介した。スティーヴも話を合わせた。
マクラウド家で、みんなで食事をした。
◆ パーティ
軍馬の新規契約が成立しのでバーティが開かれている。
スティーヴとアリソンが踊っている。シャイアンとウィリーが話している。ウィリーはシャイアンとアリソンが親しくなるのを警戒している。
スティーヴとウィリーが外に呼び出された。住民が集まっている。「強盗を早く捕まえてくれ」とせっつかれる。
それが終わってスティーヴはウィリーに「ジャック・レスターが怪しい」と言うがウィリーは否定する。注、ウィリーとレスターは仲間。
その後、ウィリーはスタンリーと話して「(ジャックが疑われているので)まずいことになった」と言う。
アリソンはウィリーに「過去は重要?」と聞く。それはシャイアンを好きになったが、シャイアンのことを疑っているからである。
◆ シャイアンは牧場に就職した
シャイアンはまともな人間になるため、牧場に就職した。馬の牧場である。
頑張っているが、なかなかうまく行かないようである。マレッタが訪ねてきた。「仕事をしたければホテルの仕事をあげるわよ」「足を洗いたい」「簡単には行かないわよ」と話す。
アリソンも来てシャイアンを見ている。
◆ 「お前は銀行強盗」
シャイアンがウィリーと一緒に酒場に入った。カウンタでたむろしている。ニトロもいる。
ジャックが入ってきた。「お前は銀行強盗だ」と言う。これはあらかじめジャックとスタンリーが撃ちあわせていた通り。
シャイアンは悪いことをしてきたが、少なくともこの町ではやっていない。当然否定する。
ここでジャックたちとシャイアン、ニトロが殴り合いをする。ここがわりと長く続くが、シャイアン、ニトロが勝った。
スティーヴが入ってきた。シャイアンに「ここにいられると、いずれ逮捕しなければならない。アリソンが悲しむぞ。朝までに出て行け」と忠告。
◆ 銀行強盗っ!
スティーヴやマレッタの忠告に従ってシャイアンが町から出て行こうとしている。マレッタが見送っている。
「もう戻ってきたらダメよ」「これでもうお別れだな」と話していると、ニトロが慌てて走ってきた。「速くずらかろう。銀行の金を盗んだっ!」。
シャイアンにとってとんだ災難だが、ともかく二人は逃げ出した。追手が追いかけてくる。
荒野を逃げ回る。岩山のところまできたが、挟み撃ちにされた。二人は捕まった。
◆ 裁判
裁判が開かれた。
キャメロン判事は二人を有罪と決めつけている。「死刑にしろ」と陪審員をけしかけた。スティーヴは「強盗では死刑にできないぞ」と言う。しかしまじめに聞いている気配がない。
ジャックは「三人を殺すのを見た」と言う。注、これはジャックたちがやった強盗で三人が殺されている。それを二人に押し付けている。
陪審員が二人を有罪とした。死刑が決まった。補足、アメリカの陪審員制度は、陪審員が有罪・無罪を決めて、有罪の場合に判事が量刑を決定するのだが、そのあたりは描かれない。
◆ 脱獄した
シャイアンとニトロは牢に入れられている。外では処刑のための台が作られている。
アリソンとスティーヴが話している。「彼は強盗はしていない。無実なのに死刑だ」。アリソンは悲しそうな顔。
二人の食事が持って来られた。スティーヴはそれを受け取って、二人を牢から出して食べさせる。
当然二人は逃げ出す。スティーヴも逃げ出す。
荒野まで来て「なんて言い訳する気だ」「不意打ちを食らったというさ」。スティーヴは町に戻った。
しかしシャイアンは、せっかく逃げてきたのに町まで戻るつもりである。
◆ ジャックが白状した
ジャックが自分の部屋に入った。中にはシャイアンとニトロがいた。
ここでシャイアンは、スミスではなく「シャイアン・ロジャース」と名乗った。悪名高いシャイアンであることをばらした。
ジャックは「それならば勝ち目はない」と簡単に諦めた。そして自分が強盗をしたこと、スタンリーも仲間だと白状した。
しかしジャックは逃げ出した。
◆ スティーヴが捕らえられている
アリソンが心配している。シャイアンが入ってきた。「何しに来たの?」「レスターの嘘を暴きたかった」「人殺しじゃないと信じてたわ」。ここで当然のごとくキスをする。
ウィリーが入ってきた。「スティーヴが留置場に入れられている」。
スタンリーがいるところにウィリーが入ってきた。スタンリーはシャイアンが来ると見て待ち構えている。「六連発銃を扱えるヤツを雇った」。
マレッタが「スティーヴを助けて」と言ってくるが断られた。マレッタはスタンリーを殴って出て行く。
◆ 馬を暴走させる
シャイアンとニトロは丘の上から馬の一団が移動しているのを眺めている。
町ではスタンリー一味が待ち構えている。「スティーヴをどうして助けるか?」。あきらめの雰囲気。しかし馬の流れを見ていて、ハッと思いついた。「馬を暴走させるっ!」。
ニトロが馬の列の後部でニトロを爆発させた。馬が暴走し始めた。二人は、馬の流れを町に誘導する。
町に馬の列が迫ってきた。ものすごい数、ものすごいスピード。町の中になだれ込んだ。
スティーヴがいる牢の窓から拳銃が差し入れられた。スティーヴは、それを使って脱出する。銃撃戦。
◆ スタンリーが撃たれた
この情勢を見て、スタンリーはマレッタのところに来た。「一緒に逃げよう」。マレッタは拒否する。
ウィリーが入ってきた。スタンリーは拳銃を構えた。しかしマレッタが叩き落した。ウィリーがスタンリーを撃った。
さらに続いて、シャイアン、ニトロ、スティーヴが一味と銃撃戦。激しい戦いとなるが三人が一味に勝った。
◆ 結婚式
夜、町の人々が集まってきた。ウィリーが馬車で到着、強盗事件で奪われた金を持ってきて、町民に戻した。
留置場。牢の中にウィリーが入れられている。悪いことをしてきたので、それは仕方がない。
シャイアン、アリソン、スティーヴなど面々が集まっている。そこでシャイアンとアリソンの結婚式が行われた。
補足。シャイアンには以前のことで懸賞金がかけられているはずなんだが....。
■ 出演作
◆ ランドルフ・スコット
(1939)地獄への道/Jesse James
(1945)海賊キッド/Captain Kidd
(1952)西部のガンベルト/Carson City
(1962)昼下りの決斗/Ride the High Country
(1949)ウォーキング・ヒルズの黄金伝説/The Walking Hills
(946)静かなる対決/Abilene Town
(1943)無頼漢/Desperadoes
◆ クレア・トレヴァー
(1939)駅馬車/Stagecoach
掠奪の町/Texas(1941)
(1943)ブロンドの殺人者/MURDER, MY SWEET
(1941)無法街/Honky Tonk
(1948)脱獄の掟/RAW DEAL
(1939)アレゲニーの反乱/アリゲニー高原の暴動/ALLEGHENY UPRISING
(1943)無頼漢/Desperadoes
◆ イヴリン・キース
(1945)魔法のランプ/Magic Lamp
(1943)無頼漢/Desperadoes
(1939)大平原/Union Pacific