■ THE OTHER LOVE
ピアニストのカレンは結核になりスイスの療養所に入った。カレンには正確な病状は知らされなかった。
しばらくしてカレンは医師のトニーに反発して町に出かけた。レーサーのポールと親しくなった。しかしポールはカレンの病気を知らない。


製作:1947年、原作:Erich Maria Remarque、監督:Andre DeToth


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 カレン・ダンカン(バーバラ・スタンウィック) ピアニスト、患者
 アントニー・スタントン(デヴィッド・ニーヴン) 医師、通称トニー
 ポール・クレルモン(リチャード・コンテ) レーサー
 セレスティン・ミラー(ジョーン・ローリング) 患者

舞台はスイスにあるヴィエルジュ山療養所。町から離れた場所にある。病棟の他に別棟がある。
 


■ あらすじ

◆ ヴィエルジュ山療養所

カレン・ダンカンは有名なピアニスト。しかし結核になり、サナトリウム(ヴィエルジュ山療養所)に入った。

医師のアントニー・スタントンと面談する。しかしカレンは面談中もタバコをプカプカしている。「気分はいい」と言う。

トニーは「今まで忙しかったでしょうから、ゆっくりしてください」といった後、「あなたのレコードをいっぱい持っています」と付け加えた。

部屋に入った。看護師がいろいろ注意するが、カレンはあまり聞いてない雰囲気。「前にこの部屋にいた人は?」「昨日出ていきました」「よくなったのね」「そう思います」。看護師の返答が少しあいまいなのが気にかかる。

カレンはタバコを禁止された。また「一か月は町に行ってはいけない」と言われた。

◆ セレスティン・ミラー

隣の部屋から女性が入ってきた。セレスティン・ミラー。セレスティンは「先生が言うことにまじめに従う必要はないわ」という。

セレスティンはニコニコしながら続けた。「私は病気の振りをしているの。浮気夫に罪悪感を植え付けるために」。

「トニーは素敵?」「そうね」「最初だけよ」。セレスティンはタバコをプカプカ吸っている。

トニーと一緒に病棟を出る。別棟がある。中にピアノがあった。ピアノを弾こうとすると「休養が必要」と止められる。

トニーと馬車で出かけた。他人から見るとデートの雰囲気である。それをセレスティンが見ている。

戻ったらセレスティンが話しかけてきた。「恋に落ちたの?恋も病気のうちよ」とわりと意味不明のことを言う。そして「彼(トニー)が優しいのは仕事だから」。

しかしなんだかんだ言ってもカレンは次第に元気になってきた。

◆ ポール・クレルモンと会う

かなり元気になった。一人で馬車に乗って町に出かけた。

車が走ってきた。二人が乗っている。接触しそうになって車が止まった。車は動かなくなったようで、カレンは一人を乗せて町まで行く。もう一人は車で待つらしい。

男性はポール・クレルモンと言ってレーサーらしい。ポールは「馬車が速すぎる」と言う。「レーサーなのに?」「今は急ぎたくない」。

町に到着した。ポールはカレンを誘うが断る。わりとしつこく誘うがやはりカレンは断った。

偶然そこでセレスティンに会った。ポールの話をすると乗り気になって「私なら行くわ」。

カレンとセレスティンはカレンが乗ってきた馬車で帰った。セレスティンはポールのことが気になっている。カレンは「トニーが好き」みたいなことを言う。

セレスティンはもうすぐ退所するらしい。

◆ カレンは秘密裏にでかける

カレンを知っているリナカー教授が訪ねてきた。トニーと話す。二人はカレンの病状が深刻なことを話している。しかし「病状の告知はしてない」。

ここでカレンが入ってきた。ニコニコ。「私はもう元気なのに、トニーが自由にさせてくれない」。リナカー教授は帰った。

カレンはポールの話をした。「男性に誘われた」と暗黙に言って「私は病人じゃないと気が付いた」。

しかしポールは「しばらく外出は禁止」「どうして」「勘違いするな、医師の判断だ」。カレンは怒った。部屋に戻って渡された薬を捨てた。

その後トニーは出かけて今日は戻らない。

カレンは町に出かけた。セレスティンが踊っている。カレンも来た。セレスティンは秘密裏にコビーしていた療養所の入り口のカギをカレンに譲った。

セレスティンによるとポールはゴール直前で車が故障して負けたらしい。ポールが来た。ポールは急遽予定をキャンセルしてカレンを誘った。

療養所ではトニーはカレンがいないのに気が付く。

ポールはカレンにパリ、ローマ、ロンドンなど、どこに行こうかという話をする。「冗談よね」「真剣だ」。

「スピードが重要、振り返る必要はない」「荷物を用意してない」「必要ない」と説得されて、カレンはいったん療養所に戻る。セレスティンから貰ったカギで忍び込んだ。

誰かが担架で運ばれていく。セレスティンの部屋に行くと看護師がいた。「セレスティンは?」「退所しました。数時間前」。先ほどセレスティンの元気な姿は見ている。

別棟に行った。トニーがいた。セレスティンのことを聞く。「セレスティンは?治ったんでしょ?」「できる限りのことはした」。

そして自分のことを聞いた。「私は深刻なの?」「きっと治る」「なぜ教授が来たの?」トニーは否定するが、けっきょく自分の病状が深刻なことを認識する。

さらに「休んでばかりの生活はこりごり」「君は大切な人間だ」「どういう意味?」「愛してる」「信じないわ、その手には乗らない」と展開してカレンは走り出た。

◆ モンテ・カルロ

店に戻るとポールが待っていた。カレンは禁止されていた酒も飲みタバコも吸った。

二人は車で出かけた。初めてカレンは「カレン・ダンカン」と自己紹介。ポールは「ピアニストの?」と確認した。

カレンは目を覚ました。ホテル・モナコ。

二人はいろいろ遊んだ。モーターボート、レストラン、ダンス、賭博場。

ポールがキスをした。しかしカレンは途中でやめた。咳が止まらない。急いで自分の部屋に戻った。メイドが心配する。

部屋にトニーがいた。「私は自由よ。もう療養所には戻らない」「ダメだ」「来てほしくなかった。出て行って」。

トニーはポールと会った。険悪な雰囲気。「彼女ば病気、病状は深刻」「そんなことは言わなかった」「彼女の命にかかわる」。ポールが応じないので「気候がよいところに連れていけ」と言って立ち去った。

トニーとカレンは船に乗った。エジプト行。「ポール・スタントンに会った」。カレンは黙っている。「(病気なのは)本当なんだな」。カレンは咳をする。ポールは船室を出て行った。

カレンも船室を出た。外は雨が降っている。カレンはタクシーを探した。

◆ 療養所

カレンはベッドに寝かされている。トニーや看護師が「容態はどうなるか、分からない」と話している。

ポールが訪ねてきた。「会わせてくれ」「できない。病状は深刻」「彼女の口から理由を聞きたい」。押し問答の後ポールは立ち去った。

数日が経った。雪が降っている。

カレンの部屋にトニーが来た。「結婚しよう」「あなたを残して死ぬかも」「私が付いていれば大丈夫」「いいわ」。
 


■ 補足

バーバラ・スタンウィック
(1933)女囚の意気地/Ladies They Talk About
(1937)ステラ・ダラス/Stella Dallas
(1939)大平原/Union Pacific
(1941)群衆/Meet John Doe
(1941)レディ・イヴ/The Lady Eve
(1944)深夜の告白/Double Indemnity
(1945)クリスマス・イン・コネチカット/CHRISTMAS IN CONNECTICUT
(1946/呪いの血/マーサの奇妙な愛情/The strange love of Marth Ivers
(1947)いのち短し/The Other Love
(1948)私は殺される/SORRY, WRONG NUMBER
(1947)恐怖の叫び/Cry Wolf
(1957)四十挺の拳銃/Forty Guns

◆ デヴィッド・ニーヴン
「ゼンダ城の虜/The Prisoner of Zenda(1937)」
「嵐が丘/Wuthering Heights(1939)」
「月蒼くして/The Moon Is Blue(1953)」

◆ リチャード・コンテ
「記憶の代償 Somewhere in the Night (1946)」
「深夜復讐便 Thieves' Highway (1949)」
「コルドラへの道 They Came to Cordura (1959)」
「セメントの女 Lady in Cement (1968)」
「出獄/CALL NORTHSIDE 777(1948)」