Lady in a Cage

腰を痛めているコーネリアは二階に上る途中にエレヴェータが停止して閉じ込められた。
非常ボタンを押すが入ってきたのは泥棒。さらに娼婦を伴ってきて、物品を持ち出した。
さらにチンピラ一味が侵入してきて、さらなる略奪と暴力をふるう。
しかしコーネリアは最後に...。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作:1964年、脚本:ルーサー・デイヴィス、監督:ウォルター・グローマン


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 コーネリア・ヒルヤード(オリヴィア・デ・ハヴィランド)
 マルコム・ヒルヤード (ウィリアム・スワン) - コーネリアの息子
 ジョージ・L・ブレディ Jr.(ジェフ・コーリー) - アル中のホームレス
 セード (アン・サザーン) - 娼婦
 故買屋(チャールズ・シール)
 ランドール(ジェームズ・カーン) - チンピラ
 イレイン(ジェニファー・ビリングスリー) - ランドールの女
 エシー(ラファエル・カンポス) - ランドールの子分

本作はコーネリアがエレヴェータが故障して、とんでもない不運に見舞われるストーリーだが、コーネリアが息子に愛情を押し売りしていることに気づく映画でもある。
 


■ あらすじ

◆ エレヴェータが停止する

コーネリアの夫は死亡し息子とのマルコムと二人で住んでいる。二人は非常に仲が良い。マルコムは、もうすぐ30歳になる。

コーネリアは腰を痛めたので、家の中に1階と2階を上り下りするエレヴェータを設置している。

土曜日、マルコムが友達二人と遊びに行くので、バッグを持って出発する。帰りは火曜日。コーネリアは、ながながとマルコムとの別れを惜しむ。

さてヒルヤード家の横の路地では、何らかの工事のためか、塀に梯子が立てかけられた。しかしその車が発車する時に梯子を引っかけて、そのまま走り去った。

梯子は倒れてヒルヤード家の中に引き込まれている電線に寄りかかった。

ちょうどコーネリアはエレヴェータで二階に上っているところである。エレヴェータが二階まで1メートルくらいを残したところで、梯子が倒れて電線が端子箱から外れた。

ヒルヤード家のライトは消えて、もっと大変なことにエレヴェータが停止してしまった。

◆ ホームレスが侵入

コーネリアは「そのうち停電は回復するだろう」と見て、手に持っていた本を読み始めた。

しかし時間が経ってくる、だんだん暑くなってくる。「こういう時に押すものなのよね」と自分で確認するように口に出して、非常ボタンを押した。

家の外にある非常ベルが鳴り響いた。ベルのそばには「エレヴェータが故障しています。警察に知らせてください」と書いてある。

だがしかし、鳴り響いているベルのそばを通り過ぎても誰もが無視している。

いや一人だけ反応した。このあたりをうろうろしているホームレスのジョージ。腕には「悔い改めよ」とキリスト教のメッセージのイレズミ入れている。

ジョージはガラスを割ってヒルヤード家の中に入った。そして左手のドアを開けて入った。ダイニングである。いろいろなものが置いてあったが、ワインが棚にいくつも置いてあったので、それを飲んだ。

コーネリアは誰かが家に入ってきたことが分かり、助けを求めるが、ジョージは無視。

ワインを飲んだせいなのか、もともと助けるつもりなどなかったのかは不明だが、ジョージはトースターを抱えて出て行った。

◆ 娼婦も侵入

電話が鳴った。コーネリアは受話器を外そうと靴を脱いで投げた。外れた。もう一つの靴も投げた。外れた。花瓶も投げた。これも外れた。電話は鳴りやんだ。

一方ジョージは、持ち出したトースターを故買屋に持っていった。それをランドールなど三人が見ている。

ジョージはできた金を持って娼婦のセードのところに行った。セードは恵んだつもりだったのだが、借りていた2ドルを戻した。

そして「ワインがいっぱいあった。何でも取り放題」と二人でヒルヤード家に出かけた。

コーネリアはエレヴェータの中にあった二本の棒を継ぎ足して、電話機の方へ伸ばした。電話かあれば、受話器を外して助けを求めようというつもりである。しかし長さがほんの少し足りない。

コーネリアは疲れてしゃがみこんだ。「私は偽りの神を信じてきた。電気の神よ」。

さてジョージとセードが侵入してきた。中に入っていろいろと物色して運び出した。

コーネリアは、誰かが入ってきたことは分かるが、見えない位置なので、よくは分からない。

コーネリアはエレヴェータの床下の扉のロックを外す装置に手を伸ばしてロックを外した。扉を開けて飛び降りようとしたが、コーネリアにとっては高くて怖いので、諦めて扉を閉めた。注、ロックは外れたまま。

コーネリアは再度非常ボタンを押した。ベルが鳴ったが、ジョージがベルのコードを引きちぎり、ベルが止んだのでコーネリアはがっくりした。

◆ ランドール、イレイン、エシーが侵入

二人が荷物を運び出しているのをチンピラ三人組が見ている。

電話が鳴ったので、コーネリアは例の棒を伸ばした。長さが足りないので投げて受話器を落した。大声で「ヘルプ」と言った。しかしセードが電話線を引きちぎった。それを知らないでコーネリアは叫び続けた。

ジョージとセードは相変わらず物色を続けていた。二階にも上がった。二階に上がるときに階段を上るので、コーネリアは侵入してきた人物を認識した。

さてここでランドール、イレイン、エシーが侵入してきた。ジョージとセードを殴り倒した。そして、大騒ぎしながら、物色し運び出した。

コーネリアは「好きなだけ持っていっていいわ、助けて」というが三人は無視。コーネリアは泣き出した、そして気が違ったように笑った。

セードが三人に隠れて電話をした。電話した先は故買屋。注、電話線を引きちぎったのとは別のもの。

ランドールは「三人は殺す。ここにいたのが悪い」という。三人とは、ジョージ、セード、コーネリア。

コーネリアは右側の扉(二階で下車する時の扉)の窓から棒を二本外す。

さて、ロビーのエレヴェータの前に、ジョージとセードが引き連れてこられた。二人は怯えている。コーネリアは興奮して割と強気な発言をする。

エシーがジョージをナイフで刺し殺した。これを見たコーネリアは「私を殺さないなら、一万ドル」と言う。ランドールは拒否するが、イレインは「一万ドルよ、子供を育てられる」と言う。ランドールは「俺とお前の子供が信用できるか」と彼にしてはまっとうな見解を述べた。

外で子供が爆竹を鳴らした。コーネリアは大声で「ヘルプ!」と叫んだ。ランドールは脚立を持ってきてエレヴェータに上がり、コーネリアの口を押えた。

ランダルが後ろを向いたので、コーネリアは先ほど窓から外した棒をランダルの背中に突き立てた。しかしグニャッと曲がってしまった。ランダルは棒を取り上げて、ブラの中に差し込んだ。

エシーが二階にあったマルコムの手紙を持ってきた。エシーとしては、その手紙に「居間の金庫」という文字に惹かれたのだ。

ランダルはコーネリアに手紙の内容を読んで聞かせた。コーネリアはその手紙の最後の行に「もし希望が入れられなければ自殺します」と書いてあるのを知って気絶した。

◆ 故買屋

ヒルヤード家の裏に故買屋と手下が来た。ランダルらが持ち出した荷物が積み替えられている。

ランダルらは出ていくが、故買屋には手が出せない。弱い者にはあれだけ狼藉を働いたのだが、強いものには黙っている。

コーネリアは息を吹き返して、エレヴェータから降りる。脚立の上に降りようとしたのだが、そのまま床に落ちてしまった。

コーネリアは落ちていた息子の手紙を読む。自分が愛情の押し売りをしていたことに気がついた。

コーネリアは這って電話機まで行って電話をした。自分のためではなくマルコムを助けるためである。しかし電話はコードが切られていた。

◆ 反撃

コーネリアは這って玄関を出て道路に向かった。「警察を!」と叫ぶ。白バイが通るが気がつかない。車もいっぱい通るが無視される。

ランダルはコーネリアを後ろから抱えて、家に連れ込もうとした。コーネリアはブラの中にあった棒を取り出して、ランダルの両目を突き刺した。ランダルの目がつぶれた。ランダルはのたうち回る。

いったん家に連れ込まれたが、コーネリアはまた道路に向かって這って進む。ランダルがまた寄ってきて、コーネリアを捕えようとするが、目が見えないので道路に飛び出して車にはねられた。野次馬が集まってきた。

エシーとイレインは、二人で手をつないで出て行った。しかし逮捕された。

ここで電源箱に車がぶつかって停電が解消した。やっとコーネリアがほほ笑んだ。注、いったん切断された電線が、車がぶつかって再接続するなんてことは絶対にありえない。いやしかしオリヴィアなので許す。オーケー。
 


■ 補足/ヒルヤード家とエレヴェータ

ヒルヤード家は、広い道路に面して家が立ち並んでいる場所に立っている。玄関は道路から数メートル入ったところだが、門などはない。(少なくとも)片側は路地になっている。注、路地に面して立っている「ヒルヤード家」も表示されるが、無視する。

この路地を横切ってヒルヤード家に電気を供給する電線が入っている。これが梯子に引っかかる。

両隣の家よりは大きいが豪邸ではない。屋根裏を含んで三階建てだが、屋根裏はストーリーには無関係。

玄関を入ると廊下があり、左側にリヴィングやダイニングなどがある。その向こうがいわばロビーになっており、ロビーに入って左側に二階に上がる階段がある。階段は途中で直角に曲がっている。ロビー部分は二階に吹き抜けている。

一階の床と二階の床の差(=階段の高さ)は4メートルくらい。二階には廊下があって、手摺がついており、複数の部屋が並んでいる。

階段の直近にエレヴェータが設置されている。その部分は手摺が切り取られて、手前に開くようになっている。

エレヴェータには手摺の扉を開けて乗り込む。エレヴェータにも扉がついており、エレヴェータの内側に両開きで開く。この扉は金属でできており顔の位置に窓がある。この扉は二階から乗り込むときだけ使用する。注、一階では、リヴィングなどの部屋の壁があるので出られない。

二階から扉を開けてエレヴェータに乗り込んで、その扉を右側にして立つと、正面はパイプの柵でできた扉。こちらは外に両開きする。これを正面扉と呼んでおく。正面扉は一階でのみ使用し、一階にいる時以外はロックがかかるようになっている。

一階に降りると正面扉の外側にあるハンドルを(エレヴェータの内側から)操作して扉を開く。

エレヴェータの床の下には正面扉のロックを解除する装置がある。これを使えば一階でなくても正面扉を開くことができる。コーネリアは閉じ込められた時に、エレヴェータの内側から手を伸ばして、このロックを解除する。

エレヴェータの一階の正面に、三メートルくらい離れたところに電話台がある。コーネリアは棒を使って電話機を外す。

エレヴェータの中には非常通報用のボタンがあり、これを押すと家の外のベルが鳴る。これは家の通常の電源とは別で、バッテリーで動作するようになっている。非常灯もあり

エレヴェータの位置からは玄関は見えない。
 


■ 蛇足

コーネリアは杖を使ってはいるが、水平方向には割とすいすい歩いている。

マルコムがコーネリアに残した手紙。コーネリアとマルコムは非常に仲が良い。ベタベタの状態で、お互い親離れ・子離れをしていない。

しかしマルコムは、これに気づいており、旅行に出かける前に手紙として残す。

コーネリアは、この手紙を読んで、やっとのことで自分が母親の愛情をマルコムに押し売りしていたことに気がつく。

アメリカの新聞配達は、新聞を投げ入れるらしいが、本作の新聞配達も新聞を投げ入れている。
 


■ 出演作

オリヴィア・デ・ハヴィランド
(1935)海賊ブラッド/Captain Blood
(1938)ロビンフッドの冒険/The Adventures of Robin Hood
(1938)黄金の罠/Gold Is Where You Find It
(1939)無法者の群/Dodge City
(1939)太平洋の翼/海の荒鷲/Wings of the Navy
(1940)カンザス騎兵隊/Santa Fe Trail
(1941)いちごブロンド/The Strawberry Blonde
(1941)壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On
(1943)カナリア姫/PRINCESS O'ROURKE
(1946)遥かなる我が子/To Each His Own
(1946)暗い鏡/The Dark Mirror
(1948)蛇の穴/The Snake Pit
(1952)謎の佳人レイチェル/My Cousin Rachel
(1958)誇り高き反逆者/The Proud Rebel
(1964)不意打ち/Lady in a Cage
ふるえて眠れ/Hush… Hush, Sweet Charlotte(1964)
(1977)エアポート'77/バミューダからの脱出/Airport '77
(1943)陽気な女秘書/Goverment Girl
(1949)女相続人/The Heiress
(1955)見知らぬ人でなく/Not as a Stranger
(1936)風雲児アドヴァース/Anthony Adverse