★ オリヴィア・デ・ハヴィランドが亡くなって一年が経過した。改めて合掌 ★
■ PROUD REBEL
ジョン・チャンドラーは言葉が話せなくなった息子のデイヴィッドの治療をしてくれる医者を探して放浪していた。
農場主のリネット・ムーアの元で働くことになったが、牧場主のバーリー一家との争いに巻き込まれた。
製作年:1958、脚本:ジョセフ・ペトラッカ、リリー・ヘイワード、監督:マイケル・カーティス
■ はじめに
登場人物(キャスト)
ジョン・チャンドラー(アラン・ラッド)
デイヴィッド・チャンドラー(デイヴィッド・ラッド) ジョンの子供
ランス(キング) デイヴィッドが飼っている犬
リネット・ムーア(オリヴィア・デ・ハヴィランド) 農場主
ハリー・バーリー(ディーン・ジャガー) 牧場主
ジェブ・バーリー(ティーン・スタントン) ハリーの息子
トム・バーリー(トーマス・ピットマン) ハリーの息子
エノス・デイヴィス(セシル・ケラウェイ) 医師、クエーカー教徒
モーリー判事(ヘンリー・ハル)
バーム・ベイツ(James Westerfield)
デイヴィッド・ラッドはアラン・ラッドの実子。本作でも、西部劇によくみられる「牧場と農場の対立」が描かれている。
■ あらすじ
◆ ジョン・チャンドラー
場所はイリノイ州アバディーン。当地にジョン・チャンドラーとその息子デイヴィッドと飼い犬のランスが現れた。
元南軍の兵士ジョンは南北戦争で、自分の家と妻を亡くした。デイヴィッドは母親が殺されたショックで話すことができない。
ジョンはデイヴィッドを治療してくれる医師を探していた。通りかかった馬車の御者に「確かな医者はいるか?」と聞く。「デイヴィス先生がよい」との答え。
◆ ランスが盗まれた
ジョンはエノス・デイヴィス医師にデイヴィッドを見てもらった。「簡単ではない。問題は喉ではなく、ここだ」と頭を指さした。
ミネソタ州ロチェスターにいる友人のイライ・シュトラウス医師を紹介してくれた。さっそく訪ねていくことにする。
医師と別れて外に出た。羊の群れが連れていかれている。数人の男性が羊の群れを統制している。しかし統制できずに混乱している。
ジョンは「ランス、行け」と命令した。ランスはたった一人で羊の群れを柵の中に追い込んだ。男性たちはランスの能力に感心した。
ジョンとデイヴィットは店に入った。ランスは外で待っている。ジョンは荷物の中から銀でできた像を取り出して「20ドルで買ってくれ」と申し出た。ミネソタまでの旅費がないからである。15ドルに値切られたが取引は成立した。
ここでランスの声が聞こえたので外に走り出た。ランスがロープをかけられて連れ去られようとしていた。ジョンが抗議をすると「迷い犬と思った」と言う。先ほどの羊の群れと一緒にいた男なのでランスがジョンと一緒にいたのは見ていたはず。ランスを牧羊犬にしようとしたらしい。
牧場主のハリー・バーリーと二人の息子である。「南部のやつだな」と言いがかりをつけてきたので喧嘩になった。ジョンは殴り倒された。
そして保安官を連れてきた。ジョンは保安官に連れ去られた。
◆ リネット・ムーア
その状況を馬車に乗ってきた女性が見ている。リネット・ムーア。
彼らはリネットにも文句をつけてきた。リネットの農場とバーリーの牧場の間で争いがあるようである。
リネットは取り残されたデイヴィッドに話しかけ、馬車に乗せていった。
我々が見たところによると、ジョンとバーリーの争いは、バーリーの方がランスを盗もうとして仕掛けたものである。
しかしジョンは一方的に捕らえられて、さらに裁判にかけられた。結果は30ドルの罰金。ジョンには払えない。
リネットは罰金を立て替えてくれた。ただし後払い。結果、ジョンはリネットの農場で働くことになった。
リネットは裁判の後、判事から「払えるのか?」と言われて「払えないわ。収穫が終わったら払う」。リネットも金はないが、気持ちはしっかりしているようである。判事は「農場を売って早く結婚しろ」と余計なことをいう。
◆ バーリーは嫌がらせ
ジョンとデイヴィッドとランスはリネットの農場に入った。農場の広さは200エーカー。主に大麦を栽培している。リネットはそれを経営している。簡単な話ではない。幸いジョンは農業の経験がある。補足。リネットには使用人はいないようである。200エーカーを一人でやれるのか?
しばらく働いて、それからミネソタに行くことになる。
バーリーは自分の牧場を拡張したいがリネットの農場が邪魔である。それで何かとリネットに嫌がらせをしている。
羊の群れを追い立てて農場に侵入してくる。リネットは柵を作って対抗している。その柵にロープを引っかけて馬で引っ張って破壊する。そこに羊を侵入させる。作物が食い荒らされる。
リネットはライフルを持ち出した。ジョンは止める。ジョンとデイヴィッドは馬に乗って羊の群れを追い払う。ランスも頑張る。バーリーは拳銃を空に向けて撃って威嚇が、たちまち羊たちは追い払われた。
◆ 「ランスを売ってくれ」
一連の騒動を見ていたバーム・ベイツという男性が、ランスの能力の高さに感心して「その犬を売ってくれ」と言ってきた。金額はかなり出してもいいようなことを言っている。とりあえず150ドルを提示した。さらに200ドルに上げた。
しかしジョンとデイヴィッドにとっては、ランスは売っていいものではない。断った。ベイツは「金持ちかバカだ」とリネットに言って立ち去った。
忙しい仲でもデイヴィッドとランスは、森や草原や川で遊んだ。リネットはランスを売らない理由を理解した。
リネットは夜、食事が終わった後、デイヴィットに本を読んで聞かせた。デイヴィットの手話を理解するようになった。デイヴィットとランスはベッドに並んで寝た。
◆ シュトラウス医師の手紙
デイヴィットとランスが寝た後、二人は話した。南北戦争で家が燃やされて妻が殺された。そのショックでデイヴィッドは話せなくなった。ジョンは戦争に行っていたので、デイヴィッドは孤児院に預けられていた。
ジョンとデイヴィッドの力もあって、農場は次第に形が整ってきた。「ムーア農場」の看板もできた。
デイヴィス医師が訪ねてきた。ジョンに「リネットはいい女だ」とジョンに勧めるようなことを言うが、用件はデイヴィッドのこと。
手紙を取り出した。勝手にシュトラウス医師に問い合わせていたらしい。「ヒステリー性のマヒと思われる。六名治療したが三名は回復しなかった。サンフランシスコに行くので、そこで診断可能。三週間必要。治療費は不要」。
しかしサンフランシスコまでの旅費が300ドル。金はない、そして間に合わせるためには、そろそろ出発しなければならない。ちょっと残念だが診てもらうことはできない。
◆ ランスを売ることにした
ジョンは馬を売ることにした。しかし50ドルと提示される。断って酒場に入った。
ハリー・バーリーが話しかけてきた。息子のしたことを謝るが、その調子はあまり謝っている雰囲気ではない。「羊をどんどん増やしている。しかしリネットの牧場が邪魔」と言う。「リネットを説得してくれ。金はやる」。
そして「500ドルやる」と言う。今のジョンにとっては喉から手がるように欲しい金だが受けるわけには行かない。
農場に戻った。リネットとデイヴィッドが外にいたが、そのまま家に入った。リネットが中に入ってきた。「力になりたい。農場を担保にすれば金を借りられる」。この話も受けるわけにはいかない。
この状況にいたって、ジョンはランスを売ることにした。「それはダメよ」「これしか手はない」。リネットは自分のことのように反対する。しかし最後に「父親のあなたが決めることね」と折れた。
◆ バーリー兄弟が火をつけた
バーリー兄弟が農場に近づいてきた。束にした枝を持っている。それに火をつけている。馬車で入っていって納屋に投げ入れた。
たちまち燃え上がった。中にはディヴィッドがいた。慌ててジョンに知らせ行く。リネットも気が付いた。注、リネットとジョン親子は別棟に住んでいる。
リネットとデイヴィッドが水をかける。ジョンが中に飛び込んで牛を誘導する。牛は助けたが、納屋は全焼した。
デイヴィッドは泣いた。母親が死亡した時のことを思い出したからである。
リネットとジョンはバーリーを疑ったが証拠がないのでなんともしようがない。リネットは「納屋がなくてはダメ、農場を売るしかない」とつぶやいた。ジョーは「また建てるさ」「出ていくんでしょ?」「迷惑でないならば、ここにいる」。
そして「やっぱりランスを売るべきじゃない。他の方法を考える」。
その後、納屋の立て直しに取り掛かった。
◆ デイヴィッドが殴られた
三人とランスは馬車で町に出かける。余所行きの服を着ている。町まで走っていく。それを見た女性は「リネットにもやっと男性が」と噂した。
デイヴィッドはお菓子などを見ているが、二人は洋服を見た。ここでジョンが初めて「リネット」と名前で読んだので、リネットは喜んだ。写真撮影のサーヴィスがあったので並んで撮ってもらった。夫婦のようにみえる。
ここでデイヴィッドが店から出てきた。他の子供たちに因縁をつけられた。デイヴィッドは逃げ出したが捕らえられて殴られた。まわりには大人がいたが止めようとしない。ジョンとリネットが駆けつけると逃げ出した。
◆ ジョンはランスを売った
この事態にいたってジョンはベイツを訪ねて行ってランスを売った。「300ドル」と言う。ベイツは難色を示したが300ドルで通した。ランスは明日の午後引き渡すことになった。
ランスのことは帰り道でリネットに話したが、デイヴィッドにはまだ秘密。
◆ デイヴィッドは治療を受けた
ジョンはリネットにミネソタまで行ってくれるように頼んだ。その間ジョンは納屋の再建などを行う。
デイヴィッドとリネットは出発する。その後にジョンはランスをベイツのところに連れていく手筈。
デイヴィス医師も二人を見送った。
ランスをベイツに渡してきた。ランスの鳴き声がずつと聞こえてきた。
リネットから「明日手術」と手紙が届いた。ジョンは納屋の再建を急いだ。
しばらくたってデイヴィス医師が手紙を持ってきた。「手術が終わり治療が始まった。まだ結果は分からない」。三日後の午後の駅馬車で帰れるとのこと。
駅馬車で二人が戻ってきた。デイヴィッドはジョンに抱き着いたが、しかし喋れるようにはなっていなかった。
◆ ランス
デイヴィッドはランスがいないのに気がついた。ジョンは事情を話したがデイヴィッドは納得しなかった。
ジョンはベイツに会いに行った。「金のことはなんとかする。ランスを返してくれ」。しかしベイツは「あの犬は役立たずだった。バーリーに売った」と言う。ベイツのもとではランスは能力を発揮しなかったらしい。
ちょうどバーリーが羊を誘導していた。ランスがいたが、まともに働らいていない。
ジョンは戻ってきた。デイヴィッドはジョンから離れた。
◆ バーリーに会いに行く
ジョンはガンベルトを取り出した。「バーリーに会いに行く」というとリネットは反対した。「バーリーの目的は、私の農場を奪うこと。挑発されてはいけない」。
補足。ここはランスを返してもらう話からは外れてしまっていて展開が飛躍している。この後はバーリーとの対決のストーリーになっている。
ジョンはデイヴィッドに謝って「ランスを取り戻す」と言ってバーリーの牧場に出かけた。リネットは「ここにいるのよ」と言ったがデイヴィッドは追いかけた。
バーリー親子はジョンを発見した。
ジョンは馬を下りてゆっくりと進んでくる。ジョンは立ち止まって様子をさぐる。
息子二人は隠れた。ジョンが入ってきてハリーと話す。「犬を返せ」「あの犬はこっちのもの」「それは認めるが取り戻したい。金はなんとかする」。
押し問答をしてけっきょくハリーは「犬は連れて行け。物置小屋にいる」と言う。しかしハリーが譲歩したのは陰謀である。
◆ 決闘
ジョンは物置小屋に向かった。それを見て親子はライフルを持って配置についた。ハリーは「小屋から出てきたら撃て」と指示する。
ハリーは「犬泥棒を殺す」と言って、ジョンを犬泥棒に仕立てるつもり。それならば殺しても言い逃れができる。
物置小屋の中でランスが泣いている。ジョンは中に入っていった。
息子二人が小屋に近づいた。ハリーもライフルを持っている。ジョンは中から伺う。ランスが激しく吠える。ディヴィッドが近づいてきた。
ジョンは出口から一瞬体を出して、また引っ込めた。息子二人が引き金を引く。その瞬間を狙ってジョンは飛び出した。
さらに三人との銃撃戦。隠れて移動しながら相手をうかがう。
ジョンの背後からトムが近づいた。ジョンは気づかない。気づいたデイヴィッドが声を出した!声が出た!「危ない!」。ジョンは振り向いてトムを撃った。
トムを撃たれたハリーは、憎しみから拳銃を構えて近づいて引き金を引いた。しかし簡単にジョンに撃たれた。ジェブは怖くなって泣き崩れた。
◆ ラスト
リネットの農場に戻ってきた。リネットを見てデイヴィッドは大きな声を上げて駆け寄った。
リネットはデイヴィッドを抱きしめた。
■ 出演作
◆ アラン・ラッド
「ガラスの鍵/The Glass Key(1942)
「拳銃貸します(1942)
「青い戦慄(1946)
「市民ケーン/Citizen Kane(1941)」
「暗黒街の巨頭/The Great Gatsby(1949)」
「血ぬられし欲情/The Iron Mistress(1952)」
「シェーン/Shane(1953)」
「赤いベレー/The Red Beret(1953)」
「サンチャゴ/Santiago(1956)」
「島の女/Boy on a Dolphin(1957)」
「暗黒街の顔役(1942)」
「ネブラスカ魂(1948)」
「マッコーネル物語(1955)」
「地獄の埠頭(1955)」
「大荒原(1957)」
「悪人の土地(1958)」
◆ オリヴィア・デ・ハヴィランド
(1935)海賊ブラッド/Captain Blood
(1936)進め龍騎兵/The Charge of the Light Brigade
(1937)恋愛合戦/It's Love I'm After
(1938)ロビンフッドの冒険/The Adventures of Robin Hood
(1938)結婚スクラム/Four's a Crowd
(1938)黄金の罠/Gold Is Where You Find It
(1939)無法者の群/Dodge City
(1939)太平洋の翼/海の荒鷲/Wings of the Navy
(1939)女王エリザベス/The Private Lives of Elizabeth and Essex
(1939)風と共に去りぬ/Gone with the Wind
(1940)カンザス騎兵隊/Santa Fe Trail
(1941)いちごブロンド/The Strawberry Blonde
(1941)壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On
(1943)カナリヤ姫/Princess O'Rourke
(1946)遥かなる我が子/To Each His Own
(1946)暗い鏡/The Dark Mirror
(1948)蛇の穴/The Snake Pit
(1949)女相続人/The Heiress
(1952)謎の佳人レイチェル/My Cousin Rachel
(1958)誇り高き反逆者/The Proud Rebel
(1964)不意打ち/Lady in a Cage
ふるえて眠れ/Hush… Hush, Sweet Charlotte(1964)
(1977)エアポート'77/バミューダからの脱出/Airport '77
◆ ディーン・ジャガー
「四十挺の拳銃/Forty Guns(1957)」
「エルマー・ガントリー/魅せられた男/Elmer Gantry(1960)」
◆ セシル・ケラウェイ
「嵐が丘/Wuthering Heights(1939)」
「月光の女/The Letter(1940)」
「奥様は魔女/I Married a Witch(1942)」
「ふるえて眠れ/Hush… Hush, Sweet Charlotte(1964)」
「郵便配達は二度ベルを鳴らす/The Postman Always Rings Twice (1946)」
「誇り高き反逆者/PROUD REBEL(1958)」
◆ ヘンリー・ハル
「地獄の対決/Showdown(1962)」
「誇りを汚すな/The Return of Jesse James(1950)」
「ハイ・シエラ/High Sierra(1941)」