■ The Maverick Queen
ジェフ・ヤングはロック・スプリングスに来た。酒場の経営者キット・バニオン、実は悪党のボスに会って「ジェフ・ヤンガー」と悪党の名前を名乗ったので、仲間に誘われた。
ジェフは列車強盗をしたが、ジェフとキットが親しくしていると、仲間のサンダンスが妬んだ。
キットが奪った金を運んでいる時に、サンダンスがキットを襲撃した。


製作年:1956、監督:Joseph Kane、脚本:Kenneth Gamet、DeVallon Scott、原作:Maverick Queen(Zane Grey)


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)
 ジェフ・ヤング(バリー・サリヴァン) 偽ジェフ・ヤンガー

 キット・バニオン(バーバラ・スタンウィック) 酒場経営者
 サンダンス(スコット・ブレイディ) キットの仲間
 ブッチ・キャシディ(ハワード・ペトリー) キットの仲間

 ルーシー・リー(メアリー・マーフィ) 牧場主
 ジェイミー(ウォーレス・フォード) ルーシーの牧場、実はキットのスパイ

 ウィルソン保安官(ウォルター・サンド)
 ジェフ・ヤンガー(ジム・デイヴィス)
 レオ・マローン(エミール・マイヤー) 探偵事務所の職員

場所はワイオミング州ロック・スプリングス。

キットの店の名前は「荒野の女王」となっている(らしい)が看板は「Maverick Queen Hotel」。

「ワイルド・パンチ」。ブッチやサンダンス一味の俗称。

バリー・サリヴァンとバーバラは「(1957)四十挺の拳銃/Forty Guns」でも共演している。バーバラは本作と同じく女ボスみたいな役。本作ではバーバラのダミ声が一段と大きく響き渡っている。補足。私はダミ声の女性が好みである(笑)。

◆ 最初の補足

本作を見れば、次第に分かってくるのだが、それでは分かりにくいので、最初にポイントを補足しておく。

キットは酒場の経営者であるとともに、悪人グループのボス。しかしボスであることは秘匿されている。

サンダンスはキットの手下。彼が悪人であることは、みんなに知られている。

ブッチ・キャシディも悪人。彼とキットの立場は映画を見てもよく分からない。ほぼ同等の立場のようである。ブッチ派とサンダンス派は別になっている。

ジェフは、最初にルーシーに会った時は「ジェフ・ヤング」と本名を言う。キットに対しては「ジェフ・ヤンガー」と言う。キットはジェフを悪人と思う。ジェフ・ヤンガーは有名悪人のコール・ヤンガーとジム・ヤンガーの甥。

ジェイミーはルーシーの元で働いているが、実はキットが送り込んだスパイ。サンダンスもこの事実は知らない。
 


■ あらすじ

◆ ジェフ・ヤングとルーシー・リー

ワイオミング州。ルーシー・リーは父親が死亡して、牧場を受け継いだ。

今は多くの牛を連れて牧童たちと山の中を移動している。牛を売却するためである。夜になったので野営。

そこにある男性が現れた。警戒して銃を構えた。男性は銃を預けて悪意がないことを示した。銃は戻してもらった。

男性は「ジェフ・ヤング」と名乗った。ジェフは食事などを提供してもらった。

さらに寝静まったころ。数人の男たちが銃を持って現れた。ルーシーは男たちのリーダーに「ブッチ・キャシディ?」と聞くと、男は「サンダンス」と答えた。

ブッチにしろサンダンスにしろ、当地で悪名を轟かせている悪人である。

男たちは一行から牛を奪おうとする。

しかし姿を隠していたジェフがマスク姿で登場して一行を救った。

◆ キット・バニオン

町にサンダンス一味がやってきた。サンダンスはさっそくキット・バニオンの店に行く。

キットはこの店の経営者だが、実はサンダンス一味の黒幕である。二階のキットの部屋に行って、ルーシーの件の結果を報告する。

結果はもちろん失敗である。それを聞いてキットは怒る。

サンダンスはキットに気があってキスをしようとする。キットはさらに怒って、サンダンスを平手打ちにして追い出した。

◆ ジェフはキットに雇われた

ジェフが町に到着した。キットの店に入るとルーシーがいた。ルーシーはジェフに礼を言った。そして「私のところで働かない?」と誘った。

その話は成立しなかったが、ルーシーは父親が殺されたことなどを話した。牛を売った代金をデンヴァーの銀行に預けるために列車で運ぶらしい。

ジェフは賭けをした。サンダンスも入っている。二人が争いになり殴り合った。すぐにキットが来て制止した。

その後キットとジェフは二人で飲んだ。それを見てサンダンスが睨んでいる。補足。森の中でキットとサンダンスが会った時は覆面をしていたので、サンダンスはキットとは初対面と思っている。

ジェフはキットに「ジェフ・ヤンガー」と自己紹介した。「コール・ヤンガーとジム・ヤンガーは自分のオジ」。注、もちろん嘘である。

キットもジェフに「自分のところで働かない?」と誘った。この言葉でジェフはキットが悪人であることと推測した。こちらの話は成立した。

この後キットはルーシーと話してルーシーが牛の売却代金を輸送することを知った。

◆ 襲撃計画

キット、ジェフ、サンダンスがキットの部屋に集まった。「八時の列車で五万ドルの金がデンヴァーに輸送される。この金を奪う」と計画を指示した。

列車には警備隊がついている。

この後キットとジェフが仲良くしているにサンダンスが気分を害して騒ぐので、キットはサンダンスを追い出した。「サンダンスには注意して」と言った。

◆ 金を奪う

列車が出発する。機関車、燃料車、貨車、それと二両の客車。問題の金は貨車に積み込んである。貨車には係員が乗っており、先頭の客車には警備隊が乗っている。

ジェフは後尾の客車の一番最後に乗った。列車は発車した。

しばらくしてジェフは後ろの出口から出て客車の屋根に上って歩いて行って、貨車と客車の間の連結器を外した。さらに貨車の屋根に上り、燃料車の上から、拳銃を構えて機関士を脅した。

この事態に気がついた先頭の客車にいた警備隊は客車を下りて走って追いかけた。

サンダンス一味が待ち構えている。列車を止めて貨車の扉を開ける。中の係員と撃ちあい。また追いかけて来た警備隊とも銃撃戦。

金が入った袋を奪って、ジェフとサンダンス一味は崖を上った。

◆ アジトに行く

彼らは金を持って山の中にアジトに行った。数軒の小屋がある。

そこにはキットが待っていた。それとブッチ・キャシディと数人の男、数人の女性。

例によってサンダンスがキットに迫るが、もちろんキットは拒否。小屋の隅でキットはジェフに「二人でカリフォルニアに行って暮らしましょう」という。ブッチが怪しい目で見ている。

キットは奪った金を持って町に行く。キットとジェフは小屋の外に出た。キットは馬に乗り、もう一頭の馬に袋を乗せて出発した。

ジェフはタバコを吸っていたが、サンダンスがキットの出発を見ていたことに気がついた。

◆ キットはサンダンスに襲われた

キットは左側は下り斜面、右側は上り斜面の狭い道に差し掛かった。

前にサンダンスがいた。キットに迫ってきた。道が狭いので後戻りができない。キットは斜面を下りて逃げた。

追いつかれて跳びかかられた。二人は落馬し斜面を転げ落ちた。キットは木に捕まることができ斜面を登った。サンダンスも後を追いかけて来た。キットは途中にあった木材を蹴落とした。サンダンスは転げ落ちて川に転落した。

キットが上まで上るとジェフが仲間を率いて助けに来た。キットが事情を話し、下を探したがサンダンスは見えなかった。

キットは仲間の二人と続いて町に向かった。しかしサンダンスは生きており川から上がってきた。

◆ サンダンスはルーシーの牧場へ

ルーシーの牧場。保安官が来ている。「列車が襲われた」と報告。しばらく話して保安官は帰った。

ジェイミーが小屋にいる。突然サンダンスが入ってきた。ジェイミーを脅して食事を出させて、シャワーを浴びた。

ルーシーが小屋に来た。サンダンスは拳銃を突き付けた。ここでルーシーはサンダンスがいたことでジェイミーを疑うのだが、ジェイミーはシドロモドロの答えをする。その言葉からルーシーはジェイミーがスパイであることを知った。ジェイミーを睨みつけた。

◆ 保安官はキットを待ち構えていた

キットは町について馬を預けて、自分のオフィスに戻った。二人の男性が待っていた。ピンカートン探偵事務所のレオ・マローン、もう一人は保安官。

レオは「保安官を助けるために来た」と言う。二人はキットの罪状を把握しており、キットに「町をでていくように」と言い渡して部屋を出て行った。

キットは金庫を確認したが、開けられていて金はなかった。

キットは店に下りた。すでに店にはバーテン一人を除いて誰もいなかった。客もいなかった。

黒い服を着た男性が入ってきた。「店は閉まっている」と言うが、キットは男性と話した。

男性は新聞記事を見せた。「ピンカートンにより、コール・ヤンガーとジム・ヤンガーが逮捕された」との記事。写真もあって、その二人と一緒にジェフ・ヤンガーが映っていた。その男性がジェフ・ヤンガーである。なぜ新聞記事を見せるのかはかなり不思議だが、そのようなストーリーになっている。

キットは自分が知っているジェフがジェフ・ヤンガーではないことを知った。二人は出かけたが、途中でキットは新聞記事を奪って逃げた。アジトに向かった。

後を追いかけて来た保安官は本物ジェフ・ヤンガーに会った。

◆ アジトでキットとジェフが再会

アジトの小屋の中でメンバーがブッチに「サンダンスは死んだ」と話している。

だがそこに、サンダンスがルーシーとジェイミーを連れてきた。サンダンスが一味アジトを制圧する。補足。手下の中にはサンダンス派とブッチ派がいる。

ジェフは捕らえられて、ある小屋に入れられた。外から閂をかけられて閉じ込められた。

その小屋にキットが来て閂を外した。ジェフに抱き着いて「本物のジェフ・ヤンガーが来た」。

◆ サンダンス一味と銃撃戦

この後は、銃撃戦などでやたらと込み入っている。

キットとジェフはアジトの小屋から逃げ出す。ルーシーを助け出して三人は逃げ出す。

気づいたサンダンス一味が追いかける。ルーシーの馬が撃たれて落馬、ジェフは助け上げてルーシーと二人乗り。

三人は別の場所にある小屋に逃げ込む。この小屋を囲んで銃撃戦が展開。キットとルーシーは小屋の中から応戦。

ジェフは小屋を抜け出して、一味を一人一人倒していく。ブッチの手下も来て、サンダンス一味と対決する。小屋に火が放たれる。

ジェフとサンダンスが格闘し、ジェフはサンダンスの腕を折る。

一味の一人から負傷したジェフに銃がむけられた。キットが現れてライフルを発射。しかし相撃ちになる。

保安官一行が現れて一味を逮捕した。

ジェフはキットを抱きしめたが、キットは死亡した。
 


■ 出演作

◆ ウォーレス・フォード
(1956)マーヴェリックの女王/The Maverick Queen
(1955)暴力には暴力だ/The Spoilers

◆ ウォルター・サンド
(1947)浜辺の女/The Woman on the Beach
(1949)陽の当たる場所/A Place in the Sun
(1952)抜き射ち二挺拳銃/The Duel at Silver Creek
(1954)アパッチ・最後の戦い/Apache
(1943)駆潜艇K-225/CORVETTE K-225

バーバラ・スタンウィック
(1933)女囚の意気地/Ladies They Talk About
(1937)ステラ・ダラス/Stella Dallas
(1939)大平原/Union Pacific
(1941)群衆/Meet John Doe
(1941)レディ・イヴ/The Lady Eve
(1944)深夜の告白/Double Indemnity
(1945)クリスマス・イン・コネチカット/CHRISTMAS IN CONNECTICUT
(1946/呪いの血/マーサの奇妙な愛情/The strange love of Marth Ivers
(1947)いのち短し/The Other Love
(1948)私は殺される/SORRY, WRONG NUMBER
(1947)恐怖の叫び/Cry Wolf
(1957)四十挺の拳銃/Forty Guns
(1940)思い出のクリスマス/Remember the Night
(1956)マーヴェリックの女王/The Maverick Queen