■ Adventures of Robin Hood/リチャード王の留守中に弟が実権をにぎり人々を弾圧する。それに対抗するロビン・フッドと協力するマリアン姫。


製作:1938年、脚本:ノーマン・ライリー・レイン、シートン・I・ミラー、監督:マイケル・カーティス、ウィリアム・キーリー   予告編   予告編


■ あらすじのあらすじ

リチャード王の留守の間に弟のジョンが権力を握ってサクソン人を弾圧した。ロビンたちは、それに対抗する。

ジョンの手下ガイがマリアン姫と一緒に森を通った時に、ロビンたちはガイの財を奪い民衆に分配する。そのおりマリアンはジョンの悪事を(少し)理解する。

ジョンとロビンたちの対立は先鋭化する。ジョンとガイはロビンを捕らえるために偽装の弓術大会を開く。ロビンは捕らえられる。

ロビンは仲間たちに救出される。マリアンも協力する。

一方、密かにリチャード王が帰国した。しかしこの情報を掴んだジョンは、刺客を送り、また即位式を急ぐ。

マリアンはロビンに知らせようとするが捕らえられ、代わりにマリアンの侍女がロビンたちに知らせる。

リチャードとロビンたちは、即位式に潜入して、ジョンと対決する。
 


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ロビン・フッド(エロール・フリン)
 マッチ(ハーバート・ムンディン)

 マリアン姫(オリヴィア・デ・ハヴィランド)
 ベス(ウナ・オコナー)

 (獅子心王)リチャード(イアン・ハンター)
 ジョン(クロード・レインズ)
 ガイ・オブ・ギスボーン(ベイジル・ラスボーン)

 司教(モンタギュー・ラブ)
 ディコン(ハリー・コーディング)

私は本作をオリヴィア出演映画なので見ている。マリアンは単なる姫としてではなく、自分の考えを持った女性、行動する女性として描かれている。

設定は12世紀末、イングランド。リチャード王(1157年9月8日~1199年4月6日)は(第三回)十字軍遠征を行う。その間の国政をロンシャン卿に任せるが、リチャードの弟のジョンが権力を握った。

リチャードは帰路で十字軍の内部争いのためレオポルト5世に捕らえられ、身代金の要求が出される。

サクソン人は元はゲルマン系の民族。ノルマン人はフランス系の民族で、当時はイングランドを支配。

実際がどうであったかはともかくとして、本作ではリチャードはノルマンとサクソンを差別しない善政を行った(ということになっている)。

マリアンは、ジョンの腹心ガイ卿と結婚する/させられることになっている。
 


■ あらすじ

◆ マッチ

マッチが森の中で鹿を狩っていると、ガイの一行に捕らえられた。マッチが「税が大変」と訴えても聞く耳を持たない。

そこにロビンたちが現れてマッチを助ける。ガイは弓を構えたロビンには叶わないので立ち去る。

マッチは仲間に加えてほしいと願い出る。

◆ ノッティンガム城

ガイはジョンなど多くの客を招いて宴会を開いた。多くの国民が苦しむ中での贅沢な宴会である。

ジョンやガイは、リチャードが人質となったことを逆に利用しようとしている。リチャードの身代金が必要としてサクソンへの税を増やす。そして身代金には使わずに自らの懐に入れる。さらにリチャードの代わりにジョンが国王に即位するつもりである。

このようなことを話していると、ロビンが鹿を背負って現れた。マッチが捕らえた鹿。ロビンはジョンの前の席に座って、サクソンへの重税を正々堂々と批判する。

そばにいたマリアンは、まだロビンやサクソンのことを知らずにロビンを批判する。

その後、ロビンは大暴れをして城を脱出する。

◆ シャーウッドの森

ロビンは、ジョンに対する叛乱を組織するために「シャーウッドの森に集まれ」と各地に働きかける。

ジョンやガイはさらにサクソンへの弾圧を強めた。対して弾圧している兵士たちが弓で狙撃された。ロビン討伐隊を組織された。しかし人々はロビンの居所を教えなかった。

シャーウッドの森には、多くの人々が集まった。ロビンはリチャードへの忠誠とジョンへの叛乱を訴えた。

◆ ガイの一行を襲撃

サクソンから取り上げた税をガイの一行が運んで持ち帰る。マリアンも同行している。このような情報を掴んだロビンたちは、これを奪うことを計画する。

森の中で木の上に潜んで襲撃する作戦である。武器を持って木の上に多数が隠れる。ガイの一行が通りかかると、一斉に木の上から跳び下りて襲撃した。

ガイの手下の兵士は捕らえられた。収奪された税は取り戻された。サクソン人に戻し、一部はリチャード救出の身代金とした。

ロビンはガイやマリアンと一緒に食事をする。その場でサクソンへの弾圧の実態を明かす。マリアンは、ジョンやガイの正体が少しは分かってきたようである。ロビンはマリアンを弾圧されている人々のところへ連れて行って話を聞かせる。

「捕らえられた兵士たちは明日解放する」と言ってガイを釈放する。マリアンと侍女のベスは別途護衛付きで城まで送っていく。ここでベスとマッチが親しくなる。


◆ 弓の大会

ジョンとガイは、どうしてもロビンを捕らえられないので、姑息な作戦を考える。すなわち「弓の大会を開いて出場したロビンを捕らえる」。

もちろんロビンには、これが罠であると分かっているのだが、あえてロビンは弓の大会に出場する。まあ、映画なので、このような展開をすることになっている。

ロビンが他の参加者に交じって弓を射る。ジョンやガイと並んでマリアンも見ている。マリアンはやきもきしているが、まだこの段階では積極的な行動はしない。

当然の結果であるが、ロビンが優勝する。マリアンが賞品の黄金の矢を渡す。ここでロビンは兵士に取り囲まれて捕らえられる。

さっそく明日にロビンの処刑が行われることになった。

◆ 処刑

マリアンは、なんとしてもロビンを助けたい気持ちになった。ベスにロビンたちの密会場所を聞く。サラセンと言う酒場。

マリアンは一人で出かけた。酒場に入る。(マリアンが現れたのは)陰謀ではないかと疑われるが、マリアンは、きちんと自分の立場を説明する。もうこの時点ではマリアンの肝は据わっている。「私に考えがある」。マリアンはロビンの救出を依頼する。

処刑台が作られて、後ろ手に縛られたロビンが処刑台の上に上げられる。群衆の中に多数の仲間が潜んでいる。

ロビンの首にローブがかけられようとした時、一斉に矢が放たれる。ロビンは後ろ手のまま馬に跳び乗る。仲間と一緒に逃げ出す。

追手がくるが、それを待ち換えていた仲間が妨害する。

ロビンは城門まで来た。この時には後ろ手のロープはほどかれている。この城門は上部から扉が下りてくる構造。

仲間が城門から出た後、ロビンは扉を上に吊り上げているロープを叩き切る。重力で扉が下りてくる。ロビンはロープを掴んで城門の上に上げられる。城門の外に下りる。追手は扉が閉まっているので立ち往生する。

◆ マリアンのところにロビン

夜になってマリアンがいる建物の壁をよじ登ってロビンが訪ねてきた。

マリアンに助けてくれたことの礼を言うと、マリアンは思いがけない言葉を返す。「あれは冗談よ、すぐに帰って、愛してないわ」。注、直前にはロビンのことをベスと嬉しそうに話している。

ロビンががっかりして帰ろうとするとマリアンは言葉を撤回する。二人はキス。

ロビンが「一緒に森に行こう」というと、またマリアンは拒否する。「私は裏切り者を監視する、だから一人で帰って」。

◆ ケント酒場

数人の客が入ってきた。質素な服装をしているが、高貴な雰囲気の人物である。このあたりで宿を確保するつもりである。

ここでみんなに種明かししておくと、この人物はリチャード、すなわち国王である。注、オーストリアで捕虜になっているはずが、なぜここに来れたのかは明らかにされない。

そしてもう一人が入ってきた。司教。こちらは立派な衣装を着て、態度もでかい。ここで泊まるようなことを言っている。

しかし司教は、一行の話を盗み聞きしていて、国王の一行ではないかと気が付く。そして急に「用事ができた」と言って出ていく。

◆ 密告

ノッティンガム城に司教が来て、ジョンとガイにリチャードが帰ってきたことを密告した。

彼らにとってはリチャードに帰ってこられると非常にまずい事態になる。刺客を送ることにした。リチャードを恨んでいるディコンである。

それとジョンの国王即位式を早急に行うことにした。

この謀議をマリアンが聞いた。マリアンは手紙を書いて知らせようとする。

しかしマリアンが手紙を書いてるところにガイが入ってきて、マリアンは捕らえられる。

マリアンはジョンとガイの前で正々堂々と彼らを批判する。そしてジョンから死刑にすると言われる。マリアンは「私を死刑にできるのは国王だけ」と反論するが、ジョンは「もうすぐ私が国王になる」と言う。マリアンは「死んでも阻止する」。

マリアンは牢に入れられる。

◆ ベス

マリアンが捕らえられたので、ベスがマッチのところに助けを求める。マッチは、この時にリチャードが帰国していることを知る。しかしベスは「国王よりもマリアンの命を」と言う。

ともあれマッチは刺客を求めて出発する。

マッチは、ディコンを待ち伏せて殺す。自分も重傷を負う。

注、ここのところはストーリーが混乱していて、マッチはベスから情報を得て「リチャード王に知らせにケント酒場に行く」と出発するが、途中でディコンを待ち伏せるストーリーになっている。

◆ シャーウッドの森

リチャード一行がシャーウッドの森を通りかかる。注、この時点では国王であることは知られていない。

ロビンが一行の前に現れて、丁寧な調子で「サクソンの住民が弾圧されており、そのために若干の寄付をいただきたい」と訴えた。注、この時点でリチャードはジョンが悪政を行って言ことを知る。

ここで重傷を負ったマッチが運び込まれる。そしてリチャードが帰国していること、ジョンが即位式を行おうしていることを報告する。マリアンが捕らえられていることも知らせる。

ロビンは、さっそくリチャードを探し出すようにみんなに指示を出す。ここでリチャードが自分が国王であることを明かす。

さて「即位式をどのようにして阻止するか」という話になる。城を外から攻めることは困難なので、司教と一緒に城に入ることにする。

◆即位式

司教を脅して、司教に続いてリチャードの一行、ロビンの一行が続いて城の中に入る。

城の中では盛大な式が挙行されようとしている。そして多数の兵士が警戒している。

(後から脅されて)司教が、ジョンの資格を問う。ジョンは「死亡した国王の正当な継承者」と言うが、ここでリチャードが「私はまだ死んでいない」と登場する。

ジョンはリチャードを「偽者」と決めつける。ここで壮絶な戦いが始まる。

戦いが終わり、みんなが剣を床に置き、リチャードの前に集まる。ジョンはイングランド追放となる。リチャードはロビンに「望みは何か?」と聞くと「(サクソンへの)恩赦を」と訴える。

さらにロビンに「個人的には何を?」と聞く。ロビンとマリアンが微笑みあっているのを見て、二人の結婚を許可する。
 


■ キャラクタのバランス

本作はロビンが強烈なキャラクタであり、あやうく、これが原因で失敗作になるところだったが、幸運にもそうはならなかった。

一人の人物が大活躍をして、すべてを解決するような映画がある。このような映画は非常に嫌味。しかし本作は、まあロビンの活躍が目立つというものの、他の人物もそれなりに活躍している。

まずマリアン。12世紀、そして姫という設定であれば、単なる飾りになるのが普通であるが、自分の考えを持ち、かつ行動する女性として描かれている。

最初はジョンの悪事やサクソンの状況を知らずロビンを強く批判する。そして少しずつ事情が分かってくる。

ロビンが処刑されようとするときにベスの助けを借りてロビンの仲間を訪ねていく。その後ロビンから森に来るように誘われた時に「私は裏切り者を監視する」と言って残る。

ジョンとガイに捕らえられた時に「死んでも阻止する」と言ってのける。実際に阻止できるかどうかはともかくとして。

次はマッチ。特に国王への刺客(ディコン)を待ち伏せしてやっつける。そしてベス。ロビンの処刑が迫った時にマリアンを助け、マリアンがサラセンに出かける。マリアンが捕らえられた時にマリアンの代わりにマッチに連絡する。
 


■ 蛇足

クロード・レインズ。「情熱の航路/Now, Voyager(1942)」「カサブランカ/Casablanca(1942)」「汚名/Notorious(1946)」。

ベイジル・ラスボーン。「アンナ・カレニナ/Anna Karenina(1935)」「情炎の海/Frenchman's Creek(1944)」。

ハリー・コーディング。「海賊ブラッドの逆襲/Fortunes of Captain Blood(1950)」。
 


◆ エロール・フリン
(1950)海賊ブラッドの逆襲/FORTUNES OF CAPTAIN BLOOD
(1936)進め龍騎兵/The Charge of the Light Brigade
(1938)ロビンフッドの冒険/The Adventures of Robin Hood
(1938)結婚スクラム/Four's a Crowd
(1939)無法者の群/Dodge City
(1939)女王エリザベス/The Private Lives of Elizabeth and Essex
(1940)カンザス騎兵隊/Santa Fe Trail
(1941)壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On
(1940)シー・ホーク/The Sea Hawk
(1946)愛をもう一度/Never say good bye
(1952)すべての旗に背いて/Against All Flags
(1947)恐怖の叫び/Cry Wolf

 

 

オリヴィア・デ・ハヴィランド
海賊ブラッド/Captain Blood(1935)
進め龍騎兵/The Charge of the Light Brigade(1936)
恋愛合戦/It's Love I'm After(1937)
(1938)ロビンフッドの冒険/The Adventures of Robin Hood
結婚スクラム/Four's a Crowd(1938)
(1938)黄金の罠/Gold Is Where You Find It
(1939)無法者の群/Dodge City
(1939)太平洋の翼/海の荒鷲/Wings of the Navy
女王エリザベス/The Private Lives of Elizabeth and Essex(1939)
風と共に去りぬ/Gone with the Wind(1939)
(1940)カンザス騎兵隊/Santa Fe Trail
いちごブロンド/The Strawberry Blonde(1941)
壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On(1941)
カナリヤ姫/Princess O'Rourke(1943)
遥かなる我が子/To Each His Own(1946)
(1946)暗い鏡/The Dark Mirror
蛇の穴/The Snake Pit(1948)
女相続人/The Heiress(1949)
謎の佳人レイチェル/My Cousin Rachel(1952)
(1958)誇り高き反逆者/The Proud Rebel
(1964)不意打ち/Lady in a Cage
ふるえて眠れ/Hush… Hush, Sweet Charlotte(1964)
(1977)エアポート'77/バミューダからの脱出/Airport '77