■ The Glass Key(1942)


製作:1942年、脚本:ジョナサン・ラティマー、監督:スチュアート・ヘイスラー   予告編   予告編   予告編  


アラン・ラッド&ヴェロニカ・レイク  


■ あらすじのあらすじ

州の上院議員選挙。ラルフ・ヘンリーは再選を目指している。ポール・マドヴィグはラルフを支援している。

ラルフの息子テイラーは、ポールの敵対者ニック・ヴァーナの賭場に出入りしており、ニックに借金がある。ポールの妹のオーパルはテイラーと恋人同士。

ポールはラルフの娘ジャネットが好きだが、ジャネットはポールを極端に嫌っている。

オーパルはポールの相棒エド・ボーモンに金を借りて、テイラーの借金を肩代わりする。

テイラーが突然殺された。検察には「犯人はポール・マドヴィグ」という匿名の手紙が届く。ポールは平然としている。

エドが事件を調べていくとニックの手下に監禁れさて大けがをする。

仲が悪かったはずのポールとジャネットが突然付き合い始める。

匿名の手紙の差出人が判明する。
 


■ はじめに

タイトルの「ガラスの鍵」は「当てにならないもの」という意味。ポール・マドヴィグが選挙戦においてラルフ・ヘンリーを支援する時に「鍵を手に入れることができる」と言うとエド・ボーモンは「それはガラスの鍵にすぎない」と言う。

この映画は選挙戦を舞台にしているが選挙のことは主題ではない。本映画は登場人物の関係を把握していないと分かりにくいだろう。

登場人物
 ラルフ・ヘンリー(モローニ・オルセン) - 再選を目指す上院議員、国ではなく州の上院議員と思われる
 テイラー・ヘンリー(リチャード・デニング) - ラルフの息子
 ジャネット・ヘンリー(ヴェロニカ・レイク) - ラルフの娘。
 ポール・マドヴィグ(ブライアン・ドンレヴィ) - 「ポール・マドヴィグ有権者同盟」を主宰、ラルフ・ヘンリーを支援
 オーパル・マドヴィグ(ボニータ・グランヴィル) - ポールの妹
 エド・ボーモン(アラン・ラッド) - ポールの相棒、本作の主人公
 ニック・ヴァーナ(ジョセフ・カレイア) - ポールの敵対者、賭博場などの店を経営
 クライド・マシューズ(アーサー・ロフト) - 地元オブザーバ紙の社主
 エロイーズ・マシューズ(マーガレット・ヘイズ) - クライドの妻

テイラーとオーパルは恋人同士。テイラーはニック・ヴァーナの賭博場に出入りして借金をしている。ポールはジャネットが好き。

本作は「The Glass Key」だが1935年に「Glass Key」という映画がある。
 


■ あらすじ

◆ パーティ会場

ポールは選挙戦においてラルフを自分の組織を使って支援するつもりである。勝てば利権が見込める。エドは「それは当てにならない」と批判するが、ともかく反対はしない。

ジャネットがポールに近寄ってきて、皆の面前で激しく罵倒する。そして「どきなさい、この悪党!」とまで言う。しかし逆にポールはジャネットが好きなようである。エドには「彼女と結婚する」と言っている。できるのか?ジャネットはラルフに「(ポールのことを)好きになれない」と言うがラルフは「選挙までは愛想よく」と注意。

ニックがポールに抗議しに来る。ニックの店が摘発されたからである。ポールは、その場で電話をかけて「今晩も徹底的にやれ!」と電話。注、ポールに摘発の権限があるのかは怪しいが、そのように発言する。

ラルフ、ポールなどが食事をする。ジャネットもその場にいるが、テイラーに呼び出されて離席する。テイラーもポールを嫌っている。ジャネットはテイラーの賭け事の件を諫める。

この場でエドがラルフやジャネットに紹介される。

◆ テイラーが死亡

オーパルがエドに金を借りに来る。「ポールには秘密」。エドは500ドルを渡す。その金はテイラーに渡りテイラーはニックに電話を入れる。

エドにテイラーとのことを注意されると、オーパルは(金を借りたにもかかわらず)「大っ嫌い!」と言う。ポールにも「あんな遊び人と」と注意されるが「兄さんには関係ない」と拒絶。かなりテイラーにイカレテいる様子。

その後、オーパルは「兄さんが彼を殺すつもりよ」と電話してくるが、エドは落ち着いて「心配するな」と抑える。

エドはポールを訪ねていくが、なんとテイラーが倒れて死亡しているのを発見する。そのままポールの家に入って、知らないふりをして「テイラーは?」と聞く。ポールが特に反応を示さないので「テイラーが死んでいた」と言う。「俺に泣けとでも言うのか?」とまたしてもポールは平然としているので「警察に通報してもいいか?」と聞くが「俺と何の関係が?」と言うので警察に通報する。

◆ ポール・マドヴィグが犯人?

テイラーの葬儀が行われている近くにニックが来て「オブザーバーはポールが犯人と言っている」というような話をしている。ジャネットが聞いてオーパルに知らせようとするがエドが止める。

また検察に「犯人はポール・マドヴィグ」と言うタイプライターで作成された手紙が届き、オブザーバーは「ポール・マドヴィグが聴取された」と記事にした。

このような事態にも拘わらずポールは平然としている。ジャネットはエドに「犯人探しに協力して」と依頼してくる。この時にジャネットはエドを好きなそぶりを見せるがエドは無視。

◆ リンチ事件

エドはポールを裏切ったふりをしてニックに接触する。エドは「ニューヨークに行く」と言うが、ニックはいろいろ条件を出してエドを取り込もうとする。自分の店を任せるとか、一万ドルとか。

エドは納得して振りをして一万ドルを受け取る。ニックは別室にいるクライドに会わせようとしたが、エドは一万ドルを叩き返す。

エドはニックに手下に捕らえられてリンチされる。この場面は結構凄惨。そしてある部屋に閉じ込められる。

部屋にはカギがかかっているので、エドはマットレスに放火して、手下が消火に駆け付けた隙に部屋を逃げ出して、窓を叩き破って二階から下に落ちて脱出する。

病院に入院するが回復してくると、看護師と楽しい話をしていたりして、わりと笑える。オーパルが訪ねてくる。ポールが犯人と報道されていることを心配しているが、ポールを弁護してオーパルを安心させる。

ポールとジャネットが一緒に訪ねてくる。いつの間にかジャネットはポールから贈られた指輪をしている。ポールが出て行ったあとジャネットは「嫌いになった?」。エドは「君の兄貴は殺されて当然」と言う。

ジャネットが出ていった後に看護師は「今にも泣きそうな顔だった」と報告。エドは看護師に「クライド・マシューズの別荘の住所を調べて」と依頼する。

エドは、すぐに着替えて病院を出ていく。

◆ マシューズの別荘

エドが訪ねていくとマシューズ夫妻の他にニック、オーパルもいた。ニックはともかくオーパルがなぜいるのか?敢えて言えば、兄であっても自分の恋人を殺したのが憎いということ。

彼らは「ポールが犯人」ということで謀議をしていたらしい。オブサーバーは「ポール犯人説」で全面展開するつもり。

エドは「その後でニックは新聞紙を倒産させる」と言う。ニックは否定せずにニヤニヤしている。「新聞社の抵当権はニック・ヴァーナにある」という文言がでてくるので、オブザーバー紙はニックに借金していたということになる。

そしてニック、マシューズ、オーパルは二階に上がり、別々の部屋に入る。なぜかエロイーズは二階に行かずにエドとキスしたりする。注、エドとエロイーズは初対面。

しかし二階から拳銃の音。みんなが駆け付けるとクライドが自殺している。全員がクライドの部屋に駆け付ける。エドはここでクライドの遺書を分からないように懐にしまう。一階におりて「ニック・ヴァーナを遺言執行人とする」という文面を確認して遺言書を破棄する。注、このくらいのことで自殺?

◆ ラスト

エドはポールに「判事に電話して管財人にしてもらい、記事を差し押さえろ」と言う。しかしポールは行動しない。

オブザーバーに記事が掲載され、ポールは逮捕される。

ヘンリー家(?)で、タイプライターをチェックしたエドは「犯人はマドヴィグ」の手紙を出したのはジャネットであることを掴む。ちょうど現れたジャネットは「嫌いなポールに無理にキスされて、それを怒ったテイラーが抗議をして、ポールに殺された」と「証言」する。注、この時点ではポールからの指輪をしている。

エドは手紙の件を追及する。ジャネットは色仕掛けでエドを懐柔しようとするがエドは拒否。

このあたりはポールの話もでてきて、本当はもう少し複雑だが省略。

エドは検事に対してジャネットを逮捕するように要求する。しかしここでラルフが「自分が犯人」と名乗りでる。「テイラーに賭博のことを注意したところ口論になり、殴ったら倒れて頭を打って死んだ」。

ポールは真犯人を知っていてラルフを庇ったのだが、ジャネットが真相を知ったうえで手紙を書いたのかは明らかにされない。ポールが嫌いで手紙を書くにしても、父親を庇うにしても「そこまでやるのかっ?」と思える。

ともあれ事件は解決してエドはニューヨークに旅立つ。ここでジャネットが「私も連れて行って」と言う。「あなたが私を好きなのは分かってるのよ」と自信たっぷり。ポールから貰っていた指輪は返還する。二人は出発する。

これだけ問題になっているのに、ラルフの態度が卑怯ですな。エドが最後にジャネットを逮捕するように要求するのは、真犯人(ラルフ)を知っていたが、ラルフの自白を促すためと思われる。オーパルをポールの娘としている解説もあるが妹が正しい。しかし年齢(オーパルは18歳)が離れているようである。
 


■ 蛇足

モローニ・オルセン。「サムソンとデリラ(1950)」「汚名/Notorious(1946)」。

リチャード・デニング。「めぐり逢い An Affair to Remember (1957)」。

ヴェロニカ・レイク。「青い戦慄/The Blue Dahlia(1946)」「サイゴン密輸空路/Saigon(1947)」「サリヴァンの旅 Sullivan's Travels(1941)」「奥様は魔女 I Married A Witch(1942)」「拳銃貸します This Gun for Hire(1942)」「初恋時代 Miss Susie Slagle's(1945)」「復讐の二連銃 Ramrod (1947)」。

ブライアン・ドンレヴィ。「大平原 Union Pacific (1939)」「死の接吻 Kiss of Death (1947)」「狂った殺人計画(1949)」。

ボニータ・グランヴィル。「情熱の航路/Now, Voyager(1942)」。

アラン・ラッド。「市民ケーン/Citizen Kane(1941)」「ネブラスカ魂/Whispering Smith(1948)」「血ぬられし欲情/The Iron Mistress(1952)」「シェーン/Shane(1953)」「赤いベレー/The Red Beret(1953)」「サンチャゴ/Santiago(1956)」「島の女/Boy on a Dolphin(1957)」「悪人の土地/The Badlanders(1958)」

ジョセフ・カレイア。「ギルダ/Gilda(1946)」「誰が為に鐘は鳴る/For Whom the Bell Tolls(1943)」。