ジョー・スターレットは開拓農家。付近にも同じような開拓農家がある。しかし以前よりいる牧場主ライカーから、度重なる脅迫を受けている。諦めて出ていく農家もいる。
ジョーの家をたまたま訪れたシェーンとライカー一家がトラブったこともあり、さらに事態は悪化し、ライカーはウィルソンという殺し屋を雇った。
仲間のトーリーが殺される事態になって、ジョーは覚悟を決めて対決しようとする。しかしシェーンがジョーを抑えて、ライカー/ウィルソンと対決に出かけた。
製作年:1953、監督:ジョージ・スティーヴンス、脚本:A・B・ガスリー・Jr.、原作:ジャック・シェーファー
■ はじめに
◆ 登場人物
シェーン(アラン・ラッド)
ジョー・スターレット(ヴァン・ヘフリン) 開拓農家
マリアン・スターレット(ジーン・アーサー) ジョーの妻
ジョーイ・スターレット(ブランドン・デ・ワイルド) ジョーとマリアンの息子
フランク・トーリー(エリシャ・クック・Jr) 開拓農家
リズ・トーリー(エレン・コービー) フランクの妻
フレッド・ルイス(エドガー・ブキャナン) 開拓農家
アクセル・シップステッド(ダグラス・スペンサー) 開拓農家
ヤンク・ポッソ(?) 開拓農家
アーニー・ライト(?) 開拓農家
エド・ハウエルズ(?) 開拓農家
サム・グラフトン(ポール・マクヴィ) 商店主
ルーフ・ライカー(エミール・メイヤー) 牧場主
モーガン・ライカー(ジョン・ディークス) ライカーの息子
?・ライカー(?) ライカーの息子
クリス・キャロウェイ(ベン・ジョンソン) ライカーの手下
ジャック・ウィルスン(ジャック・パランス) 殺し屋
■ あらすじ
◆ シェーンが現れる
ジョー・スターレットと妻のマリアン、息子のジョーイはワイオミング州の田舎で農家をしている。近くには数軒の農家がある。
ここには以前より牧畜をしているライカーという一家があり、農家と対立している。ライカーが言うには、先に自分が切り開いて牧畜をやっていたのに農家が進出してきた。
そこでライカー一家は何かと農家に嫌がらせをしている。
これらの他は何もない平原である。馬でしばらく行くと町がある。町と言ってもサム・グラフトンが経営する店と数軒の家があるだけのものである。
ジョーが仕事をしていると、馬が近づいてきた。そもそもこの辺りでは人影が珍しい。
近づいてきて話すと「私有地とは知らずに通ってしまった」と言う。名前はシェーン。
そこにライカー一家が馬に乗ってきた。例によって因縁をつけた。「土地を返してもらう」。
ライカー一家が帰った後で、マリアンがジョーに「夕食を食べてもらえば?」と提案。
シェーンは食事をして一晩泊った。そしてしばらくの間、ジョーの家の仕事をすることになった。
◆ サム・グラフトンの店
翌日。農家の一人が訪ねてきた。「俺は出ていく。ライカーに小麦がやられた」。小麦畑に牛が侵入して荒らされたらしい。
ジョーは引き留めて、みんなで集まって話すことにした。
シェーンは、ジョーが以前に注文しておいた針金を町まで引き取りに行くことになる。ついでに自分の作業用スボンを買うつもり。
サム・グラフトンの店は、品物を販売する店があって、同じ建物の中に酒場がある。
シェーンは針金を受け取って自分のスボンを買った。そして酒場に入った。
ライカー一家がたむろしている。昨日目撃しているので、シェーンのことは知っている。
シェーンがソーダ水を注文したので、彼らはバカにする。シェーンは相手を睨みつけるが冷静対応して店を出た。後ろから「もう来るな」との罵声。
◆ スターレット家に集まって会合
農家がスターレット家に集まって話し合った。シェーンも紹介された。
話題は「ライカー一家にどのように対抗するか?」ということである。
今までのライカーの嫌がらせに皆は気力が切れそうになっている。ジョーが「アーニーを除いてみんな頑張るということだな」と討論内容をまとめた。
次の土曜日にみんなで買い物に行くことになった。
◆ ライカーと殴り合い
土曜日、皆は馬車に乗って出かけた。グラフトンの店の外にはライカー一家がたむろしている。
必要な買い物を買う。それなりに楽しそう。しかし酒屋部分には入らない。
シェーンが酒場に入ると、さっそく「二度と来るなと言っただろ。ブタ野郎」と罵声。
とりあえずシェーンは無視して、今度は酒を注文した。
カウンタで飲んでいると一人が近づいてきた。シェーンは「この前の礼をする」とグラスの酒をかけた。
殴り合いになった。酒場の中ではライカーたちが見ている。農家の連中は酒場の外からにハラハラしながら見ている。
シェーンが殴り倒して勝った。
経過を見ていたライカーが声をかけた。「俺と組まないか?スターレットの倍の金額を出す」と提案。シェーンが断ると「このままで済むと思うなよ」とすごんだ。
すると数人が迫ってきた。今度は数人を相手に殴り合い、さすがのシェーンも負けそうになる。
外から見ていたジョーが入ってきてシェーンに味方した。それでも相手の方が多いが、二人は殴り勝った。
ジョーは「店の被害は弁償する」と言って出てきた。ライカーは「今日から戦争だ」と言い放った。
帰ってマリアンは二人を手当てした。ジョーイは得意顔。ジョーは「これでライカーも手を出せない」。
◆ 祭り
さらにライカー一味の嫌がらせが続いた。トーリーのところに誰かが来て「ブタが殺された」と話している。「もうでていく」「元気でな」。
ジョーイはシェーンに「なぜ銃をつけてないの?」と聞く。シェーンは「銃を使うほどの悪人はいない」と答えた。ジョーイのリクエストでシェーンは拳銃の腕前を披露した。マリアンがそれを見ている。
独立記念日がきた。町で祭りを開く。またみんなで出かけた。
グラフトンの店の近くの空き地でイヴェントをやって楽しんでいる。
ところで本日はジョーとマリアンの結婚記念日でもある。ジョーがあいさつした。
一方、グラフトンの店の中ではライカーたちがたむろしている。それともう一人見かけない男がいる。わりと不気味な感じ。実はライカーが雇った殺し屋のウィルソン。
トーリーが店に入ってまた出て行った。「あいつはすぐに(拳銃を)抜く。やっぱりスターレットだ」という話しをしている。
◆ トーリーが殺される
ライカーとウイルソンが話している。ライカー「いざとなったらスターレットをやるしかない」。ウイルソン「見せしめに一人殺すか?」ライカー「グラフトンの手前、法は犯せない」。
雨の日。トーリーともう一人が店に来た。
トーリーが店に近づいていく。店の前にウイルソンが立っている。ウィルソンがいろいろ嫌味を言ってトーリーを怒らせる。
ついにトーリーが拳銃を抜いた。しかしそれよりも早くウィルソンの拳銃が火を吹いた。トーリーは倒れた。トーリーの方が早く拳銃を抜いたので、正当防衛が成立する。
この知らせはすぐにトーリーの妻に伝えられた。また他の家では浮足立っている。
ジョーは皆を「葬式だけは出てくれ」と説得する。
店のそばの空き地で葬式が行われた。皆が歌ってトーリーを弔う。棺が埋められた。
ジョーは「トーリーは勇敢だった。このままでいいのか?」と訴えた。今までは発言をしてこなかったシェーンが珍しくジョーに同意する発言。みんなは真剣に聞いている。
さらにライカーたちの仕業で農家に火がつけられた。みんなは消火活動のために急いで帰る。
◆ ジョーは覚悟を決めた
この事態にいたってジョーは覚悟を決めた。しかしマリアンは反対する。二人は延々と押し問答をする。
マリアンはシェーンに「ジョーを引き留めて」というが、シェーンは「俺は何も言えない」と外に出た。
しかしシェーンも考えている。
ここライカーの弟が来た。ジョーに「兄貴が待っている。話し合おう」という。「トーリーを殺した男とは話さない」。ライカーは立ち去った。
ジョーは出発しようとする。もうマリアンには止められない。
ここでクリス・キャロウェイが訪ねてきた。ライカーの手下である。(ジョーではなく)シェーンを呼び出す。「今行けば嵌められる」。続けて「俺は足を洗う。改心した」と言って去っていった。
シェーンは「今行けば嵌められる」の言葉の意味を理解した。「ウィルソンに殺される」ということだ。
まさにジョーが出て行こうとした。シェーンは止めた。ジョーは「自分が行く」というが、シェーンは「ライカーは倒せてもウィルソンは倒せない」という。
二人は殴り合いをした。
ジョーは殴り倒された。シェーンは馬を解放する。ジョーが後を追えないようにするためである。そして拳銃を取ってマリアンに「隠しておいてくれ」と渡した。
◆ シェーンは決闘に向かった
シェーンはマリアンに握手をして別れた。町に向かって馬を進めた。
落ち着いてゆっくりと馬を進めた。その後をジョーイと犬が走って追いかけた。
町が見えてきた。
◆ 決闘
グラフトンの店。一階にライカーとウイルソンがいる。二階にライカーの子供の兄が隠れている。
ジョーが来るのを待っている。
シェーンがゆっくりとドアを開けて入ってきた。「スターレットが相手だ」「俺が代理だ」。
ウイルソンが立ちあがった。トーリーにやったようにいろいろと嫌味を言ってくる。
シェーンはカウンタに寄りかかって黙って聞いている。
ウィルソンがそっと拳銃に手をかけた。シェーンも正面を向いて拳銃に手をかけた。
勝負は一瞬でついた。ウィルソンが拳銃を抜いた。しかしそれよりも早くシェーンの拳銃が火を吹いた。
ライカーが撃とうとしたので、シェーンはライカーも撃った。
さらに二階からライカーの子供がライフルを撃とうとした。ジョーイが大声を上げた。シェーンは振り向いて引き金を引いた。
みんな一瞬の出来事で驚いている。
シェーンは店の外に出た。ジョーイが「ここにいて」と頼む。シェーンは「人を一度殺したら、元へは戻れない」。そして「もうライカーに襲われることはない」と告げた。
シェーンは馬に乗って立ち去った。ジョーイは「シェーン」と叫んだ。この声がこだました。
■ 補足
本作は西部劇に頻出する「牧畜業者と農場主の戦い」である。簡単に説明すれば、1862年にホームステッド法が施行されて、農家は西部の未使用地を無料で取得することができるようになった。
それで開拓農家が西部に押し寄せた。そこには以前より牧場が存在することがあり、争いになった。
当時の牧畜は放牧であり、自然に生えている草を牛に勝手に食べさせるものであった。複数の牧場の牛が混在することがあるので、牛に焼印をつけて区別した。
その土地を誰もが使用していなければ問題は発生しなかったが、開拓農家が来るようになって問題となった。法的な立場から言えば開拓農家に正当性がある。
本作の中でジョーが次のように言っている。
「広い土地で牛を追う時代はもう終わりだ。場所だけ食って効率が悪い。牛を見ろ。痩せてガリガリだ。食用の牛は柵の中で囲って栄養を取らせるべきだ。放牧の代わりに穀物を育てるんだ」
ジョーの意図は「上記のように牧畜業の業態変換が行われれば、ライカーは我々の農場を奪う必要がなくなる」ということである。ジョーがいうようにしばらくして牧畜業の業態変換がなされた。
■ 出演作
◆ヴァン・ヘフリン
(1940)カンザス騎兵隊/Santa Fe Trail
(1946/呪いの血/マーサの奇妙な愛情/The strange love of Marth Ivers
(1953)シェーン/開拓農家と牧場主+殺し屋の対決/Shane
(1959)コルドラへの道/They Came to Cordura
(1950)暴力行為/Act Of Violence
(1951)不審者/The Prowler
(1942)ギャングとの闘い/Kid Glove Killer
(1953)政府軍と革命軍と金鉱:黄金の大地/Wings of the Hawk
(1942)グランドセントラル駅殺人事件/Grand Central Murder
(1954)七人の脱走兵/The Raid
(1960)五人の札つき娘/ドイツ軍に抵抗するパルティザンの部隊/Five Branded Women
◆ ジーン・アーサー
(1953)シェーン/開拓農家と牧場主+殺し屋の対決/Shane
(1939)コンドル/Only Angels Have Wings
(1935)オペラハット/Mr. Deeds Goes to Town
(1937)街は春風:コメディ/Easy Living
(1936)平原児/The Plainsman
◆ アラン・ラッド
(1942)ガラスの鍵/The Glass Key
(1942)拳銃貸します/This Gun for Hire
(1946)青い戦慄/The Blue Dahlia
(1953)シェーン/開拓農家と牧場主+殺し屋の対決/Shane
(1948)ネブラスカ魂/Whispering Smith
(1958)誇り高き反逆者/The Proud Rebel
(1949)サイゴン密輸空路/Saigon
(1950)烙印/行方不明の牧場主の息子を探す/Branded
(1960)森林大爆破/Guns of the Timberland