■ This Gun for Hire(1942)
殺し屋と歌手が、毒ガスを輸出している企業と対決する。
製作:1942年、脚本:アルバート・モルツ、監督:フランク・タトル 予告編 予告編
■ あらすじのあらすじ
殺し屋のレイヴンはニトロ社の幹部ゲイツから暗殺の依頼を受けた。しかし謝礼に貰った札を使うと「ニトロ社から金を奪った」と手配された。
歌手のエレンは上院議員からゲイツが経営するクラブに潜入するように指示された。ニトロ社が毒ガスを輸出している疑い。
レイヴンとエレンは同じ列車の偶然に隣の席でロスアンジェルスに向かった。しかしゲイツに隣同士であることを目撃された。
エレンはクラブでオーディションを受けたが、レイヴンとの関係を疑われて、捕らえられてゲイツの屋敷に連れ込まれた。
レイヴンは復讐のためにゲイツの屋敷に忍び込み、偶然エレンを助け出す。
レイヴンはエレンを連れてクラブに行くが、ニトロ社の現金が奪われた件を捜査しているエレンの恋人の刑事マイケルに出くわす。
レイヴンはエレンを連れて逃げ出し操車場の中に逃げ込む。二人はニトロ社が共通の敵であることを認識する。
操車場は警官隊に包囲されるが、エレンの協力でレイヴンは包囲網を突破して、ニトロ社に向かう。もう個人的な恨みではなく、ニトロ社の毒ガス輸出の証拠を暴露するためである。
■ はじめに
登場人物
レイヴン(アラン・ラッド) - 殺し屋
エレン(ヴェロニカ・レイク) - 歌手&マジシャン
マイケル・クレイン(ロバート・プレストン) - 刑事、エレンの恋人
ゲイツ(レアード・クリーガー) - ニトロ社の幹部、ナイトクラブ・ネプチューン(ロスアンジェルス)の経営者
バーネット上院議員(?)
ベイカー(?) - ニトロ社の経理社員
きちんと見れば分かるのだが、本作はまず背景を説明しておかないと分かりにくいだろう。
ニトロ社は毒ガスを輸出しようとしている。注、本作は1942年で輸出先は日本だったりする。ベイカーがそれを告発する書類を作成した。ゲイツはベイカーの殺害をレイヴンに依頼した。殺害は成功し、報酬としてレイヴンに10ドル札の束を渡した。
一方「ゲイツが殺されて、ニトロ社の金が奪われた」と警察に届け出た。番号はレイヴンに渡したもの。ベイカーと併せてレイヴンも抹殺しようとするもの。
バーネット上院議員はニトロ社が怪しいことをしていると睨んで、ゲイツが経営するネプチューンにスパイを潜入させて探ろうとする。その役目を仰せつかったのがエレン。
以上だが、エレンのショーが楽しい。歌を歌いながら、また客にわりと気が利いたことを言いながら、マジックを行う。ヴェロニカ・レイクは実際にマジックができたとのこと。
邦題がおかしい。「殺し屋」ともすべき。しかし、こは意図的に間違えているものと推測される。間違えた題をつけて、注目を引こうとする高度な戦術なのだろう。
■ あらすじ
◆ ベイカー暗殺
レイヴンは猫を飼って可愛がっている。しかし実は殺し屋である。新たに依頼が舞い込んだ。依頼主はゲイツでターゲットはベイカー。理由は「ベイカーから恐喝されている」。ベイカーを射殺し、現場で「バーネット上院議員へ」と題した書類を入手した。
ゲイツに会いに行くと報酬として10ドル札の束を渡された。レイヴンは恋人に洋服を買ってやるが、払った10ドル札の番号で警察に追われる身となった。
◆ オーディション
エレンはロスアンジェルスに開店するナイトクラブ・ネプチューンのオーディションを受ける。エレンの演技はみんなを魅了した。合格。ゲイツに「明日ロスで食事を」とゲイツに言われると、一緒にいたサルに聞く。サルの返事はノーだったが「私は従順じゃないの」と言ってオーケーする。しかしこのサルは、これから後は出てこない。
その後、ゲイツに紹介した男と一緒にバーネット上院議員と会った。そして目的を説明される。すなわちゲイツやニトロ社をスパイするという任務である。エレンは引き受けた。このことは恋人にも秘密だそうである。注、このような依頼は事前になされるべき。
エレンは恋人のマイケルと会った。マイケルはロスアンジェルス住まいだが、ニトロ社の現金が奪われた事件で当地に出張してきている。マイケルは「しばらく当地にいるので一緒にいることができる」と言うが、エレンは「私は仕事でロスアンジェルスに」と言う。エレンはマイケルにちょっと不満を言われるが、エレンにとってはマジックは特別なものである。
◆ 電話ボックス
レイヴンが泊まっているホテルにマイケルが訪れた。レイヴンはロビーにある電話ボックスに隠れた。マイケルはレイヴンの部屋へ行く。
ロビーでマイケルと話していた女性が電話しに来るので、拳銃を突きつけ自分は姿勢を低くして、電話をかけるふりをさせる。
レイヴンがいなかったので、マイケルは下りてきて(ロビーの電話は使用中なので)外に電話をかけに行く。レイヴンは外に出る。
◆ ロスアンジェルスへ
エレンは、マイケルに送られてロスアンジェルス行の夜行列車に乗る。一方レイヴンも同じ列車でロスアンジェルスに向かう。目的はゲイツに復讐するため。
エレンの隣の席が空いている。レイヴンが座ってきた。二人の間にちょっとトラブルがあるが省略。この列車にはゲイツも乗っており、二人が席で寝ているところを目撃した。ゲイツは、列車の中からレイヴンの件を警察に電報する。
ロスアンジェルスに到着するが、乗客を一人ずつチェックしている。レイヴンはエレンを脅してカップルに見せかけてすり抜ける。エレンを廃墟に連れ込んで殺そうとするが、工事の作業者に見つかり注意され、エレンは逃げることができる。レイヴンも別に逃げ出す。
◆ ゲイツの屋敷
レイヴンはゲイツの住所を電話番号帳て調べる。ニトロケミカル社では社長がレイヴンのことを警戒している。
一方、エレンはネプチューンに到着。すぐにマイケルに電話をかけてレイヴンのことを話そうとするが、マイケルは出かけている。注、エレンはまだ「手配されているレイヴン」という認識はないはず。しかし駅でのチェックをすり抜けたことを刑事のマイケルに報告するため。
エレンは、今度は釣竿を持って登場し、客の前で「私に釣られたあなたは、逃げられない」と歌う。
その後、ゲイツの屋敷に行く。ゲイツが列車の中のことを尋ねるが、エレンは「隣には老婦人」とウソをつく。エレンは縛られて監禁される。注、この時点ではエレンはゲイツとレイヴンの関係は知らないので、ウソをつく必然性ないと思われる。ゲイツがエレンを監禁したのはレイヴンと一緒にいたので関係を疑ったから。
マイケルがゲイツの屋敷を訪ねてくる。外でレイヴンがうかがっている。マイケルは帰る。注、この時点ではゲイツは捜査の対象ではないので、マイケルがなぜ来たのか?この点は説明されない。私が理屈をつければ、マイケルがエレンを訪ねてきて「エレンがゲイツの屋敷に行った」と聞いたから。
その後、レイヴンはゲイツの手下を捕らえて屋敷に侵入する。目的はゲイツへの復習。しかしゲイツはおらず、縛られているエレンを発見して助ける。
◆ ガス工場
二人でネプチューンにいく。ゲイツとマイケルが階段から降りてきた。エレンは「マイケル」と叫ぶ。レイヴンは拳銃を向けてマイケルの動きを止めて、エレンの腕を引っ張って逃げ出した。マイケルは追いかける。エレンはさほど強硬に脅されている雰囲気はなく、レイヴンについて行く。
エレンは要所にトランプカードを落としていく。マイケルはそれを目印に追いかける。二人はガス工場の塀を乗り越えて中に入る。追いかけてきたマイケルは塀にカードが張り付いているので、二人が中に入ったたことを認識する。
二人は工場の中で潜んでいる。二人は事情を話す。レイヴンはゲイツに嵌められた個人的な恨み。エレンはバーネット上院議員から託された使命。エレン「敵は同じね」とレイヴンに言う。エレンはレイヴンが個人的な動機で動いていることに批判的である。
マイケルは警官隊を動員して包囲する。
◆ 操車場
二人は地下トンネルへの入り口を見つけて入る。中を突き進んでいく。マイケルは地下トンネルに入ったことを察知し、トンネルの出口である操車場に向かう。
二人は操車場にでてきた。たくさんの車両がある広大な場所。二人は車両の陰に隠れて移動し、中の小屋に入った。警官隊はライトを照らして捜索する。
夜が明けてきた。すでに包囲されている。
エレンがレイヴンの帽子を被って飛び出す。走る。警官隊が追いかける。列車の陰に隠れる。捕らえられる。エレンであると分かる。
その隙にレイヴンが脱出する。鉄橋で挟み撃ちにされる。鉄橋から下を走っていた貨物列車に飛び乗った。
◆ ニトロ社
レイヴンはニトロ社に向かう。マイケルもニトロ社に向かう。エレンも一緒。ニトロ社では社長やゲイツが「殺し屋のレイヴンが来る」と戦々恐々。
レイヴンは見学者に交じってニトロ社に侵入し、警備員を殺して警備員に変装した。ゲイツの前に現れて拳銃を突きつけた。社長室に向かう。
マイケルと警官隊が到着した。社長室は頑丈な扉が閉まっている。マイケルは屋上からロープを使って接近する。一方で扉を打ち破ろうとしている。
レイヴンはベイカーが作った書類を見せて自白させたうえで、二人にサインを迫る。二人はサインするが、社長が隙を見てレイヴンを撃ったのでレイヴンは社長を射殺。さらにゲイツを射殺。 これは自分が嵌めらた仕返しと、エレンを殺そうとした仕返しである。
マイケルが窓の外に降りて来た。レイヴンとマイケルが撃ち合いレイヴンが負傷。さらに扉が破られて警官隊が突入。レイヴンと警官隊が撃ち合う。
レイヴンが「俺は(国家の)役に立ったか?」と言うとエレンは頷く。レイヴンの息が絶える。
■ 蛇足
「L.A.コンフィデンシャル」でキム・ベイシンガーがヴェロニカ・レイクに似ている娼婦役を演じた。ヴェロニカは150cmと小柄なもののキム姐さん(171cm)は、確かにヴェロニカに似ている。
アラン・ラッドとヴェロニカ・レイクの共演映画。「ガラスの鍵/The Glass Key(1942)」「青い戦慄(1946)」。
アラン・ラッド。「ネブラスカ魂(1948)」「血ぬられし欲情(1952)」「シェーン(1953)」「赤いベレー(1953)」「サンチャゴ(1955)」「島の女(1957)」「悪人の土地(1958)」。
ヴェロニカ・レイク。「Sullivan's Travels/サリヴァンの旅(1941)」「I Married a Witch/奥様は魔女(1942)」「Ramrod/復讐の二連銃(1947)」。
ロバート・プレストン。「大平原/Union Pacific(1939)」。
レアード・クリーガー。「海の征服者/The Black Swan(1942)」。