■ Cry Wolf
サンドラは帰省していた夫ジムが死亡したとの記事を読んで実家を訪ねた。しかし結婚の事実を疑われた。結婚証明書を見せたが、疑わしい目つきである。
ジムの妹のジュリーとは仲良くなった。ジュリーは使用人たちに厳しく監視されているようである。
ジュリーは「ジムの叫び声が聞こえた」と言う。別棟の「研究所」ではなにやら怪しいことが行われているようである。
突然ジュリーが二階の窓から落ちて死亡した。サンドラは屋敷から遠くに見える「スリーヒルズ」に行った。そこにはジムがいた。


製作年:1947、監督:Peter Godfrey、脚本:Catherine Turney、原作:Marjorie Carleton


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 サンドラ・マーシャル・デマレスト(バーバラ・スタンウィック)
 ジェームス・コールドウェル・デマレスト(リチャード・ベイスハート) サンドラの夫
 ジュリー・コールドウェル・デマレスト(ジェラルディン・ブルックス) ジェームスの妹
 マーク・コールドウェル(エロール・フリン) ジェームス、ジュリーのオジ
 チャールズ・コールドウェル(ジェローム・コーワン) 上院議員、マークの兄
 ロニー・マニング(-) ジュリーの恋人
 ベケット(ロリー・マリンソン) 使用人
 マルタ(ヘレン・ティミグ) 使用人
 ロバーツ(バリー・バーナード) 使用人
 ジャクソン・ライデル(ジョン・リッジリー) 使用人
 エイミー(?) ジムの恋人、話だけで登場しない

当屋敷には「研究所」という別棟がある。屋敷と研究所は連結されている。
 


■ あらすじ

◆ 夫が死亡した

サンドラは実家に戻っている夫のジム(ジェームス)が死亡したとの記事を読んだ。

実家に向かった。田舎である。森の中を車で走っていると、若い女性が馬に乗って同じ方向に走っている。

二人は同じ屋敷の前で下りた。同時に屋敷に入っていった。

女性は中にいた男性と口論した。内容は「私を束縛しないでちょうだい」みたいなことである。女性の名前はジュリー・コールドウェル・デマレスト、ジムの妹である。男性の名前はマーク・コールドウェル。後で分かったことによると、ジムやジュリーのオジである。

さてサンドラが「ジムの妻、葬式に来た」と言うが、マークは不思議そうな顔をした。ジムが結婚していることを知らなかったようである。持って来た結婚証明書を見せる。しかしあまりいい顔はしない。

「遺体を拝みたい」と言うと「棺を閉めたので、顔は見せられない」とのこと。サンドラはジムの写真の前で十字を切った。

◆ 遺言書

ジムの財産は、ジムが30歳になるまで、あるいは結婚するまでは、マークが管理することになっている。

サンドラとジムの五か月前に結婚したが、最初の約束で六か月で離婚することになっている。

そして遺言書。サンドラはジムの遺言書を持って来たが、それは署名がある正規のものではない。正規の遺言書は弁護士に探してもらっている。

あと一か月で遺言書が見つからない場合には、どうなるのか?若干微妙である。遺言書が見つかった場合には、サンドラに遺産が渡る。

◆ ジュリーとの関係

ジュリーとマークは相変わらず、小競り合い状態であるが、ジュリーは使用人たちから監視されている。

一方、サンドラとは仲良くなって、ジュリーはいろいろ話した。

ジムにはエイミーと言う恋人がいたがマークが別れさせた。マークはジムの金を使い込んでいる。

ジムはカナダから帰ってきたが、次の日には病気ということで研究室に入れられた。マークは、その件については説明しない。

ジュリー「ここにいて」サンドラ「できるたけ残るわ」。

マークはジュリーのことを「考えすぎだ」と言った。

◆ 研究室の中に人が

葬式が終了してチャールズは帰った。マークからジムの死亡証明書を見せてもらった。医師が書いて署名した正式なものである。

「ジュリーを縛らないで」とマークに言ったが拒否された。

ジュリーと二人で馬に乗って出かけた。マークからは「敷地の外に出るな」と言われた。

ジュリーは「あなたを利用したの」と言った。本当の目的は恋人のロニーに会うことだったらしい。

ジュリーがロニーと会っている間、サンドラは離れたところにいた。マークが来て、ジュリーを自由にさせたことに対して注意をされた。マークを問い詰めようとしてが、詳しいことは話そうとしない。

ジュリーが二人のところに来た。マークに注意されたので、ジュリーは馬の鞭でマークを殴った。

ジュリーとマークを置いて戻ってきた。一瞬の間、研究室の窓に人影が見えた。

◆ 叫び声が聞こえた

夜、ジュリーが部屋に訪ねてきた。「叫び声が聞こえた。前にも聞こえた。兄の声に似ている」。

サンドラには聞こえなかったので否定したが、今度は大きな叫び声。

二人で部屋をでて、研究室に行こうとした。しかし途中の通路に誰かがいたので、元に戻った。

一階からマークが様子をうかがっている。ジュリーは「部屋を抜け出したと知られたら大変」という。

次の朝、食事の時。新聞を見ると上院議員のチャールズが叩かれている。議員の宿命とも言える。

ジュリーが来た。「また声が聞こえた。研究室の方から」と言う。マークは否定する。ジュリーは「夢じゃない」と言うが、それ以上は進展しない。マークが立ち去った後、サンドラに「マークは嘘をついている」。

ジュリーのことを使用人が交代で監視しているようである。

◆ ジムの部屋

サンドラとジュリーはジムの部屋に入った。元のままにされているとのこと。

ジムとエイミーと一緒にいる写真がある。ジュリーは「母親は四歳の時に死んだ。父親は顔も思い出さない」。

いろいろ話していくと「親の財産がどうなったのか分からない。研究室では恐ろしいことが行われている」と言う。

マークから「ジュリーを惑わすのは止めてくれ。君の狙いは分かっている」と言われるが、「私には切り札がある、遺言書を弁護士に探してもらっている」。

ここで突然、二人の雰囲気が変わる。「君の魅力がだんだんわかってきた」「歯並びもいいわよ」「美しい瞳だ」。ここでなんとマークはサンドラにキスをする。

サンドラはキスを拒否しないが、直後にマークを引っ叩く。

部屋に帰ってサンドラはタバコの火をつけようとするが、焦ってしまって火がつけられない。

◆ 研究所に忍び込む

マークは夜中に研究所で何かをしている。

サンドラは渡り廊下を渡って研究所に入った。配膳用エレヴェーターで上に上がる。

マークは誰かと「スリーヒルズの状況は?」と話している。「順調だが、たまには来てほしい」との答え。

「あの女がいる。探っている、ジムの妻だ」「もし本当のことを知ったら」。

スリーヒルズとは屋敷から遠くに見える三段になった丘のこと。

サンドラのいる部屋に二人が入ってきた。サンドラはドアの陰に隠れた。マークは配膳用エレヴェーターの状態に疑問を呈するが、二人は出て行った。

◆ ジュリーが死亡した

夜中、ジュリーの叫び声。外を見ると、ジュリーが地面に叩きつけられている。ジュリーのそばに行った。

マーク「二階から逃げようとした」サンドラは「ジュリーは逃げようとしたのではない。何かがあったはず」。

若いメイドは自分のミスと泣いている。

サンドラは屋根を伝って、研究室の屋根から中に忍び込んだ。しかしマークが現れて見つけられた。

二人は激しく言い合う。「いったいどういうつもりだ」「夫は死んでない」「証拠があるのか?」「あなたがジュリーを死に追いやった」「あれは事故だ」「信じない」「君が来るまでは問題がなかった」「ジュリーはジムの叫び声を聞いたのよ」「出ていけ」。

◆ 研究室を見せてもらった

ジュリーの葬儀が終わって、サンドラはでていくことになった。マークもでていく。

「今夜出ていく」という話だったが、サンドラが「明日にする」と言うので二人とも明日になった。

マークは「ジュリーに贈るはずだった」と言って宝石類を渡した。

それと「ジムの正式な遺言書が見つかった。君はボストンの家に住め。私はワシントンに行く」。注、遺言書はサンドラが探しているのでは?

マークは「ひどい態度をとって悪かった」と研究室につれていく。中を案内して「何の秘密もない」と言った。あたかも自分の無実を証明したいかのようである。

「なぜワシントンにいくの?」「つらい思い出がある」。

◆ ジムが生きていたっ!

次の日、最後に馬に乗った。スリーヒルズの方へ向かった。途中で馬が勝手に走り出して、必死でしがみついたが振り落とされた。

柵があり、中に入ると小屋があった。

そして外に男性がいた。ジムっ!しかしジムはサンドラのことを思い出さない。

話すとジムは「自分は病気。ライデルが世話してくれる」と言う。

「財産を奪われたのよ。マークの陰謀、あなたの葬式も行われた。ジュリーは死んだ。マークは逃げる気なのよ」と一気に喋ると、ジムはサンドラのことを思い出した。

ジムは「後で行く、屋敷で待っていてくれ」と言う。サンドラは屋敷に帰った。

◆ ジムが死亡した

サンドラは屋敷に戻った。マークが待ち構えていた。出発の時刻が迫っている。「どこに行ってたのか?」と聞かれるが、適当にごまかす。

「すぐに出かけよう」「泊ってもいいかしら?」。結局二人とももう一晩泊まることになる。本当は自分だけが泊まりたい。

もう暗くなってきた。サンドラはジムが来ないかと待っている。ジムが来た。駆け寄った。いや、それはマークだった。

マークが真実を話しだした。「二人(ジムとジュリー)の父親は精神障害でなくなった」「精神障害の者と暮らす大変さは分かるか?」「いろいろな医者に見てもらったがダメだった」

「ジュリーが死んだのは?」「自分の本姓を知って自殺した」。

「ジムは気が動転すると暴れだす。ジムは人を殺した。車の事故の時にレンチで殴り殺した。上院議員は噂を建てられると困る」。

ここでサンドラがマークの言葉をすべて信用するのは信じがたいが、そのようなストーリーになっている。

ジムが現れてマークを殴り倒した。「この男のことを好きなのかっ!?」とサンドラに食って掛かった。

「遠くに行こう」と言われる。サンドラは逃げ出したが、屋敷の中で追い詰められた。

マークとライデルがきた。ジムとライデルが格闘した。ジムは階段から落ちて死亡した。

サンドラ「ずっとあなたを疑っていた」。
 


■ 出演作

バーバラ・スタンウィック
(1933)女囚の意気地/Ladies They Talk About
(1937)ステラ・ダラス/Stella Dallas
(1939)大平原/Union Pacific
(1941)群衆/Meet John Doe
(1941)レディ・イヴ/The Lady Eve
(1944)深夜の告白/Double Indemnity
(1945)クリスマス・イン・コネチカット/CHRISTMAS IN CONNECTICUT
(1946/呪いの血/マーサの奇妙な愛情/The strange love of Marth Ivers
(1947)いのち短し/The Other Love
(1948)私は殺される/SORRY, WRONG NUMBER
(1947)恐怖の叫び/Cry Wolf
(1957)四十挺の拳銃/Forty Guns
(1940)思い出のクリスマス/Remember the Night

◆ エロール・フリン
(1950)海賊ブラッドの逆襲/FORTUNES OF CAPTAIN BLOOD
(1936)進め龍騎兵/The Charge of the Light Brigade
(1938)ロビンフッドの冒険/The Adventures of Robin Hood
(1938)結婚スクラム/Four's a Crowd
(1939)無法者の群/Dodge City
(1939)女王エリザベス/The Private Lives of Elizabeth and Essex
(1940)カンザス騎兵隊/Santa Fe Trail
(1941)壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On
(1940)シー・ホーク/The Sea Hawk
(1946)愛をもう一度/Never say good bye
(1952)すべての旗に背いて/Against All Flags
(1947)恐怖の叫び/Cry Wolf