■ CHRISTMAS IN CONNECTICUT
エリザベスはコネチカットに家族と住んでいる料理研究家。じつは嘘。ニューヨークに住んでいる独身。料理もできない。
雑誌の読者参加企画があり、しかたなく以前からプロポーズされている建築家と結婚することになる。建築家の別荘に出かける。
企画に参加する帰還兵が到着する。出版社の社長も来る。結婚式をしようとするが、何かとトラブルがあり、結婚式ができない。
もたもたしているうちに帰還兵を好きになる。


製作:1941年、脚本:ライオネル・ハウザー、アデール・コマンディニ、監督:ピーター・ゴッドフリー  


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 エリザベス・レーン(バーバラ・スタンウィック) 料理研究家
 ジェファーソン・ジョーンズ(デニス・モーガン) 帰還兵
 アレキサンダー・ヤードリー(シドニー・グリーンストリート) 出版社の社長
 ジョン・スローン(レジナルド・ガーディナー) 建築家、エリザベスにプロポーズ中
 フェリックス・バセンナック(S・Z・サカール) エリザベスの叔父、シェフ
 ダドリー・ビーチャム(ロバート・シャイアン) ヤードリーの部下、編集長
 モラ(ウナ・オコーナー) ジョンの別荘のメイド
 シンク(フランク・ジェンクス) ジェフの同僚の帰還兵
 メアリー・リー(ジョイス・コンプトン) 看護師
 クローザーズ(ディック・エリオット) 判事
 


■ あらすじ

◆ エリザベス・レーンの正体

エリザベスは有名な料理研究家。夫や子供とともにコネチカットの農場に住んで、スマートハウスキーピング誌に料理の記事を執筆している。料理だけではなく、彼女個人の生活を見せることによって、全国の女性の見本となっている。

同誌は、エリザベスの記事に応じた広告を掲載することで大きな利益を挙げている。

しかしエリザベスは、コネチカットではなくニューヨークのアパートに住んでいる。子供がいないばかりか、そもそも結婚していない。

いやいや。それ以前に料理がまったくできない。レシピはシェフをしている叔父のフェリックスから拝借している。

編集長のダドリー・ビーチャムは、この事情を知っているが。社長のアレキサンダー・ヤードリーは知らない。ヤードリーは、これからもエリザベスを利用していろいろと企画を発展させていこうと考えている。

◆ ジェファーソン・ジョーンズ

ジェフが乗船していた駆逐艦は、潜水艦からの魚雷で撃沈された。

ジェフとシンクはゴムボートで海を15日間漂流した後に救助されて病院に入院した。

体力が回復してくると看護師と話すようになった。ジェフはメアリー・リーという看護師と親しくなった。

メアリーもジェフに気があるようである。いやジェフと付き合い・結婚したいと思っている。ジェフには、特別の料理を作って持っていった。

しかしもう少しすればジェフは退院。メアリーは同僚の看護師から「家庭の暖かさを知れば、彼の気持ちが動く」とヒントを貰った。

メアリーはジェフには「帰る家があるって素敵よ」と持ちかけ、さらにヤードリーに「エリザベスの家でジェフと一緒に過ごしたい」と手紙を書いた。

◆ エリザベスは結婚することにした

手紙を受け取ったヤードリーは、これは素晴らしい企画であると考えて、メアリーに返事を出すとともに、この企画を実現するようにダドリーに命令した。

さて、ダドリーとエリザベスは困ってしまった。

この話を聞いたジョン・スローンは、この機会を利用する。ジョンは、以前よりエリザベスに何度も申しこんでいるが、いつも笑顔で断られている。

都合がいいことに、ジョンはコネチカットに別荘を持っている。ジョンは以前にもまして力を入れて、エリザベスに言い寄った。

エリザベスは、ジョンのプロポーズを受け入れることにした。さほど悪い選択ではないし、またヤードリーに嘘がばれなくて済む。またエリザベスは高価なミンクのコートを買って、その支払いが済んでいないという事情もあった。

料理ができないことについては、フェリックスも一緒に行ってもらうことにした。

後は「子供がいない」という問題点が未解決。

◆ 別荘に到着した

さてエリザベス、ジョン、フェリックスの一行はジョンの別荘に到着した。雪深い田舎、太い柱の木造の屋敷、馬に引かれたソリ。スマートハウスキーピング誌にはびったりの雰囲気である。

メイドのモラが迎えた。モラとフェリックスが料理の件で小競り合い状態となるが、それは些細なことである。

朝になると、近所の主婦が女の子の赤ん坊を預けに来た。働いている間はモラが預かって世話をしている。これで子供の件も解決した。

クロザース判事が来た。エリザベスとジョンの結婚式をするためである。証人はフェリックスとモラ。

◆ ジェフが到着した

さてクロザースが厳かに宣誓の言葉を発しようとした時、玄関のドアが開いた。

ジェフ。まだ予定の時刻よりは早い。楽しみにしているようである。ということで結婚式は中止。

ジェフはロッキングチェアを贈り物に持ってきた。昔エリザベスが「ロッキングチェアが欲しい」と記事に書いて、他の読者からもいくつも贈られている。

ここで赤ん坊が泣きだした。ジェフとエリザベスが行く。ジェフが「お風呂の時間。記事に書いてあったでしょ」と言う。エリザベスは「今日は寒いから止める」といい加減なことを言うが、結局二人で風呂に入れる。

エリザベスはもたもたしているが、ジェフは手慣れているようである。ここで二人はわりと和気あいあいの雰囲気。

しかし結婚式はお預け。

◆ ヤードリーが到着した

また玄関のドアが開いた。ヤードリー。やたらと上機嫌。

クロザースは帰ろうとする。しかしヤードリーに見つかるとエリザベスが結婚してないことがばれるかもしれないので、窓からそっと帰らせる。

フェリックスが料理をしようとすると、ヤードリーは「エリザベスはやらないのか?」と言うので、エリザベスはとっさに「彼には私の味を教えてある」と逃げた。

ヤードリーは「細かい味まで伝えられるのか?」と疑問を呈するが、とりあえず切り抜け成功。

◆ もう一人子供を

ジェフがピアノを弾いて歌を歌う。そばでエリザベスが聞いている。いい雰囲気。

ジョンとヤードリーが話している。ジョンは自分の専門の建築のことについて得意になって喋っている。

一方ヤードリーは雑誌のことを考えている。ライヴァル誌も同じようなことをしており、エリザベスに対応するキャラクタに子供が生まれるそうである。ライヴァル誌は、このことを打ち出してくるに違いない。

ヤードリーはエリザベスに「もう一人子供を」と要求する。エリザベスは顔をひきつらせながら「すぐには無理よ」と答える。「ぜひ取り組んでくれ」。

◆ もう一度結婚式

電話が鳴った。ジョンが出るとクロザース。エリザベスに「判事が15分後」と囁いた。

ジョンは、みんなに二階に上がるように言った。なぜかと言えば、クロザースが来て結婚式をする。その場にヤードリーなどがいたらまずいので。

その後、ジョンとエリザベスはこっそりと下りてきた。クロザースが訪ねてきた。

「急いで結婚式を済ませよう」と言っていると、ヤードリーが下りてきて、またしても結婚式ができない。

◆ エリザベスは悩む

そうこうしていると外にいる牛が窓から顔を差し入れて、また引っ込めた。雑誌の設定では、エリザベスの家では牛を飼っていることになっている。

牛を小屋に入れるために、ジェフとエリザベスは外に出た。

牛を探そうとする。しかし二人は柵に寄りかかって話す。ジェフ:「好きな人がいる」エリザベス:「誰?」ジェフ:「結婚してる人」。

ここまで来てエリザベスは感づく。エリザベス:「農場に住んでいる?」ジェフ:「そう」エリザベス:「私を誘惑してるの?」とかなりきわどい話になる。さらにジェフ:「既婚者には見えない」エリザベス:「人妻とキスをしたことは?」。

ここで多くの映画では二人がキスするところだが、そこまでは行かない。

二人は牛を見つけて小屋に入れて戻ってくる。屋根から雪が落ちてきて二人は雪まみれ。

家に入ってジェフは二階へ。そしてジョンが下りて来る。

ジョンが一緒に部屋に誘おうとする。エリザベスが「結婚式がまだ。一緒に寝るのはダメ」と拒否するとジョンは怒って二階へ行く。

エリザベスはジェフから贈られたロッキングチェアに座り、ゆらゆら揺すりながら、悩んでいる、悩んでいる、悩んでいる。

◆ フライパン技を練習する

朝になって、フェリックスとエリザベスが話す。エリザベスはジェフのことを「あんな人は初めて」と言っている。ジェフのことである。

エリザベスはフェリックスの前でフライパンを手に持って、中身を上に放り上げて、フライパンで受ける練習をする。雑誌ではエリザベスの得意技と言うことになっている。

しかしやってみると、ぜんぜん違うところに落ちたり、天井にぶつかったりする。

◆ 再々度、結婚式

さて赤ん坊を抱えた女性が来た。今度は別の女性。この女性も仕事の間にノラに赤ん坊を預かってもらっている。

しかし今度は男の子である。ヤードリーにばれないようにする。

そしてまたクロザースが来る。結婚式を執り行うため。二人はクローザースの前に立つ。

結婚式を行おうとするがヤードリーが登場。万事休すかと思われたが、エリザベスは「クリスマスには、毎年結婚式をするの」ととっさに思いついたにしては素晴らしい返答をする。

ヤードリーは「それはすばらしい」と、雑誌の企画が増えると喜んだ。

◆ 時計を飲み込んだっ!

ここで、証人をフェリックスに頼みに行くが、フェリックスが大騒ぎ。「赤ん坊が時計を飲み込んだっ!」。

大慌てで赤ん坊の背中をさする。ここでヤードリーは「前の子と違う」と言うが、エリザベスは「大変なことが起きたんだから、当たり前でしょ」と言い返す。

さてフェリックスは、他の人がいないところで、ポケットから時計を取り出す。飲み込み事件は偽装。エリザベスはフェリックスに抱き着いた。エリザベスがジェフを好きだと知っているフェリックスが結婚式を阻止するためにやったもの。

これで判事はまた帰った。

◆ フライパン技成功

ジョンは「もう(ヤードリーに)ばらす」と怒っている。ヤードリーはまだ事情は掴んでいないものの、トラブルに怒っている。

しかしヤードリーは突如として話を変える。経営者の嗅覚である。「建築家をティームに入れて、家を建てようという企画をエリザベスとタイアップする」。

ジョンは急にニコニコして話を合わせた。エリザベスはとりあえず危機が去ったということで、胸をなでおろした。

みんなで朝食をいただく。「エリザベスにフライパン技を見せてくれ」とヤードリーが要求。

エリザベスは、もう覚悟を決めて、目を閉じてフライパンを上に振った。中身は見事にフライパンに落ちてきた。

◆ ダンスパーティ

土地のクリスマス委員会の人が訪ねてきた。「公会堂でクリスマスダンスパーティを開く」。

みんなで出かけた。

ジョンとヤードリーは、新しい雑誌の企画のことを話している。

エリザベスとジェフは踊っている。楽しそう。しかしヤードリーは、二人が親しそうなので、疑問に思ってチラチラと見ている。

二人は建物の外に出て歩いていく。ヤードリーが窓から見ている。

二人は止まっているソリの座席に乗った。二人が乗るとソリにつながれている馬が勝手に歩き出した。

ソリは動いていく。ジェフは「もう引き返そう」と言うが、エリザベス「ダメよ」と拒否。

しかしソリの持ち主が車で追いかけてきて、二人は警察に捕まってしまった。

◆ 誘拐事件が発生

エリザベスとジェフを除いてジョンの家に戻ってきた。ノラは自分の家に帰った。

そして赤ん坊を預けていた女性が入ってきて、赤ん坊を連れて帰った。

これを見てヤードリーが誘拐と勘違いして警察に連絡した。

朝になり、エリザベスとジェフが戻ってきた。エリザベスが有名人と判明して釈放され、車で送られてきた。

エリザベスは、フライパンを叩いてみんなを起こした。

「どこにいた?」「拘置所」と問答があった後、ヤードリーは「フードを被った女性が赤ん坊を誘拐した」。

◆ 「私は結婚なんかしてないわ」

ここでエリザベスは、覚悟を決めてすべてを話した。赤ん坊は他人の赤ん坊。農場には住んだことはない。結婚もしていない。ついでながら料理もできないことも喋った。

ヤードリーは警察に「誘拐事件は誤解」と電話した後、エリザベスを問い詰めた。「アイツ(ジェフ)が好きなのかっ?」「そうよ」「君は首だっ!」。

◆ ハッピーエンドになつた

ここでメアリー・リーが訪ねてきた。

メアリーはジェフに申し訳なさそうに「シンクと結婚した、悲しませてごめんなさい」と謝った。

ヤードリーは依然としてカンカン状態。

フェリックスが紙を手に持ってヤードリーの前に来た。「エリザベスに他社から依頼が来ている」。本当を言えば、この紙はレシピの紙で、出版社からの手紙ではない。

ヤードリーはとたんに態度を変えて「エリザベスの報酬を二倍にするっ!」。

エリザベスは、フェリックスの陰謀に気がついて、わざと「首になったはずよ。言いなりになって、つまらない記事を書くのはいや」とヤードリーを牽制。怒ったふりをしてヤードリーを二階に追い出した。でもヤードリーは報酬二倍でエリザベスと継続するはず。

フェリックスはジェフに「料理はできないぞ」と言う。ジェフは「それでも構わない」と言って、エリザベスの腕を取って別の部屋に入り、キスをした。
 


■ 蛇足

バーバラ・スタンウィック
(1933)女囚の意気地/Ladies They Talk About
(1937)ステラ・ダラス/Stella Dallas
(1939)大平原/Union Pacific
(1941)群衆/Meet John Doe
(1941)レディ・イヴ/The Lady Eve
(1944)深夜の告白/Double Indemnity
(1945)クリスマス・イン・コネチカット/CHRISTMAS IN CONNECTICUT
(1946/呪いの血/マーサの奇妙な愛情/The strange love of Marth Ivers
(1947)いのち短し/The Other Love
(1948)私は殺される/SORRY, WRONG NUMBER
(1947)恐怖の叫び/Cry Wolf
(1957)四十挺の拳銃/Forty Guns

◆ シドニー・グリーンストリート
「壮烈第七騎兵隊/They Died with their Boots on(1942)」(エロール・フリン、オリヴィア・デ・ハヴィランド、アーサー・ケネディ、チャーリー・グレープウィン、ジーン・ロックハート、アンソニー・クイン)

◆ S・Z・サカール
「愛をもう一度/Never say good bye(1946)」(エロール・フリン、エリノア・パーカー、ルシル・ワトソン、S・Z・サカール、フォレスト・タッカー)

◆ ウナ・オコーナー
「ロビン・フッドの冒険/The Adventures of Robin Hood(1938)」(エロール・フリン、オリヴィア・デ・ハヴィランド、クロード・レインズ、ベイジル・ラスボーン)