■ Pinky
黒人のピンキーは肌が白く白人に見えた。北部の看護学校に入学したが、黒人であること秘密にした。恋人もできた。
卒業して故郷に戻って、理不尽な経験をして黒人であることを自覚させられたが、一方で黒人としての気構えもできてきた。


製作年:1949、監督:Elia Kazan、脚本:Philip Dunne、Dudley Nichols、原作:Quality(Cid Ricketts Sumner)


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 パトリシア・ジョンソン(ジーン・クレイン) ピンキー
 デイジー・ジョンソン(エセル・ウォーターズ) ピンキーの祖母
 ミス.エム(エセル・バリモア)
 メルバ・ウーリー(イヴリン・ヴァーデン) ミス.エムの従妹

 トーマス・アダムス医師(ウィリアム・ランディガン) ピンキーの恋人
 カナディ医師(ケニー・ワシントン)
 ジョー・マッギール医師(グリフ・バーネット) ミス.エムの担当医師

本作の興行成績はよくなかつたようだが、エンターテインメント性のものではないので仕方がないだろう。いろいろ意見はあるだろうが、私は推薦する。

本作はジーン・クレイン出演作であるというものの、題名から内容が想像できないのでほおっていたが、たまたまレヴューを見て内容を知った。
 


■ あらすじ

◆ ピンキーは看護学校へ行った

ピンキーは黒人ではあるが肌が白くて白人に見えた。

北部の看護学校に入学した。その地では黒人であることを隠して(話さず)暮らした。故郷と違って快適であった。

トーマス・アダムス医師と知り合って、恋人同士となった。トムにも自分が黒人であることは話していない。

◆ ピンキーは帰郷した

ピンキーは学校を卒業し故郷の祖母デイジーに会いに行った。すぐにまた北部に行くつもりである。

デイジーの家を訪れた。かって自分が住んでいた家であったが、森の中の汚い家に来て嫌悪感が沸き上がった。

デイジーは他の人の洗濯物を預かって洗濯する仕事をしている。生活するにギリギリの金を稼ぐことができるだけである。

デイジーと抱き合った。

◆ ミス.エムの看護

しばらく滞在したが、すぐに戻るつもりである。

黒人のカナディ医師が訪ねて来て「黒人のための看護学校を作りたいので協力してくれ」と言われたが、北部に戻るつもりなので断った。

デイジーが「ミス.エムが調子が悪いので看護をしてほしい」と言ってきた。これもやりたいことではない。またミス.エムのことはもともと嫌いである。

しかし昔ミス.エムがデイジーが肺炎になった時に面倒を見てくれたことを思い出して引き受けた。

◆ トムが来た

この時期にトムが訪ねてきた。予期していなかったピンキーは驚いた。

そしてトムもみすぼらしいピンキーの家を見て驚いた。そしてピンキーが実は黒人であることを知った。

それでもトムの気持ちは変わらなかった。秘密がばれて恥ずかしかったがピンキーの気持ちも変わらなかった。

◆ 遺言書

ミス.エムのことはジョー・マッギール医師が担当している。医師から指示を受けて看護をする。毎日通う。

しかしミス.エムとは反りが合わず険悪な雰囲気である。

そのような調子であったが、しばらくすると二人は徐々に打ち解けた。それに連れてミス.エムの体調が悪化した。

ミス.エムは独身だが、メルバ・ウーリーという従妹がいる。ミス.エムは「すべての財産をパトリシア・ジョンソン(=ピンキー)に譲る」と遺言書を書いた。まだ署名はしなかった。

さらにミス.エムの体調は悪くなった。マッギール医師の立会いの下、遺言書に署名した。

ミス.エムは亡くなった。

◆ 裁判

葬儀と埋葬が終わり遺言書が公開された。当然メルバは反発した。

そして利害関係がないはずなのに近隣の人々も反発した。「黒人が財産を相続するのはケシカラン」ということらしい。

またトムが訪ねてきた。しばらく滞在する。

裁判が開かれた。メルバに有利な弁論が行われると傍聴席からは拍手と歓声。曲折はあったがピンキーが勝訴した。

傍聴人たちが睨みつける中を、ピンキーはトムに肩を抱かれて退廷した。

◆ ピンキーは当地に残った

ミス.エムの看護中および裁判中にピンキーの心境に変化があった。

ピンキーは北部に戻るつもりであったが当地に残ることにした。

理由の一つは、ミス.エムが自分の財産を単に売却するのではなく、有効活用してほしいと思っているのではないかと考えた。

もう一つの理由は、自分は白人に見えるけれども黒人であり、それから逃れられず、したがって黒人のために何かしたいと考えた。

トムはピンキーにプロポーズして北部に行こうと誘った。もちろんトムのことは好きだったのだが、ピンキーはプロポーズを断った。

そしてカナディ医師と協力して、屋敷を黒人の看護学校と黒人の子供のための養育園とした。
 


■ 出演作

ジーン・クレイン
(1945)ステート・フェア/State Fair
(1945)哀愁の湖/Leave Her to Heaven
(1949)三人の妻への手紙/A Letter to Three Wives
(1952)人生模様-賢者の贈り物/The Gift of the Magi
(1953)ヴィッキー/モデル殺人事件/Vicki
(1954)ジャングルの決闘/Duel in the Jungle
(1953)危険な航海/Dangerous Crossing
(1949)ピンキー/Pinky