■ The Snake Pit
ヴァージニアは精神病院に入院している。面会に来た夫ロバートを認識しないばかりか、自分が結婚していたことも忘れている。
キック医師は、ロバートに話を聞いたりして、電気ショック療法や麻酔療法で治療を行い、ヴァージニアの病状は少しずつ改善していった。
しかしキック医師に好意を寄せるデイヴィス看護師の陰謀でヴァージニアは「蛇の穴」に入れられた。


製作年:1948、監督:Anatole Litvak、脚本:Frank Partos、Millen Brand、Arthur Laurents、原作:The Snake Pit(Mary Jane Ward)


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ヴァージニア・カニングハム(オリヴィア・デ・ハヴィランド)
 ロバート・カニングハム(マーク・スティーヴンス) 夫

 キック医師(レオ・ゲン)
 デイヴィス看護師(Helen Craig)

「蛇の穴」の意味が映画をみないと不明なので、タイトルだけで、敬遠する人がいるかも。

本作のポイントはオリヴィアの演技である。オリヴィアの形相がスゴイ。いろいろな表情をしている。オリヴィアを本当に好きでないと見ていられないかも。単に「オリヴィアがきれいだから好き」と思っていた人は見ない方がよい。

本作には原作があり、自伝小説である。それなので作られたような劇的な展開はない。ヴァージニアのトラウマの原因や回復過程などは、わりとあっさりと展開する。
 


■ あらすじ

◆ ヴァージニア・カニングハム

ヴァージニア・カニングハムは、ジュニパーヒル州立病院に入院している。精神病院。

夫のロバートが訪問してくるが、ロバートが夫であると分からないばかりか、自分が結婚していること、さらに自分が何者であるかも分かっていないようである。

◆ ロバートとの出会い

担当のキック医師はロバートからヴァージニアについて聞く。

ロバートはシカゴの出版社で働いていた。ヴァージニアは、出版社に原稿を持ち込んできた。

その原稿は拒否されたのだが、それをきっかけに二人は知り合った。

二人は次第に好意を持つようになったのだが、前触れなくヴァージニアは姿を消した。

その後ロバートはニューヨークに引っ越したが、交響楽団の演奏会で偶然再会した。

しばらくの間ヴァージニアはロバートのプロポーズを拒否したが、結局二人は結婚した。

しかしその後、ヴァージニアは現実を認識できないようになり、精神病院に入院した。

◆ キック医師の治療

キック医師はヴァージニアに電気ショック療法と麻酔療法を行った。

ヴァージニアは他の患者と同じように意味不明な行動をしていた。

キック医師はしばしばロバートと会って、ヴァージニアの状況を報告し、またロバートからヴァージニアについての情報を収集した。

ヴァージニアの状態は少しずつではあるが改善していった。

◆ 退院面談

ヴァージニアは、状態のよい患者が入る区画に移った。

しばらくしてキック医師は、ヴァージニアの退院面談を申請した。

複数の医師で患者の面談をして、退院可能か否かを判定するものである。キック医師も同席する。

しかしヴァージニアは、ある医師の質問に答えることができず、さらに興奮して大きな叫び声を上げた。

退院できなかったばかりか、ある程度はよくなっていた状態が悪化した。

◆ 病気の原因

キック医師はもう一度、ヴァージニアの治療をやり直した。また少しずつヴァージニアの状況を好転してきた。

ロバートともに病院の外の公園にでかけて二人で弁当を食べた。

ロバートとの面談も含めて、キック医師はヴァージニアの子供の時の状況が、病気の原因であることを掴んだ。

補足。ここの部分は(おそらくは意図的に)曖昧にされている。ともかく子供の時の体験が病気の原因であることが示唆される。

◆ 蛇の穴

看護師たちはヴァージニアのことを理解して、よく面倒を見た。

だがしかしデイヴィス看護師は、キック医師に好意を抱いており、キック医師とヴァージニアの関係を妬んだ。

実際、ヴァージニアは自分が結婚しているとは認識しておらず、ある程度はキック医師に好意を抱いていた。

デイヴィス看護師の陰謀によって、ヴァージニアは「蛇の穴」に入れられた。

「蛇の穴」とは独房であって、ヴァージニアは拘束衣のまま入れられた。

◆ ヴァージニアは回復した

ヴァージニアはしばらく「蛇の穴」入れられた。

キック医師はデイヴィス看護師を担当から外し、ヴァージニアを「蛇の穴」から出した。

しかし幸運なことに、この体験がヴァージニアに洞察と自己認識を与えた。

ヴァージニアの状況は、むしろさらに改善した。

ヴァージニアの顔つきは正常になり、他の患者のことも客観的に見れるようになり、他の患者の行動を理解した。

◆ 退院

ヴァージニアは訪ねて来たロバートを自分の夫と認識した。キック医師になんとなく抱いていた好意は解消された。

退院面談が再び開かれた。ヴァージニアはしっかりした顔つきで応答し、面談をクリアした。

退院することになった。患者たちは、それぞれが自分の病気の度合いに応じてではあるが、ヴァージニアの退院を祝福した。

迎えに来たロバートとともに車に乗り込んだ病院を後にした。
 


■ 出演作

オリヴィア・デ・ハヴィランド
(1935)海賊ブラッド/Captain Blood
(1936)進め龍騎兵/The Charge of the Light Brigade
(1937)恋愛合戦/It's Love I'm After
(1938)ロビンフッドの冒険/The Adventures of Robin Hood
(1938)結婚スクラム/Four's a Crowd
(1938)黄金の罠/Gold Is Where You Find It
(1939)無法者の群/Dodge City
(1939)太平洋の翼/海の荒鷲/Wings of the Navy
(1939)女王エリザベス/The Private Lives of Elizabeth and Essex
(1939)風と共に去りぬ/Gone with the Wind
(1940)カンザス騎兵隊/Santa Fe Trail
(1941)いちごブロンド/The Strawberry Blonde
(1941)壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On
(1943)カナリヤ姫/Princess O'Rourke
(1946)遥かなる我が子/To Each His Own
(1946)暗い鏡/The Dark Mirror
(1948)蛇の穴/The Snake Pit
(1949)女相続人/The Heiress
(1952)謎の佳人レイチェル/My Cousin Rachel
(1958)誇り高き反逆者/The Proud Rebel
(1964)不意打ち/Lady in a Cage
ふるえて眠れ/Hush… Hush, Sweet Charlotte(1964)
(1977)エアポート'77/バミューダからの脱出/Airport '77