■ マーサの奇妙な愛情(The strange love of Marth Ivers)
殺人事件の18年後、大人になった三人が再会する。


製作:1946年、脚本:ロバート・ロッセン、監督:ルイス・マイルストン   予告編   予告編   フル動画  


■ あらすじのあらすじ

マーサは両親が死亡し、叔母のアイヴァース夫人に育てられていた。大きな工場を持っている裕福な家である。

マーサ、サム、ウォルターは幼馴染であった。マーサはサムが好きだった。マーサが家出してサムと貨車の中にいた時に、マーサは連れ戻されたる

サムは行方をくらました。アイヴァース夫人を嫌っていたマーサは本当はサムと一緒に行きたかった。

マーサはアイヴァース夫人を(思いがけずも)杖で殴り、アイヴァース夫人は階段から落ちて死亡した。

マーサは「夫人は知らない男に殴られた」と「証言」した。ウォルターの父親も嘘を知っていたが、自分とウォルターの利益のために、マーサの嘘を守った。

マーサはアイヴァース夫人の莫大な財産を受け継ぎウォルターと結婚した。ウォルターは検事となった。

後になって「アイヴァース夫人殺害の犯人」が逮捕され死刑となった。その裁判の検事はウォルター。二人の間にはアイヴァース夫人のこともわだかまりとして残っており、マーサとウォルターの仲は必ずしもうまくいっていなかった。

サムが戻ってきた。マーサはサムと会った。マーサはまだサムが好きだった。サムも迷っている。

最後にアイヴァース邸で三人が口論をして、ウォルターが酒に酔って階段から転落した。かってアイヴァース夫人が転落したのと同様の状況が再現された。
 


■ はじめに

この映画の邦題は「呪いの血」だが、まったく内容を表現していない。

登場人物(キャスト)
 マーサ・アイヴァース(ジャニス・ウィルソン) - 子供の時
 アイヴァース夫人(ジュディス・アンダーソン) - マーサの叔母(伯母かも?)
 サム・マスターソン(ダリル・ヒックマン) - 子供の時
 ウォルター・オニール(ミッキー・カーン) - 子供の時
 ?・オニール(ローマン・ボーネン) - ウォルターの父親、マーサの家庭教師

 マーサ・アイヴァース(バーバラ・スタンウィック)
 サム・マスターソン(ヴァン・ヘフリン)
 ウォルター・オニール(カーク・ダグラス)
 アントニア・マラチェック(リザベス・スコット) - 通称トニー

主要登場人物は四人いるが、内容を明確にするために、三つの視点から解説する。またネタバレ部分は最後に記述する。注、なのでじゃっかんの重複はある。
 


■ あらすじ(マーサ&ウォルター)

◆ 1928年、アイヴァースタウン、操車場

マーサは止まっている貨車の中にいた。家出をしてきた。母親はおらずアイヴァース家が経営する工場の勤めていた父親が死亡し、叔母のアイヴァース夫人に引き取られた。姓はスミスからアイヴァースとなった。しかしマーサはアイヴァース夫人が嫌いであり、今回は四度目の家出。

貨車の扉が開いてサムが入ってきた。仲良くしている少年である。サムが持ってきた食料を分ける。二人で可愛がっている猫にも分け与えた。サムも母親がおらず、父親も工場で働いているという同じような境遇である。サムは当地を離れるつもり。そしてマーサも一緒に行こうと考えている。

しかし突然貨車の扉が開き、数人の男が現れて、マーサはアイヴァース家に連れ戻された。

◆ アイヴァース邸

アイヴァース夫人から注意を受けるが、「私はマーサ・スミス。何度でも出ていく」と反抗する。マーサの家庭教師としてアイヴァース家に出入りしているオニール。

彼にはマーサと同年代のウォルターという息子がいる。ウォルターの将来のこともあり、彼はアイヴァース夫人に、卑屈なばかりにぺこぺこしている。ウォルターは自信がなさそうにおどおどしている少年である。

マーサはウォルターとともに二階の自室に入った。窓からサムが猫を抱えて入ってきた。サムは今日当地を離れると言う。マーサも一緒に行きたい。

猫が部屋の外に出た。猫嫌いのアイヴァース夫人が杖を持って猫に襲いかかった。猫の悲鳴を聞いたマーサが駆け付けて、思わず杖を奪い取ってアイヴァース夫人を殴った。アイヴァース夫人は階段を転げ落ちた。動かなくなった。

その間にサムは姿を消した。アイヴァース夫人は死亡した。マーサは、その日付をしっかりと記憶した。アイヴァース夫人が死亡した日としてではなく、サムと離れ離れになった日として。

◆ その後

オニールが駆け付けた。マーサは「知らない男が夫人を殴って落とした」と言い、さらにウォルターに同意を求めた。ウォルターも頷いた。実のところオニールは、それが嘘であると分かっていたが反論しなかった。逆に二人にマーサの言葉を証言するようにしっかりと念を押した。

マーサはアイヴァース夫人の財産を相続した。21歳になって工場の経営を引き受けた。ウォルターは大学を卒業し検事となった。マーサとウォルターが結婚し、その間にオニールは死亡した。

そしてアイヴァース夫人の「殺害犯」が検挙されて死刑となった。その時の検事はウォルター。ウォルターは地方検事となり、マーサが経営する工場はさらに発展した。

アイヴァース夫人の件は、常に二人の心の大きな部分を占めていて二人の不仲の原因の一つとなっていた。

◆ 1946年、アイヴァース邸

地方検事の選挙が始まっておりウォルターは再選を目指して立候補していた。再選は確実な情勢であるが、ウォルターは予定していた演説会場に行かなかった。代わりにマーサが演説を行った。

ウォルターが演説を行なわかつた理由は自信がなかったからである。人前で話すことが苦手である。大人になり立派な地位を得ても、相変わらずの意気地なしであった。ウォルターはアイヴァース邸で酒を飲んで酔っ払っており、マーサはそれをなじっている。

◆ ウォルターの事務所

マーサは自分の事務所に行く途中でウォルターの事務所に立ち寄った。見かけない男性が訪ねてきていた。しかしよく見るとサム・マスターソン。なつかしくなってハグをした。サムはウォルターに頼みごとをしに来たようである。

(ウォルターに分からないように)サムと会う約束をした。その後マーサは、車の修理工場にサムの車の修理を遅らせるように指示をした。サムに当地にいて欲しいからである。注、マーサは、この町のことはなんでも自由になる。

◆ アイヴァース邸

サムは約束の場所ではなく、その前にアイヴァース邸にマーサを訪ねてきた。マーサは邸内を案内しながら昔話をした。次第にサムに対する感情が込み上げてきた。

自分の部屋に案内した。最後にサムとマーサが会った部屋。その部屋をあの日のままにしていた。その日付を言うと、サムは感心した。

◆ ウォルターとサムの動き。

この間、ウォルターはサムを追い出すために策を巡らす。サムが依頼してきたトニーと言う女性の釈放である。

トニーを呼び出して釈放を条件にサムを罠に嵌めることを指示する。釈放されたトニーとサムが会っている場所に私立探偵を向かわせて、サムを襲わせた。そしてサムを離れた場所に運んで捨てた。

しかしサムは生還しトニーと再会した。そして町の資料館に行って、過去の新聞記事を調べて、アイヴァース夫人の死亡事故を調査した。結果、偽の殺人犯が仕立てられていたことを知った。

◆ マーサの事務所 ⇒ ホテル ⇒ 工場を見下ろす丘

マーサの事務所にサムが訪ねてきた。そしてアイヴァース夫人の死亡事故の件で脅す。「財産の半分をくれ」。ここでマーサはむしろ落ち着いて答えた。「私のパートナーになる?」。サムは答えを躊躇する。その場は別れて、サムはホテルに帰る。

マーサは先ほどの答えを聞きたくて、サムが泊っているホテルを探して訪れる。トニーと言う女性がいた。マーサはサムが答えを躊躇した理由を理解した。

その後、サムと出かけてダンスと食事をして、工場を見下ろす丘にきた。昔のことを話した。そしてアイヴァース夫人の死亡事件についても話した。そして相変わらずサムが好きなことも確認した。

◆ アイヴァース邸

ウォルターはサムのホテルに電話をかける。マーサは止めるがアイヴァース邸にサムを呼び出す。先ほどサムと会っていたのだが、ウォルターに分かるように「同じ服で会いたくない」と言って着替えて、サムを待つ。

二階のマーサの部屋に三人が揃った。ウォルターは酒を飲んでいる。普段のウォルターとは違って、やたらと饒舌、やたらとハイテンションである。ウォルターは二人の関係を批判する。サムは何も言わないが、マーサはウォルターと口論する。

ウォルターは酒を飲みながら部屋を出て行った。そして階段から下に転落した。

かってアイヴァース夫人が転落したのと同様の状況が再現された。ここでマーサは驚くべき言葉を吐き出す。「サム、今よ、やって、私たち二人のために、誰も疑わない」。注、いや、私は絶対に疑われると思う。

これ以降は「ネタバレ」を参照のこと。
 


■ あらすじ(サム)

◆ 1928年、アイヴァースタウン、操車場

サムは止まっている貨車の扉を開けた。中にはマーサがいた。持ってきた食料をマーサと分ける。二人で可愛がっている猫にも分ける。

サムの母親はどこかに姿をくらまし、父親はアイヴァース家が経営する工場で働いている。マーサにも母親はおらず、父親も工場の職工だったが、父親が死亡して叔母のアイヴァース夫人に引き取られた。しかしマーサはアイヴァース夫人を嫌っており、何度も家出をしている。今回で四度目。

サムは当地を離れて遠くへ行くつもりである。マーサも一緒に来ると言っている。

しかし突然貨車の扉が開けられてマーサが連れ去られた。マーサを探しているアイヴァース夫人の差し金。

◆ アイヴァース邸

サムはアイヴァース邸のマーサの部屋に窓から忍び込んだ。そこにはマーサの家庭教師をしているオニールの息子ウォルターもいた。ウォルターはおどおどした自信がなさそうな少年である。サムはマーサと一緒に出ていくつもり。

しかしここで、マーサと可愛がっていた猫がアイヴァース夫人に見つかり、夫人が杖で猫を叩く事件が発生した。思わずマーサは猫を守るために杖を取り上げて夫人を叩いた。夫人は階段下に転落した。

サムはアイヴァース邸を飛び出し、その後貨車に乗って当地を出発した。

◆ 1946年、アイヴァースタウン

少しばかり悪いこともしながら大人になったサムは、偶然に車でアイヴァースタウンを通りかかった。しかし車を電柱にぶつけてしまった。修理に出したが「修理の日程はまだ分からない」と言われた。

当地では地方検事の選挙が行われていた。あのいくじなしのウォルターが立候補していた。ウォルターの再選は間違いないとの情勢らしい。そしてその後にウォルターがマーサと結婚したことも知った。しかしもう特別な感情は湧かなかった。

女性用の貸室があり、そこから出てきた女性に会った。ほんの少し話したがバスに乗ると言うので別れた。しかしその女性がタクシーに乗って通りかかり、声をかけられて乗った。バスの出発に間に合わなかったので、二人で飲むことにした。次のバスは翌日の同時刻。

名前はトニー。サムと同じように母親はおらず父親の元で育ったが父親もまともな親ではなかったようである。

トニーが泊るところがないのでサムと同じホテルに部屋を確保した。23号室と25号室で隣同士。両方の部屋はつながっており、バスルームは共通。二人はそれぞれの部屋に入った。注、24号室はないのか?「24は死に符合する」のでないのだろうか。

◆ マーサと再会

サムは二人の男に叩き起こされた。刑事。トニーが逮捕されたとのこと。トニーの「バスの切符を現金化する」というメモを見せられた。実はトニーは保護観察処分で刑務所を出て、バスの切符を支給されてリッジビルに行くことを義務付けられていたのだが、切符を勝手に現金化しようとしたために逮捕されたもの。

しばらく思案した後でサムはウォルターの事務所を訪れる。ウォルターはすぐにサムを認識した。サムはトニーのことを頼んだ。そこにマーサが訪れた。自分の事務所に行く前にウォルターの事務所に寄る習慣である。マーサは最初は分からなかったが、サムを認識した。

サムとマーサは(ウォルターには内緒で)会う約束をしたが、その前にサムはアイヴァース邸を訪れた。マーサは屋敷の中を案内した。そしてマーサの部屋に入った。その部屋は最後にサムとマーサが会った時のままに保存されていた。マーサは、その日付をしっかりと憶えていた。「一緒に行きたかった」。

◆ トニー釈放 ⇒ リンチ

ウォルターの尽力によりトニーが釈放された。トニーと酒場で会った。しかしそこに男が近づいてきて「俺の妻だ」と言い、喧嘩になった。トニーは申し訳ないような顔をしているが何も言わなかった。

男と外に出たが、数人の男が後に続いた。サムは連れ去られて殴られて捨てられた。しかし一人の男から私立探偵のバッジをはぎ取った。

サムはバスに乗ってターミナルに戻った。ちょうどバスで出発しようとしていたトニーを引き留めた。そしてウォルターがサムを嵌めることを条件にトニーを釈放したことを知った。

◆ 資料館

サムはトニーと町の資料館に行って新聞を調べた。アイヴァース夫人の死亡事故。アイヴァース夫人はマーサに殴られて階段から転落して死亡したのだが、後年「アイヴァース夫人を襲った犯人」が逮捕されて裁判の結果死刑になっていた。その時の検事はウォルター。

サムはマーサの事務所を訪れてマーサを脅した。「財産の半分をくれ」。マーサは自分がアイヴァースの工場を受け継いで、さらに大きくしたことを話した。そして「私のパートナーになる?」とまんざらでもない風に答えた。サムはすぐに回答できなかった。トニーがいるからである。

ホテルでサムがトニーに「運が向いてきた」と話しているとマーサが現れた。居場所が分かったことについては「この町のことは何でもわかる、何でも自由にできる」と言う。

サムとマーサが出かけてダンスや食事をして、さらにアイヴァースタウンを見下ろす丘で昔話をする。マーサは今でもサムが好きなようである。

サムとマーサがホテルに戻ってくる。別れる前にキスをする。それを窓からトニーが見ている。部屋に入ってトニーと話すが、サムは正直に「迷っている」と告白する。ウォルターから呼び出し電話がかかる。トニーは「出ていく」と告げる。

◆ ラスト

アイヴァース邸。二階のマーサの部屋に三人が揃った。ウォルターは酒を飲んでいる。普段のウォルターとは違って、やたらと饒舌、やたらとハイテンションである。ウォルターは二人の関係を批判する。サムは何も言わないが、マーサはウォルターと口論する。

ウォルターは酒を飲みながら部屋を出て行った。そして階段から下に転落した。

かってアイヴァース夫人が転落したのと同様の状況が再現された。ここでマーサは驚くべき言葉を吐き出す。「サム、今よ、やって、私たち二人のために、誰も疑わない」。注、いや、私は絶対に疑われると思う。

この部分は「ネタバレ」を参照のこと。

サムはホテルに戻った。トニーがいた。「バスに遅れた」。本当に遅れたのかはトニーだけが知っているが、ともかく二人は修理が終わったサムの車で出発した。
 


■ あらすじ(トニー)

◆ サム・マスターソン

トニーは詐欺罪で逮捕されたが初犯であったため保護観察処分となった。故郷のリッジビルにいくためのバス切符が支給された。

バスの時刻が迫っていたのでバスターミナルに行くためにタクシーを探した。しかしなかなか捕まえることができない。男性が通りかかり少しばかり話した。酒場に誘われたが事情を話して別れた。

タクシーが来てバスターミナルに向かったが、先ほどの男性が歩いていたのでタクシーに乗せた。そのためかバスに乗り遅れた。

その男性と酒場に入って飲んだ。名前はサム・マスターソン。当地が故郷だが少年の頃に故郷を離れて、たまたま当地を通りかかったらしい。小さい頃に母親が行方をくらまし工場勤務の父親といたが、父親もあまりまともな人間ではなかったとのこと。サムは車が故障して修理を依頼しており、修理が終わるのを待っている。

◆ 逮捕

次のバスは翌日の同時刻なので、サムと同じホテルに泊まることにした。隣の部屋を確保した。

故郷は良い思い出がないところである。帰りたいところではない。また少し話しただけだがサムに惹かれた。

そこでホテルを抜け出してバスターミナルに行って切符を現金化しようとした。しかし切符は支給されたもので警察に通報され逮捕された。保護観察処分違反。

◆ サムが暴行される

トニーはウォルター・オニールの事務所に連れていかれた。地方検事。サムとの関係を聞かれたので正直に答えた。

その後「言うことを聞かなければ、五年の懲役」と脅されて、釈放と引き換えにサムを騙すことを指示された。五年の期間を考えると選択肢はなかった。

トニーは釈放されて酒場でサムと再会した。そこに男が現れて手筈通りにサムに因縁をつけた。「俺の妻だ」。サムは驚いた。トニーは申し訳ない気持ではあったが、何もすることができなかった。サムは数人の男に連れ出された。悲しかったが、どうすることもできなかった。

バスターミナルでバスに乗り込もうとした時に、サムが現れてバスを下ろされた。ひどいケガをしていた。

トニーはウォルターとのことを話した。サムは事情を理解した。そして何かを考えている。

◆ 資料館

トニーはサムと一緒に町の資料館に行った。サムは過去の新聞を見て、当地で起こった殺人事件を調べた。

ウォルターの妻マーサの叔母アイヴァース夫人の殺人事件があった。二人が結婚する前、サムが当地を離れる当日。サムはマーサが意図的ではないとはいえ、アイヴァース夫人を杖で殴って階段から転落させたのを知っている。アイヴァース夫人を殺したのはマーサである。

しかしずいぶんと後になって「犯人」が逮捕されて死刑になっていた。しかもその時の検事はウォルター。サムは「そうだったのか!」という顔をした。

◆ ホテル

トニーとサムはホテルに戻った。サムは「運が向いてきた」と言っている。マーサはアイヴァース夫人から相続した工場を所有している。莫大な財産。そしてサムとマーサは恋仲であったらしい。

マーサが突然入ってきた。この町の情報はなんでも分かるらしい。サムと出かけた。

トニーは部屋で待っていた。しばらくして窓から外を見ると、二人が帰ってくるところで別れる時に二人はキスをしている。

部屋に入ってきたサムは「自分に腹が立つ」と言った。マーサとトニーのどちらを取るかを迷っているらしい。

ウォルターからサムに呼び出し電話があった。トニーは「リッジビルに帰る」と言って部屋を出た。サムも出かけた。

◆ ラスト

トニーはバスターミナルに行った。バスを待った。

待ちながら考えた。そしてバスをやり過ごしてホテルに戻った。

しばらくしてサムが戻ってきた。何も説明しなかったが、今度は「決着がついた」という顔をしていた。トニーは「バスに乗り遅れた」と説明した。
二人は修理が終わったサムの車で出発した。

蛇足。最後にトニーがバスに乗らなかったのか/乗り遅れたのかは、本作では示されない。私の想像。
 


■ あらすじ(ネタバレ)


サムは、まだマーサに心が残っており、また悪いこともしてきたが、人間としてまともな反応を示す。

サムは階段を降りていって、ウォルターを抱き上げて、別室のソファに寝かせて手当てをした。するとマーサはサムに「私を愛していないの?」「あなたは変わってしまった」と叫ぶ。ウォルターの意識が戻り、思いがけずもサムが手当てしてくれたことに感謝した。

そしてマーサは今度は拳銃を取り出してサムに向けた。「サムは私たちの脅威よ」「生かしてはおけない」「強盗に入られて正当防衛で撃ったのよ」と口走る。しかし引き金を引くことができない。そのまましばらく時間が停止した。サムは部屋の外に出ていった。

ウォルターが拳銃を奪い取ってマーサに向けた。そのままじっと立っている。玄関に出たサムは、その状況を外から見守っている。

マーサは、ウォルターの手の拳銃に手をかけて引き金を押した。マーサは倒れた。次にウォルターも自分に拳銃を向けて引き金を引いて、マーサの上に倒れこんだ。

サムは立ち去った。
 


■ 蛇足

◆ 地方検事

ウォルターは成人して「地方検事」になっている。

地方検事には連邦政府が州単位に任命する「連邦地方検事」と州単位で選挙が行われて選出される「州地方検事」がある。

本作で言う地方検事は州地方検事。

州によって異なるが、州で一人~四人が選ばれる。なので、なかなかの権力を持っている。
ジュディス・アンダーソン。「レベッカ/Rebecca(1940)」「ローラ殺人事件/Laura(1944)」「情炎の女サロメ/Salome(1953)」「十戒/The Ten Commandments(1956)」


■ 出演作

カーク・ダグラス。「過去を逃れて/Out of the Past(1947)」「OK牧場の決斗/Gunfight at the O.K. Corral(1957)」。

リザベス・スコット。「暗黒街の復讐/I Walk Alone(1947)」。
 

 

◆ ヴァン・ヘフリン
(1940)カンザス騎兵隊/Santa Fe Trail
(1946/呪いの血/マーサの奇妙な愛情/The strange love of Marth Ivers
(1949)三銃士/The Three Musketeers
(1953)シェーン/Shane
(1959)コルドラへの道/They Came to Cordura
(1965)偉大な生涯の物語/The Greatest Story Ever Told
(1965)駅馬車/Stagecoach
 

バーバラ・スタンウィック
(1933)女囚の意気地/Ladies They Talk About
(1937)ステラ・ダラス/Stella Dallas
(1939)大平原/Union Pacific
(1941)群衆/Meet John Doe
(1941)レディ・イヴ/The Lady Eve
(1944)深夜の告白/Double Indemnity
(1945)クリスマス・イン・コネチカット/CHRISTMAS IN CONNECTICUT
(1946/呪いの血/マーサの奇妙な愛情/The strange love of Marth Ivers
(1947)いのち短し/The Other Love
(1948)私は殺される/SORRY, WRONG NUMBER
(1947)恐怖の叫び/Cry Wolf
(1957)四十挺の拳銃/Forty Guns